Hikotaのバルサ考察ブログ

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【考察】衝撃のデビューシーズン アンス・ファティは新時代の希望になれるか 後編

こんにちは!お待たせしました。アンスの考察記事後編です!前半ではべた褒めでしたので、後編は褒め過ぎない程度に褒めていきます!のでバルサが嫌いな方は読まない方がいいかもしれません笑

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↑前編はこちら!

前編ではアンスの今季スタッツの紹介、さらには彼のプレースタイルについて書きました。後編では、彼の大きな強み、これからの気をつけるべき懸念点、そして今後の起用法について話していきたいと思うので、是非お付き合いください。それではいきましょー!

 

■成熟したメンタリティ

前編ではアンスの能力的な凄さについて語ってきました。しかし、アンスが特別なのは、その才能だけではありません。素晴らしいのはそのメンタリティです。18歳以下でアンスほどの才能を持っている若手はもしかすると世界各国にいるかもしれません。しかし、アンスほどメンタル面で成熟した選手はそうは多くないでしょう。

突然ですが、1つデータを紹介します。今季のラ・リーガバルサが放ったシュートは491本。そのうちメッシが放ったものが154本、ルイス・スアレスが78本。2人合わせて232本ものシュートを放っているのです。スアレスの長期離脱がなければ、もっと増えていたかもしれません。2人でチームの半数近くのシュートを撃っているわけですから、彼らへの依存度が如実にこのデータから分かりますね。

普段バルサの試合を観ていない方からすると俄かには信じられないでしょうが、今のバルサではメッシに遠慮してシュートを撃たない症候群が流行っているのです。最たる例は新加入のグリーズマン。昨季までアトレティコの絶対的エースだった彼ですが、バルサに加入してからというもの、シュートチャンスがあっても、近くのメッシへのパスを選択し、好機を逸してしまう場面が目立つのです。

グリーズマンだけではありません。他の選手も「自分が撃つよりもメッシが・・」とばかりにシュートを躊躇し、メッシを探す場面が多いのです。これはメッシが凄すぎる故だと思いますが、観ているこっちからするとそれ撃てたのに!と思うのも事実。撃ったら決め切る力を持っている選手たちですし。

しかし、アンスにこの兆候は見られません。むしろメッシが横にいても積極的にゴールを狙います。良い意味で「メッシを無視できる」選手なのです。16歳にも関わらず物怖じせずに、ドリブルもシュートも全力で仕掛けていく姿勢は称賛に値します。現段階ではむしろ伸び伸びと自分のプレーを楽しんでいるような様子すらあります。

昨シーズンのコウチーニョ、今シーズンのグリーズマンと、メッシ・スアレスに次ぐ3番目のアタッカーはどうしても影が薄くなってしまいます。パスの優先度も3番目、おまけにボール非保持時は4-4の一員として後退しなければなりませんから、尚更負担は大きいです。左ウイングの選手が使えるスペースは少なく、チャンスは少ない。この状況では、トッププレーヤーでも力を発揮するのは難しいのです。

しかし、アンスはこのような状況でも自分のプレーを発揮することが出来ています。メッシも彼のクオリティを信用し、彼にパスを出しお膳立てをするシーンすら見られます。メッシはアンスに対して今季3アシスト。今季チャンスメーカーとしての顔を覗かせるメッシと左から斜めにゴールを狙うアンスの動きはリンクしていますね。

年齢のことばかり言うのは良くないですが、16,17歳で自分の持つクオリティをちゃんとチーム戦術の中で発揮できる選手などほとんどいません。アンスにはエゴイスティックな振る舞いはほとんど見られませんし、あくまで自分のタスクの中で、才能を最大限に発揮しているように見えます。

今年1月、バルベルデが解任された際に、アンスはナーバスになってしまったようです。自らをトップチームデビューさせた恩師ですから当然でしょう。そんな彼にバルベルデは「今まで通り地に足をつけて取り組むよう」に伝えたそうです。1年目を見る限り、彼に浮ついたところはなく、その言葉通り着実に成長していると思っていいでしょう。

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■懸念点とこれからの課題

褒めてばっかりでも気持ち悪いので、ここからは懸念点も書いていきます。とは言っても16歳のデビューシーズンとしてはほぼ満点でした。今季にケチはつけられないので、予測ベースの話にはなってきます。

まずはやはり90分戦えるだけの体力を備えることが先決でしょう。まあ17歳なので、慎重に起用されて当たり前なのですが、今季のフル出場は1試合のみ。怪我のリスクを考慮しながらの起用法となりました。まだ成長段階ですから賢明な起用法ですが、世界にはサンチョやハーランドなど10代でもバリバリに試合に出て、ゴールを量産するような選手がいます。来季は全試合とは言わずとも先発20試合くらいは目指して欲しいところです。

そしてやはりトップレベルのチーム相手にそのクオリティが発揮できるかは未知数です。特に今季のCLグループステージのドルトムント戦(アウェイ)は本人もかなり悔しい思いをしたはずです。前編でも触れた通り、今季は試合を決める重要なゴールが多かったのですが、リーガ上位陣相手のゲームやCLでもその決定力を発揮することができれば本物ですね。

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さらには守備の部分もやはり課題には上がってくるでしょう。メッシ・スアレスを同時起用する限りは左ウイングの選手はボール非保持時に後退しなければなりません。その負荷に90分耐えきれるかどうかは来季以降見てみたいところです。もっともバルベルデ時代と比べると、非保持の時間が短くなっているのはこの若手アタッカーにとってプラスに繋がるかもしれません。

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それからこれはアンスの課題ではなく、チームとしての課題ですが、アンスをサイドのレーンで孤立させないことも大切です。例えば、5節のグラナダ戦や、21節のバレンシア戦などはアンスのドリブルに対してSBとSHの2枚が対応に当たっていました。この状況で局面打開するのは難しいですね。インテリオールやSBがしっかりとサポート体制を作るのも重要です。

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1対2を作られたときにサポートを!

