こんにちは。前回のラキティッチの記事でようやく書くモチベーションが戻ってきたので、新シーズンに向けてちゃんと記事を書いていきたいと思います。
今回は今更感もありますが、19-20シーズンの総括をつらつらと書いていきます。本来なら、CL終了後にすぐ書く予定でしたが、2-8とメッシ退団報道のダブルパンチを受けて書くことを放棄していました笑。是非昨季を振り返りながら読んでください。
■ジェットコースターのような1年間
混沌に満ち溢れたシーズンでした。前シーズンのCLでの大失態からの捲土重来を目指した19-20シーズン。オフシーズンに開催されたコパ・アメリカの影響でメッシ・スアレスの2大エースの不在から幕は開きました。
3シーズン目を迎えたバルベルデは変化を試みました。事実、メッシ・スアレス不在時は前2シーズンとは違った顔をチームは見せたのです。しかし、彼らが負傷から戻ってくると結局は昨シーズンと同じ形に収斂。そのくせ、昨シーズンの要であったラキティッチはクラブの都合で冷遇されました。
結果として格下相手の取りこぼしが増え、いまいち安定感が出ないまま前半戦を終えます。それでもリーグ戦はライバルであるレアル・マドリーとアトレティコ・マドリーの不調にも救われて首位リターン。難敵揃いのCLグループステージでは無敗で首位通過。最低限の結果は残していました。
詳しい前半戦の総括はこちらを是非。
しかし、1月にサウジアラビアで開催されたスーペル・コパでアトレティコに惜敗すると、突如としてバルベルデは解任の憂き目に遭います。バルサというクラブでは極めて異例のシーズン途中での更迭となりました。
後任の第一候補はシャビ・エルナンデスでしたが、シャビは監督就任のオファーを固辞。代わりに指揮官に選ばれたのは、昨季ベティスの監督を解任されてフリーだったキケ・セティエン。この選択がいかに愚かだったかはもうセティエンの記事で書いたので、今更言及しませんが、この監督交代でバルサはさらに混迷を極めることになります。
セティエンは当初期待感が高く(バルベルデの評価があまりに低かったのも相まって)、就任初戦からボールポゼッションにこだわる姿勢を見せました。明らかにバルベルデ時代とはコンセプトが変わっているのはこちらも感じ取れるところではありました。
ところが期待値が高かったのは最初だけで、自らの十八番の3-5-2が頓挫すると、その後は明確な形とコンセプトをチームに植え付けることができませんでした。目に見えて改善したのはボールポゼッションと失点数のみ。ボールは繋がっているものの、それがゴールに結びつかない典型的なティキタカの罠に嵌まってしまったセティエンバルサ。特にリーガの上位陣相手になると良いところがなく、勝ち点を落とすばかり。
選手たちがバルベルデ解任に納得していなかったこと、そしてセティエンとそのアシスタントのサラビアのやり方を好んでいなかったのは火を見るより明らかでした。メッシとサラビアの対立が報じられたように、選手とコーチングスタッフ間がピリピリしていたのは確かなのでしょう。
コロナウイルスによる長い中断もチームを好転させるばかりか、逆にチーム状況は悪化。結果的にリーグ戦ではレアルマドリーに優勝を許し、コパ・デル・レイもあっさりビルバオに敗戦。一縷の望みをかけて挑んだCLではバイエルンに2-8の歴史的な大敗を喫して、シーズン終了。
こうして地獄のような19-20シーズン後半戦は終わりを迎えたのです。そして、セティエンは解任。後任にはロナルド・クーマンが就任し、改革に乗り出すかと思いきや。なんとチームの大エースであり、象徴であるリオネル・メッシが退団希望を出すという絶望的な状況に。まだ19-20シーズンの混沌は終わっていなかったのです。
まさに「本当の地獄はここからだ…」という状況ですね。
■最も責任を取るべきは
シーズン終了後、ジョゼップ・バルトメウ会長は「クラブの危機はスポーツ面のみ」という趣旨のコメントを出しました。この発言には心底呆れかえるばかりでした。仮に彼の言う通りバルサの問題点はスポーツ面にあるのだとしても、そのスポーツ面での低迷もバルトメウ以下のフロントの意思決定が招いたものに他なりません。
