Hikotaのバルサ考察ブログ

主にFCバルセロナが好きです。他サポの方大歓迎です

【マッチレビュー】19-20 CLグループステージ第1節 ドルトムント対バルセロナ

こんにちは!はいはい、遂に始まりましたチャンピオンズリーグ!一昨季、昨季とCLで苦杯を舐めたバルベルデバルサですが、果たして今シーズンこそ念願のビッグイヤーを掲げることができるでしょうか。

一応グループステージの対戦相手を確認しておきましょう。

巷では死の組と呼ばれているように、難敵が集まってしまいました笑。スラヴィア・プラハは全く情報がありませんが、ドルトムントインテルは引き得る相手の中でもかなり厄介な部類に入りそうです。まあ個人的にはそこまで悲観していませんが笑。

そして今節はドルトムントとのアウェイで一戦です。正直ここが最も過酷な試合かもしれません。さて、どう転ぶでしょうか。

 

◾︎スタメン

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ホームのドルトムントはほぼベストメンバーですかね。 システムは4-2-3-1。新加入はCBのフンメルスと左サイドハーフのトルガン・アザールの2名です。右サイドにはデンベレ以上の逸材と呼ばれているサンチョが入ります。CFのパコ・アルカセルはリーグ戦4試合で既に5得点。元バルサなので、彼の活躍は嬉しいポイントですね。

アウェイのバルサスアレスがスタメンに戻ってきました。サプライズとしては16歳のアンス・ファティをCLでも引き続き先発で起用してきたところですね。ちなみに僕はペレスの先発を予想していたのですが、バルベルデの期待の高さが窺えます。アレニャは4戦連続のメンバー外となってしまいました。そしてエースメッシが今シーズン初めてベンチ入りを果たしました。

 

◾︎前半

ロイスとスアレス、守備力は雲泥の差

前半開始から積極的にプレスをかけたのはドルトムント。開始から1分30秒程度は最終ラインにもプレッシャーをかけていきますが、それ以降はミドルプレスからのカウンターを志向しているように見受けられました。

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バルサボール保持時の嚙み合わせ

こちらはバルサボール保持時の大体の嚙み合わせです。まあ4-3-3と4-2-3-1が対戦するとこのようになりますよね。基本的にサッカーでは「最終ラインは1人余らせる」が原則ですから、必然的にバルサは後方(2CB+ブスケツのところ)で3対2の数的優位ができることになるので、ここを上手く利用したいところです。

ただ、ここでこの試合とても厄介だったのがトップ下のマルコ・ロイス。彼の卓越した守備能力でバルサはビルドアップに苦しんだ印象を受けました。

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ロイスが厄介だったのはこのプレー。所謂「カバーシャドウ」というやつです。何かの記事でもこの戦術用語は解説したような気がしますが、要するにパスコースに立って、その先にいる選手を「実質的に」マークするということですね。詳しくはfootballistaの記事で山口遼さんが記事を書いていらっしゃるのでそちらを是非。

www.footballista.jp

これ、簡単にそうに見えて実はとても難しいことなんですよね。ポジション取りや距離感、タイミングなど1つでも間違えると簡単に剥がされてしまいます。

ロイスはそれをほとんど完璧にこなしていました。状況によってはブスケツにそのまま付いていくこともあり、状況判断も非常に優れていますね。ロイスと言えば、技術やドリブルなどがフィーチャーされることが多いかと思いますが、このようなスキルもやはり抜群ですね。

前半14分にはデラネイがブスケツへの激しいタックルでイエローカードを受けています。ロイスだけではなく、チーム全体でブスケツのところを消すというのは意識していたと思います。

そしてロイスはブスケツ番というボール非保持時でのタスクを逆手にとって、カウンター時はブスケツの脇や背後のスペースでボールを受けることを心がけていました。

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前半2分ドルトムントカウンター

前半2分、ドルトムントのカウンターのシーン。左サイドの深い位置でドルトムントがボールを奪い返すと、デラネイがすかさず、前線のアルカセルに縦パス。アルカセルがロイスに落とし、左サイドを駆け上がったアザールにスルーパスを出しました。結果的にフレンキ―がダッシュで戻り、ボールを奪ったことで事なきを得ましたが、危ないシーンではありました。

ここでもロイスはボール非保持時にブスケツの近くにポジションを取っているという状況を上手く逆手に取りました。広いスペースであれば、ブスケツはロイスにスピードで勝ち目はありませんからね。ここはドルトムントのカウンターで怖いポイントでした。

では、ドルトムントのボール保持時、バルサの守備はどうだったのでしょうか。

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前半8分のシーン

ドルトムントがボールを保持しています。このようにヴィツェルがDFラインに下がってビルドアップを始めることが多かったですね。このシーンではアルトゥールがヴィツェル、アカンジの2枚を1人で見るようになっています。スアレスはというと、フンメルスの横でお散歩を楽しんでいます。

