Hikotaのバルサ考察ブログ(仮)

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【考察】セティエンバルサ初の保持率50%以下 バルサはなぜリトリートをするのか?

こんにちは!先日CL再開戦を戦ったバルサですが、ナポリ相手に3-1で勝利。合計スコア4-2で無事ベスト8への進出を決めました。前半3点取って勝負ありでしたかね。セティエンになってから3得点以上はなかなかないので、爽快でした。

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しかし、後半は一転してまさかの枠内シュート0本。ナポリにボールを保持され攻め込まれる展開が続きます。この戦い方には驚いた人も多いでしょう。セティエンが就任して以降、バルサは自らボールを支配し、相手を押し込む展開が多かったからです。しかし、ナポリ戦の後半にセティエンのチームが見せた戦い方は、前任のバルベルデ監督時代を彷彿とさせるものでした。

ボールを相手に渡して自陣に引きこもる。バルサのファンが最も嫌うプレーですが、なぜバルサはボールを放棄してしまうのか。何度かブログでも言及してきましたが、今一度まとめていきたいなと思います。

 

■「繋がない」ではなく「奪えない」

そのナポリ戦の直後、敵将であるジェンナーロ・ガットゥーゾが興味深いコメントを残しています。

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発言は以下の通り。

「対バルセロナにおける最善のプレーは、ボールを保持することにほかならない。当然ながら、バルサは7~8年前のチームと同じではないんだ。バルサのプレスはあの頃とは異なり、今はプレスを熱心に行わない選手が2~3人いる」

もうこのコメントの紹介でこの記事を終えてもいいくらい、的確に今のバルサを表しています。今のバルサはボールを握る力が弱いのではなく、ボールを奪い返す力が圧倒的に不足しているのです。

サッカーが足を使って行うスポーツである以上、ミスは付き物です。たとえシャビ、イニエスタ、クロース、チアゴヴェッラッティを中盤に並べたとしても永遠にボールを持ち続けることはできません。つまりボールを持って試合をコントロールしたいチームにとって、ボールを持つ能力だけでは半分で、奪われたボールをできるだけ早く奪い返す能力があってこそ初めてそのスタイルが完成するわけです。

ペップが監督を率いていたときのバルサはボールを持つ能力と同じくらい、この奪い返す作業を重視していました。ボールを奪われるや否や、パスコースを潰してボールホルダーに襲い掛かり、ボールを奪ってまたポゼッションを始めるのです。相手からするとやっとの思いで奪い取ったボールをすぐに取り上げられるのでたまったものではありません。

グアルディオラ監督時代のFWはペドロ・ロドリゲスダビド・ビジャアレクシス・サンチェスなど前線からのチェイシングを怠らない選手たちが揃っていました。しかし、ペップ退任以降、ネイマールルイス・スアレスと世界最高レベルのアタッカーを獲得しました。彼らの獲得により3トップの破壊力は増しましたが、その分、前線からの守備の部分での貢献度は低下しました。

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そのため、バルセロナは必然的に前線からプレッシャーをかけてボールを奪いに行くのが年々難しくなり、中盤以下の選手たちは下がってスペースを埋める守備をすることを余儀なくされたわけです。

こう書くと、バルサは望んでリトリートをしたわけではない、という印象を与えてしまいそうですが、それは半分不正解です。これはルイス・エンリケ監督1シーズン目を最後にバルセロナを去ったシャビ・エルナンデスがインタビューで証言していたのですが、ルイス・エンリケは試合に臨むうえで「カウンターのためにわざと相手を自陣に誘い込んでいた」というのです。

つまり、リトリートをするのは「それでしか守りようがない」という事情と、「引くことで前線3トップのカウンターの威力を最大化する」という目的があるわけです。あれだけアンチバルサイズムだと批判されたバルベルデ時代も平均ボール保持率は60%を越えています。つまりバルサはボールを完全に捨てたわけではなく、ボールを奪い返すことができなくなっている(を放棄している)という表現の方が正しいわけです。

 

バルベルデとセティエンのアプローチ

ルイス・スアレスが加入してから早6シーズンが経ちました。加入したのは27歳の時。20代の彼は本当にエネルギッシュなプレーヤーで信じられないようなゴールを連発していました。しかし加齢と慢性的な膝の痛みにより、パフォーマンスレベルは年々低下。バルベルデが就任した2017年にスアレスは30歳を迎えたわけですが、その頃から90分通して走り回るのは難しいコンディションだったのだと思います。

しかし、依然として年間40ゴール近くに直接絡むスアレスをスタメンから外すのは難しいのです。特に彼はチームのエースのメッシとの関係が極めて密接ですから、「メッシを活かす」という意味でも代えの利かない選手ではあるわけです。ネイマールはいなくなりましたが、バルベルデはメッシとスアレスの能力を最大化するために彼らに守備の制約を与えず、4-4ブロックで守備をすることを選択しました。

