Hikotaのバルサ考察ブログ

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【マッチレビュー】20-21 ラ・リーガ第24節 バルセロナ対カディス

こんにちは!ミッドウィークのPSG戦で1-4の大敗を喫したバルサは失意のままカディスとのホームゲームに臨みます。

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カディスはここまでリーガで降格圏と3ポイント差の15位。12月の対戦ではバルサ相手に勝利を収めましたが、それ以降の勝利はアラベス戦のみと停滞している感があります。特にここ4試合は各試合で3失点以上を喫するなど、守備の部分が心配されるところです。

 

スタメン

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ホームのバルサPSG戦と同じスターティングメンバーになりました。PSG戦で長期離脱から戻ってきたピケも引き続き先発としてプレーします。状態は大丈夫なのでしょうか。依然としてアラウホ、セルジ・ロベルト、アンス、コウチーニョは負傷で離脱中です。

カディスは冬にバレンシアから加入したソブリノが先発。大敗したビルバオ戦からは3人のメンバーが入れ替わっています。特にCBが2人とも代わっているのはちょっと驚きです。

 

両チーム陣形・配置・噛み合わせ

この試合ではバルサカディスを押し込んだ展開がほとんどだったので、今回はバルサの崩しの局面に絞って書いていきたいと思います。

カディスの非保持時

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カディスのリトリート

カディスはいつもの4-4-2と異なり、4-5-1の陣形でブロックを築きます。中盤のラインはペナルティーエリア手前まで下がって守る徹底ぶり。ここ数試合失点が嵩んでいるだけに、重心をガッツリ下げて迎え撃つ形になりました。

カディスからするとカンプノウですし、勝ち点1でも取れれば御の字という姿勢だったのでしょう。ちょっと下げ過ぎかなという感じもしました。ネグレドもかなり低い位置まで下がっていたので、カディスは試合を通して放ったシュートはPK含めて3本とバルサのゴールを脅かすシーンというか、バルサの陣内に侵入した回数も数えるほどでした。

前回対戦と同じく、カディスの4バックはペナルティーエリアの幅で守るのが原則で、大外の上がりにはサイドハーフがついて行くルールになっています。そのため、6バックのような形になることも珍しくなく、11人の守備意識は非常に高いものがありました。

動かないメッシ

この試合のバルサで特徴的だったのはメッシの動きの少なさ。いつもならCFの位置から列を降りたり、左右に動いたりするのが彼のプレーなのですが、この試合ではチームの布陣が4-4-2に変わるまでは殆ど中央から右のハーフスペースにプレーエリアは制限されていました。

これが疲労なのか、メンタル的なものなのか、それともクーマンの指示によるものなのかは分かりません。ともかくメッシが動かないのでいつものクーマンバルサっぽさはあまりなかったと思います。彼が動かないことで、配置はこのような感じに。

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バルサボール保持時

メッシが右寄りのポジションからあまり動かないことで、活性化したのは右サイドのトライアングル。メッシ、デンベレ、フレンキー、デストらが絡むこの関係性はこの試合で目立った部分でした。特に恩恵を受けたのが右SBのデスト。普段孤立気味の彼はこの試合の前半はかなり敵陣深くを抉るシーンが目立ちました。

しかし、それ以外の選手は、というと微妙でした。何度か書いてきましたが今のバルサは配置は左にコンビネーションでの崩しを得意とする選手たち(ペドリ、グリーズマン、アルバ)、右に個の力で打開する能力が高い選手たち(デンベレ、フレンキー、デスト)という塩梅になっています。

つまり、このチームが上手くいくのは左に「密」、右に「疎」の形。ピッチ上で最も注目を集める選手であるメッシが左にズレることで、相手の注意を逸らしたところで、手薄になったスペースをフレンキー、デンベレが強襲するのがクーマンバルサ2021Ver.の黄金パターンなわけです。

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本来のクーマンバルサ黄金パターン

メッシが自由奔放に動く分、全体的な配置のバランスは悪くなるものの、各個人の能力を最大限に引き出すという意味では同格以下の相手には機能していたやり方です。ペドリという密集地帯で難なくプレーでき、メッシとの相性が抜群であるインテリオールを左に配置することでこのシステムは完成しました。

個人的にはメッシが過度に下がらずライン間をフラフラしているのは全体的なバランスを考えると悪くないと思いますが、それだとデンベレの良さが出ないのが悩ましいところ。メッシが右寄りでプレーするとデンベレのプレーエリアが狭くなってしまうのが何点です。

クーマン(スロイデル)の今季の功績の1つとして挙げられるのが、デンベレのタスクをシンプルにし、得意なエリア(大外)でのプレーに専念できる状況を作ったことです。爆発的なスピードとドリブル突破が武器の彼ですが、狭いエリアでプレーできるだけのセンシティビティと認知力は欠けています

