こんにちは。前回のコウチーニョの記事で今までの比にならないくらいの反響を頂いてビビっているHikotaです笑。ブログのアクセス数も今までの5倍くらい来ていたので、本当に有難い限りです。シーズンオフで、皆さんもバルサの試合がなくて寂しいと思う(何より僕が寂しい)ので、来シーズン始まるまで頑張って更新頻度増やしていきます!是非よろしくお願い致します。
↑ちなみに前回の記事はこちら!
そして、今回はフォーメーションについての記事です。
■バルベルデの3年目はほぼ濃厚
昨シーズン、CLとコパ・デル・レイのタイトルを逃し、ファンやメディアから大きな非難を浴びたバルベルデ監督ですが、フロントからはその手腕が高く評価されており、来シーズンも指揮を取ることが既定路線になっています。あれだけ批判されれば、さすがにフロントも監督交代に動くかと思いましたが、現状維持を選択しましたね。
しかし、昨シーズンの失敗を考えると、監督が変わらなかったとしても戦い方や人選に変化をもたらすことができなければ、最大の目標であるCLを勝ち取ることは到底できません。なので、今回はバルサが来シーズン、どのような戦い方をすればCLのタイトルを獲得することができるか考えていきたいと思います。
誤解を招きそうなので、断っておくと、本記事ではあくまで「バルベルデ体制で勝つため」の方法論を考えるのがテーマです。バルサらしい「美しいサッカー」はここでは度外視します。それはそれで楽しいのでまた別記事でやりますね笑。そしてここでは獲得が決定しているフレンキ―・デ・ヨング以外の新戦力は考慮しないこととします。ご了承ください。
■フォーメーションは電話番号に過ぎない?
バルサの18-19シーズンの基本フォーメーションは4-3-3でした。しかし4-3-3というのはあくまでファーストポジションであり、実際は守備時4-4-2、攻撃時3-4-3(2-5-3)の可変システムであったことはシーズン総括記事で紹介した通り。
グアルディオラが「フォーメーションは電話番号と同じようなもの(つまり意味のないもの)」と表現した通り、最早現代サッカーで選手が同じポジションに留まっていることなどあり得ません。しかしフォーメーションは依然として、僕のような素人にとってはサッカーを理解する上で重要なツールになっています。何よりフォーメーションを妄想したり、選手を当てはめる作業は非常に楽しいものがあります笑。
ただ、ここで理解しておかなければならないのは同じフォーメーションでも使う選手が特性が違えば、戦いかたやチームの戦略は全く異なるという点です。例えば、同じ4-4-2でもメッシ&アグエロが2トップのチームと、ジエゴ・コスタとマンジュキッチが2トップを組むチームではまるで戦術は違いますよね。グアルディオラが「フォーメーションに意味はない」と語るのもこのあたりのことを念頭に置いているからではないでしょうか。そこはフォーメーションを語る上で気をつけなければならないポイントですね。
■4-4-2の限界
前置きが長くなってしまいましたが、ここから具体的な話に入っていきます。バルベルデの戦術のなかで限界が叫ばれているのが、守備時の4-4-2です。最もベーシックで守りやすいとされる4-4-2ですが、前線のメッシとスアレスがあまり守備のために下がってこないため、実質8人でブロックを築かなければならないという難しいシチュエーションが生まれます。
例えば相手の後方からのビルドアップ。相手のフォメーションが4-3-3と想定すると、噛み合わせは上図のようになります。相手のアンカーは数的優位を作るためにCB間に落ち、SBが高い位置を取っています。基本的にDFはカバーリングのために後方で1枚余らせるのが原則ですので、赤チーム攻撃陣3人に対してバルサは4人のDFを後方に残しています。中盤では数的同数。バルサの2トップが赤チーム後方の3人にプレスをかけていく格好です。
バルサの2トップであるメッシとスアレスはここの貢献度が非常に低いので、簡単に前進を許してしまいます。そして彼らは前進を許しても殆ど後ろには下がってきません。ということで前進してくる選手(上図ではアンカー)を誰がケアするのか問題が発生してしまいます。ブスケツかラキティッチが出れば、バイタルが空きますし、サイドの選手が内側をケアすればサイドで数的優位を作られてしまいますよね。こうしてバルサの中盤以下の選手は困難を強いられるのです。
ちなみに現チームでビダルが重用されるのはこのような背景があります。というのも上図のような状況のときに、ビダルは抜群の働きを見せることができるのです。
このような状況でビダルは自分のマーカーへのパスコースを消しながら、中央の選手にプレッシャーをかけるプレーが得意な選手です。簡単そうに見えますが、ポジショニングやプレスのタイミング、スピードなどが要求される高度な守備能力です。ちなみにこの自分の背後へのパスコースを切ることを最近では「カバーシャドウ」と呼ぶらしいです。
ただ、ビダルやラキティッチといった「便利な選手」がハードワークするだけでは、強豪相手には限界があります。今シーズンのリーガでは通用しましたが。結局このスタイルに限界があるのはリバプール戦のセカンドレグで露呈した通りです。
