こんにちは!今節は開幕戦でバルサと同じく黒星を喫したベティスとの対戦になります。両者とも開幕2連敗は避けたいところなので、どのようなアプローチを取ってくるか楽しみなところです。特にベティスは監督が代わってサッカーがガラリと変わりそうですから注目していきたいところです。
■スタメン
ホームのバルセロナは前節ビルバオ戦から3人のスタメン変更。ブスケツがアンカーのポジションに戻り、フレンキ―が一つ前の左インテリオールで起用されます。メッシ、スアレス、デンベレが負傷中の3トップにはグリーズマン、ペレス、ラフィーニャが起用されます。非常にフレッシュな顔ぶれですね。
一方のベティスは4-4-1-1。昨シーズンの3-4-2-1からガラッと変わりました。昨シーズンの要の1人であったロ・チェルソはPSGに移籍してしまいましたが、今シーズンの補強の目玉であるフェキルに大きな注目が集まります。もう1人の目玉である新エースのイグレシアスは残念ながら前節負傷してしまいました。
■前半
幅を取るウイング、インテリオールは高い位置に
プレシーズンから見られた傾向ですが、今シーズンのバルサは昨シーズンと立ち位置が大きく変化しました。
こちらが昨シーズンのボール保持時の形です。両SBが高い位置を取り、ウイングはハーフスペースに陣取ります。ウイングが内側に入る分、インテリオールの2人は低めの位置を取るのが昨シーズンの特徴です。特にメッシの能力を最大限に生かすという意味では有用な戦術でしたが、その一方で中盤の選手たちが横並びになり易いという欠点がありました。
しかし今シーズンはこの各選手の立ち位置が変化しているように見受けられます。
図はほんの一例ですが、今シーズンはこのような立ち位置になっていることが多いですね。具体的に言うと、ウイングが幅を取り、インテリオールの2人が積極的に前に出るようになってきています。もちろんSBが高い位置を取り、ウイングが内側にポジションを取ることもありますが、これは歓迎すべき変化ではないでしょうか。
特に2戦連続で右インテリオールで起用されているセルジ・ロベルトは右ウイングの選手が外側に開くことで内側に生まれるスペース、具体的に言うとCBとSBの間のスペース(チャンネル)を頻繁にフリーランニングで狙っています。事実グリーズマンの得点は間のスペースに位置するセルジ・ロベルトから生まれました。ここは1つの狙いが実ったゴールでしょう。
前回の記事でセルジ・ロベルトは中盤の選手ではないのではないかという話をしましたが、このランニングは非常に有効でしたね。もう少し彼のオフの動きを活かしてあげられれば、このポジションに定着するかもしれません。ただ、普段は右のハーフスペースはメッシの聖域なので戻ってきたときには全て白紙に戻っている可能性も否定できません。
流動性の塊、グリーズマン
さて、この試合で大きな輝きを見せたのはやはりグリーズマンでしょう。特に前半の15分間は存分にその能力を見せつけてくれました。中央から左サイドにかけて幅広く動き回り、ボールを引き出す能力。さらにボールを持ちすぎることがほとんどないので、リズムを壊すことは一切ありません。
この試合ではフレンキ―、アルバとトライアングルを形成し、頻繁にポジションをシャッフルすることで的を絞らせない崩しができていました。逆にフェキルのゴールで先制されて、グリーズマンが中央からあまり動かなくなってからチームから流動性は失われましたね。
グリーズマン。
— Hikota (@BarcaHikota) 2019年8月25日
シンプルに上手いです。簡単にボールを受けてシンプルにプレーするからリズムは生まれやすい。あとは周りとの呼吸が徐々に合ってくれば。
そして何と言ってもネガトラの意識がズバ抜けて高い。チームがロストするや否や真っ先にボールに襲いかかる姿はシメオネイズム感笑
守備意識も素晴らしいです。本当に使いやすい選手だなと思います。得点以外の部分でもしっかりと仕事を果たしてくれるので、計算はしやすいですよね。この試合は最終的に2ゴール1アシストですから言うことありません。あとは本当にメッシが戻ってきて制約がかかった状態でどこまでできるのか。そこに尽きますね。
ワンチャンスを掴んだベティス、スタイル変更の是非は?
