はい、こんにちは。早くもリーガは3節に突入。バルサは1勝1敗でオサスナの本拠地に乗り込むことに。前回のベティス戦で素晴らしいフットボールを披露したバルサはアウェイでも最高のフットボールを披露できるでしょうか。
■スタメン
昇格組のオサスナはオーソドックスな4-4-2を採用。懐かしのフラン・メリダ、昨シーズン1部で暴れまわったチミー・アビラに注目ですね。というかそれ以外に情報がないので、楽しみです笑。
バルサはベティス戦と同じスタメン。5-1で大勝した前節のいい流れを引き継げるでしょうか。依然として、メッシ・スアレス・デンベレは負傷中。去就不透明のラキティッチは3試合連続でベンチスタート。16歳のアンス・ファティはまたしてもベンチ入り。期待の高さが窺えますね。
■前半
統率された守備組織、肝のチャンネル封じ
開始からボールを保持したのは当然バルセロナ。前半にはなんと76%のポゼッション率を記録します。しかし、ポゼッション率に反比例するかのように前半のシュート数は僅かに2、そのうち枠内シュートは0。バルサにとって最も嫌な「ボールを保持してるけど・・」な展開にさせられましたね。
バルサのパフォーマンスもあまり褒められたものではありませんでしたが、この日のオサスナの守備は明確な意図があり、前半はその守備の仕方がハマっていたという印象を受けました。
- ハイプレスに拘らず、内側を締めてミドルプレス
- ただしブスケツは2トップが上手く消す
- バルサの肝であるチャンネルアタックを封じる(特にセルジサイド)
- ボールを奪ったら素早く前に運び、バルサにショートカウンターの機会を与えない
しっかりとバルサと戦うために準備してきたという印象です。人ベースの守備が原則ですが、バルサのポジションチェンジに対しては上手くマークを受け渡して対応。べた引きするわけではなくバルサの中盤をしっかりと潰しにかかりました。
特にバルサが苦しんだのはチャンネルを封じられたこと。特にセルジ・ロベルトがインテリオールに入った際には頻繁にチャンネル(CBとSBの間のスペース)にランニングをかけるのがここ最近のバルサの定番になりつつあります。
オサスナ、集中した守備を披露。特にこのチームの肝であるセルジ・ロベルトのチャンネルアタックにはボランチがガッツリケアをしていい形を作らせない。
— Hikota (@BarcaHikota) 2019年8月31日
そしてセルジはいつになく自分が厳しくマークされ、フラストレーションを溜めている。ように見える笑
そんなこんなで攻めあぐねるだけならまだいいのですが、前半5分に早くもカウンター返しから先制点を献上してしまい、厳しい状況に立たされてしまいます。これで3試合連続で先制されてしまいました。
残念なセメドのパフォーマンス
セルジ・ロベルトの武器を封じられてしまったバルサですが、サッカーとはどこかを塞げばどこかが空いてくるもの。ボランチがインテリオール、SBがウイングをケアする分、自由になってくるのはSBでしょう。
さて、右サイドに注目してください。ボランチがセルジ・ロベルトのケアに回る分、中央の守備は手薄になります。そのため、相手のサイドハーフは中央を意識した立ち位置になるので、SBがフリーになりやすい構造になっています。何度か当ブログでもお話していますが、中央を固めてくるチームを崩すカギはサイドに眠っています。
サイドの選手が上手く幅を取ることで相手の守備陣形を広げ。そのギャップを突くのがクライフ流。昨シーズンのバルサはこの幅を取る仕事はSBが担っていました。
しかし今シーズンのバルサは(特に右サイドで)ウイングが幅を取ることが非常に多くなっており、サイドバックは若干内よりのプレーを求められつつあります。グアルディオラ監督が率いるマンチェスター・シティをイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。
しかしセメドは(まだ)内側でプレーできるほどのインテリジェンスを持ちあわせていません。案の定、セメドのところにボールは入るけど、そこで詰まってしまうという場面は散見されました。現段階で彼にこのタスクは難しいというのが正直な感想です。それは多くのファンの方にとってもそうでしょうし、バルベルデにとってもそうでしょう。セルジ・ロベルトをサイドバックで起用したほうがビルドアップ・崩しの質が向上することは昨シーズンが証明しています。
