はい、こんにちは!お待たせしました。グリーズマン記事後編です。
前編では、グリーズマンの現状の課題や置かれている状況について書いてきました。後編では、具体的にグリーズマンをどう使うべきなのか、グリーズマンは生き残るために何をすべきなのかを考えていければいいなと思います。それでは記事に入っていきましょう。
■グリーズマンの「最適解」は?
実は、グリーズマンをバルサで活かす一番の方法は既に答えが出ています。それもシーズン序盤に。今シーズンの第2節~第4節はメッシ、スアレスの2大エースが負傷により、不在(厳密に言えばスアレスはバレンシア戦の途中から復帰)。チームの命運はいきなり新加入のグリーズマンに託されることになりました。
グリーズマンはこの3試合でCFの位置で起用されました。両翼にはペレス、アンス、ラフィーニャといったカンテラーノが配置され、幅取り役。インテリオールは高い位置をキープし、グリースマンと近い位置でプレーしていました。
このメンバーの中でグリーズマンは水を得た魚のように躍動。上下左右に動き回り、ボールを受け1タッチないしは2タッチで繋ぎリズムを作ります。それに呼応するように、フレンキ―、ラフィーニャ、ペレス、アルバも連動して動き回り、ポジションを変えて相手DFに的を絞らせません。まさに「人もボールも動くサッカー」と呼んでいいでしょう。
そして、このチームの強みだったのは、全員がハードワークを怠らなかったこと。ポジションチェンジで誰がどこにいても、奪われれば即座に奪い返しにいくことができていました。勿論、ネガティブ・トランジションの先鋒になったのはグリーズマン。最前線の選手が本気でボールを奪いに行くことで周りの守備も機能します。
これがバルサらしいサッカーかと言われれば、違う部分もあるかと思いますが、個人的に今季チーム全体を観ていて一番面白かったのはこの時期でした。 そしてグリーズマンにとってもこのやり方が一番合っていたと思います。
事実チームはこの3試合で12ゴールを記録(4節途中出場のスアレスの2ゴールを抜いても10ゴール)しました。メッシ、スアレス抜きのバルサがここまで点を取れるとは思ってなかったのでびっくりましましたね。
■それでもバルサの王は
じゃあこれでいいじゃん!って思われるかもしれませんが、残念ながらこれがバルサで基本線になることはないでしょう。前編からの繰り返しになりますが、バルサの中心は絶対メッシ。これは彼がチームにいる限り、不変でしょう。グリーズマンが躍動した第2~4節はメッシがいなかったからこそ、実現したサッカーだと僕は思っています。
セティエンが就任したタイミングでスアレスは手術を受けたため、まだセティエン政権での先発は昨日のセビージャ戦の1試合のみ。ということで前線の構成はメッシ右、グリーズマン真ん中(逆のケースもありましたが)になることが多かったですね。
メッシが自由に動かす分、CFの選手はCBを引き付ける役割を求められます。CBにメッシ狩りに参加させないことは重要な要素ですよね。もし、グリーズマンもメッシと同じように自由に動き回れば、チームのバランスと配置が壊れてしまいかねませんから、セティエンはグリーズマンにある程度ポジションを固定するように求めている気がします。
セティエンが就任した時、僕の1番の懸念がグリーズマンとセティエンの思想とはマッチするのだろうかということでした。バルベルデ時代と比べて、カウンターを仕掛けるシーンが激減しましたし、ボール保持率が高まれば高まるほどグリーズマンが使えるスペースは狭くなっていくジレンマは見て取れるところではあります。
純粋なストライカーとしてのタスクはグリーズマンが得意とするところではありません。ボールに中々絡めませんし、CBを背負ったプレーは得意とするところではないでしょう。ちなみに先述のベティス戦ではグリーズマンはフル出場で83回のボールタッチを記録、それに対して再開初戦のマジョルカ戦では56分間のプレーで僅か23タッチ。殆どボールに絡めない試合でしたね。
