Hikotaのバルサ考察ブログ

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【マッチレビュー】20-21 ラ・リーガ第5節 バルセロナ対セビージャ

はい、こんにちは。あっという間に10月に突入しましたね。今節はEL王者セビージャとのホームゲームに臨むバルサ。良い形で2連勝を飾っただけに、この勢いを維持したいところです。このゲームが終われば早くも代表ウィークに突入するので、いい結果で中断を迎えたいところです。

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対戦相手のセビージャも2連勝中。EL優勝は約1か月前。UEFAスーパーカップでは、バルサが惨殺されたバイエルンに善戦したようです。恐らく今最も状態の良いチームの1つではあるでしょうし、補強選手がハマれば、昨季以上の成績も見えてくるかもしれません。前回対戦は0-0のゲームでしたが、今節はスコアが動くでしょうか。

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スタメン

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ホームのバルサは、レギュラーCBのラングレが前節セルタ戦で出場停止。代わりにバルサB所属のアラウホが抜擢されます。それ以外は3試合連続同じスタメンとなっています。クーマンの現状のベストメンバーが見えてきましたね。

アウェイのセビージャは前節レバンテ戦から2人メンバー変更。ムニル、エスクデロがベンチに入り、スソが右ウイング、新加入のアクーニャが左SBに入ります。これは少々意外な人選でした。試合前にセビジスタの方とお話したのですが、彼もこの人選に驚いていました。

 

両チーム陣形・噛み合わせ

バルサボール保持時

まずはバルサのボール保持時から。この試合ではラングレが不在であり、セビージャがどのようにバルサのDFラインにプレッシャーをかけてくるのかが1つの試合の見どころでした。

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セビージャハイプレス

セビージャのハイプレスは基本的にバルサのSBのどちらか1枚をフリーにしてプレッシャーをかけるやり方でした。例えば上の画像のような陣形。CFと片方のWG(スソ)がCB2枚をチェックしています。中盤のフレンキ―、ブスケツジョルダンラキティッチの両インテリオールがマーク。空いているのは左SBのアルバのみ。

なので、バルサからするとフリーマンとなっているSBを上手く使って前進を図りたいところ。これが上手くいったのは前半10分の同点ゴール。

ネトから浮き球のパスでアルバに通すと、ハーフスペースのコウチーニョにパス。コウチーニョは右CBのクンデを一旦引っ張り出すと、外のアンスに一旦預け、ポジションを取り直します。リターンを受けるとそのタイミングで、メッシがすっと降りて顔を出します。すかさずジエゴ・カルロスが反応するも、メッシがボールを受けたときにはDFラインはバラバラ。メッシの浮き球スルーパスにアルバが反応し、最終的にはコウチーニョが押し込みました。

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メッシのスルーパス時の陣形

GKから始まった展開で、この陣形までセビージャを崩したわけですから大したものです。まずアルバにきちんとパスを通したネトは落ち着いていました。そして今のチームにはコウチーニョ、メッシと2人狭いスペースで受けるのが上手い選手がいるのが大きいですね。上手く2人でCBを引っ張り出してアルバに大きなスペースを提供しました。

ただ、この得点シーン以外それほどビルドアップは上手くいったわけでもなかったので、ここはまだ熟成が必要な気はします。この日のバルサはセビージャの守備が堅いということもあり、メッシがかなり低い位置まで下がってビルドアップに参加していることが多かったですね。

メッシが下がっても、レシーバー役ができるコウチーニョと、ストライカー役のグリーズマンがいればそれほど前線に人がいない感もないのですが。例えばこの試合の最後のメンバーだとメッシが下がったら誰が点とるの?という状態にはなってしまいます。いずれにしてもメッシが下がり過ぎる状態はチームとしては避けたいところです。

セビージャは全員のハードワークが義務付けられている上に、2CB+フェルナンドの中央のラインが鉄壁なのが特徴です。特にアンカーのフェルナンドの貢献は大きく。フィルター役をこなしながら、クンデやジエゴ・カルロスが前に出た際には素早く後方のスペースを閉じるなど、マドリ―のカゼミーロのようなタスクをこなしています。

