Hikotaのバルサ考察ブログ

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【マッチレビュー】20-21 ラ・リーガ第1節 バルセロナ対エルチェ

前節、カディスにホームで試合終了間際に同点弾を食らい、勝ち点2を落とす失態を犯したバルサ。今節は延期されていた開幕節、ホームにエルチェを迎えての一戦となります。

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カディスと同じく昇格組であるエルチェはここまで4勝9分9敗で18位。消化は2試合少ないものの、降格圏に留まっています。この状況を受けてクラブは先日監督交代を敢行しました。かつてセルタを指揮していたエスクリバを招聘。新監督の元、残留を目指すことになりました。

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スタメン

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バルサ前節から5人の先発変更。ミンゲサ、ウムティティ、ピャニッチ、トリンコンブライスワイトがスタートで出場します。この後控えるセビージャとの2連戦に向けて少し主力を休ませてきた格好です。

一方、前節エイバルに勝利したエルチェは3人の先発変更。欠場は中盤の核であるイバン・マルコーネ。累積警告により出場停止です。これはエルチェにとって大きいですね。

 

前半

いつもとは気分を変えて違う形式のレビューといきましょう。前半トータルで2本しかシュートを放てなかったバルサ。またしても攻めあぐねる現象が起きてしまいます。

前半の立ち上がりはトリンコンへのシンプルなロングパスが目立ったバルサ。エルチェのラインはそこまで深くないので、CBのピケからトリンコンに向けた長めのフィードを使っていく姿勢を見せます。トリンコンは180cmを超える高身長のウインガーですし、意外とここは武器になりそうです。

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バルサボール保持時

エルチェの基本フォーメーションは一応5-3-2としておきますが、実際は4-4-2でアルバの上がりに合わせて右SHの立ち位置が変化する形だったかもわかりません。カディスほど露骨に引いてくることはないものの、きっちりとした5-3-2のブロックを敷きながらまずはバルサの攻撃を受ける姿勢を見せます。

バルサリンコンが積極性を見せて2本のシュートを撃ちますが、それ以外のシュートはなく、沈黙した前半となりました。

カディス戦と同じく、省エネモードだったメッシ。セビージャ戦に照準を合わせているのでしょうか、この試合の前半も必要最小限の動きに留まっている感がありました。

カディス戦のレビューでも書いた通り、このチームはメッシがポジションを離れることで、動き出すチームです。メッシが動かないとなると途端に流動性が失われてしまうのがこのチームの明確な弱みになります。

この試合で言えば、弊害が出たのは左WGのブライスワイトと右インテリオールのフレンキー。スタートポジションは違えど、彼らは実質ストライカーのタスクを負うのですが、メッシが動かないことで相手のバランスが崩れないまま、前線に張り付いてしまうことが多かったです。

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CFの位置に入るのが早い2人

分かりやすい言葉で言うと、前線に「入っていく」のではなく、「最初からいる」イメージフレンキーなんかは後方からエリア内に飛び出して行く迫力が武器なのですが、最初から前線にいるので、相手からするとマークしやすい対象になるわけです。

また彼らが早い段階で中央のCFのスペースへ入っていくため、サイドは当然手薄になり、個人もしくは2人だけの関係で崩しを余儀なくされることに。3人目の動きがないので、相手としても読みやすい攻撃になります。序盤は良かったトリンコンが徐々にトーンダウンしたのも無理もありません。

メッシが動かないなら動かないでもう少しブライスワイトやフレンキ―は一旦サイドで連携する姿勢を見せつつ、機を見て前線に飛び込むようなプレーがもう少しあってもいいのかなと思います。サイドのトライアングルが機能せず、中央寄りの配置になってしまったことで盤面が硬直してしまった感があります。

また、問題があったのはやはりプレスの局面でも感じられました。

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バルサの機能しないプレス

エルチェはアンカーが落ちて3-1-4-2のような形でビルドアップ。バルサは上図のような形で迎え撃ちます。ペドリが前に出て4-4-2のような陣形で前線から制限をかけに行くのですが、やはりプレスがハマらない感は否めません。

ルチェのビルドアップユニットは主に2CB+2ボランチ。それに対するバルサのプレス隊はメッシ、ペドリ、フレンキーの3人。しかし、数的不利な上、1枚はメッシなので必ず誰かはフリーになるので、ここで掴まえ切れず。

