Hikotaのバルサ考察ブログ

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【考察】今夏売却対象? ネルソン・セメドが絶対的な存在にならなかった理由

こんにちは!お久しぶりです。前回記事が、2週間前なので本当にお久しぶりですね笑。前回はこんな記事を書いていますので、読まれてない方は是非!

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さて、ブンデスリーガが先日いち早く開幕し、我らがリーガ・エスパニョーラの開幕も6月8日に迫っています。ようやく僕達の日常にもサッカーが戻ってきそうですね。選手の安全面には最大限気を配って欲しいですが、リーガも残り11試合。優勝争い、CL権争い、そして残留争いそれぞれ目が離せません。

それはそうとして、リーグ戦中断期はネタがないこともあって、バルサの選手たちの移籍話も過熱していましたね。まあ正直、この時期の移籍話の9割5分くらいはガセネタでしょうし、僕もあんまり報道は追わないようにしています。が、それでもやはり気になる選手の話が1つあります。何でもセメドの移籍話が進行しているとか。

僕がTwitterで信頼する方のこのツイートを見て、「え?マジで?セメドの移籍ってあり得るの?」状態です笑。で、まあ真偽はよく分かりませんが、今回はセメドについて書こうと思います。移籍の可能性は!みたいな記事は書けないので、彼のプレー面を振り返っていきたいと思います。

 

■出場機会は十分では・・・

ネルソン・セメドは2017年夏、ベンフィカからバルセロナにやってきました。彼のバルサでのデビュー戦、結構パフォーマンスが良く、ダニ・アウベスの後継者がついに!という期待感を抱いたことを覚えています。

しかし、その後はバルサ独特のプレースタイルに苦戦。入団から2年半、完全なレギュラーを奪うことはできていません。ライバルの名はセルジ・ロベルト。元々中盤の彼は2016年にSBとしてその才能を開花させました。セルジ・ロベルトは毎シーズン、中盤再転向説が出ていますが、それでも右SBのファーストチョイスはセルジ・ロベルトであり続けています。

セルジ・ロベルトとセメドのここ3シーズンのプレータイム

(リーガのみ)

ネルソン・セメド:4483分

セルジ・ロベルト:6061分

(『WhoScored』より引用)

セルジ・ロベルトは中盤起用も含む数字なので、右SBとしての出場機会は半々くらいです。まあいずれにしても、本職のセメドとしては物足りない数字ですよね。クラブがセメドを売りに出したいのであれば話は別ですが、セメド本人がこの状況に不満を抱いていても不思議ではありません。セメドが移籍を希望していても、おかしくはないですね。

 

■セメドではなくセルジ・ロベルトである理由

じゃあ、そもそもなぜセメドはレギュラーを獲るに至らなかったのでしょうか。というのが本記事のテーマになってくるわけです笑。多くの人が指摘されている通り、セメドはSBとして、多くの能力でセルジ・ロベルトを凌駕しています。

特にフィジカル面は圧倒的です。水準以上のスピード・パワーを有し、攻撃においては鋭い突破、ラインブレイクを見せ、ボール非保持時においては粘り強い対人守備を披露します。また、快足を活かしたここぞという時のカバーリングも大きな武器ですね。特に近年のバルサはCBのスピード不足が顕著ですから。

セルジ・ロベルトもフィジカル面が弱いわけではありませんが、それでもセメド相手だと劣ってしまいますね。やはりSBというポジションにおいて、フィジカル面での負荷は半端ないです。ということで、全世界の8割くらいのチームは、恐らくセルジ・ロベルトではなくセメドをファーストチョイスにするような気がします。

しかし、バルサにおいてセルジ・ロベルトが優先されている事実は、やはりバルサが特殊なチームであることの何よりの証左でしょう。ボール保持を基調とするチームスタイルから、ビルドアップの局面での貢献を大きく求められます。セメドも悪いわけではありませんが、やはりボール出しやポジショニングの部分でセルジ・ロベルトに劣ってしまうのは事実。

データとして、参考になるのかは微妙ですが、ここ3シーズンのセルジ・ロベルトとセメドの右SBとしての1試合あたりのパス本数は10本程度開きがあります(こちらも『WhoScored』より)。チームとして、セルジ・ロベルトのほうが信頼してパスを出せる選手、という印象はやはり受けてしまいますね。

