Hikotaのバルサ考察ブログ

主にFCバルセロナが好きです。他サポの方大歓迎です

【マッチレビュー】19-20 CLグループステージ第6節 インテル対バルセロナ

はい、こんにちは。すっかり寒い季節になりましたね。皆さん、体調等に是非気を付けてくださいね。

さて、今回はCL最終節になりますインテル戦。既に首位通過を決めているバルサにとっては絶好のローテーションチャンス。前節のマジョルカ戦をベストメンバーで臨みましたから、ソシエダ戦、クラシコに向けてできるだけ主力選手は休ませたいところです。加えて、普段出場機会の少ない選手たちの躍動にも注目が集まります。

一方のインテルは勝利すればグループステージ突破が確定するだけに、ここは何としても勝っておきたいところです。ホームですし、モチベーションは間違いなくインテルに分があるでしょう。カンプ・ノウでもかなりバルサを苦しめましたから、厳しい戦いになりそうですね。

www.footballhikota.com

↑ホームでのインテル戦はこちらから。

 

■スタメン

f:id:hikotafootball:20191212110801p:plain

ホームのインテルはいつも通りの3-5-2で試合に臨みます。ガリアルディーニ、バレッラ、センシと中盤の選手に負傷者が相次いでいるため、この試合はインテリオールにベシーノとボルハ・バレロが起用されます。バレロはリーガファンにとっては非常に懐かしい名前ですね。2トップはルカクラウタロの強力コンビ。サンチェスは長期離脱中です。

一方のバルサは、やはりローテーションを敢行。メッシ、セルジ・ロベルト、ピケが招集外に、マジョルカ戦から7人の先発変更になりました。ラキティッチ、ジュニオルは序盤戦出場機会が少なかったですし、グリーズマンは鉄人な上に、まだまだアピールが必要な立場なので、彼らの起用は想定通りです。ラングレには休みを与えて欲しかったですが笑。また招集されていたBチームのリキ・プッチは残念ながらベンチ外に。

www.footballhikota.com

 

■前半

3-5-2を導入したバルベルデの意図

試合前、誰が起用されるかの議論をしていた僕たちファンの予想を超えてこの試合3-5-2を採用してきたバルベルデ。この2年半でほとんど3バックは使われていないのですが、この試合に3バックで挑んだ理由はどこにあったのでしょうか。まずはここに触れないわけにはいきませんね。

www.footballhikota.com

今年のシーズンオフにこのような記事を書きました。昨シーズン4-4-2で守り、リバプールに、ボコボコに殴られた経験から「どうせメッシ・スアレスが前残りするのであれば、アウェイの戦い方として後ろを分厚くして攻撃を跳ね返す方向にシフトしたほうがいいのでは?」という趣旨の内容を綴りました。バルサの哲学など全く無視の方針ですので、異論反論は出て当然の内容かとは思いますが笑。

バルベルデも同じような思考が頭にあるのでしょうか。僕はビダルを前線ユニットに組み込む可変型3-4-2-1を提唱しましたが、今日の試合では3-5-2と中盤が1人多い形でした。現在、バルサで選手層が最も厚いのはCBと中盤ですから、それぞれに3枠ずつ与えるとスカッド的にはちょうどいい感じになりますね。

特にCBはピケ&ラングレの現レギュラー陣に加えて、圧倒的な実力を持つウムティティとポテンシャルが今にも爆発しそうなトディボと駒が揃っているだけにこの4人から2人しか選べないのは少々勿体ないんですよね~。贅沢な悩みです。

f:id:hikotafootball:20191212122755p:plain

こんなイメージかな?

消化試合の使い方って意外と難しくて、恐らく多くの人は「出場機会の少ない選手にチャンスをあげて欲しい」と願っていると思います。それだけに控え組中心にも関わらず新システムをこのタイミングで導入したことに異論は出ますよね。正直、僕も4-3-3でやらせてあげたいという気持ちはありましたが、バルベルデのプライオリティはあくまで新しいオプションを試すことだったのでしょう。

特に3CBは試しておきたかったのだと思います。だからこそ休ませてもいいはずのラングレをわざわざスタメンで使ったのではないでしょうか。絶対に勝ちに来るインテル、そして強力2トップの存在もあり、強度をテストするにはもってこいの機会ですからね。まあこれは僕の仮説ですので参考までに。この疑問の答えはCLの決勝トーナメントにならないとわかりませんね。

