Hikotaのバルサ考察ブログ

主にFCバルセロナが好きです。他サポの方大歓迎です

【マッチレビュー】20-21 ラ・リーガ第13節 バルセロナ対レバンテ

こんにちは。カディス戦、ユベントス戦と敗北を喫し、連敗中のバルサは今季下位に沈むレバンテとのホームゲームに挑みます。

www.footballhikota.com

レバンテも非常に難しいシーズンを送っていますが、バルサとの勝ち点差は僅かに3。消化が2試合少ないとはいえ、よっぽどバルサの方が沼にハマっている感があります。さらにレバンテは前節ヘタフェ相手に3-0で勝利を収めており、勢いはレバンテにありそうです。

  

スタメン

f:id:hikotafootball:20201214051430p:plain

ホームのバルサユベントス戦から3人のスタメン変更。ブスケツコウチーニョブライスワイトがスタメンに戻ってきました。ブスケツはこの試合がバルセロナでの公式戦593試合目の出場となり、レジェンドのカルレス・プジョルの記録に並びました。依然として、ピケ、セルジ・ロベルト、アンス、デンベレは負傷で欠場となります。

アウェイのレバンテは前節ヘタフェ戦からの先発変更は1人のみ。アタッカーのロチーナがベンチに下がり、代わりに今季から加入のマルサが起用されます。バルサ相手ということで守備を意識した人選になっているのかもしれません。また、攻撃の要であるカンパーニャとバルディは負傷により欠場しています

 

両チーム陣形・配置・噛み合わせ

4-1-2-3の導入、しかし・・・

当然、カンプノウでのゲームということでバルサがボールを持つ展開になりますが、この試合のトピックとしてはクーマンの4-1-2-3導入です。いや、結局やるんかい!と突っ込んでしまいました笑。流石に勝てていないので、何かしらテコ入れしようという意図でしょうか。

いつもと違い、フレンキ―が右に出て、コウチーニョが左インテリオールを務め、ブスケツはアンカーに入ります。

f:id:hikotafootball:20201214071725p:plain

バルサボール保持時

ご覧の様にこの試合のバルサビルドアップ時にブスケツが2CB間に入ることが多く、これはクーマンの4-2-3-1では見られない挙動です。2人のSBは高い位置を取ります。メッシはCFの位置がスタートポジションですが、いつものように自由に下がってボールを受けに行きます。その動きに連動してコウチーニョやフレンキ―が前に出たり、ブライスワイト・グリーズマンが内側に入ったりします

一方のレバンテはいつも通りの4-4-2で応戦。3ライン間をコンパクトに保ちながら、内側を締める守備に徹していました。前から奪いに行くシーンもありましたが、基本的にはラインを下げてブロックを作ってスペースを消してきましたね。2CFをかなり下がって守備に参加していましたし、今季のバルサ対策の王道をやってきた感じです。

ただ、レバンテは今季バルサが勝ち点を落としたカディスアラベスと違って守勢に回って良さが出るチームではありません。前半の前半には決定機を2回作ったレバンテですが、徐々にトーンダウンした感は否めません。後半はシュート2本に終わっていますし。押し込まれて守備をしながらも、カウンターでエネルギーを発揮するのはどのチームでもできることではありません。

そんなレバンテ相手に一刻も早く先制したかったバルサですが、またしても崩しが上手くいきません。中央のルートは当然4-4ブロックが警戒しています。サイドからの突破を図りたいところですが、右サイドはデストがいつものように孤立無援状態。左サイドはコウチーニョ、アルバ、ブライスワイトと人はいるもののこのトライアングルが有機的に絡みあっている印象はありませんでした。

崩しが上手くいかないので、コウチーニョもフレンキ―もどんどん前に行きます。インテリオールもSBも前に出て行ってしまうので、結局チームの配置のバランスは悪くなり、ブスケツの周りには大量のスペースが発生します。4-1-2-3で中盤のプレーヤーを増やしたはずなのにかえって前がかりになり過ぎている印象はありました。

f:id:hikotafootball:20201214074115p:plain

前がかりな4-1-2-3

痛いのはウイングの不在。ワイドのレーンで違いを作れるアンスとデンベレの不在はバルサに暗い影を落としています。ブライスワイトにしてもグリーズマンにしても中央のプレーヤーですからどうしても立ち位置は内側になり、攻め筋は真ん中に収斂していきます。そうなってくるとレバンテの守備陣も読みやすいというもの。