バルサは良いところまでボールを運んでも最後の部分でこの3人を崩すには至らないという攻撃が多かったように思われます。この3人は速く、入ってくるボールにも強いので、セビージャはプレスをかけても、リトリートしても強いので隙の無いチームになりつつあります。

バルサボール非保持時

続いてはセビージャのボール保持・バルサのボール非保持時です。セビージャは昨シーズンまで在籍していた司令塔のバネガが退団。ビルドアップで大きな役割を担っていた彼の不在はセビージャにとって大きな転換点です。

昨季のセビージャはバネガ(またはオリベル)を左のハーフスペースに落とし、そこから展開(主に逆サイドのナバス・オカンポスがターゲット)していくことが多かったです。そのために中盤の3人が同サイドに寄って相手を集めて、逆サイドにスペースを作る作業は昨季よくやっていましたね。

それに対して、この試合では。

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セビージャボール保持時イメージ

見やすさ重視で一旦バルサのコマは除きました。この試合のセビージャは特定の選手にビルドアップの中心を任せるのではなく、中盤の選手が流動的に動いていました。特に特徴的だったのはアンカーのフェルナンド。2CB間に落ちることもあれば、最前線までランニングすることもあり、上下の動きが多めになっていました。それに合わせてラキティッチジョルダンもポジションレスに動き回ります。

この意図は恐らく、バルサの中盤を分断すること。

バルサの中盤は正三角形、セビージャは逆三角形の形を取ります。そのため中盤はばっちりと噛み合うようになっているのです。

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中盤の噛み合わせデフォルト

しかし、セビージャは中盤の3人が動くことでこの噛み合わせを逆手に取ります。基本的にコウチーニョ→フェルナンド、ブスケツラキティッチ、フレンキ―→ジョルダンのマークになるので、フェルナンドが上下、ラキティッチジョルダンが左右に動くことでバルサの中盤の選手の配置を動かすことができるのです。

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噛み合わせを利用した分断

このように動き回ることでバルサの中盤の配置を動かします。バルサも受け渡しできる時は受け渡ししますが、基本的にクーマンになってから人への意識は高くなっているので、自分のマークにはそのまま付いていくことが多かったですね。そのため、ブスケツとフレンキ―が前に出て、コウチーニョが下がるといったこともしばしば。

こうすることによるセビージャの狙いは中盤の選手がボールを受けることではなく、最前線のルーク・デ・ヨングへのパスコースを確保すること。バルサの中盤の配置を崩すことで、CBと中盤の間にスペースを作り、L・デ・ヨングのプレーエリアを確保。彼に素早く縦パスを入れることで前進を図りました。

L・デ・ヨングと言えば、空中戦の強さが有名ですが、相手を背負ったポストプレーも巧みです。身体も大きいので、ピケやアラウホに先んじられることなくボールをキープし、レイオフ(落とし)でセビージャのビルドアップの要所となりました。ルーク・デ・ヨングポストプレーアイソレーション戦術はシンプルですが効果はてきめん。このパターンでセビージャはいくつかチャンスを作りました。

このロペテギの微調整は見事ですね。チームの大枠は変えていないながら、選手の変化に合わせて対応してきた印象です。ただ、セビージャのプレーは見事だったものの、バルサも昨季に比べると守備はかなりよくなってはいるので、致命傷とまではなりませんでしたね。バルサの守備についても書こうと思いましたが、この時点で3000文字を越えてしまっているので、またの機会に笑。

 

試合雑感

結果は1-1でしたが、面白い試合でした。両者ともやりたいことが見えましたし、好ゲームだったと思います。

セットプレーで先制したところまではセビージャのプラン通りだったと思いますが(相変わらずバルサショートコーナーへの対応が遅い!)、そのあとのキックオフ直後の流れで同点に持ち込んだバルサも見事でした。先述しましたが、あの崩しはお手本だったので、皆さん是非ハイライトでもう一度見てください!笑

