Hikotaのバルサ考察ブログ(仮)

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【考察】早すぎる別れ アルトゥール・メロとの2年間を振り返る

まさかこんなに早く、こんな形でお別れするとは思ってもみませんでした。

2020年6月30日、FCバルセロナユベントスミラレム・ピャニッチの獲得とアルトゥール・メロの移籍が成立したことを発表しました。

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各報道、経緯を鑑みて、この取引がピッチ内での戦術的理由よりも、ピッチ外の経済的要因によってまとめられたものであることに疑いの余地はありません。そのため、この取引に納得いっていないバルサを愛する方たちは多いのではないでしょうか。僕もその1人です。

バルセロナのフロントには怒りしかありませんが、それはTwitterやブログで他の方たちが表現してくれているので、僕は感情をかみ殺しながらアルトゥールの2年間を振り返っていきたいと思います。

 

■未来を見せた1年目

2018年夏、アルトゥールはブラジルのグレミオからバルセロナに3100万€で加入しました。あのレジェンド、シャビ・エルナンデスはアルトゥールのプレーを見てこう表現しました。

「まるで自分を見ているようだ」

それもそのはず。成功率90%を悠々と越えるパスの精度の高さ。プレスを逆手にとるターンの切れ味。 そして時折見せる相手を剥がすドリブル。観ている僕らもまるでシャビが若返ってチームに戻ってきたような、そんな感覚さえ抱きました。

シーズン序盤はなかなか出場機会が増えなかったアルトゥールですが、コウチーニョのインテリオール起用が失敗に終わったことで、左インテリオールのレギュラーに抜擢。初年度ながら27試合に出場するなど主力として大きなインパクトを残します。「バルサのDNA」を持っていることを証明したデビューシーズンだったと思います。

特に印象に残っているのは、CLのトッテナム戦。この試合のパフォーマンスには衝撃を覚えました。初挑戦のCLで臆することなくボールを要求し、襲い掛かってくる敵を躱し、淡々とパスを繋ぐその姿はまるでダンスをしているかのように優雅でした。僕はここでアルトゥールのポテンシャルを確信しました。

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アルトゥールの魅力、剥がすドリブル

僕が好きだったのは、アルトゥールの剥がしのドリブル。図の様に相手とボールの間を入れてボールを前進させるこのぺネレイトは非常に有効でした。アルトゥールは身体を上手く使うことができるので、ボールを奪われにくい、強引に奪おうとするとファウルになることが多かったですよね。

今シーズンの90分あたりの被ファウル数。なんとメッシの2.2を上回る2.5という数値が出ていました。  

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CL準々決勝で対戦したマンチェスターユナイテッドポール・ポグバと競り合って勝ったシーンもなかなかインパクトがありました。ポグバとは身長差が20cm近くありますが、それをものともしない体幹の強さを見せつけました。技術があって重心が高い選手は安定感があっていいですよね。

一方で、1年目にポジショニング等の課題が出たのも事実。特にボールを欲しがって必要以上にボールサイドに寄ってしまう悪癖は改善すべきものでした。またリーグ戦でのフル出場数は0とスタミナ面でも課題を残しました。最も重要だったリバプール戦では2戦ともスタメンを外れてしまうなど、悔しい思いもしましたね。

それでも欧州1年目にしては上出来なシーズンでした。当時のバルサにとっても、本当に貴重な戦力であったと同時に、アルトゥールには素晴らしい未来が待っていると誰もが確信した1年間であったと思います。

 

■激しい定位置争いと見えた兆し

シーズンオフのコパ・アメリカを絶対的なレギュラーとして制した2年目のアルトゥールを待っていたのは、激しいポジション争いでした。チームには18-19シーズンの欧州最優秀MFに選出されたフレンキー・デ・ヨングが加入。インテリオールのポジション争いは熾烈なものへと変貌しました。

厳しい立場に立たされると思われたアルトゥールですが、新シーズンのプレーは変化していました。コパ・アメリカで出遅れたにも関わらず、第8節までに2ゴール3アシストを記録。18-19シーズンでは1年間通して0ゴール1アシストだったので、これは大きな進歩です。

前シーズン低い位置でプレーをすることが多かったアルトゥールがゴールへの意識を強め始めたわけです。この変化はインテリオールがなかなか崩しに参加できなかったバルサにとっても歓迎すべきものでしたね。