フレンキ―とペドリが積極的に前に出てくるので、ピャニッチ周りのスペースが空いてしまうという現象が起こります。前で奪いきれれば問題はありませんが、ファーストプレスがわりとあっさりかわされてしまうので後方で後手を踏んでしまうことが多くなってしまうのです。

インテリオールが2枚とも出てくるとそりゃあ中央は手薄になってしまうよねという感じで。シーズン序盤でやっていたようにウイングのどちらか1枚がSBへのパスコースを切りつつプレス隊に参加し、インテリオールの1枚がバランスを取る形の方がいいかもしれません。

前回対戦だとCFとのマッチアップでアラウホがほとんど相手に仕事をさせなかったので、CBのクオリティというのも重要なのですが、それ以前にプレスの連動性が全くないのは問題です。この辺のルール作りは曖昧で、どちらかというとフレンキ―やペドリが単独で出て行って奪えればまあ御の字くらいの守備は目立ちます。

 

後半

流石に前半あまりにも上手くいかなかったので、後半開始からメンバーチェンジ。ピャニッチを下げてデンベレを投入します。中盤を削ってアタッカーを入れるお馴染みの采配です。結果的にはこの交代が功を奏しました。

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4-2-3-1への変更

この交代に伴いブライスワイトをCFの位置に配置する4-2-3-1にシステムが変更になります。ペドリとフレンキーが低い位置でボランチを組む形になります。この変更のメリットは主に3つ。

1、ポスト役を明確に置き、メッシを活かす

2、ペドリ、フレンキ―を低い位置に下げ前線の停滞感を解消

3、ペドリを捌き役にすることでリズムを作る

最も顕著に効果が表れたのが1で、先制点はまさにCFの位置に入ったブライスワイトの見事なポストプレーを受けたメッシが決めたものでした。メッシ+9番の形になるとこれが使えるのが大きいですね。スアレスと比べるとブライスワイトはクオリティ的に劣ってしまいますが、下位相手の試合では依然としてこのパターンは有効です。

2に関しては配置的な要素が大きいです。前述した通り、メッシが動かなかったことで前線に停滞感が生まれたわけですが、ペドリとフレンキ―の位置を下げることでごちゃごちゃ感を解消。特にフレンキ―とペドリは攻撃的なインテリオールでイケイケどんどんになりがちなのですが、3列目に置くとちゃんと3列目仕様のプレーをしてくれます。

フレンキ―の飛び出しはわりとメッシの動きとリンクするので、メッシの状態がそれほど良くない日は無理に出て行くよりもバランスを取りながら、の方がベターなのかもしれませんね。2点目のメッシへのアシストに至ったハーフラインからの独走ドリブルは彼にしかできなかったものです。

3に関してはペドリが凄いとしか言えないのですが、3列目に置かれると捌き役としてシンプルなプレーでリズムを作りました。ぶっちゃけ現状はピャニッチよりもペドリをボランチに置いた方が機能する感すらあります。シーズン前半は「ボランチに置くには強度が低すぎる」的な意見も見られましたが、この試合も一番ボールを奪ったのは当然のようにペドリです。多分SBもお願いしたらやってくれそうですね笑。

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と、この試合の後半はかなりクーマンの采配が当たった感があります。普段はあまり上手くいかないのですが、この試合に関しては出ていたメンバーと相手、そしてメッシの状態的にはベターな選択肢だったと言えると思います。

尤も、もう少しレベルが上がった相手だと難しかったとは思いますし、そこはまだまだメッシのパフォーマンス次第なチームって感じです。メッシがセビージャ戦に照準を合わせてエネルギーをセーブしているのならいいのですが。

 

試合雑感

前半はどうなることかと思いましたが、結果的には3-0の勝利。褒められた内容の試合ではありませんが、ここまで来ると結果を出していくしかないので、勝ち点3取れてひとまずホッとしました。

ただ、守備の部分がかなり怪しいのはこの試合も変わらず。相手のクオリティに助けられて結果的に無失点という場面は多々あります。今に始まったことではありませんが、選手個々人によって守備の意図が全然違うので、そこの統一感は必要だと思います。そこはメッシが守備するしない関係なく方針の一致は必要です。

さて、次はセビージャとの2連戦が待ち構えます。リーガ、国王杯の2つのコンペティションでタイトルの可能性を残すためには2連勝が不可欠になります。ここまでセビージャには1分1敗と負け越しているので、ここで反撃といきたいところです。

セビージャのバルサ戦、CLの試合のレビューは下記リンクから!

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