Hikotaのバルサ考察ブログ

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【考察】アルトゥールの進化が生んだ可能性とジレンマ

こんにちは。はい、久しぶりの考察記事です。今回は2年目を迎え、進境著しいアルトゥールについて。是非、お読みください。

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 ↑昨シーズンの記事はこちらから!

◼︎明らかに変化したアルトゥールのプレー

今シーズンのアルトゥールの変化は明確に数字に現れています。公式戦ここまで2ゴール4アシスト。昨シーズンはリーグ戦とCL合わせて僅か0ゴール1アシストとだったわけですから、このデータだけでも今シーズンのアルトゥールがゴールに近い位置でプレーできるようになっていることがわかりますね。1試合あたりのキーパスは昨シーズンの0.5→1に増加。シュート数も0.2→0.5に上昇しています。

(データは「WhoScored」より)

昨シーズン、「スルーパスが出せない」や「位置取りが低すぎる」という批判の声もあったアルトゥールですが、その声に対して満点回答を見せていますね。今シーズンはバルベルデもかなりインテリオールに高い位置を取らせることは意識していそうですし、昨シーズンから最もプレースタイルを変化させた選手は間違いなくこのアルトゥールでしょう。

「ボールを奪われない」選手も相手にとって非常に厄介ですが、そのような技術を持った選手に自分たちのゴールにベクトルを向けられたらこれほど脅威なことはありません。特に印象に残ったのは8節セビージャ戦のビダルへのアシスト。ゴール前に走りこむビダルにピンポイントのボールを送り込みチーム2点目を演出しました。

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左のインテリオールから右のインテリオールへのアシスト。この形は昨シーズンあまりお目にかかれなかったパターンなので、非常に印象に残っています。昨シーズンはこのファイナルサードでの斜めの決定的なパスはほぼほぼメッシ→アルバラインに限定されていたのでこれは歓迎すべき変化でしょう。

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それこそアルトゥールがこれからも決定的なプレーを継続的に続けていけば、レジェンドのシャビやイニエスタの領域に近づけるのではないでしょうか。個人的に現代最高の中盤の選手はマンチェスター・シティのケビン・デ・ブルイネですが、それは彼がゴールに繋がる決定的なプレーを続けているからに他なりません。アルトゥールがそのような存在になってくれればそれほど嬉しいことはありません。

 

■ウイングの立ち位置がカギを握る

しかし、何もかも順風満帆なわけではありません。何度も触れていますが、今シーズンは配置の面で若干の変化が見られます。昨シーズンと比べるとウイングがワイドに張る機会が増え、その分インテリオールの位置が上がり、サイドバックが控えめになっています。

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第4節 バレンシア戦より

シーズン序盤はこのような形になっていることが多かったように見受けられました。まあメッシがいなかったというのはありますが、この時点では明確に昨シーズンとの差異が見られ、僕達ファンもワクワクしていました苦笑。昨季はハーフスペースはメッシ、コウチーニョの聖域でしたが、この形だとフレンキ―、アルトゥール、グリーズマンが上手く使うことができます。これはサイドに張るタイプのペレスやアンスを起用せざるを得なかったのも大きいのですが。

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しかし、メッシ・スアレスの二大巨頭が戻ってくると、アンスとペレスの名前はスターティングメンバーから消え、所謂MSGが主流になりました。今シーズンMSGが初めてスタメンでそろい踏みを果たしたのはリーガ第6節のホームビジャレアル戦。この試合のタスクはこのようになっていました。

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ビジャレアル戦 タスクまとめ

このような疑似4-3-3になっていました。右サイドの幅を右インテリオールのセルジ・ロベルト、左サイドの幅を左ウイングのグリーズマン、もしくは左サイドバックのジュニオルが取り、メッシとアルトゥールが2シャドーのような立ち位置になっていました。この試合のアルトゥールは非常に積極的に前線に飛び出していく姿勢が見られ、前半15分には強烈なミドルシュートを叩き込んでいます。

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しかしチームとしてのバランスはかなり怪しく、特にロングカウンターに非常に弱そうな陣容になっています。この試合は何とか2-1で物にしたものの、このスタイルで勝ち続けるのは無理があったかもしれません。この試合ではフレンキ―ではなくセルジ・ロベルトがインテリオールで起用されていましたし。

しかし、このあとバルサは徐々に昨シーズンの形へと回帰していきます。

 