コウチーニョはインテリオールで起用できない選手であることは一昨季のバルベルデの実験の失敗で実証されています。彼をインテリオールで使うならペドリやリキ、アレニャの方が適任だったと思いますが、コウチーニョユベントス戦で出場機会がありませんでしたから、使わないわけにはいかなかったのでしょう。

www.footballhikota.com

バルサのボール非保持時

ミッドウィークのユベントス戦のレビューで書いた通り、バルサのボール非保持時の問題は深刻です。詳しくはこちらを読んで欲しいのですが、端的に言ってしまうとダブルボランチが人に釣られて出て行ってしまい、CBの前のスペースが空いてしまう現象です。

www.footballhikota.com

流石にそれはまずいだろうということで、4-1-2-3にした方がいいんじゃね?というのは色んな方が意見として挙げていました。中盤を厚くして、フィルター役(アンカー)を1枚付ければ状況はマシになりそうですよね。

そして、クーマンはこの試合でちゃんとアンカーシステムを採用してきました。「流石にクーマンもこの守備の問題は看過できなかったか」的なことを試合序盤は思っていました。ええ、序盤は。

f:id:hikotafootball:20201214080754p:plain

バルサボール非保持時

レバンテのボール保持時の特徴の1つが、サイドハーフがハーフスペースでプレーすること。ボール保持時は4-2-2-2のような形になるのです。本来であれば、SBが高い位置を取りますが、この試合はバルサ相手ということもあってそれほどリスクを冒した位置取りにはなっていませんでした。

さて、そんなレバンテに対してのバルサの守備ですが、残念ながら結局いつもと変わり映えのないものでした。バルサのインテリオールの2人は高い位置から積極的にレバンテのボランチにアプローチをかけに行きました。レバンテのCBにプレッシャーがかかっていないにも関わらず、です。

メッシが2CBと対峙する形になるのですが、当然メッシは2CBを追い回すことはしないので、結果として必ずレバンテの後方ユニットにフリーでボールを持てる選手が出来てしまいます。そしてインテリオール2人が後ろを顧みず、ボールを取りに行くので、ブスケツの脇のスペースがびっくりするくらいスカスカになってしまいます。

前述の通り、レバンテはハーフスペースでサイドハーフがボールを受けるので、ブスケツの脇は使い放題。レバンテは2トップなので、2CBはブスケツの脇のスペースを潰しに行けず。2トップに4バックが足止めされるような格好になってしました。例えば、SBが絞ってCBが前に出て行く的なメカニズムがあればいいのですが、今のバルサには存在しません。

この脇のスペースを突かれて2度ほどレバンテに決定機を許してしまいました。残念ながら、この4-1-2-3の守備面の効能はアンカーが1枚いるだけ多少マシになった程度のものでした。結局課題は4-2-3-1の時と別に変わらないという。まあ人が変わってませんし・・。

インテリオールの2人だけなぜかハイプレスの態勢でそれ以外の選手は構えているようなイメージに近いです。それでボールが奪えるほどリーガのチームは甘くありません。前から奪いに行きたいのであれば、メッシにもっと守備をさせなければなりませんし、それが叶わないならもっとスペースを守る守備を中盤の選手にさせるべきです。

クーマンはこの守備の設計が甘々なんですよね。メッシを擁するチームを率いる覚悟も、メッシを御する度量も今のところ感じられないと言わざるを得ません。

後半からは4-2-3-1

上手くいかなかった前半から、クーマンは選手を代えず、システムを4-2-3-1にシフトブライスワイトをCF、メッシを右、グリーズマンをトップ下に配するいつもの形に戻りました。結局戻すんかい!というツッコミも入りそうですが、4-1-2-3で守備の改善がなかった以上、適材適所の4-2-3-1のほうがまだこのメンバーではまともだと思います。

ブライスワイトはやはりウイングよりも背負って受けさせた方が良さは出ますし、グリーズマンも真ん中のほうがいいです。唯一コウチーニョだけが左サイド微妙ですが、ぶっちゃけインテリオールも微妙なので、まあ妥当な判断かなとは思います。事実ブライスワイトのポストプレーには可能性を感じました。