気が付いたら全然この試合の話をしていませんね笑。躍動するグリーズマン、さらに抜群の危機察知能力を武器にカウンターの芽を摘み続けるブスケツを中心に前半の15分ベティスを圧倒しましたが、ブスケツのパスミスを掻っ攫われてフェキルにリーガ初ゴールを献上してしまいます。このフィニッシュの精度の高さは素晴らしいですよね。
ベティスのルビ監督からすれば狙い通りの形だったのでしょうか。昨シーズンの後方からパスを丁寧に繋いでいくチームから、堅守速攻を意識するようなイメージのチームに変貌を遂げそうですね。この日もまずは守備から。激しくプレスをかけることもなく、後方に4-4-2のブロックを作ってガッチリ構える「普通の」バルサ対策を敷いてきましたね。
ベティスにはベティスの事情があると思うのであまり下手なことは言えませんが、リーガファンとしてはこの変化は少し寂しさを覚えてしまいます。そもそも昨シーズンの主力の大半が残っている状態なので、正直ルビ監督のやりたいことと選手たちの特性がマッチしていない感は感じる事ができました。
ということで先制後はブロックを敷いて完全に自陣に引きこもりましたが、ブロックの練度では当然前節のビルバオのほうが高いものがありました。バルサが先制後焦ってやり方を変えてしまったので上手く守れているように見えていましたが。チーム編成と戦術のズレは今シーズンの課題になってくるかもしれませんね。
■後半
バルサ怒涛のゴールラッシュ
前半の41分と、とてもいい時間に同点に追いつくことができたバルサはその勢いを後半に繋げます。バルベルデの修正もあり、後半開始からプレスをかけてマイボールを湯次ないものにして、試合を支配すると後半の5分にグリーズマンが最高のゴールを奪います。
ペナルティーエリア右でパスを受けるとインフロントで巻くようなシュートを放ち、ボールは逆サイドのサイドネットへ。グリーズマンのゴラッソでバルサが逆転に成功します。
このゴールで意気消沈してしまったベティス。この後はカンテラーノのペレス、アルバ、そしてビダルがゴールを奪ってマニータ達成。終盤にミスからロレンが一矢報いますが、試合の大勢は変わらず。バルサは16歳のアンス・ファティをプリメーラデビューさせる余裕も見せつけ、非常にポジティブな形で開幕戦のリベンジを果たしました。
試合終了。5-2バルサ勝利
— Hikota (@BarcaHikota) 2019年8月25日
・新加入グリーズマン2G1A
・カンテラーノのゴール
・16歳デビュー
・メッシスアレス抜きでマニータ
・攻守ともに一定の機能性を示す
・フレンキー、インテリオールを難なくこなす
ここまでポジティブな試合は珍しいです。開幕戦の淀んだ空気を払拭できたのではないでしょうか
カルラス・ペレスは生き残れるのか?
本当はこちらは考察記事にしようと思ったのですが、大した分量ではないのでこちらで。この試合で素晴らしいゴールを奪ったBチーム所属のカルラス・ペレスですが、彼はこの先バルサのトップチームに生き残ることはできるのでしょうか。
結論から言うと、バックアッパーとしての価値を示せば、可能性はあると思います。先述した通り、この数試合でバルベルデの頭の中にウイングを外側に配置するアイディアがあることは確認できましたので、ワイドでのプレーを好むペレスはいいオプションになるかもしれません。マルコムも放出しましたし、需要はあるかもしれません。
個人的にはそれほどクオリティの高い選手だとは思いませんが、意欲が漲っているのはグッドポイントですね。物怖じせずに、ドリブルで仕掛けシュートを放つ姿には好感が持てます。ベティス戦でも5本のシュートを放ちました。そして何よりゴールという最高の結果で自身の価値を証明したことは大きいのではないでしょうか。
サッカー界においては1つのゴールがその後のキャリアを一変させることがよくあります。ペレスにとってこの日のゴールが大きなきっかけになるといいですね。セルジ・ロベルトやアレニャがインテリオールで起用される時に是非積極的に起用してほしいなと思います。
ただ、本当にネイマールが来るのであれば、ノーチャンスでしょう。間違いなく。
■雑感
まず、勝ててよかったというゲームですかね。開幕戦でのよどんだ空気を払底することができました。特にメッシスアレスがいなくてもあれだけできたのはチームにとって大きいですよね。
今チームとバルベルデは新しいことに挑戦しようとしています。ビルバオ戦は上手くいきませんでしたが、このようなトライは歓迎したいところですね。もうバルベルデも3年目ですし、変化を加えるべきだと考えているのかもしれません。
まあそういうもんなんだろうけど、
— Hikota (@BarcaHikota) 2019年8月25日
こういうゲームして大勝しても「今日のバルベルデの采配は良かった」っていう意見はほとんどない。そればかりか「交代が遅い、無能」って叩かれる。
勝ったのは選手のおかげ、負けたら監督のせい。監督って本当損な職業だなって思う。
ただ再三申し上げているようにメッシが戻ってきたときには昨シーズンと同じような形に戻ってしまうかもしれません。いつメッシが戻ってくるかはわかりませんが・・。さらにネイマールが本当に来るのであれば、この2試合の意味はあまりなくなってしまうかもしれませんね。
最後までお読みいただきありがとうございました。