シンプルなインテル

とにかく勝利が必要不可欠なインテルは前半から積極的にゴールに迫ります。

f:id:hikotafootball:20191212124225p:plain

バルサボール保持時噛み合わせ

同じシステム同士のミラーゲームですので、噛み合わせは大まかにこのようになります。お互い最終ラインで1人ずつ余る計算ですね。しかし、インテルはハイプレスの際にはブロゾビッチやバレロが積極的にCBにプレッシャーをかけて同数で奪いに行くこともしばしば。WBも積極的にワゲやジュニオルからのボール奪取を試みます。

もちろんプレスがかからないとき、かけられない時は速やかに自陣に撤退してブロックを築き上げますが、ラウタロルカクはカウンターに備えて極力下がり過ぎないようにしている印象を受けました。基本的にインテルの3バックは堅いので、ある程度自陣に誘い込んでからラウタロルカクのスピードを使ったロングカウンターも1つの狙いであったと思います。

f:id:hikotafootball:20191212125944p:plain

ビルドアップで多かった形

ビルドアップ時の挙動で多く見られたのが上図のような形。インサイドハーフのベシーノやボルハがサイドのスペースに落ち、その分WBが高い位置を取るパターンです。最近では「クロースロール」と呼ばれているこのインサイドハーフボランチをサイドの低い位置やハーフスペースに落とすチームは増えていますね。

以前も記事で書きましたが、低い位置でより技術の高い選手がボールを持ったほうがチームのビルドアップは安定します。第5節ドルトムント戦以降のバルサもインテリオールの位置を下げ、SBに高い位置を取らせることでビルドアップは大幅に改善されましたね。

www.footballhikota.com

ただし、インテルはあまり時間をかけず素早く前線のラウタロルカクにボールを入れることが原則になっていました。特にラウタロのロングボールへの反応と収める能力は非常に厄介でした。落下点の予測が素晴らしく、フィジカルと技術に優れるため、かなり苦戦してしまいましたね。攻め筋自体は非常にシンプルなのですが、2トップが強烈なだけにバルサのCB陣はかなり苦しめられました。

一方、サイドを丁寧に崩してのクロスや2ライン間でのコンビネーションプレーなどはあまり見られませんでした。これはセンシの欠場が一因なのでしょうか。とにかく手数をかけずにゴール前に迫り、シュートゾーンに入れば積極的に足を振れ!と恐らくコンテに口を酸っぱくして言われていたのでしょう笑。5分にはルカクがフリックしてバレロに繋ぎ、ダンブロージオがシュート。序盤から攻勢を強めてきます。

展開に反してバルサ先制

一方のバルサは不慣れなシステムに戸惑いながらプレーしている印象。特にWBがなかなか高い位置を取れず、ビルドアップが詰まってしまう場面は序盤に散見されました。バルサがよく陥るビルドアップ時に後ろが重たくなってしまう現象ですね。相手が前から圧力をかけてくる時こそ、相手のプレッシャーラインの裏に人を配置し、そこに縦パスを刺しこみたいところなのですが・・。

f:id:hikotafootball:20191205012854p:plain

アトレティコ戦で指摘したビルドアップの課題

20分までチャンスらしいチャンスはアレニャのスルーパスをDFラインの背後を斜めのランニングで突いてシュートを放ったシーンくらいでしたね。ただ、このシーンはアレニャとペレスの良いプレーが出ましたね。やはりアレニャはゴールに直結するプレーが魅力だなと僕は思います。

www.footballhikota.com

インテルの勢いに呑まれていたバルサですが、23分、スコアを動かします。中盤に落ちたグリーズマンがボールを受けるとそれと入れ替わりにストライカーの位置に入ったビダルに縦パスを刺しこみます。ビダルはゴディンを背負いながら横のペレスに落とすと(実際はゴディンが触っていたためノーオフサイド)、ペレスが冷静にゴールネットを揺らして先制します。

これは素晴らしいゴールでしたね。やはりグリーズマンは最前線に張り付かせるのではなく、自由に動き回らせた方が気持ちよさそうですね。グリーズマンの動きに合わせて最前線にズレたビダルも流石でした。ペレスは当然、CL初ゴール。契約により、このゴールとほぼ時を同じくしてペレスのトップチーム契約が決まりました。インテル相手のゴールは自信になるはずです。

このシーンのようにグリーズマンが中盤に落ち始めることで、結構相手の守備の基準点を乱すことはできていましたね。ペレスはストライカーではありませんが、裏を突く意識は高いため、思ったほど悪い組み合わせではなかったのかもしれません。まあこれ以降この2人が2トップを組む可能性は限りなく低いですが笑。