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近年のバルサのボール保持時の形

近年のバルサでは、WGが内側に絞り、SBが高い位置を取って幅取りのタスクを担うことが非常に多くなっています。つまりSBがサイドのレーンを一手に担うケースが多く、そのポジショニングはチームにとって非常に重要なファクターの1つです。

セメドによく見られるのは、高い位置を取るべきところで躊躇して中途半端な位置でボールを受けたり、反対に攻めあがるタイミングが早すぎてパスコースを潰してしまうような位置取りです。このポジショニングのところはかなり苦戦しているようで、セメドのところでビルドアップが滞ってしまうケースは散見されます。そこのスムーズさはバルサにとって肝ですね。

と言っても、セメドのプレーは改善はされてきています。特にセティエンになってからは自信を持ってプレーしているように見受けられます。が、やはりここまで書いてきた要素においては依然としてセルジ・ロベルトがリードしています。セルジ・ロベルトのSBとしての素晴らしさは過去に記事を書いているので、是非ご一読ください。

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■最も重要な大エースとの関係性

そして、何より重要なのが右ウイングのメッシとの関係性です。現在のバルサの選手選考においてメッシとリンクできるか否かは大きな基準点となっています。メッシと良いフィーリングを築いた選手は重宝され、そうではない選手に出場機会を与えるのは難しい状況になってしまっています。

中でも、右SBとメッシの関係はシビアなものです。メッシは設定上は右ウイングということになっていますが、実際は殆ど右サイドにいません笑。つまり右SBとメッシの距離感は、従来の右WGとのそれとは、違ったものになっているはずです。

SB目線で言うと、自分の前方にいるWGの立ち位置を基準としてポジションを決めることは結構あると思います。メッシが真ん中にいることが多いので、SBからするとどこにポジションを取るのか難しいところなのではないでしょうか。その状況でも適切なポジションに立てるのがセルジ・ロベルトであるということでしょう。

セメドは結構デンベレとの相性が良いような印象があります。その要因の1つとしてデンベレはメッシと比べてサイドのレーン寄りにプレーするので、セメドもデンベレの位置を見ながらポジショニングを決められるというのはありそうです。もしかすると右WGがメッシでなければ、セメドももう少しやり易さはあったのかもしれませんね。

セルジ・ロベルトは自由に動き回るメッシに合わせてポジショニングとプレーを変えます。大外でもハーフスペースでも苦なくプレーすることができる選手ですから、メッシの位置、相手の位置、スペースを見ながらポジションが重ならないように上手くプレーしていますね。

これは思考の部分というよりも、長年カンテラで育ったセルジ・ロベルトの経験則による感覚に近いのかもしれませんね。彼はSBとして育ったわけではありませんが、どのポジションでもバルサアイデンティティが体現できるだけのインテリジェンスを持ちあわせているわけです。

なので、メッシは躊躇なくセルジ・ロベルトにパスを出しますし、逆にセルジ・ロベルトもメッシに躊躇なくパスを差し込むことができています。この信頼関係はセメドとメッシに欠けている要素ではありますね。

 

■まとめ

以上が僕の考えるセメドが定位置を奪えなかった理由になります。繰り返しになりますが、能力的にはセメドは非常に傑出したSBです。しかし、バルサでは、特にメッシ中心の現チームでは能力の高い選手が活きるとは限らないのが現実です。

チーム目線で言えば、セルジ・ロベルトとセメドというタイプの違うクオリティの高い選手が揃っているのは大きいです。状況によって使い分け可能ですし、同じタイプが2人いるよりもチーム作りの幅は出てきますよね。

しかし、これも前述した通り、セメドはこのような状況に心中穏やかではないでしよう。セメド個人のこれからのキャリアを考えると、常時レギュラーで出場できるチームへの移籍を検討していても不思議ではありません。

そして、バルサとしても、できれば残って欲しい選手ではあるものの、財政的にある程度の売却益が必要な状況ではあるようです。絶対的なレギュラーではないかつ市場の評価が高い選手の放出は当然に視野に入れているでしょう。

後釜を探すのは困難ですし、僕個人としても移籍はして欲しくない選手ですが、覚悟はしておいた方がいいかもしれません。いずれにしてもこの後の選手起用には注目したいですね。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。