同じポジションで起用されているにも関わらず、これだけボールタッチに差が出るのはやはり苦しいと思います。ボールに触らないと中々リズムが出ない選手でしょうし、チームの中心たるメッシとのリンクもまだまだ。
おそらくコウチーニョ中心のチームにすればバルサでもそれなりに活躍できると思います。しかし、現実的にバルサでは創出した時間もスペースも全てメッシのためにあります。コウチーニョが王様になりたいのであれば、メッシに匹敵する結果を残さなければなりません。現に、リーガ第35節のレバンテ戦はメッシがスタメン落ち。コウチーニョは攻撃の中心として躍動し、前半だけで6本ものシュートを浴びせたものの、結果は0ゴール0アシスト。コウチーニョのやりたいプレーが優先されることはこの先も恐らくないでしょう…。
これはコウチーニョの時も書いたのですが、バルサでアタッカーが活躍する道は2つ。「自分のプレーをしてメッシ以上の結果を残す」もしくは「バルサの環境に順応する」の2つですね。前者は世界中の誰が加入しても不可能です。メッシ以上に結果を残せる選手など存在しません。グリーズマンは後者を突き詰めるしかないのです。
■生き残るためには
「打つな、ビニー!打つんじゃない!」
これはマンチェスター・シティのセルヒオ・アグエロが、 シティのキャプテンに向けて試合中に放った言葉。昨シーズンのプレミアリーグ第37節、レスターとの一戦で劇的なミドルシュートをヴィンセント・コンパニが決める直前のシーンです。このゴールがシティを18-19シーズンのプレミア王者に導いたのです。
これは昨シーズンのシティでめちゃくちゃ好きなエピソードの1つです。シュートはやっぱり撃ってなんぼです。撃たなきゃ入りません。ちょっと前にバルサの中盤に関する記事を出しました。これは本当にバルサにとって大きな課題だと思います。
同じことがグリーズマンにも言えます。正直、29歳のグリーズマンがここからドリブルで相手を置き去りにできる選手になるとも、屈強なCBとの競り合いに勝てるようになるとも思えません。だからこそ、求められていることと、できることをこなしていくしか道はありません。
本来グリーズマンに期待されたのは「左サイドでしっかりと守備タスクをこなしながら、3人目のアタッカーとして勝負所で結果を残す」であったはずです。グリーズマンが生き残るにはひたすらハードワークをして、ひたすら得点を狙い続けるしか道はありません。
だからこそ、僕はグリーズマンにもっとシュートを撃って欲しい。昨日のセビージャ戦終盤にグリーズマンにはゴール前でシュートチャンスがありました。しかし、グリーズマンはメッシへのパスを選択。チャンスを潰してしまいました。グリーズマンの気持ちは分かります。しかし、あそこで決め切る力を持っているのがグリーズマンだと僕は思うのです。
メッシに合わせることとメッシに遠慮してシュートを打たないことは全く違います。フィニッシュの部分こそグリーズマンがバルサで最も個性を発揮すべきところなのですから。グリーズマンの今季の1試合あたりのシュート数は1.7本。これは昨シーズンのコウチーニョよりも低い数値です。
なので、「打て、グリーズマン!打つんだ!」って僕はずっと試合中思ってます笑。左サイドから斜めにダッグインする動きに磨きをかけ、よりゴールを脅かすプレーを意識すべきです。どんな形でもゴールさえ奪って、今までと同じような非保持時の貢献があればそれで十分です。
残り試合は、リーグ戦9試合+CLです。グリーズマンが来季も生き残りたいのであれば、自分のスタイルを捨て、貪欲にゴールを狙うハンターになるしか道はありません。苦しい状況を覚悟してバルサに来たはずです。彼に残された時間はそこまで長くはありません。
最後は戦術も分析も減ったくれもない精神論で終わってしまいましたが、グリーズマンに必要なのはそういう姿勢なのかなと思います。前編でも言った通り、グリーズマンは大好きな選手なので、自信を持ってプレーしてくれたら嬉しいです。頑張れ、グリーズマン!コメントお待ちしてます!
最後までお読みいただきありがとうございます。