そして最後に言及しておきたいのはプレッシャー。アンスは現状地に足をつけてプレーできていますが、2年目以降はどうしても期待度が上がっていきます。バルサにはその昔、ボージャン・ケルキックという選手がいました。ボージャンは17歳でのデビューシーズンで10ゴールを記録。間違いなく、将来的にバルサの絶対的なエースになれると目されていました。

しかし、ボージャンは結局ポジションを奪うことができず、2011年にローマへ移籍してしまいます。ボージャンは当時かなりメンタルに問題を抱えていたようです。このボージャンだけでなく、若い頃のインパクトとその後のキャリアが比例しない選手などサッカー界にはこれまでにも大勢いました。

アンスがこれからのしかかるプレッシャーに打ち勝てるかどうかは注視しなければならないポイントですね。

 

 

■来季以降の起用法は?

それでは最後に来季以降のアンスの起用法について言及していきたいと思います。まずは現時点での20-21シーズンのスカッドから確認していきましょう。

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7/30現在 20-21シーズンスカッド

序列は適当です。ローンバックを勘定に入れるとかなりの大所帯ですね。Bチームからはアラウホ、リキ、アンスが昇格濃厚。この時点で既にブラガからトリンコンユベントスからピャニッチを獲得することが決定しています。

前線はこの時点で3枠に対して8名。ポジションは適当に割り振りましたが、アンスの主戦場である左ウイングには画像の3人に加えて、グリーズマンデンベレも入る可能性は大いにあります。ここから人員整理はしていくのでしょうが、熾烈な争いにはなってきますね。

これを踏まえても、僕は来シーズン以降、アンスを左ウイングのファーストチョイスで起用すべきだと思います。先述した通り、10代の選手がビッグクラブでスタメンを張るのも珍しくはありません。慎重に起用するのも重要ですが、使わなければ成長もありませんからね。

もちろん、全試合フル出場というわけにはいかないので、そこは上手く他の選手と使い分けながらになりますが、あくまでファーストチョイスはアンス!くらいの扱い方はして欲しいなと思います。先発と途中出場合わせて公式戦40試合くらいに出場出来たらいいですね。

前項でプレッシャーの話をしました。来季18歳を迎える選手がバルサのスタメンは荷が重いのではないかという意見もあると思います。しかし、僕は今だからこそアンスを起用すべきだと思います。現チームではどんなに活躍しようと目立とうと、注目されるのはメッシです。ついでに一番批判されるのはスアレスです。

むしろプレッシャーを全面的に背負うメッシがいるうちにアンスを無理のない範囲で起用することに意義があると思います。アンスとメッシのピッチ上の関係は悪くないように見えますし、逆に伸び伸びとプレーできるような予感すらあります。それこそメッシが若い頃、チームのエースがロナウジーニョだったように。

アンスがメッシを越える存在になることは恐らくありませんが、メッシ後のバルサの中心人物の1人にはなれると思います。これはリキにも言えることですが、メッシがいなくなってから「よし、お前ら主力として頑張ってこい!」では遅すぎます。メッシが健在なうちにメンバーの1人として試合に出続けるべきです。

個人的にはアンスの能力を最大限に活かすために、メッシを3トップの中央、リキを左インテリオールに配置するやり方を推していますが、そうなるとスアレスの居場所がなくなってしまいます。スアレスは来季もチームにいそうですし、メッシ右、スアレス真ん中、アンス左が現実的でしょうか。

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まあいずれにしてもアンスの起用は増やしてほしいですね。過度な期待でも何でもなく、彼が今季残した数字とインパクトはチャンスをもらうに相応しいものだったと思います。来季セティエンが(そもそも留任するのかどうか定かではありませんが・・)4-3-1-2や3-1-4-2をメインで使用する可能性も否定はできませんが、それだとウイングのポジションがなくなってしまいますので、このスカッドだとどうなんだろうって感じでもあります。

最悪のシナリオは、高額で買ってきた選手たちをスタメンで使わざるを得ず、アンスの出場機会が減り、移籍を模索し始めることです。今の若手は見切りをつけて移籍を選ぶケースが多いですし、アンスもバルサでポジションを掴むのが難しいと判断すれば他クラブへの転出を考えるやもしれません。

なので、慎重かつ大胆な起用を来季は期待したいです。シーズン通して出場していけばまた違ったものが見えてくるはずです。

 

■まとめ

ということでアンス記事は以上になります。かなり僕がアンスに期待していることがこれでバレましたね笑。もしかすると過大評価しすぎなのかもしれませんね。まだ、十代ですし、今後どうなるかは未知数です。

しかし、クラブの下部組織から出てきた若手に夢を見るのはファンの楽しみの1つです。特に近年、バルサは下部組織から上がってきてスタメンに定着した選手がほとんどいない状況なので尚更楽しみなのです。今は夢を見るだけ見ていたいですね。きっとアンスはそれを叶えてくれる逸材だと思います。

期待しましょう!

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。