案の定と言うべきか、デンベレは単独突破で何度か違いは作ったものの、窮屈そうなプレーに終始。メッシが右寄りでプレーする上にデストが大外を埋めているので、「俺どこでプレーすればいいの?」的な状況に陥ってしまった感があります。

この状況で活き切らなかったのは逆サイドのグリーズマンも同じで、狭いスペースの中で苦しんでしまいました。ここ数試合で見せていたような裏のスペースをアタックする動きは、カディスがラインをガッツリ下げていたので見られず。彼もまた2ライン間でのプレーが雑で、不用意な横パスのミスでチャンスを潰してしまう場面も。

上手くいったかどうかは定かではありませんが、この試合は早めにグリーズマンデンベレの左右を入れ替えた方が良かったかもしれません。ってこれPSG戦でも同じこと書きましたね。PSG戦は守備を念頭に置いての提案だったのでまた事情は違うのですが。

気になるアルバのプレー

PSG戦から引き続き、という意味でいうと気になったのはジョルディ・アルバのランニングの少なさ。PSG戦はカウンターに備えてという意味合いだったのかもしれませんが、カディスがあそこまで引いているにも関わらず、低い位置に留まるシーンが多かったのはちょっと気になりました。

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PSG戦でも消極的だったアルバ

勿論、右サイド中心の攻めが多かったこともありますし、メッシが右でプレーする時間が長かったのも一因だと思いますが、それにしても…という印象を受けました。アルバがあまり高い位置を取らないので、左インテリオールのペドリがサイドに流れるシーンが多かったのも気になりましたね。

SBが立ち位置で上手くチームのバランスを取るのは悪いことではないものの、そのタスクは果たしてアルバにやらせるべきものなんだろうかという疑問はあります。アルバはレジスタ的な能力を持ち合わせているわけではありませんし、天才的なラインブレイクという最大の武器をチームとして活かせないのは辛いところだなと思います。この試合は左の幅をほとんど効果的に使うことができませんでした。

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シティ的な崩し

例えば引いてブロックを作る相手に対して有効なのが上図のような崩し。ラインと駆け引きをしている選手(図ではペドリ)がボールを受けに下がったタイミングで、後ろから大外の選手が僅かにできる背後のスペースを強襲する形。マンチェスター・シティが良くやっている背後の取り方なのですが、こういう動きがもう少しあるといいなと思いました。

アルバのコンディションの問題なのか、クーマンの指示なのかは分かりませんが、ちょっと元気がないのは気になります。まあ彼も30を超えていますし、今季の過密日程を考えるとコンディションが悪くなるのも無理はありませんが。ならジュニオルを…!とならないのもかなりキツいところですね。セルジ・ロベルトの不在が色々な部分に弊害をもたらしています。

配給役の不在

もう1つ気になったのは崩しの局面でバルサは相手を押し込むときに5レーンを埋めるように5トップの形になります。これはいいんですけど、この試合はメッシがそれほど下がってこないということもあって配給役がブスケツに限定されていた感がありました。

そのため、ブスケツは様々な局面に顔を出す必要があり、ちょっとタスクオーバーでしたね。リキやピャニッチを起用してブスケツと並べてボールをもっと動かすというプランもありかなと思いましたが、ペドリやフレンキ―を外すと崩しと守備が成り立たなくなってしまうのでそれも難しいところ。

ただ、この試合の感じならグリーズマンかアルバを外してリキとピャニッチのどちらかを起用して中盤の配給力を上げたかったかなと思います。そうなったらそうなったらでまた別の問題が発生するんでしょうけど…。

何だか今のバルサは融通が利かない選手というか、柔軟性に欠けた選手が多いなあと思います。そう考えるとクーマンにも同情の余地があるというかなんというか。まあ、クーマンクーマンで柔軟性のある監督とは呼べませんが…笑

 

試合雑感

残念な勝ち点1でした。追加点を奪えなかったこともそうでしたし、カディスにほとんど攻撃の機会を与えなかった中で不用意な形でPKを与えてしまったのは痛恨でした。ラングレはそろそろ「次気を付けようね」では済まされなくなるでしょうね。

PSG戦の敗戦から立ち直るためには気持ちのいい勝利が必要でしたが、却ってチームの雰囲気が下がってしまいそうな結果と試合内容に終わってしまいました。メンタル的にも体力的にもかなりバルサの選手たちは疲弊してしまっていますね。今年に入って好調だっただけにセビージャ戦とPSG戦の完敗はかなりにきつかったですね。今一度自信を取り戻す必要がありそうです。

しかし、休む間もなくカレンダーは襲い掛かってきます。ここからも週2ペースの試合が続くバルサ。次はミッドウィークにエルチェ戦。そのあとはセビージャとの2連戦が待ち受けます。恐らくエルチェ戦でローテーションをするプランだったと思いますが、このカディス戦の結果を受けてどうなりますかね。

何にしても僕達ファンは応援するしかありません。リーガもCLも国王杯ももう後がありません。リスクを恐れず、アグレッシブなチームのプレーに期待したいです。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。