セメドのところでビルドアップが詰まってしまうのは昨シーズンから変わらない課題。厳しい。
— Hikota (@BarcaHikota) 2019年8月31日
こういう試合こそセルジをワイドで使いたいが、今後のシーズン考えるとセメドに対しては忍耐が必要。バルベルデもファンもチームも。
しかし、それは初めから分かっていたことです。それでもバルベルデがセルジ・ロベルトを中盤に戻す決断をしたのは中盤の事情(主にラキティッチの去就問題)もその一因だと思いますが、1番はセメドのSBとしてのパフォーマンスに期待していたからではないでしょうか。
注目すべきは右ラテラルの人選。本来中盤が本職のBのオリオル・ブスケツ が起用されました。このバルベルデの采配にはTwitter上で大きな異論の声が上がりました。「セルジ・ロベルトとオリオル逆じゃない?」そうなんです、ここがこの采配の大きなポイントで、昨シーズンバリバリで右ラテラルの一番手だったセルジ・ロベルトがスタメンに名を連ねていたにも関わらず、おおよそサイドバック適性がなさそうなオリオルを配置したのです。
シンプルにオリオルが可哀そうと結論付けることもできますが、個人的にはこの采配はセメドへの強烈なメッセージだったのではないかと考えています。「セルジ・ロベルトは中盤で起用する。今シーズンのレギュラーはお前だ」と言わんばかりに。続く神戸戦でもセルジ・ロベルトはインテリオールで起用されました。あくまで僕の推測に過ぎませんが、今シーズンセメドを一本立ちさせたいという想いは伝わってきます。
僕はシーズンプレビュー記事でこのような考察を書きました。それだけにセメドにとって今シーズンはチャンスであるし、崖っぷちでもあると思います。ただ、ある程度覚悟と我慢を持って起用し続けることが肝要だと考えています。
しかし、セメドは結局前半で交代させられ、セルジ・ロベルトがSBに早3節で戻ってきてしまいました。この試合だけを考えれば、この交代は正解でしょう。しかし、正直こんなに早くセルジ・ロベルトのSB起用に頼るとは少々意外でしたね。少なくとも前半戦はセメドを引っ張ると思っていただけに。
それだけセメドのパフォーマンスに満足がいかなかったのでしょうが…。
◾︎後半
さすがのセルジ・ロベルト、アンス初ゴール
前半分量多めに書いたので後半はサラっといきます。1点を追いかけるバルサは後半開始からセメドを下げて16歳のアンス・ファティを投入します。この交代に伴い、ラフィーニャが左インテリオール、セルジ・ロベルトが右SBにスライドします。
この変更によりバルサは息を吹き返し、オサスナを敵陣に押し込めていきます。ポイントになったのはやはり右SBに移されたセルジ・ロベルト。 ワイドに張りたい右ウイングのペレスの動きを見ながら、上手くハーフスペースに顔を出し、良いボールの循環を引き出します。アンスの同点ゴールも彼のプレーから生まれます。
後半5分です。右サイドのレーンでボールを受けたセルジ・ロベルトはハーフスペースに向かってドリブルでレーン移動します。このセルジ・ロベルトの動きによってオサスナ守備陣は内側への警戒を強めます。内側を閉めるということはすなわちサイドが手薄になるということ。
右サイドのペレスには高い位置で時間とスペースが与えられます。このあとセルジ・ロベルトは中央で素早くターンするとペレスにパス。ペレスは得意の左足でクロスを上げると、このクロスにアンスが完璧なヘディングで合わせて同点ゴール。16歳のアンスがプリメーラ初ゴールをマークします。
非常に素晴らしいゴールでしたね。トラップがズレたり、シュートが当たらなかったりとまだまだ感もあるアンスですが、この大事な場面でゴールを決められるのは何か「持っている」からでしょうか。スピードもありますし、まだ16歳ということを考えると期待せずにはいられない選手です。
セルジ・ロベルトはまたしてもラテラルとして非凡な才能をみせつけました。前方の選手のタイプによってポジショニングを微妙に変化させることができるのが彼の大きな強みですね。うーん、右ラテラルどうしましょ笑。
記事書きながらオサスナ戦再観戦中
— Hikota (@BarcaHikota) 2019年9月5日
・セメドの低パフォーマンス
・中盤過多
・アルトゥールの活躍
って観点から次節からセルジ・ロベルトがSBに戻る可能性も十分に考えられる。
ただ、それで本当にいいのかという疑問はどうしても残る。
アルトゥールの躍動、復活のブスケツ?