さて、このあとどうなったのかというと、このようになりました。

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アルトゥールが頑張ってプレッシャーをかけ、SBのハキミまでボールを誘導することに成功します。前方の選手は基本的に全員バルサの選手がマークについているので、本来であればボールを奪うことができそうな局面ですが、ここで問題なのはこの前線からのプレスに参加すべきスアレスが依然としてフンメルスとのお散歩に興じていることです。

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結果的にスアレスがサボったことで中央のヴィツェルにパスが通り、プレスは搔い潜られてしまいました。ヴィツェルには十分な時間が与えられ、左サイドに向けて正確なロングキック。決定機に繋がってしまいそうな危ないシーンでした。もしスアレスがきっちりとタスクをこなしていれば起こらなかったと思います。

このシーンに限らず、今日のスアレスは「アリバイ」守備さえしないほど貢献度は低いものがありました。ケガ明けでコンディションが良くなかったのでしょうが、あのスタンスで試合に臨むのであれば結果を出すしかありません。そして結果が出ないのであれば、批判されてしかるべきです。今日のスアレスは最悪でした。

このような出来であれば、ベンチに送りたいところですが、ベンチに置くと死ぬほど面倒くさそうな彼を今後どう扱っていくでしょうか。ロッカールームでの雰囲気もビッグクラブでは大切な要素の1つですし。まあこのあたりは後日また考えていきたいと思います。

アクシデントとバルベルデの修正

ということでビルドアップでは苦しみ、ボール非保持時はなかなかボールを奪い返せないというバルサにとってはなかなか厳しい状況が続きます。前半10分辺りからグリーズマンが中央のスアレスに近いポジションを取って、噛み合わせをズラそうと試みてはいましたが、そこまで有効ではありませんでしたね。

右サイドのアンスはかなり苦しんでいました。流石にCLの舞台は彼でも緊張があったのでしょう。自分のプレーはほとんど出来ず、かなり苦いデビューになってしまったのではないでしょうか。

ちなみにグリーズマンが左、アンスが右で起用された理由はこちらのツイートで記した通りです。アンスは守備面でもあまり良いところは見せられませんでした。

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前半25分のドルトムント決定機

ドルトムントのビルドアップ。スアレスがGKにプレッシャーをかけるとビュルキがフンメルスにパス。スアレスの指示を受けたアンスが慌ててフンメルスにプレスに行きますが、簡単にいなされてしまい、フンメルスはそのままドリブルで前進。またしてもブスケツの脇のスペースを取ったロイスに縦パスを送ります。ロイスは素早くターンしてブスケツを置き去りにすると左にパスを出し、自らはゴール前へ。エリア内でスルーパスを受けますが、テアシュテーゲンの完璧な詰めでゴールを逃します。

いやこれはドルトムントの崩しも素晴らしいんですが、あまりに簡単に決定機を作らせてしまいました。スアレスの運動量不足とアンスの経験不足で前線からのプレスはあまりハマっていません。まあアンスにとってはいい勉強になったと思います。特にフンメルスのような傑物CBとこの段階で対戦できたのは 今後のキャリアにおいて大きいかもしれません。

さて、このままではマズいという雰囲気が漂うバルサは30分過ぎに1つの修正を施します。後方からのビルドアップの際に両CB間にブスケツを落とし始めました。「サリーダ・ラボルピアーナ」というやつですね。これは映像でもバルベルデが指示をしている姿が確認できました。

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30分過ぎからはこの形が多めに

後ろ3枚のほうが安定してボールは運べますので、このようにしたのだと思います。ただ、常時、この形だったわけではありませんでしたね。この辺りの意図がどうだったのかは聞いてみたいところです。

しかしここでアクシデント発生。不動の左SBであるアルバがまさかの負傷交代。代わりにセルジ・ロベルトが投入され、左SBにはセメドが入ります。この負傷に伴い、アンスとグリーズマンの位置も逆になりました。流石にセルジとアンスの右サイドは守備がやばいと思ったのかもしれませんね笑。

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アルバ負傷後の形

前半は両チームともこのまま得点なく終了。ややドルトムントペースといったところでしょうか。

 

◾︎後半

相変わらずプレッシャーが緩い!