前半のシュート数は6本対7本、ポゼッションは48%対52%とややセビージャが優勢でした。セビージャがボールを支配する時間帯も意外と長かったですね。ただ、バルサとしてもセビージャのポゼッションには比較的上手く対応できていたと思います。怖かったのは主に速攻の部分で、そこも先述した通りルーク・デ・ヨングポストプレーが光った印象です。

バルサも良い形の攻撃は何度かあったものの、グリーズマンやアンスが決め切れずといったところ。まあアンスはまだ若いですし、2試合連続ゴール中だったことを考えるとまあそういう日もあるよね感もありますが、グリーズマンは割と正念場です。メッシが下がって受けることが多いこのシステムで、得点を奪わなければならないのはグリーズマンです。

この試合でも2つチャンスがありましたがいずれも決められず。ハードなタスクをこなしていることは素晴らしいですし、評価に値する選手ですが、フィニッシュの部分で仕事ができなければ擁護をするのは難しいですね。あそこで決められるようになれば、自然とパスも出てくると思うのですが・・。

後半はバルサのポゼッションが高まった分、セビージャがプレスによる圧力を強めてきました。疲れの見えたオカンポス、スソを下げてエネルギー溢れるエン・ネシリとムニルの投入でバルサのDFラインにプレスをかけてロングボールを蹴らせて回収するという場面は目立ちました。

それに対してバルサはトリンコン、ペドリ、ピャニッチを投入。ジョルディ・アルバの負傷により、急遽加入したばかりのセルジーニョ・デストもデビューを飾ります。結果、このような布陣に。

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75分以降の布陣

変更点は青でマークしました。まあペドリやトリンコンは現時点でクーマンの中でデンベレブライスワイト、リキなんかよりも序列が上なんだろうなってことは伝わってくるのですが、議論になりそうなのがフレンキ―のトップ下起用。これはどうなんでしょうね。恐らくメッシが下がったタイミングでのストライカー役ということで起用なんですけど、あれ、このタスクってどこかで見たような…。

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まあ意図は分かるんですけど、それならここでブライスワイト試して欲しかったのが正直なところ。デパイも結局来なかったわけですし、わざわざフレンキ―にやらせなくてもって感じはします。これはクーマンがフレンキ―残したかっただけなのかなとちょっと思ってしまいました笑。

 結局のところ、両チームとも最後の決め手を欠きました。バルサは後半メンバーを変えてから明らかにトーンダウンしてしまいましたし、セビージャは試合を通じて枠内シュートがゴールになったルーク・デ・ヨングの1発のみ。

勝ち点1を分け合う形でインターナショナルウィークを迎える形となりました。

 

まとめ

勢いで勝てるほどセビージャは甘くありませんでした!笑。やはり発足したばかりのクーマンバルサと、初年度でタイトルを取って2年目を迎えたロペテギセビージャでは熟成度に差があります。

バルサのプレーに不満を持った人もいるでしょうが、どちらかと言えばまずセビージャを称えるべきかなと思います。勝ち点は失ってしまいましたが、そこまでネガティブな気持ちにはなっていません。バルサはこれからのチームです。

とはいえ、セビージャくらいのチームを相手にした場合の課題が露見してしまったのも事実。特に展開が詰まってくるとメッシが下がりすぎてしまうのはここ数年の大きな課題です。そこはチーム内で1つ整理するべきところなのかなと思います。

さて、3試合を消化したタイミングで選手たちは代表戦のため各地へ散らばります。バルサは今回結構な数の選手が招集されているので、くれぐれも負傷とウイルス感染には気をつけてもらいたいですね。話によると今節負傷したアルバはクラシコに間に合うかどうか微妙なところみたいなので…。

代表ウィークが終わればCLが開幕し、クラシコがやってきます。ここからなかなかのハードスケジュールですが、ファンにとっても楽しみな日々がまた始まった感じですね!

最後に1つ。ラキティッチのセビージャでのプレー、最高でした。次の対戦も楽しみです。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。