こんにちは!ミッドウィークの国王杯で延長戦の末、辛くも勝利したバルサは今節昇格組のエルチェと対戦します。
バルサは今節から後半戦。第1節のエルチェ戦が未消化ですが、ここからリーガは2周目に入ることとなります。バルサはここまで18試合で10勝4分4敗。首位アトレティコとの勝ち点差は10(しかもアトレティコは1試合消化が少ない)。現実的にはCL出場権を確保することが後半戦の目標となりますかね。取りこぼさないことがとにかく重要になります。
スタメン
ホームのエルチェは前節バジャドリード戦から3人の先発変更。前節は5バックだったようですが、この試合はどう来るでしょうか。チームトップスコアラーの中盤のフィデルは負傷により欠場。なかなかFW陣のゴール数が伸びていないのが気になるところです。
メッシが出場停止のバルサは同じくメッシが不在だったスーペルコパソシエダ戦のメンバーがベースとなります。変更点はラングレ→ウムティティ。国王杯でウムティティは出場しなかったので、完全な構想外になったものと思っていましたが、この試合に先発予定だったのでしょうか。
両チーム陣形・配置・噛み合わせ
エルチェの基本フォーメーションは4-1-4-1、バルサはいつも通りの4-1-2-3で試合に臨みます。
多かったエルチェのビルドアップのミス
エルチェはしっかりと後方からショートパスでビルドアップするのが特徴です。アンカーのマルコーネを2CB間に落としてゴールキックも殆ど蹴り込まずにショートパスを繋いで前進を試みます。
しかし、エルチェのビルドアップはことごとく失敗します。前半はバルサもそれほどプレスにいかなかったものの、パスがズレてしまったり、レイオフが入れ違いになってしまうなどのミスが出て、エルチェのパスを高い位置で引っ掛けることはできていました。
SBの選手は中々高い位置を取り切れず、ゾーン2に差し掛かることところでボールを失うことが多かったです。バルサ陣内に良い形で侵入したのは数えるほど。バルサが意図したというよりはエルチェのミスのニュアンスが強いボールロストではあったと思います。
なので、バルサ側からすると高い位置でボールを奪ってショートカウンターで2、3点取るというのが楽な勝ち方でしたが、そこの精度が伴わず、「チャンスになりそうだけど最後のパスが通らない」みたいな攻撃に終始しました。全体的に足が重そうだったとはいえ、ここは非常に勿体無かったですね。
とは言ってもわりとエルチェが自陣でミスをしてくれた分、労せずにボールが手に入るので、与し易い相手ではあったのかなと思います。もっとシンプルに長いボール使ってくるチームの方が、疲労度を考慮すると嫌でしたかね。下位チームでもしっかり組み立てしてくるのは好感度は高いものの、この試合ではちょっとマイナスだったかなと思います。
CFのポジェは前線で孤立してしまうことが多く、対面のアラウホ相手に完敗でした。アラウホの守備での安定感は凄まじいものがあり、地上戦でも空中戦でも相手に後手を踏むことがありません。120分の試合を3試合連続でこなしたあとのこのパフォーマンス。素晴らしかったですね。次の国王杯では休養を・・・。
上手くいかないバルサの崩し
ボール保持時のアグレッシブな姿勢とは一転して、ボール非保持時は自陣に引きこもる選択肢をしました。つまりボール保持+リトリートがエルチェのこの試合の方針でした。ボールを奪っても低い位置からの展開になるので、バルサからするとかなりの時間エルチェ陣内でプレーできることに。
エルチェは4-5-1、または右サイドハーフのホサンがアルバについて下がる形の5-4-1で撤退。後方のスペースを消して膠着を狙う形ですね。プレスをかけるシーンもあったものの、この局面が主だったと思います。
さて、それに対してバルセロナ。この試合ではCFグリーズマン、左WGブライスワイトの配置になっていました。これは国王杯コルネジャ戦とは逆の配置となっています。コルネジャ戦であまり上手くいかなかったので、元に戻してきた格好ですね。グリーズマンの位置は本来メッシのポジションなので、まあ見劣りはしますがコンセプトはそれほど変わりません。
今年に入ってからのバルサの肝は左に密集を作り右にスペースを提供する形。左サイドのペドリ、アルバ、グリーズマン、そして落ちてくるメッシが連携で攻略を狙いつつ、右サイドはフレンキ―の飛び出しや、デンベレのドリブルで攻撃にアクセントをつける形になっています。
図は左にデンベレが入っていますが、ペドリとアルバ、メッシは抜群の連携を誇り、狭いスペースでも打開を図ることができます。そして右サイドのフレンキ―、デンベレはコンビネーションではなく、単独での局面打開を得意とする選手たちです。つまり左右のコンセプトと人選が適材適所となっており、上手く運んでいたのが2021年のバルサでした。
しかし、これはメッシの欠場で狂ってしまいます。左サイドの崩しはメッシが降りてきて初めて成立するもので、アルバ&ペドリ&ブライスワイトの結びつきでは左サイドは機能させられません。
もう少し細かく分解すると、ブライスワイトはスタートポジションは左WGですが、タスクはストライカーです。CBの背後を狙いに行くので、アルバやペドリとの物理的な距離感が出来てしまいます。まあグリーズマンが左WGでもこの現象は起こるのですが、そこにメッシが落ちてくるのでチームのバランスがいい塩梅になるわけですね。