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しかし、こちらもコパ・アメリカで出遅れたメッシ・スアレスがチームに戻ってくると、再びインテリオールが前線に絡んでいくのは難しくなってきます。アルトゥールが新しいプレースタイルを発揮する機会は減少してしまいました。一方のフレンキ―は思ったよりも何でもできる化け物でしたので、優先度はやはりフィジカルの強いフレンキーが上。

さらに、アルトゥールにはコパ・アメリカ疲労と代表ウィークの負荷がかかり、なかなかコンディションが整わない状況が続きます。細かい負傷も増えました。特に12月頭から1月の中旬までの約1か月半試合に出ることが出来ませんでした。それとタイミングを合わせるかのように、冷遇されていたラキティッチが再び先発で起用されるようになったのです。

アルトゥールがピッチに戻ってきたのはセティエン就任初戦となったグラナダ戦。「NEXTシャビ」たるアルトゥールと「クライフ信者」のセティエンの相性は良いようにも思われましたが、実際ここまでスタメンは6試合、フル出場は僅か1試合とセティエンの評価はそこまで芳しくなかったようです。大きなインパクトを残すこともできませんでした。

しかし、振り返るとシーズン序盤に見せた新しいアルトゥールの可能性にはワクワクしましたし、これからプレースタイルが広がっていく可能性は十二分に見せました。代表ウィークや国際大会との付き合い方もいいレッスンになったと思います。2年目苦戦する選手も多いですし、それを踏まえて3年目どう飛躍するのか楽しみにしていました。

 

■「今」のために「未来」を捨てるクラブに

冷静に考えると、今季のアルトゥールが絶対的なレギュラーでなかったことは明白な事実。実際、定位置争いではフレンキ―が一歩リードしていましたし、セティエンは思ったよりもビダルラキティッチを重用しました。もしかするとインテリオールの4番手という評価だったのかもしれません。

そこで、クラブは決算書のためにまとまった売却益が必要な状況に直面したわけです。「絶対的な主力ではないけど、高値で売れそうな選手」として最初に名前が挙がったのはネルソン・セメドでしたが、こちらの噂は今は沈静化していますね。

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ということで次に白羽の矢が立ったのがアルトゥールだったわけです。クラブの経営を安定させるために「今」準レギュラーの選手を高値で売る。捉え方によっては肯定的に見られるのかもしれません。

しかし、アルトゥールは「今」必要な選手でもあり、何よりバルサの「未来」を背負って立つ選手になるはずでした。バルサが原点回帰をこれから進めていくのであれば、23歳の「NEXTシャビ」を売却するなど考えられない所業です。クラブは「未来」を1つ潰したのです。

本音を言えば、クラブはいつかリキ・プッチとアルトゥール、どちらかを選ばなければならない日を迎えると思っていました。多分そういうツイートをしたこともあると思います。彼らがしのぎを削って、ポジション争いに敗れた方がクラブを去るのであれば、納得感はありました。彼らが本気で切磋琢磨する姿を楽しみにしていました。

でも、現実はピッチ内でのパフォーマンスではなく、経済的な理由がメインでクラブを追われたわけですから、納得できるはずもありません。無茶な補強でクラブの経営を圧迫させたのは他ならぬフロントです。その尻拭いをまさかアルトゥールにさせるとは信じられません。バルサを途方もなく愛し、残留宣言までした選手がこのような形でクラブを去らねばならないのは本当にやるせないです。

そして、経済的だけでなく戦術的にもまた犠牲になりました。本来バルサで圧倒的に輝けるはずの選手ですが、先述したようにメッシ・スアレス中心のチームの中で彼の能力は100%活かしきれませんでした。正直、今のチームでは本家シャビですら活躍するのが難しいチームだと思います。そういう状況下でも生き残るためにもがいた彼の姿は忘れません。

僕はブログで考察記事なるものを更新し続けています。その多くは選手1人にフィーチャーした記事になっています。その中で、アルトゥールの記事は3記事書いてきました。これは全選手の中で当然最多です。それくらい僕の中では思い入れのあるプレーヤーでした。今はただただ寂しいです。正直、来季アルトゥールがチームにいないのが信じられません。

アルトゥールはとりあえず今季終了まではバルサに残るようです。彼はTwitterでも最後まで戦いと明言しました。このような扱いを受けてもなお、チームに尽くす彼になんと声をかけたらいいのでしょうか。立派な選手です。このような選手がバルサに来てくれたことを誇りに思います。

 

アルトゥール、2年間本当にありがとうございました。残り数試合ですが、バルサに最後まで残ってくれて本当に感謝してます。そして今後のキャリアがより良いものになることを願っています。大きな夢を、未来を見せてくれて本当にありがとう。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。