こんにちは。Hikotaです。さて、この試合からリーガは後半戦に入ります。さあ、後半戦も頑張りましょう!ではなく、皆さんご存じの通り、この試合はキケ・セティエン新監督の初陣となりました。バルベルデの解任からキケ・セティエンの就任、試合まで本当に長いようであっという間でした。
バルベルデの退任とセティエンの就任についてはこちらの記事を参照ください。さて、今節の相手はグラナダ。前半戦、苦杯をなめた相手です。ホームカンプ・ノウとはいえ、初戦の相手としては難易度は高めですかね。
■スタメン
まずはホームのバルサ。システムについては後述します。リキのスタメンも想定されましたが、中盤はブスケツ、ビダル、ラキティッチで構成されます。DFラインはラングレではなく、ウムティティがチョイスされます。3人目のアタッカーにはアンスが起用されました。尚、負傷していたアルトゥールがベンチ入りしています。
一方のグラナダは4-4-1-1、または4-4-2のオーソドックスなシステムで試合に臨みます。前回対戦で得点を奪ったヴァディージョとアジーズには警戒が必要です。また、経験豊富なストライカーのロベルト・ソルダードがベンチに控える陣容となっています。
■前半
新監督の初陣ということで、色々と変化は予想されました。しかし、現実は僕の予想を超えて僅か1試合でバルベルデ時代とは大きく違ったものを見ることができました。そのため、書きたいことがたくさんあるのですが、全部書くととてつもなく長くなってしまうので、要点だけ書きますね笑
バルサの新システム
さて、まずは新生バルサの形から見ていきましょうか。先発の顔ぶれから考えると、多くのファンがこのような並びを予想したはずです。
バルサのオーソドックスな4-3-3です。メンバー的にはこれが自然だと思います。セティエンも流石に準備期間が短い中で、そこまで多くは変えられないだろうと僕も高をくくっていました。しかし、セティエンはしっかりと自分のスタイルをこの短期間の間にチームに植え付けてきました。
ボール保持時はこのような配置になりました。フォーメーションで表すと、3-1-4-2です。バルベルデ時代は右サイドを豊富な運動量で駆け上がったセルジ・ロベルトが3CBの右に入り、右のワイドにはアンスが起用されます。2トップはメッシとグリーズマンが入り、2人は比較的自由に動きます。
はい、初戦からかましてきましたね笑。ベティス時代のセティエンの代名詞とも言うべき、3バックで初戦に臨んできました。しかも、純粋な3CBではなく、本来SBのセルジ・ロベルトを3センターの一角として起用してくるサプライズぶり。守備に不安のある彼をこの位置で起用してくるのはセティエンらしさかもしれません。
皆さんご存じの通り、バルサはこの試合ボール支配率82%、パス数1002というデータが示す通り圧倒的にボール支配したわけですが、その要因の1つが後方からのビルドアップの安定にあります。図で見れば分かる通り、バルサは3バック+アンカーの4人でビルアップを図ります。それに対してグラナダの前線の選手は2人。ここで4対2の数的優位が出来ます。
この恩恵を受けたのはブスケツ。後方が3センターなので、DFラインに落ちる必要がないため、相手のFWと中盤の間のスペースで自由にボールを引き出してボールに絡みます。グラナダのボランチ2人はインテリオールのケア+中盤化するメッシの監視に追われ、ブスケツのケアまで手が回らない状態でした。
このバルサの配置で困惑したのがグラナダの両サイドハーフ。特に左サイドハーフのマチスは対面であるはずのセルジがいつもと違うタスク・ポジショニングであったため、守備の立ち位置はかなり乱れていました。セルジやブスケツをケアしにいけば、大きくバルサの右サイドを空けてしまうことになりますし、アンスについていけば下がり過ぎでカウンターが死んでしまいます。グラナダにとっても予想外の配置だったのかもしれません。
途中からグラナダはアジーズが下がってブスケツをケアするようになるのですが、これも十分ではありませんでした。アジーズが下がれば、3バックVS1トップになってしまいますからね。
ちなみにこの試合ではあまり機会がありませんでしたが、ボール非保持時はメッシを頂点に置いた4-1-4-1、または4-4-2で守るようになっていました。非保持時については次節以降もっと見る機会があると思うので、そこでお話したいと思います。