グリーズマンの活かしどころに迷うバルサ

その要因の1つと僕が考えているのが新加入のグリーズマンの使いどころ。先述のビジャレアル戦ではワイドと内側を上手く使い分けられていた印象がありましたが、このあとの試合では苦しんでいます。結果はともかくとして、チームとしてグリーズマンをどのように活かすのか、またグリーズマン自身もどこに立ち位置を取るか、思い悩んでいるように見受けられます。

グリーズマンは元々純粋なウイングとしてレアル・ソシエダでキャリアをスタートさせた選手ですが、アトレティコ移籍以降は総合力の高いアタッカーに変貌を遂げました。そのため、最早サイドに張ってドリブルを仕掛けるプレーはあまりお目にかかることができません。それはデータにも表れており、今シーズンの1試合当たりのドリブル成功数は僅か0.6。これはスアレス(1.0)よりも低い数字になっています。

そのため、ワイドの高い位置でボールを持ってもあまり相手にとって脅威になるプレーが現時点ではできていません。スピードもそれほど持ちあわせてはいないので・・・。大外の位置で孤立するとまったくもって良さが出ないグリーズマンは、次第にプレーエリアを中央寄りに変えます。中央に入れば、メッシやスアレスと近い位置でプレーできますからね。

しかしウイングが内側に入り込みすぎると、インテリオールが上がっていくスペースがなくなってしまい、攻撃が停滞してしまいます。これは今シーズンのバルサによくある現象で前線に人はかけるけど、配置がぐちゃぐちゃで相手を崩すに至らずシュートまで持っていけないシーンはよく見ますよね。

昨シーズンはそれこそラキティッチが良い距離感とバランス感覚でウイングの選手にスペースを与えつつ、後方のカバーリングもこなしていたので覆い隠していた問題がここにきて顕在化してしました。うーん、ラキティッチの扱い解せぬ。いや分かるけど、100%スポーツ面の判断ではないんだろうなとは思います。

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誤解のないように断っておきますが、グリーズマンは世界屈指のアタッカーです。彼ほど無駄のない選手は珍しいと思います。まさに現代サッカーのプロトタイプと呼んで差し支えないでしょう。しかし、バルサでは苦しんでいます。これは本人も予想していたと思いますし、昨シーズンコウチーニョが示したようにバルサの左ウイングは特に難しいタスクを強いられますから。

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ならば中央で起用したいところですが、今のところグリースマンCF、メッシ右ウイングの形は機能性を見せたとは言い難く。先述のバレンシア戦やベティス戦ではグリースマンCFは上手くいっていたので、グリーズマンに適正がないというわけではありません。シンプルにメッシとの相性というか。メッシが自由に動き回る分、グリーズマンは前線に張り付くスアレスと同じようなタスクを課されてしまっているのが現状です。

メッシもグリーズマンも幅広く動き回りたいタイプですが、2人ともフリーダムに動かれるとカオスが生まれてしまいます。その状況は相手にとって問題を引き起こすかもしれませんが、その一方で肝心の前線に人がいなくなってしまうという事態を引き起こしかねません。ホームのスラヴィア・プラハ戦では彼らの代わりにビダルがCFのタスクを担っていました。

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※参考画像

このように前線の立ち位置が上手く定まっていない状況ではインテリオールのプレー自体も難しくなってきてしまいます。グリーズマン起用の最適解はこれからも探していき続けるしかありませんが、いずれにせよ今季アルトゥールが脱皮しようとしているだけに早めに解決していきたい問題ではあります。

具体的には先ほどのツイートでも述べたように、左サイドのグリーズマン、アルバ、そしてアルトゥールがもう少しトライアングルを意識して、相互作用することができればグリーズマンを今よりも活かしつつ、アルトゥールの個性を存分に発揮させることができるのではないでしょうか。それこそグリーズマンは静的な配置で生きるタイプではないので、このトライアングルに流動性が出てくると面白いと個人的には思います。

昨シーズンのような静的な配置かつジョルディ・アルバの大外からフリーランで相手の急所を突くやり方はもう分析されてしまっている感が強いです。せっかくグリーズマンが加入し、アルトゥールが変わりつつある今季何らかの変化は見せて欲しいなと思います。ただ、やはりメッシという特異な存在により、他の選手が動き回るのは予想以上に難しいというのはあると思います。

詳細な解決策はもう少し試合を分析してから提言できればなと思います。何かご意見あれば是非コメントやTwitterでお願いします。

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最後までお読みいただきありがとうございます。