Hikotaのバルサ考察ブログ(仮)

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【マッチレビュー】19-20 ラ・リーガ第15節 アトレティコ・マドリ―対バルセロナ 前編

こんにちは!さて、やってまいりました。リーガの大一番、昨シーズンの首位と2位の決戦です。ここまでアトレティコは6勝7分1敗の勝ち点25、バルサは9勝1分3敗の勝ち点28となっています。バルサは今シーズン最多の35得点、アトレティコは最小の9失点ということで、いつものように矛のバルサと盾のアトレティコという戦いになる予想が多いですね。

しかし、必ずしもうまくいっているわけでは両チーム。アトレティコは得点力不足に苦しみ、バルサはアウェイで絶望的な弱さを露呈しています。それだけにお互いリーガの優勝レースを考える上で落としたくない一戦となりました。

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※尚、この試合の日、僕は大寝坊をし、後半25分から見たのでいつものツイートが全くありません。反省・・。

 

■スタメン

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ホームのアトレティコは定番の4-4-2。左サイドバックには本職のロディではなく、サウールが入ります。中盤はコケ、トーマス、エレーラ、コレアが並び、モラタとフェリックスが2トップを組みます。尚、ヒメネス、サビッチ、ジエゴ・コスタは負傷中です。今シーズンは4-4-2以外のシステムも採用していますが、この大一番では慣れ親しんだ4-4-2を使ってきました。

一方のバルサ。GKとDFラインはドルトムント戦と変わらず。ブスケツが出場停止の中盤のメンバー選考が注目されましたが、ラキティッチがアンカー、アルトゥールが右、フレンキ―が左という今シーズン初の配置になりました。ここの意図は考える余地がありそうです。前節デンベレが負傷した3トップはMSGが入ります。

 

■前半

前半は主にアトレティコが主導権を握る展開になりました。その要因を探っていきましょう。

アトレティコの意図

まずは守備の意図から見ていきましょう。

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アトレティコ守備

これは前半2分のシーンを切り取った図です。噛み合わせはご覧の通り。4-3-3対4-4-2なので後方で3(ピケ&ラングレ&ラキ)対2(モラタ&フェリックス)ができており、あとは基本的に噛み合わせはアトレティコ側から見ると悪くない状況になっています。

モラタとフェリックスは基本ボール非保持時はラキティッチの両脇に位置し、後方のスペースをカバーシャドーで消すorCBにプレッシャーをかけるの2択を状況に応じて選択しているようでした。恐らく、ラキティッチの両脇に両者を配置することでネガトラのショートカウンターも設計されているはずです。

プレスバックと圧縮のスピードがシメオネアトレティコの大きな特徴です。特に中盤の4人は自らの後方に対する意識が半端なく高いので、バルサスアレスやメッシに縦パスを入れようとしても素早くプレスバックを遂行するため、そこでボールを奪うか、最悪でも4-4ブロックの外側に追い出すことに成功していました。

攻撃に関してはまずカウンター狙いでしょうが、この試合に関してはバルサのネガティブ・トランジションが通常の1.5倍くらい速かったため、そこまでカウンターが成功する回数は多くなかったと思います。そこでカギとなってくるのは今シーズントライしている後方からのポジショナルな組み立てです。

後方は2CB+ダブルボランチ+コケの5人で安定させ、SBを前方に押し上げ、コレアとフェリックスが2シャドーのような形になります。ビルドアップの中心となるのはプレビュー記事にも書いた通り、トーマスとコケ、そしてこの試合では左利きのエルモソも大きな役割を担っていました。

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アトレティコのビルドアップの形

コケを最終ライン脇に落として数的優位を持って前進を試みるのは、マドリ―のクロースの使い方と近いところがあります。このコケのところを安全地帯としつつ、アンカーに入っているトーマスのダイナミックな縦パスやサイドチェンジで一気に攻撃のスイッチを入れるのが特徴です。

ピケやラングレ、セルヒオ・ラモスほどアトレティコのCBはビルドアップに積極的に関与する印象はありません。あくまでもスイッチを入れるのはコケやトーマスの役割になっています。ビルドアップの局面にCBやGKを上手く組み込めれば、大幅に改善しそうですが、そこは選手のタイプもあるので難しいのかもしれませんね。いる選手とやりたいことが噛み合わないのは過渡期あるあるです。

 (エルモソの存在は今後アトレティコの変革において重要になってくるかもです・・!)