 両チームとも後半開始からの交代選手はありません。メッシが後半頭からアップに出てドルトムント陣営にプレッシャーを与えます。47分にはスアレスが5試合に1回くらい成功する謎のドリブルでアカンジを抜き去って、決定機を作りかけますが角度のないところから強引に自分で打ちにいってチャンス逸。

基本的にこのシーン以外は後半は完全なドルトムントペースで進みます。それもそのはず相変わらずバルサの、特にDFラインに対するプレッシャーは緩いままでした。

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49分のシーン

ドルトムントのカウンター崩れのため、配置がぐちゃぐちゃですが、このような感じだったのが49分。ここでも近くでフンメルスがボールを持っているにも関わらず 、スアレスは我関せず状態。おまけにチーム全体のスライドが遅く、ハキミがバイタルエリアのど真ん中でフリーでボールをフンメルスから引き出し、ピケのファウルを誘って好位置でFKを得ます。

フンメルスといえば「最終ラインのレジスタ」と呼ばれるほどパス出しが上手い選手です。その選手にここまで自由にプレーさせてしまってはドルトムントに主導権が渡ってしまうのも無理はありません。ここはもう少しハーフタイムに修正して欲しかったポイントですね。

そして55分にはペナルティーエリア内でセメドがサンチョを倒してしまい、PKを与えてしまいます。セメドはここまでサンチョに対して食らいついていただけに少し勿体なかったですね。

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PK直前 ここまで押し込められていた

ちなみにこちらの図はPKを与える前の陣形。かなり押し込まれてしまっていますね。というかここでもCBに自由を与えすぎです。これをセメドだけの責任にするのは違いますね。

しかし、ロイスが蹴ったキックはテアシュテーゲンが完璧にセーブ。映像で見返すとテアの足は完全にラインから出ており、本来であればやり直し案件でしたね笑。まあいずれにしてもテアシュテーゲンにまたしても救われた格好ですね。

このブログであまりフィーチャーする機会がまだあまりありませんが、文句なしで世界最高峰の1人だと思います。最近はドイツ代表で試合に出れず色々と燻っているところもあるのでしょうが、クラブでのパフォーマンスには本当に頭が下がります。ナショナルチームでも出場機会が与えられるといいのですが・・・

メッシ・ラキティッチハッピーセット投入

この状況を受けてバルベルデはエースの投入を決断します。59分、アンスに代えてメッシ。ロイスにボコボコにされたブスケツに代えてラキティッチを投入します。ラキティッチは右インテリオールに入り、フレンキ―がアンカーを務めます。

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メッシ・ラキティッチ投入後

メッシ右ウイング・ラキティッチ右インテリオールの昨シーズンまでのお馴染みの形ですね。やっぱりメッシあるところにラキティッチありなのですね笑。

そしてボール非保持時は4-4-2になるという昨シーズンの形に戻りましたね。

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ボール非保持時 4-4-2

フレンキ―ではなくブスケツを下げたのは恐らく機動力を重視したからでしょうか。ケガ明けのメッシを起用したということはバルベルデはこの1戦勝ちにいったということでしょう。

しかし、この交代もチームを好転させるには至らず。というかメッシを入れても問題の本質が改善するわけではないので、当然なのですが。しかし内容が悪かろうと結果を残してしまうのがメッシの凄みなのですが、今日はケガ明けということもあり、悪い意味で人間でしたね笑。

昨シーズンと同じくメッシとスアレスが前残りすることで中盤の選手たちの負荷はかなり強いものになりました。特にフル出場したグリーズマン、アルトゥール、フレンキ―の運動量は凄まじいものがありましたが、だったらビダル兄貴も投入したいよ状態。

反撃するどころか、逆にブラントのバー直撃ミドル弾やロイスの決定機など絶えずゴールを脅かされ続けました。終盤はお互い勝ち点1で御の字の雰囲気に。最後の最後でメッシに決定機が訪れますが、これは決め切れず。CLの初戦はスコアレスドローで幕引きとなりました。

 

◾︎雑感

まあ負けなくて本当に良かったなという試合でしたね。最も過酷であろうアウェイドルトムント戦で勝ち点1を上げられたのは大きな成果かもしれませんね。相変わらずアウェイでの弱さを露呈してしまいましたが笑

バレンシア戦で明るい展望が見えたと思いきや、この試合は色々と不安の募る一戦となってしまいましたね。昨シーズンと同じ形にこのままなってしまうのでしょうか。バルベルデかどのような決断を下すのか注目が集まりますね。

選手個人に目を向けるとテアシュテーゲンの次に良かったのはアルトゥールですかね。昨シーズンに増して戦える選手との印象を受けました。今日は久々の90分出場でしたし、これからプレータイムが伸びてくるといいなと思います。

そしてドルトムントについて。非常にソリッドでいいチームでした。普段ブンデスを観ないので楽しく観れました。好選手が多いですし、今シーズンのCLで台風の目になってもおかしくありません。今からカンプ・ノウでの再戦が楽しみです。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。