リズムを取り戻し、中盤でラキティッチやアレニャがボールを持てるようになったことである程度インテルを押し込むことができていました。時折、カウンターでピンチを招いたものの、アウェイでありながら前半でシュート8本を放つなど悪くない出来で、このまま1点リードで終わるかと思った44分でした。

後方からのロングボールをDFを背負いながらラウタロがまたもやボールを収めるとルカクに落とします。ルカクはエリア外から絶妙なコースにシュートを放ち、ゴールネットを揺らします。インテルが再三の狙い通り2トップの個の力で同点に追い付いて前半は終了します。

 

■後半

両チームともにハーフタイムからの交代はありません。ここから両チームは攻め合う展開になります。58分にはペレスがカウンターから中央を突破し、左サイドのグリーズマンにラストパスを送ります。グリーズマンは余裕を持ってシュートを放ちますが、ハンダノビッチに阻まれます。

f:id:hikotafootball:20191212135739p:plain

これをモノにしたい!

マジョルカ戦後のツイートです。角度的に簡単なシュートでは決してないのですが、このようなチャンスシーンを確実に決め切ることができれば左ウイングとして確固たる地位が築けるはずです。それこそこの位置が「グリーズマンゾーン」と呼ばれるくらいここからゴールを量産できれば、それだけで昨シーズンのコウチーニョとの差異は示せるはず。

www.footballhikota.com

あと試合の流れとして意外と大きかったのが、3CBの両サイドのボールの持ち運び。前半の途中からこのプレーは増えましたね。トディボやラングレが前方のスペースに向かってドリブルでペネトレイトすることで相手の守備陣に混乱をもたらすことになります。CFがついていけば、カウンターの威力が半減してしまいますし、中盤やWBが出れば後ろが薄くなります。

f:id:hikotafootball:20191212150025p:plain

有効なCBの持ち運び

4バックであればこの2トップの脇にインテリオールが落ちてボールを進めますが、3バックの際は、2トップに対して数的優位ですので、中盤はあまり下がってこないで積極的にCBの持ち上がりで中盤に数的優位が作れると、かなり相手にとって嫌なビルドアップができます。バルサのCBってそれができるのが強みですし。

インテルの方は、60分にボルハのロングボールからルカクがトディボと入れ替わってシュート。これはかなりの決定機でした。バルサは62分にラキティッチ、グリースマンを下げてフレンキ―、スアレスを投入。時間帯的にこれは予定通りの交代だったのしょう。当然彼ら2人はソシエダ戦、クラシコにも必要な選手ですから。

一方のインテルは69分にラザノ、75分にポリターノとより攻撃的なカードを切って攻めに圧力をかけていきます。70分頃から約15分間は完全にインテルの時間帯になりました。ラウタロルカクが次々にゴールに迫りますが、ギリギリなところでオフサイドにかかったり、バルサ守備陣の決死のディフェンスに遭ってゴールを割るには至りませんでした。

特にラングレが最後に体を張ってシュートブロックに入るシーンが多かったです。本当にクレバーですし、頼りになる選手です。

そしてピンチを凌げば、必ずチャンスがやってきます。インテルもかなり前がかりになってオープンな展開になってきますから、バルサにもカウンターのチャンスはめぐってきます。

84分にペレスに代わってアンスが投入されるとその2分後。アンスが中央左よりでボールを受けると中央のスアレスとワンツー。ペナルティーエリア手前からシュートを放つとファーサイドにグラウンダーのシュートが決まりバルサが勝ち越しに成功しました。

いやー、素晴らしいゴールでした。思わず飛び上がりました。逆サイドのメッシみたいな感じでしたね、アンス。スアレスの落としも流石。あとは皆さん、ハイライトで堪能してください笑。

試合はこのまま終了。バルサが2対1で勝利を収めます。裏の試合でドルトムントが勝利したため、残念ながらインテルはグループステージ敗退となりました。

 

■選手評価

ネト

今シーズン初の公式戦出場でしたが、安定していましたね。フィードも悪くなかったと思います。昨シーズンまでのシレッセンもそうですがこのレベルのキーパーが控えていてくれると安心感は段違いに上がります。ルカクのシュートは多分止められなかったと思います。

トディボ

ラウタロ・マルティネスとのマッチアップはいい経験になったのではないでしょうか。前半はかなりアップアップでしたが、後半改善しましたね。フィジカル的に強靭ですし、ビルドアップ時持ち運べるのは大きな魅力。ただし、やはり選手層の厚いバルサで安定した出場機会が見込めないのが現状です。キャリアのために、状況が変わらなければ、出場機会が得られるクラブへのレンタルも視野に入れるべきでしょう。ただし、必ず「レンタル」です。