ところがこの試合グリーズマンが落ちたのは左ではなく右サイド。気になる方は是非SofaScoreでヒートマップを確認してみてください。よって、左右の人数比は右にデンベレ、ミンゲサ、フレンキ―、グリーズマンで、左はペドリ、アルバになっていることが多かったです。
上図のイメージです。先ほども述べたように、フレンキ―やデンベレは狭いスペースをコンビネーションで崩すよりもオープンスペースでも単独突破の方が得意な選手なのです。しかしこの試合では右に人が密集し、右に人数をかけて崩しきるのがコンセプトとなってしまったバルサ。
グリーズマン、デンベレ、フレンキ―、ミンゲサの連携はお世辞にもいいとは言えず、単発的な攻撃に終わってしまうことが多かったです。このような状況だったので、バルサの攻撃はショートカウンターを除くと、デンベレが強引に突破を図るか、ミンゲサが大外からクロスを上げて跳ね返されるパターンでした
「あれ?でもこれなら左のアルバが活きるんじゃない?」って感じもするのですが、こちらもやはりメッシがいないと最大限に活きないのがジョルディ・アルバという選手。グリーズマンやフレンキ―にメッシ級のサイドチェンジを求めるのは流石に酷というもの。アルバはメッシがいないとスプリントの数も減るので、右で作って左で仕留めるのは難しい状況に。
つまり左右の配置と人数比が選手の特徴と見事に合致しなかったのがこの試合崩しが上手くいかなかった大きな要因だったのではないでしょうか。
やはりメッシの不在はこのチームにおいてあまりに大きいものがあります。スーペルコパのソシエダ戦ではビルドアップでメッシの存在の大きさを痛感しましたが、このエルチェ戦は崩しの部分で物足りなさを感じさせる試合となりました。どれだけ依存するんだって感じですが、まあ仕方ないですね笑
恐らく、後半の途中からデンベレとブライスワイトの配置を入れ替えたのはサイドのバランスを考慮したものだったのかなと思います。本来ならブライスワイトとグリーズマンを縦関係に並べる4-2-3-1のほうが機能したかもしれませんが、フレンキーとペドリのインテリオールを崩したくない感もあるので難しいところです。
幸運だったのは試合の流れの中であまり見られなかった左からのクロスが先制点に結び付いたこと。ここはそこまで再現性がある攻撃ではなかったので、本当にラッキーだったと思います。いい感じに相手のクリアがゴール方向に向かってくれましたね。ただ、あそこまでエリア内に侵入していたフレンキ―Good Jobです。
フレンキー・デヨングは直近のリーガ9試合で3ゴール3アシスト。昨季は2ゴール2アシストに留まっていたため、これは大きな変化。12月からエリア内に侵入する機会が格段に増えており、類稀なるフィジカル能力がフィニッシュの局面に活きている。どんどん得点に絡んで欲しい。
— Hikota (@BarcaHikota) 2021年1月24日
以前の記事にも書いた通り、フレンキ―がフィニッシュの局面に顔を出してきているのはいいですね。ここまで3ゴール3アシスト。最終的には10ゴール10アシスト目指して欲しいです!
試合雑感
メッシ不在の試合で苦しむのは最早デフォルトです。アンス・ファティが長期離脱中で、攻撃のコマが少ないので、仕方ない部分もありますが、万が一メッシがコロナに感染して強制的に2週間離脱になってしまったら流石にまずいなと思う試合でした。
崩しの問題は書いた通りですが、たとえ崩しが上手くいかなかったとしてもこの試合はショートカウンターのチャンスを何度か決定機に繋げられていればもっと楽に進められたと思います。疲労感もあったと思いますが、ほんの少しのズレがグリーズマンやデンベレは勿体無いですね。そこの精度をもう少し詰めれば数字はもっと出てくると思うのですが。
あんまりエルチェに点を取られるような展開ではない中で、後半にDFラインの連携ミスから訪れた決定機を難なく防いだテア・シュテーゲンは褒めなければなりません。何かの記事でも書いた気がしますが、彼は1対1の対応が抜群に上手く、ギリギリまで身体を倒さない体幹の強さが光ったセーブでした。
そして最後のリキのヘディングでのゴール。今季苦しみ続けたカンテラーノのプリメーラ初ゴールは熱いですね。僕は出場機会がないならレンタルで出るべきだと思っている派の人間ですが、このゴールが反撃の狼煙になってくれたら嬉しいですね。
ただ、フレンキーとペドリが圧倒的なので今の段階では定位置確保は難しいと思います。それでも彼はバルサで戦い続けることを選ぶのでしょう。与えられるチャンスはこれからも多くないと思いますが、頑張って欲しいですね。彼を戦力に数えることができればペドリの負担は減るはずです。
さて、次は中2日を空けての国王杯ラージョ戦になります。2部相手の試合になりますが、コルネジャ戦を見る限り全く油断はなりませんね笑
ただ、ここで流石に何人かの選手を休ませないと後が辛いです。2月はPSGとの試合もありますし、リーグ戦に余裕は一切ないので、ここでローテしないでいつする?くらいの機会だと思います。少なくとも連続出場が続くアラウホ、ペドリ、グリーズマン、デンベレの4人は何としても休ませなければなりません。
次戦はメッシが出場停止から帰ってくるので何とかしてくれるでしよう笑
最後までお読みいただきありがとうございます。