テンポの良い攻めと決定力
ビルドアップが大幅に改善したバルサは、テンポの良い攻めを見せつけます。選手間の距離が近くなり、ダイレクトでのパス交換も増えました。メッシやグリーズマンは縦横無尽に動きまわり、ボールに絡んでいきます。大外のレーンでスピード豊かなアンス、アルバが構え、相手の守備陣形は広げようと試みます。
このシステムの恩恵を受けるであろうもう1人の選手がアルバです。後方に3人DFがいるので、後方のことを気にせず大好きな攻撃に専念することができます。アンスと共に高い位置を取り相手のDFラインを釘付けにしました。この試合で良く見られたパターンはメッシが中盤に下がってボールを受け、アルバにスルーパス。アルバから逆サイドのアンスへ折り返すというプレー。これは再現性高かったですね。
これはベティス時代でもそうだったのですが、セティエンは両サイドのウイングバックにチームが逆サイドを攻略したら、必ずペナルティーエリア内に侵入するように言っていると思います。そのため、アルバからのクロスでアンスが何度かチャンスを掴みましたね。決め切れなかったのが残念でした。
プレー原則はしっかりしているため、大幅に改善したように思われましたが、結局前半はポゼッション81%、シュート数8で無得点。枠内シュートは2本に留まりました。この数字はスタイルの変更とともに、ルイス・スアレスの不在もあると思われますが、いずれにしてもサッカーはパスを何本つないだかではなく、得点を相手より多く奪うスポーツであるため、この現実とセティエンがどう向き合うかは注目しておきたいところです。
前半終了。0-0
— Hikota (@BarcaHikota) 2020年1月19日
監督が代わればサッカーは変わる。驚異の支配率80%越えでグラナダを自陣に押し込むことに成功。安定したビルドアップ。ネガトラの意識。そして距離感。
ただ、スアレスがいないこともあり、得点には至らず。後半よりゴールにアプローチできるか。
■後半
グラナダの修正案
さて、前半いいようにやられてしまったグラナダは後半から修正を施します。前半に曖昧だったサイドハーフの守備位置を明確にしてきました。CF+両サイドハーフが3バックを見て、アジーズが下がってブスケツをチェックするという噛み合わせに変えてきました。システムで言うと、4-2-1-3みたいな感じですね。
まあただ、バルサにはテア・シュテーゲンというもう一人の戦術兵器がいますし、ビルドアップの段階でここで慌ててロングボールを蹴らなかったのは前体制からの大きな変化ですね。グラナダが前から来る分、後方にはスペースが出来、そこを上手くメッシやグリーズマンが使うことができていました。
さて、この状況を受けて、グラナダは再度修正を試みます。56分に疲労が見えるアジーズを下げて、エレーラを投入します。この交代に伴い、システムは4-1-4-1に変化します。
バルサにロングボールを蹴らせて回収するのが難しいと判断してか、ある程度前線からのプレスを諦め、4-1-4-1でブロックを築く方向にチームを傾けます。この時間帯あたりからバルサは苦しみ始めます。アンカーのゴナロンにスペースを消され、攻撃が少々停滞してしまったのはこの試合の反省点の1つかもしれません。逆にこの時間帯にポスト直撃のミドルシュートを浴びるなどピンチを招きました。
しかし、69分、試合が動きます。グラナダのCB、サンチェスが2枚目のイエローカードで退場してしまいます。これ、バルサからしたらものすごくラッキーなんですが、正直、最後まで11人対11人の試合を観たかったなあというのが本音ですね笑。僕、やっぱり退場制度はあんまり好きじゃないです。
さて、ここから畳みかけたいバルサはラキティッチを下げ、リキ・プッチを投入します。ラキティッチに関しては今後立場が苦しくなってしまうかもしれません。
5シーズン重要な選手であり続けたラキティッチ。
— Hikota (@BarcaHikota) 2020年1月23日
エンリケ政権ではメッシの右サイドのカバーリング、バルベルデ政権ではそれに加えて広いスペースを守るのが苦手なブスケツの相棒として価値を示したというのはこちらの過去記事で書いた通り。 https://t.co/haN7SuV46O
すると、76分、リキのボール奪取から最後はメッシが綺麗に決め、待望の先制点を奪います。これはリキナイスでしたね。若手がエネルギッシュにプレーしてくれると嬉しいものがあります。セティエン体制ではかなり重宝されるかもしれませんね。
