Hikotaのバルサ考察ブログ

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【マッチレビュー】19-20 ラ・リーガ第32節 セルタ対バルセロナ

はい、こんにちは!早いもので今季のリーガも残り7試合となりました。前節、辛くもビルバオを1-0で下したバルサは今節セルタとアウェイで対戦します。首位レアルマドリーにプレッシャーをかけ続けるために一歩引けない日々が続きますね。次節はアトレティコとの決戦なので、何としても勝ち点3をもぎ取って欲しいところ。

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目下残留争い中のセルタは再開後2勝1分1敗と残留に向けて好調なスタートを切っています。特に前々節はアラベス相手に6-0での大勝、前節は上位のレアル・ソシエダ相手に1-0でしっかりと勝ち切っています。降格圏の18位マジョルカとの勝ち点差は7。有利なポジションにつけているとはいえ、早めに残留を確定させたいところでしょう。

 

■スタメン

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セルタは前節ソシエダ戦から6人先発を入れ替えてきました。絶好調のラフィーニャはベンチスタートとなり、5-3-2の陣形を組みます。左WBは今日がデビュー戦のBチーム所属のハコボが起用されました。かなり大胆な変更ですが、これは次節残留争いの直接のライバルであるマジョルカとの決戦が控えているためでしょうかね。

アウェイのバルサは、前節ビルバオ戦から4人の先発が変更。出場停止のブスケツのアンカーにはラキティッチが起用されます。CBはピケとウムティティがコンビを組みます。特筆すべきは左サイド。インテリオールにリキ・プッチ、ウイングにアンス・ファティが先発で同時起用されます。カンテラーノ2人が先発でどのように共鳴するか楽しみですね。

 

■前半

セルタの意図

まずはお馴染みのセルタの守備意図からいきましょう。

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バルサボール保持時

噛み合わせは大体このような感じに。2トップのスモロフとアスパスはそこまでプレッシャーをかけるわけではなく、ラキティッチのラインからプレスをかけることが多かったですね。両WBも前に出てボールを奪いにいくよりもDFラインを形成することに重きを置いていました。

中盤はバルサの中盤3人をそのまま監視。アンカーのオカイがラキティッチにプレッシャーをかけ、デニス・スアレスブライス・メンデスはバルサのインテリオールをチェックします。ただ、デニスもメンデスも守備範囲が広い選手ではないので、少々この配置には無理があるような気はしました。

セルタの大きな狙いは残った2トップを活かしたロングカウンター。ポゼッションでバルサに押し込まれる分、前方にはスペースが広がります。空中戦に強いスモロフと裏を突くのが上手いアスパスのコンビで積極的に裏のスペースを突こうという狙いは感じましたね。中盤の3人は結構大変だけど、その分2トップにすることでカウンターの威力は増しますね。

ボールを奪った後は、ポゼッションをするというよりは早めに前線へパスを供給し、バルサの守備が整う前に攻め切ってしまおうといったところでしょう。この試合ではセルタがボールをじっくり回してというシーンはそこまで見られなかったです。

偏る攻撃

さて、バルサの方は前節ビルバオ戦で出た課題をどう活かしたでしょうか。前半はボール保持率が79%を記録するなど、圧倒的にセルタを押し込んだプレーが目立ちました。しかし、前半は10本のシュートを放つも、枠内シュートはスアレスの得点の1本のみ。ビッグチャンスはポゼッションの割には作れていませんでした。

やはり気になるのはバルサの右サイド。

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右サイドに注目してください

この試合はカンテラーノのリキが左インテリオールに入ったことで、自然とボールは左サイドに集まることになります。ビルドアップの局面では、右大外に張ることの多いメッシですが、崩しの局面ではやはり左サイドのトライアングルと連動したいのか内側へ入ることが多いですね。リキとメッシは相性良さそうな感じはします。

ビダルセカンドストライカーとしてタスクを完遂する傾向が強いので、したがってやはりセメドが大外で孤立するシーンが目立ちました。別に孤立することが悪いわけではありません。チームとして左サイドで密集を作り、オープンスペースでスピードのあるセメドと相手SBの1on1を意図的に創出するのは面白そうですよね。

ただ、チームとしてそこまでの意図は感じませんし、「結果的」に孤立していることが多いのは少し残念なところ。セメド自身のパフォーマンスは悪くないのですが、周囲との連動感はもう少し欲しいところ。彼が悪いというよりはメカニズムの問題な気はします。単発的に良い突破やラインブレイクはあったものの、あくまで単発でした。

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 ということでこの試合の崩しも左サイドから中央に偏りました。セルタは中盤3枚で、しかも守備的な人選ではなかったわけですから、もっと両サイドを広く使い、中盤の選手たちを疲弊させるべきでした。スライドが追い付かなくなり、疲弊した中盤を助けるために2トップのどちらかが下がってくれば、カウンターの威力は半減します。見かねてCBが前に出てくればギャップを突くことができます。

前半のバルサはボールは圧倒的に保持していたものの、セルタを追い込むことはできなかったわけです。カウンターも何度か食らいましたし、メンバーをかなり落としたセルタに対して、この支配率でセットプレーでの1点はちょっと寂しいですね。先制点のトリックプレーは見事だったけども。

 

■後半

看過できないネガティブ・トランジション

後半からの交代はなし。セルタは前半の失点後からかなり前に出て守備をするようになりましたね。そして後半開始から5分経過でセルタが同点に追い付きます。ラキティッチの低い位置での横パスをカットすると、すぐさま裏へボールを配給。最後はスモロフが押し込みました。