同点に追い付いて、バルベルデは間髪入れずにアルトゥールをラフィーニャに代えて投入します。今シーズン初出場です。このアルトゥールが流石のプレーを連発してくれました。積極的にボールを受けると得意のターンで相手をいなし、運ぶドリブルでオサスナの守備組織を破壊していきます。
先ほどセルジ・ロベルトのドリブルについて触れましたが、バルサ対策をしっかり敷いてくるチームに対してこの運ぶドリブルは非常に有効です。この日のアルトゥールはいつにも増して積極果敢に崩しの局面に顔を出す姿勢が見られました。フレンキ―の獲得がいい刺激になったかもしれませんね。
そしてその姿勢は最高の形で実を結びます。後半19分、敵陣中央で奪われたボールをすぐさまブスケツがスライディングで奪い返すと、ボールはペレスのもとへ。ペレスはエリア内のアルトゥールへ、パスを出すとアルトゥールの後ろからオーバーラップ。この動きがDFを引き付けコースが空いた隙を見逃さず、アルトゥールがシュート。これがゴール左に決まりバルサが逆転に成功します。アルトゥールは嬉しいバルサ初ゴールになりました。
今日に限らず見逃せないのはブスケツの躍動です。彼の真骨頂はパスや体格ではなく、その卓越した認知力にあります。危機察知能力とポジショニングセンスが抜群に高く、その能力を活かした相手のカウンター潰しは特筆に値します。ただフィジカル能力(特にスピード)は極端に低いので、広大なスペースをカバーする役割には向いていませんね。そしてここ5年くらいはブスケツはその苦手なタスクを負わされ続けてきました。
しかし、ここ3試合は近い距離でパスを繋ぎ、前線の選手も積極的にプレスをかける本来のバルサらしいスタイルになっているため、ブスケツの能力が光りやすくなっていると感じます。個人的にはとても嬉しいですね、ブスケツが躍動している姿を見ると。今後どうなるかわかりませんが、ブスケツのプレーには今後も注目していきたいです。
交代策が的中し、首尾よく逆転したバルサですが、その後オサスナの反撃にあってしまい、PKを献上。ピケが軽率な形で腕をあげてしまいましたね。難しいとは思いますが、VARもあることですし、エリア内のハンドについては細心の注意を払いたいところです。
その後アルトゥールからペレスに最高のスルーパスが通りますが、シュートは放てず。このまま試合は2-2で終了しました。
試合終了。2-2
— Hikota (@BarcaHikota) 2019年8月31日
アンスとアルトゥールのゴールで逆転に成功したものの、その後受けに回ってしまい、ピケのハンドでPKを献上。
少々勿体無い試合の印象ですが、16歳アンスの初ゴール、アルトゥールの躍動はポジティブポイントですね。最後のは残念でしたが、ペレスも何気に2アシスト
■雑感
この3試合でバルサは勝ち点5を失ってしまいました。結果だけ見れば最悪に近いかもしれませんが、個人的にはポジティブなものも多かったと思います。ペレスやアンスを積極的に起用し、2人はプリメーラの舞台でしっかりと結果を残しました。セルジ・ロベルトをインテリオールで起用し、昨シーズンとは違う形を模索しています。
勝ち点は失いましたが、今後に向けて大きな収穫になった8月3試合になったのではないでしょうか。僕としては久々に色々な選手の活躍が見られて楽しい3試合でしたよ!
1.グリーズマン
— Hikota (@BarcaHikota) 2019年8月31日
2.ペレス
3.アルバ
4.ビダル
5.アンス・ファティ
6.アルトゥール
バルサ8月の得点者リスト。昨シーズンの僕らが知ったら驚くラインナップです笑
メッシが点を取りまくることに慣れきってしまっていますが、色んな選手のゴールが見れると楽しいですね。
ここからインターナショナルウィークに突入し、バルサの次の試合は15日のバレンシア戦。そのあとがCLドルトムント戦になります。日程厳しいですよね笑。恐らくこの辺りでメッシが戻ってくると思います。メッシが戻ってきた時に今のチームが果たしてどうなるのか。大いに注目していきたいところですね。
この3試合のバルベルデの采配にはとても希望が持てたし、個人的にはとても楽しく観戦できました。
— Hikota (@BarcaHikota) 2019年9月4日
ただ、メッシが戻ってきたときに今の新しいスタイルは粉々に破壊される可能性も十分にあると思っています。
次のバレンシア戦、早くも今シーズンの展望が見える一戦になりそう。 https://t.co/kTwUUOTipP
最後までお読みいただきありがとうございました。