アトレティコの主な狙いは右サイドの崩し。今シーズン、エースのモラタと抜群の連携を見せつけるアンヘル・コレアの存在、さらに新加入で適応に苦しむジュニオルがバルサの左サイドバックに入っていることからこの選択はごく自然ですかね。

ジュニオルの裏のスペースはかなりコレアやモラタの斜めのランニングで狙っている印象を受けました。コレアをチャンネル(CB-SB間のスペース)に走らせ、ラングレをつり出してモラタとピケにクロス対応勝負をさせるのは十分に可能性のあるプランだったかなと。実際はそのプレーは上手くいかなかったものの、ジュニオルのところを突いて何度かコーナーキックフリーキックを取っています。

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多分こういう意図でしたかね

前半はセットプレーから決定機を作っているだけに攻め方としてはかなり嫌なところを突いてきましたよね。一方、サウールがメッシのケアで攻め上がりをある程度自重し、コケが保持時中盤化するため、ほとんど左サイドからの崩しは見られませんでした。この攻め筋を限定する感じは本当シメオネっぽいなと笑。

アルトゥールが右サイド起用の意図は?

さて、このような明確なプランを持ってきたシメオネアトレティコに対して劣勢だったバルサ。この試合のファーストシュートはなんと26分。メッシが独力でエレーラからボールを奪ってラキティッチが決定機を迎えるも、オブラクの正面を突いたやつですね。26分までにアトレティコ放ったシュートは7本。圧倒されていますね。

一応ボールポゼッションはしているものの、前述した通り、なかなか前線の選手にボールが入らず決定的なシーンが作れません。要因は色々あると思いますが、僕が気になったのはこの試合の中盤の並びです。アンカーがフレンキーではなく、ラキティッチというのは十分理解できるのですが、問題はインテリオールの左右。

今季は右にフレンキー、左にアルトゥールが入る形がデフォルトでしたが、この試合の入りは逆でしたね。バルサの右インテリオールはメッシの存在によってタスクが難しいという話は再三このブログでしてきました。そしてやはりこのポジションの最適任者はラキティッチであると僕は思います。それはドルトムント戦で証明したのかなと。

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右インテリオールは中央のスペースを埋めながら右サイドの守備も担当するという極めて難しいタスクを負っています。特に右インテリオールの難易度は非常に高いものがあり、ラキティッチパウリーニョビダルといったおおよそ「バルサっぽくない」選手たちがこのポジションで持ち味を発揮してきました。右サイドバックは守備能力があまり高いとは言えないセルジ・ロベルトが務めることが多いので、負担は大きいポジションですね。ちなみにバルベルデが右インテリオールのほうが合っていそうなアレニャを左で使うのはこのような背景がありそうです。

ベストはラキティッチですが、フレンキーとアルトゥールどちらが右インテリオールに相応しいかと言われると、フィジカル的に無理が効くフレンキーです。なぜこの並びにしたのか確証はありませんが、可能性があるとすれば1番穴になり得るジュニオルのサポート役としてフレンキーを左に置きたかったというところでしょうか。当然、そこを狙ってくることは予測済みだったでしょうし。

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今度はバルサ視点で見てください

先ほどアトレティコの守備解説の際に、使った図ですが今度はバルサ視点でご覧ください。前半26分あたりまではこのような配置になってることが多かったです。この序盤の大きな特徴はメッシの立ち位置。この試合ではかなりサイドに張ってボールを受けるシーンが多かったように思われます。

この立ち位置になった理由で考えられるのは主に2つ。1つはアトレティコの中央の守備の堅さを嫌ってメッシが意図的に外に開いたという説。もう1つはアルトゥールが右インテリオールで起用されたという点です。皆さんも知っての通り、アルトゥールは中央でのプレーを好むのでこの試合もかなり内側でプレーする時間帯が長く、大外のレーンでボールを引き出すプレーは殆どありませんでした。

バルサの右インテリオールが難しいのはまさにここで、メッシが中央でプレーする分、サイドに流れて右SBと連携することが求められます。そして、このプレーが上手いのがラキティッチなのです。メッシが開いてボール受けられれば良くない?と思われるかもしれませんが、メッシはやはりできるだけゴールに近い位置でプレーさせたいですよね。

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参考画像(ドルトムント戦マッチレビューより)

アルトゥールがあまり柔軟にプレーしなかったことで、右サイドの連携はなかなかスムーズにいかず、アルトゥールとメッシが中央に入ってセルジ・ロベルトが孤立してしまう!というシーンも散見されました。また、ボール非保持時もかなり中央に寄ってしまっており、右インテリオールへの不慣れさを露呈しました。アトレティコが左から攻めてこなかったので大した傷にはなりませんでしたが。

さて、そんな状況を見かねて、バルサは26分にアルトゥールとフレンキ―の位置を逆にします。これ映像見返すとフレンキーがベンチ(多分バルベルデ)とコミュニケーション取って、変えてるんですよね。フレンキ―の提案だったのか、バルベルデの指示だったのかまではよく分かりませんが。ともかくこれでいつもの形に戻ったバルサは少しずつ安定を取り戻します。それでもアトレティコ優位は左程変わりませんでしたが、この変更後5本のシュートを放ちます。それまでは1本でしたので大きな進歩です笑。