そしてもう1つの弱点が、両サイドバックの裏のスペースです。特に左サイドのジョルディ・アルバの裏は非常に危険なスペースになってしまっています。彼はかなりの高頻度で前線に飛び出すので、カウンターで彼のスペースを突かれることもあるのですが、意外なことに遅攻でもよく使われてしまっています。
上図をご覧ください。これもよくある状況なのですが、センターハーフが右サイドで数的優位を作るために右サイドの低い位置に流れています。メッシ・スアレスが下がってこないため、こうなるとセンターハーフにコウチーニョ、SBにアルバがつくことになります。ここで内側に入っているWGにアルバの裏に走りこまれると、3対2の数的不利となりますよね。ということでアルバの裏のスペースにラングレがカバーに入ります。
はい、図のようにラングレがペナルティーエリア外に引っ張り出された格好ですね。これはかなりまずい状況ですね。ペナルティーエリア内で数的同数が発生しています。空中戦に強いピケはいいとして、セルジ・ロベルトはお世辞にもエアバトルで強さを見せることのできる選手とは呼べません。ブスケツやビダルがペナ内まで戻ることもできると思いますが、毎回間に合うわけではありません。そもそも中盤の選手が下がり過ぎることでセカンドボールが拾えず、2次攻撃を食らうというのもバルベルデバルサあるあるですよね。
昔から変わりませんが、バルサはサイドからのクロスボールに非常に弱いチームです。その大きな要因が両サイドバックのサイズが足りないことです。現チームのセルジ・ロベルト、ジョルディ・アルバがクロスに競り負ける姿は容易にイメージできますよね。ただでさえ、空中戦に脆弱なDFラインであるため、CBがサイドに引っ張られればエリア内の守備はかなり薄くなってしまいます。
このような弱点をリバプールに良いように突かれてCLを敗退したため、修正は必ず必要な箇所になってくるでしょう。バルベルデ継続なのであれば、尚更今シーズンに出た課題は修正してほしいところです。
■CL制覇のための3-4-3
ということで限界を露呈した4-4-2。正確に言うと4-4-2の限界というよりはメッシ&スアレスコンビの限界ですかね。ただ、不思議なことに(?)、スアレスの去就に関する報道って殆どないんですよね。メッシは当然残留ですからこのままだとスアレスとメッシの同時起用は変わらないでしょう。スアレスはベンチに座って我慢できるタイプではないですし。
ということでメッシ・スアレスコンビが来シーズンも継続するという前提のもとで来シーズンの戦い方を考えていきます。リーガでは2シーズン連続で成果を収めていますから大きな変化を加える必要はないと思います。必要なのはCLで勝ち抜くためのオプションです。ここまで非常に前置きが長くなってしまいましたが、個人的に勧めたいのはタイトルにもある通り、3-4-3システムです。
中盤ダイヤモンドの所謂「クライフの3-4-3」ではなく、中盤フラットの3-4-3です。皆さんお気づきかもしれませんが、この形は今シーズンの可変システムの攻撃時と殆ど同じ形です。違うところは、純粋なCBを3枚起用しているということ。これにより、単純に守備強度が上がります。両WBが下がれば5バックにもなりますし、アルバをウイングとしてカウントすれば、4バックへの可変も可能です。
臨機応変に相手に合わせて形を変えることができるのが大きな強みです。ピケ・ラングレ・ユムティティの3CBは強さと上手さを兼ね備えています。ピケの右ストッパーはフィジカル的に不安なので、対人に強いセメドの起用はありですかね。とにかく4-4-2の時の起こっていたCBが引っ張りだされる問題も、3CBならば1人が引っ張られても、中に2人は残るので苦手なクロスに対する耐性が強まりそうです。
中盤には万能型のラキティッチとフレンキ―を選択。ブスケツやアルトゥールよりも彼らの方が柔軟にプレーしてくれそうです。右サイドのファーストチョイスは当然セルジ・ロベルトですが、より攻撃的に出るのであればデンベレの起用もありです。左サイドはアルバ一択。マルコムはバックアッパーという扱いでしょうか。
前線はメッシ・スアレスコンビに加えてとにかく色々無理が効くビダルをチョイスしました。彼を前線に入れることでメッシ・スアレスの分まで頑張ってもらおうという腹積もりです笑。南米3トップでもあり、全員33歳という絶望的なメンバ―ですが笑。
メッシとスアレスがいる状態で前からプレスをかけ続けるのは厳しいものがありますから、ある程度相手が前進してくることを見越して後ろの強度を上げようという極めて消極的な戦術です。冒頭でも述べましたが、はっきり言ってバルサのサッカーもくそもないような布陣と戦い方ですが、フロントが現路線を続け、バルベルデが監督を務めている限りこのような戦い方も致し方ないのではないでしょうか。少なくとも2シーズン連続で失敗した4-4-2を続けるよりは可能性を感じられるものではないでしょうか。
リーガでこのシステムを使うことはないと思いますが、CLの大舞台では検討する価値があると思います。皆さん、是非ご意見ください。
最後までお読みいただきありがとうございます。