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バルベルデはこの戦術でリーガを2連覇することに成功しましたが、一方でCLでは2年連続の大逆転負けを喫しました。悲願であるCLで2年連続の敗退はファンにとって受け入れられるものではなく、バルベルデに非難は集中。結果的にこのCLでの敗退が今季途中の監督交代劇に繋がったわけです。

続くセティエンはバルベルデ時代と比べると遥かにボール保持に力を入れました。ボールポゼッションは70%を超える試合も珍しくありません。ボールを持つ時間が長くなったので、相手の攻撃機会も必然的に減り、失点はかなり少なくなりました。その一方、能動的にボールを保持することで、カウンターの機会が減少。セティエンになってからの1試合平均得点は2を下回ったのです。

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セティエンはボール保持で問題が顕在化しないように気を配っていましたが、チームの核となるメンバーは変わっていないので、「ボールを奪い返す」力は低いままです。格下相手であれば、高い保持率で相手を押し込み、相手の攻撃機会を削ぐことができます(それでもカウンターには弱いけれど)。

しかし、ボール保持が上手い相手であれば、押し込まれた状態からでもボールを繋ぎながら陣地を回復することができるのです。バルサはその相手のボールを奪い返すことができないので、今度は相手のポゼッションの時間帯が続くわけです。こうなってくるとバルサは下がるしかありません。そのため、ナポリ戦はあのような守り方をせざるを得なかったのです。

 

■ポゼッションのセティエン、カウンターのメッシ

そのナポリ戦で大活躍したのはリオネル・メッシ。あまりこれは言及されていませんが、メッシはカウンター時に最も力を発揮するアタッカーです。エンリケバルベルデ時代はスペースが多分にあるカウンターからゴールを量産しました。これはドリブルを得意とするアタッカーとして当たり前ですが、メッシもスペースのある状況でのプレーを望んでいます。

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セティエンが監督になってからメッシは苦しんでいる様に見えます。その理由の1つとして、チームがスローなポゼッションを志向しているため、相手守備陣がスペースを閉じていることが多いことが挙げられます。メッシがボールを持って前を向いた時は、9人の相手選手と5人~6人の味方選手が前方にいることもしばしば。これでは打開するのも難しいでしょう。

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メッシの前のスペースが選手で埋められている

その分、アシストを増やしてしまうのがメッシの凄さなんですけど、やはりチームとしてもメッシとしても彼が低い位置でボールを受けてプレーするのはあまり好ましくありません。先日のナポリの様に前に出てきてくれる相手であれば、メッシの前方には広大なスペースが広がり、プレーはより簡単になります。

例えばナポリ戦でのメッシのスーパーゴール。あれはスペースのない状況を打開したメッシの素晴らしいゴールなのですが、これは相手ががっつりラインを下げてリトリートしてくるチームであれば、実現しなかったでしょう。ナポリ戦ではバルサの中盤の選手がリスク管理であまり前に出てこなかったので、メッシが使えるスペースが多かったのです。

となると、チームとしてはボールを持っていれば失点のリスクが減るものの、リトリートからのロングカウンターでメッシの能力を最大化したほうが得点は奪えそうというおかしな構図になっちゃっているわけです。ということで「ボール保持+リトリート」というのが今のバルサのスタンダードではあるものの、ナポリやマドリ―のようなチーム相手にはカウンターで刺すと。

 

■それでもやるしかない

ぶっちゃけこの8人で守ってメッシ・スアレスカウンター大作戦はもう底が見えています。リバプールのような完成度の高いチームと対戦すると、メッシのアドバンテージ(得点)をディスアドバンテージ(失点)が上回ってしまうのです。バルサの中盤以下の守備力は高いとは言えませんからね。

そして次のバイエルン戦も恐らくボールを保持され、自陣に押し込まれてリトリートで守る時間帯が増えるでしょう。そうなればまたしても前2シーズンと同じ轍を踏んでしまう可能性は大いにあると思います。

でも現状他にやりようがないのです。現時点でスアレスを外すのは難しいのでしょうし、メッシは尚更。あの程度の運動量で足がつってしまうスアレスに守備を求めるのは難しいのだと思います。メッシは聖域化され、フロントは現場無視で補強を繰り返す。このような状況で監督にできることは限られます。

今はグッとこらえる時です。希望があるとすれば、バイエルン戦からは90分1発勝負となります。過去2シーズンは180分での勝負に屈しましたが、90分ならどうでしょう。ローマにもリバプールにも1stレグでは3点差で勝利しています。可能性は180分のレギュレーションよりも高いはずです。

何度も書いているような気がしますが、メッシという空前絶後のプレーヤーが健在かつ今のフロントである限り、チームに多くを求めるのは難しいのだと思います。僕らが愛する本来のバルセロナの姿からは程遠いですが、それでもタイトル獲得に向けて本気で取り組む選手たちをこちらも本気で応援したいなと思います。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。