フレンキーが若干右サイド寄りでプレーすることによってセルジ・ロベルトやメッシの立ち位置もはっきりし始めましたね。メッシが右サイドから「解放」されることも多くなりました。この変更は後半に効いてきます。

相変わらず拭えないビルドアップの拙さ

前半、バルサ側の決定機は2つ。前述のラキティッチとCKからのピケのヘディングシュートです。一方のアトレティコは7分のジュニオルのオウンゴール未遂と、エルモソのシュートをテアがビックセーブしたシーン、それと25分にアルトゥールが自陣近くでボールを奪われ、エレーラにフィニッシュを許したシーンでした。アトレティコの決定機はどれも入っていてもおかしくはなかったので、前半で試合が決まっていた可能性すらありました。

特に25分のエレーラのシュートは「なぜ枠を外れた?」というくらい決定的なシーンでした。アトレティコ側からすると決めておきたかったわけですが、バルサからするとかなり致命的なミスでした。なぜならこれはGKからのリスタートのボールをアルトゥールが受け取ってロストしているからです。実はこのパターンで32分にもラキティッチがボールをロストしています。そのシーンを振り返ってみましょう。

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32分のシーン

図をご覧になっていただければわかる通り、ラキティッチはモラタ・フェリックス・エレーラ・コケのスクエアの丁度真ん中でボールを引き出しました。しかし、素早い反応を見せたエレーラの襲撃に遭い、ボールをロストしてしまいました。ここでミスをしたラキティッチやアルトゥールに「この位置でミスをするなんて軽率だ!」と言って終わってしまったら面白くないので、もう少し掘り下げてみましょう。

このシーンでラキティッチからボールを奪ったのはエレーラですが、なぜダブルボランチの一角である彼がアンカーのラキティッチに躊躇なくプレッシャーをかけられたのでしょうか。後方を気にしなくていいからです。なぜ後方を気にしなくてよかったのか。バルサにそこを突こうという意識がなかったからです。

例えば、アルトゥールやグリーズマンをエレーラが空けたスペースに配置させておけば、状況は変わります。シンプルに自分の後方に選手がいれば躊躇しますし、もしこのスペースをトーマスやフェリペが埋めようとすれば他のスペースが空いてきます。特に4-4-2において、ダブルボランチが出て行ったあとのスペースは狙い目ですから。

で、このように相手の嫌な部分を突くビルドアップが出来ていることもあるのですが、散発的なので多分明確なルールがないような気がします。今シーズン色々な課題や制約があって、バルベルデは気の毒な部分もあるのですが、このビルドアップの局面はもう少し工夫があってもいいと思います。

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ビルドアップ改善案

例えば左サイドの配置をこのように変えるだけでも効果がありそうです。グリースマンを内側に入れて守備の基準点を乱し、ジュニオルを高い位置に配置します。ジュニオルの特徴として184cmの上背が挙げられます。めちゃくちゃ空中戦に強いわけではありませんが、恐らくリーガの殆どの右SBよりは身長が高いはずです。

たまにテア・シュテーゲンがボールを苦し紛れに蹴ってロストしてしまう場面が見られますが、チームとしてジュニオルの高さを活かす方針を持っていればどうでしょう。テア・シュテーゲンがボールを持ってビルドアップが詰まれば、ジュニオルへのロングボールでプレスを回避する。ここで勝てればボールを前進させることができますし、サイドにボールを蹴るので最悪競り負けてもあまり痛手にはなり辛いです。

これは別に目新しい戦術ではありません。対戦相手のアトレティコもビルドアップの局面でよく使っています。アトレティコは空中戦に強いサウールに高い位置を取らせてそこにロングボールを放り込んでよくボールを進めています。別にこれじゃなくてもいいんですが(アルバだったら使えないですし)、もう少し工夫が見られるといいなと思ってます。

 

■雑感

はい、長くなってしまったので、今回はここまでになります。後半は後編でたっぷり書きたいと思います。うーん、なかなかに濃い試合でした。前半は本当に圧倒されましたね。シュート数も11対6で完敗でしたし、アトレティコのほうがやりたいことができていたと思います。それだけに3つの決定機の内どれかは決めておきたかったところでしょう。

皆さんも知っての通り、この試合はバルサが1-0で勝利したわけですが、後半バルサはどのようにして盛り返し、修正したのかを中心に後編も厚く書いていきたいと思います。後編も是非!多分明日アップします(まだ書いてない・・・笑)。

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