ここ数シーズンの不可解な高額投資でチームの選択肢を狭めたのはどこの誰でしょうか。2017年に獲得したウスマン・デンベレは今シーズン負傷でほとんど使い物にならず、昨夏大枚をはたいたアントワーヌ・グリーズマンは特に後半戦、殆ど良いところがありませんでした。
極め付きは2018年に獲得し、適応し切れずにバイエルン・ミュンヘンにレンタル中だったフィリペ・コウチーニョに、例の2-8の試合で2ゴール1アシストを許し、大虐殺を締めくくられる屈辱を受けました。これらをフロントの失敗と言わずしてなんと呼ぶのでしょうか。
選手からの信頼が厚かったバルベルデの首を切って、途中就任に最も不向きなタイプのセティエンを就任させて現場を混乱させたのもバルトメウ。バルベルデのままでタイトルが獲れていたのかは分かりませんが、監督を変えて無冠に終わったという事実は確固たるものです。
シーズン中にはバルトメウがSNSの会社と契約して、選手やその家族を個人攻撃させていたという信じがたいような報道も出てきました。さらには次代を担うクラックとして期待されていたアルトゥールを、決算書のために無理矢理移籍させるという事件も起こりました。最早一経営者としてというより人間としての品性を疑われてもおかしくない状況になっています。
このような状況では選手側が不信感を抱くのも無理はありません。「スポーツ面の失敗は監督と選手のせい」という発想はあまりに前時代的という他ありません。誰がクラブの中で一番の癌であるのかは明白です。
■唯一の希望は
結果も出ず、悪いことずくめだった19-20シーズンでしたが、ポジティブな出来事もありました。その1つがアンス・ファティという才能の出現です。16歳でトップチームデビュー、そして2試合目で初ゴール。贔屓目抜きで重要な選手の1人としてチームに1年間貢献してくれました。
今後10年間を担ってくれるかもしれない逸材がカンテラから輩出されたことはこの上ない喜びです。まだ彼は17歳ですから、今後慎重に扱っていく必要がありますが、その一方で試合に出し続けなければ成長はありません。新監督のクーマンが彼に重要な役割を与えてくれるといいのですが。
アンス ・ファティが今後バルサの中心選手として育てば、このシーズンにも意味があったと言うことができるでしょう。
あとポジティブなポイントを挙げるとすれば、
- 2年目クレマン・ラングレの安定感
- メッシ、20アシスト達成
- フレンキ―・デ・ヨングの適応力
- リキ・プッチの台頭
こんな感じですかね。個人的にはラングレが2年目のジンクスに嵌まらず、1年間通じてレギュラーとしてチームを支えたのは大きかったなと思います。サムエル・ウムティティのコンディションが全く上がらない中で、よくやってくれましたね。貴重な左利きCBですし、引き続きバルサにとって重要な存在になってくれるといいですね。
■今季もありがとうございました
今更感のある19-20シーズン総括でしたが、改めて振り返ると暗いシーズンでしたね笑。無冠に終わったのも13-14シーズンぶりでしたし、特にセティエン就任以降は厳しい時期を過ごしました。
その結果がメッシ退団希望という最悪の形になってしまったのは本当に痛恨の極みです。メッシの去就がどうなるのかはまだ分かりませんが、このシーズンがバルサに暗い影を落としてしまったのは否定のしようがありません。ここからバルサがどのような反撃を試みるのか。しっかりと注視していきたいところですね。
大切なのは、このような失敗のシーズンはきっちりと振り返ること。敗戦や失敗から学ぶべきことは多くあります。今のところクラブが失敗から学ぶ気配はありませんが…。
そんなシーズンだった19-20でしたが、僕にとって初めて1シーズンを通してマッチレビューを書き続けたシーズンでした。今季最初のプレビュー記事から、このシーズンレビュー記事までなんと96記事を書いています。約1年間で96記事、ちょっと異常ですね笑。自分でもびっくりです。
ここまで書けたのも読んでくださる皆様のおかげです。ありがとうございました。全試合レビューできなかったのは心残りですが、1年間を通して楽しく書くことができました。来季も引き続き頑張りますので、是非よろしくお願い致します。
最後に今季よく読まれた記事をいくつか貼っておくので、ご興味があれば是非。
最後までお読みいただきありがとうございます。