ウムティティ

ラウタロ相手にかなり後手を踏んでしまいました。最も良い時期の威圧感のようなものは今は見られません。イージーパスミスも多かったですし、3バックの中央の選手として不満は残ります。本来の実力が戻ればレギュラーに必ず返り咲ける選手なので、頑張って欲しいです。

ラングレ

若いトディボと不安定なウムティティとのトリオでしたが、リーダーは間違いなく彼でした。後半ラウタロと入れ替わってしまったシーンは軽率でしたが、体を張る場面は多かったですね。ラングレはシュートコースに入るのが本当に上手い選手で、その恩恵は思っている以上に大きそうです。

ワゲ

悪くなかったと思います。若さ故のイージーなミスは散見されますが、セルジやセメドにはない要素を持っている選手。多分彼としては4バックのSBに比べると、より攻撃に比重をかけられるWBのほうがやりやすいのでしょう。良いスピードを持っているので、キック精度やポジショニングに磨きがかかれば。

ジュニオル

うーん、なかなか上手くいきませんね。ベティスで慣れ親しんだWBでの出場でしたが、攻撃面でプレゼンスを発揮するには至りませんでした。アルバがそろそろ戻ってきてしまうので、再び我慢が強いられそうです。

ラキティッチ

アンカーで出場。効果的な散らしとフィルター役をいつものように無難にこなします。傑出しているわけではありませんが、ある程度のクオリティをアンカーでも保証してくれるのはありがたい。ソシエダ戦、クラシコでも存分に活躍して頂きましょう。

ビダル

1点目に繋がる動きは彼ならでは。色々なタスクをこなせるのが良いところですよね。だからこそ彼はベンチに待機させておきたいタイプなのですが、本人はそれでは納得しないでしょう。戦力的には極めて重要ですが、今の状況を本人は快くは思っていないでしょうし。冬の移籍は実現の可能性が低いと僕は見ていますが…。

アレニャ

タッチ数、キーパス数がそれぞれチーム内1位と存在感を存分に見せつけました。ターンも一級品で、左利きだけにアクセントがつけられます。気になるのは低い位置でボールを受けた時のボールロスト。やはりアレニャは高い位置でプレーさせたいです。ただ、そうなると途中出場がメインになってくるとは思いますが、ライバルが多すぎますね。レンタルの話がまとまりかけているようですし、冬レンタルはやむなしですかね。とにかくプレーしている姿が見たい。でも「レンタル」。

ペレス

ナイスゴール!4本シュートを放つなど、積極性があるのがこの選手のいいところです。クオリティはアンスやデンベレに及びませんが、勤勉ですしハードワークしてくれるので応援したくなりますね。ただ、局面打開力が高い選手では決してないので、出し手との呼吸を合わせる作業は絶対に必要で、現状のプレータイムだとなかなか難しいというのはあると思います。

グリーズマン

1点に繋がるパスくらいですかね。要所でいい繋ぎ、貢献はしているのですが、かかったコストと期待値を考えるとやっぱりこういう試合で結果を残して懐疑的なファンを黙らせて欲しいですね。まあ手っ取り早くクラシコでゴール決めましょう。

 

■雑感

これが全てですね、この試合は。若手の活躍ほど嬉しいものはありません。アレニャもトディボも存在感を見せました。3バックがこれからバルベルデにとってどのような位置づけになるかはわかりませんが、主力抜きの新システムで本気のインテルに勝てたことは紛れもない事実。このシステムにある程度手ごたえを持ったかもしれませんね。

正直結果に関しては全く期待していなかったので、ちょっとした望外の喜びでしたね笑。こういうのも含めて今のチームが上向きになっているということでしょう。何せメッシ依存のチームがメッシ抜きで勝ちましたからね笑。素晴らしいです。

さて、今朝の試合の結果を受けて今シーズンの決勝トーナメントに進出する16チームが決定しました。昨シーズンベスト4のアヤックスが敗退したこと以外はわりと順当な結果となりましたかね。バルサが1回戦で当たる可能性があるチームは、

の5チーム。正直どこと当たっても嫌です笑。が、できればプレミアの2チームは避けたいですね。抽選は来週の月曜日に行われるようです。

週末はソシエダとのアウェイゲーム、そしてミッドウィークにはホーム開催のクラシコが待っています。ここはひとつ前半戦最後の山ですね。12月残り3試合きっちり勝って首位をキープして2020年を迎えたいところです。
 
 
最後までお読みいただきありがとうございます。