この失点に関してはラキティッチパスミスが痛恨でしたね。1試合を通してのパフォーマンスは傑出していただけに、残念でした。ブスケツが不在の試合でラキティッチがアンカーを務めてくれるのはありがたいです。このミスで評価が下がらないといいのですが。

まあこの失点はともかく、この試合のバルサが露呈したのはバルサのカウンター耐性の弱さ。

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配置が崩れがちなバルサ

バルサの特徴としてボール保持時の配置が左右非対称になることが挙げられます。しかも、この試合はビダルが前線に顔を出す機会が多く、リキも前線からの守備を好むタイプではあるので、かなり後ろのバランスが危うい場面がありました。ラキティッチがスライディングでカバーすることもありましたが、それも限界があります。

特に苦しんだのはイアゴ・アスパスと対面のウムティティ。守備が薄い中で、裏を取られ続けました。彼個人の問題も大いにありますが、ネガティブ・トランジションの設計がチームとして甘いのは要因として見逃せません。

課題は配置だけではありません。このチームは、目の前のボールを持った相手に対する切り替えは比較的に速いのですが、それ以外のトランジション、例えば内側に絞ったりプレスバックはサボりがちなんですよね。ということでセルタの2トップによるカウンターは脅威を増しました。

そして気になったのはもう1つ。それはボール非保持時のリキの挙動です。リキは前線からの守備が得意で、この試合もかなり前線からプレッシャーに行っていました。しかし、そこに連動感があったかと言えば、答えはNO。撤退守備に慣れたバルサトップチームの選手たちとは上手く呼吸が合いませんでした。

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過去記事より

リキのボール奪取能力を活かすのであればこのような可変の仕方がベターです。リキがCFと同じラインまで上がり、WGが下がる形で4-4-2を形成するのです。しかし、メッシ・スアレスがいる限りこの可変はほとんど不可能です。メッシが相手の左SBを追いかけて下がることは殆どありませんから。

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メッシ・スアレスがいるときは

なので、メッシスアレスを同時起用する際はやはりこのような可変になるのがスタンダードでしょう。だからセティエンがやるべきだったのは、リキを起用する前提であれば、メッシかスアレスどちらかをベンチスタートにする。もしくは、リキにボール非保持時の左ボランチとしてのタスクを与えるかどちらかでした。そのどちらもやってこなかったのは違和感がありましたね。

そのため、ラキティッチの周囲には広大なスペースが出来てしまいました。そこを突かれそうになった場面も何度か。もし僕なら、メッシかスアレスをスタメンから外し、右サイドにグリーズマンを配置。4-1-4-1もしくは4-4-2(リキ1枚上げ)で守備を構築します。ロジカルに考えれば、これが正解に近いような気がするのですが、まあメッシスアレスを外すのは難しいですよね。

ボール保持時には大きなインパクトを残したリキですが、ボール非保持時の彼の挙動は彼としてもチームとしても整理する必要がありそうです。逆にそこがクリアになれば一気に定位置確保が近づきそうな感じのパフォーマンスではありました。

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ラフィーニャ・・・

試合としては、67分にスアレスのゴラッソで勝ち越し。これはすごいゴールでしたね。しかし、その後はセルタの猛攻を受けます。セルタは矢継ぎ早に主力選手を投入して、バルサゴールに襲い掛かります。

特に輝いたのが61分に投入されたラフィーニャ。得意の剥がすドリブルと左利き特有のリズムでバルサの守備陣形の拙さを浮き彫りにしました。バルサの単発なプレスでは、彼を掴まえることはできません。改めて惜しい選手です。特に今季頭の3試合ではバルサの中でも輝いていただけに。

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本格的に逃げ切りを考えなければならない時間帯の85分。ラフィーニャが再びドリブルで仕掛け、ピケが倒してペナルティーエリア付近で直接FKを獲得。これをアスパスが巧みなキックで決め、同点弾。このFKにはテア・シュテーゲンも一歩も動けず。グリーズマンの壁が議論を呼んでいますが、まあこれはアスパスが見事でしたね。

そして、この後あわや逆転弾というシーンも作られたバルサ。適当なピケパワープレーも実らず、タイムアップ。ギリギリで勝ち点1を拾う結果に終わりました。

 

■まとめ

前半が全てでしたね。セルタが攻勢を強める前に試合を殺せなかったのが痛かったです。この試合は18本のシュートを放ちましたが、枠内シュートはわずか2本。この枠内シュート2本がゴールに結びついたわけなので、チャンス自体少なかったですよね。やはり崩しの局面は課題ですね。これは前回の考察記事で扱った通りです。

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そして、記事内で触れた通り、リキが入った時のボール非保持時の設計にも課題が見えました。ここはしっかりと考えていなかったのは、セティエンはちょっと軽率な気はしました。これだけ守備面でバランスを崩すのであれば、やはり前半で複数得点が欲しかったところです。

セルタは素晴らしかったですね。メンバーを見たとき、この試合はある程度捨てたのかな?と思ってしまってすみませんでした笑。残留に向けてこの勝ち点1は精神的にも大きいのではないでしょうか。

さて、次は大一番のアトレティコ戦。ここを落とすと本当にあとがなくなりそうですね。個人的にはこの試合でセティエンの命運は決まると思います。頑張って欲しいものです。

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