試合はこのまま1-0で終了。バルサがセティエン新監督の初陣を白星で飾ります。
試合終了。1-0バルサ勝利。
— Hikota (@BarcaHikota) 2020年1月19日
後半グラナダが4-2-1-3、4-1-4-1と守備陣形を変化させ、前半ほど上手くいかなかったものの、相手CBが2枚目のイエローでまさかの退場。数的優位を得たバルサは76分、リキのボール奪取から最後はメッシが優しい右足シュートで先制。このゴールが決勝点となり、初陣を飾る。
後半は攻めあぐねる時間帯が多かっただけに、結果が出たのは大きい。もちろん退場に助けられた部分はあるけども。
— Hikota (@BarcaHikota) 2020年1月19日
ポジティブな変化が多かったし、初陣としてはほぼ満点じゃないかな。
■雑感
とにかく初陣で結果が出てホッとしました。考察記事でも書きましたが、どれだけ魅力的なサッカーをしても結果が出なければだれも満足しません。それだけにこの勝利が持つ意味は単なる勝ち点3に留まらないものがあると思います。やっぱり何事も最初が肝心ですからね。
贔屓目抜きに見ても、短期間でここまでチームのプレースタイルを変化させたセティエンの手腕は特筆に値します。それが良いのか悪いのかは別にしても。やはり信念の人です。この試合では良かったところも、これから課題になってくるであろうところも出て来たので今後が楽しみではあります。
当然、ここから相手も研究をしてきますから厳しい戦いにはなるはずです。早速ミッドウィークのコパの対戦相手のイビサもセティエン対策をしてバルサをかなり苦しめました。
イビサは素晴らしいんだけど、特筆すべきはサイドハーフの非保持時の動き。必ず中央のレーンを塞ぎ、WBにボールを誘導。アンス・セメドにボールが入るとすぐさまプレスバックしてSBと挟み込んでワイドの選手を孤立させる。よく仕込まれてる。
— Hikota (@BarcaHikota) 2020年1月22日
ただし、これが90分間続くのかは分からない。
いずれにせよ、セティエンバルサの冒険はまだ始まったばかりです。フロントがそういう視点を持っていない分、ファンが長い目で評価できるといいですね笑。本当に次戦に向けて楽しみな試合となりました。次はメスタージャでのバレンシア戦。またも厳しいカードとなっています。是非皆さんで応援しましょう!
尚、イビサ戦のマッチレビューはお休みします。少々バタバタしているので・・・。すみません!代わりに試合中のツイートを・・・。
前半終了。0-1イビサリード。
— Hikota (@BarcaHikota) 2020年1月22日
開始早々にまさかの失点を喫し、その後も終始イビサの勢いに押され気味。バルサの前半のシュートはわずか1本。それに対し、イビサはポスト直撃の決定機を作るなど追加点を奪ってもおかしくない状況。さて、セティエン監督はどう修正してくるかな。
注目された配置は、
— Hikota (@BarcaHikota) 2020年1月22日
ネト
セルジ ラングレ ジュニオル
フレンキー
セメド ラキ リキ アンス
グリーズマン ペレス
という並びに。ただこれが上手くいったとは言い難く。ビルドアップが全然上手くいかない。
裏へのロングボールが少ないのはちょっと気になるポイント。セティエンから蹴るな!繋げ!って言われてるのかもしれないけど、繋ぐためのパスはそもそもポジショナルプレーじゃないでしょ。シティだって蹴る時は蹴る。大事なのは優先順位。
— Hikota (@BarcaHikota) 2020年1月22日
試合終了。2-1バルサ勝利。
— Hikota (@BarcaHikota) 2020年1月22日
PK戦、敗戦も覚悟しましたが、ロスタイムのゴールで辛くも逆転勝ち。2チャンスを決めたグリーズマンは流石。
えーと、それくらいです!笑
ファン的には不満ですけど、能力は高くなくとも11人が何をすべきか理解しているチームと、何をするのかよく分かってないスター集団だったら、やっぱ前者の方が魅力的なのがサッカーの面白いところです。そして最終的にはバラバラのスター集団が個の力で押し切ってしまうところも。
— Hikota (@BarcaHikota) 2020年1月22日
最後までお読みいただきありがとうございます。