前述したように、レバンテは後半に入って疲労の色が濃くなったので前半よりも押し込めるようにはなってきました。ただ、バルサは大体崩しの終着点はメッシなので、そこに気を付けておけば、ギリ守れちゃうという切ない状況。特にリーガのチームはそれを肌で感じているでしょうから。

点が取れない時、クーマンがお決まりでやるのはブスケツを下げてペドリ投入。ペドリはボランチというよりインテリオールのような高い位置に入り、グリーズマンが若干ポジションを下げて疑似4-1-2-3のようなアンバランスな形に。僕はペドリ好きなので、ウェルカムでしたが、アップすらしていなかったピャニッチが気になりますね。リーガではとことん使われません。

アンバランスだったもののペドリという配給役が入ったことで、崩しに次第に可能性が出始めたバルサですが、相手守護神のアイトール・フェルナンデスの攻守に阻まれます(なんとこの試合12セーブ!)。まあ、アイトールのセービングも素晴らしいんですけど、やっぱりバルサ(メッシ)が苦しい態勢でシュートを撃たされている側面はあるのかなと。

現チーム唯一のサイドアタッカーであるトリンコンを左に入れて、攻めにかかるバルサの攻撃が実ったのは76分。奪われたボールをグリーズマンのスライディングで足止めし、ブライスワイトと共同でボールを奪い返したフレンキ―のスルーパスをメッシが決めて先制。ショートカウンターバルサが何とか先制します。

その後はグリーズマンを下げてウムティティを入れ、逃げ切りを図ります。5バックにしたのになぜかゆるゆるなバルサ守備陣。終盤になっても中盤のフィルターが全く機能しません。

なんとか逃げ切って勝ち点3ゲット。なんかレビューで試合展開ちゃんと書くの久々な気がします笑。

 

試合雑感

勝ち点3を取れて本当に良かった試合でした。0-0が濃厚な試合だったと思います。完璧に崩された前半の決定機を決められていたら、0-1か0-2で負けていたと思うので、本当に勝てて良かったです。

残念ながら、今のバルサは下位相手のホームでの試合であってもここまで苦戦してしまします。この状況は恐らくしばらく続くでしょうし、本当に我慢が必要なシーズンになっています。最低でも守備はなんとかして欲しいところなのですが、システムを変えても全く改善しなかったので、監督の仕込みの部分の問題は大いにありそうです。

www.footballhikota.com

今季序盤のレビューを見返すと、プレスとかもっと整備されていたんですけどね。日を追うごとに設計が雑になっているというか、メッキが剥がれたと言うべきか。ここ数試合の守備は本当にチグハグという言葉に相応しいものになっています。

そのようなアンバランスかつ不安定な守備において、アラウホの働きは特筆に値します。彼のスピードは近年のバルサ守備陣に不足していたものです。いくつかロングカンターの芽をその圧倒的なスピードで潰したシーンは何度かありました。インターセプトも4つ。さらなる成長が期待できますね。逆にラングレはピケ不在の中でより大きな貢献が求められるかなと思います。

今日は4-1-2-3でスタートしましたが、交代枠を3つしか使わず、リキやアレニャを起用しなかった辺り、クーマンの「俺はこいつらを使わない」という強い意志が感じられました。特にリキはCLでの好パフォーマンスのあとだっただけに、ここで出場機会なしはかなり厳しい通告ですね。こういう話も出ていますが、どうなんでしょうね。

さて、CLのグループステージが終了しましたが、今度はミッドウィークにリーガが入ってきます。木曜(日本時間)に19節の前倒しでソシエダ戦、日曜にバレンシア戦、来週の水曜にバジャドリード戦と中2日での過密日程が続きます。今季、最もリーガで調子のいいクラブであるソシエダと強いのか弱いのかよく分からないバレンシアバルサの嫌なことを的確にやってきそうなバジャドリードとの厳しい3連戦になります。

正直、ローテなしでは乗り切れないでしょうし、今日あまり選手を休ませられなかったのが響かなければいいのですが。厳しい日々が続きますし、見る僕らも試合のペースが早すぎて大変ですが、コロナ禍でサッカーが観られる喜びを感じながら応援したいところです。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。