はい、どうも!さあ、今回はコパ・デル・レイ準々決勝、ビルバオ戦のマッチレビューを書いていきたいと思います。コパ・デル・レイはここまでイビサ戦、レガネス戦とありましたが、どちらもサボって書いていないのでここは気合入れて書いていきたいと思います。
今シーズンからコパ・デル・レイのフォーマットが変わって、準決勝以外は一発勝負となったのでかなり番狂わせが起こりやすくなっています。既に準決勝進出を決めているのがグラナダと2部所属のミランデスとまさに旋風が巻き起こっています。バルサも気をつけたいところですが、相手はビルバオ。しかもスタジアムはサン・マメスとかなり厳しい試合になることが予想されます。
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■スタメン
スタメンです。ホームのビルバオはいつもの4-2-3-1ではなく、3バックを選択。後方には純粋なCBが3枚並びます。中盤はダニ・ガルシアとフィジカルの強いヴェスガが務め、前線はラウール・ガルシア、ムニアイン、ウィリアムスという個性の強い3トップが控えます。
そしてバルサ。前節レバンテ戦からの変更は1人。グリーズマンがベンチに下がり、セルジ・ロベルトが前線の一角として起用されます。これがローテーションなのか戦術的な変更なのかは分かりません。いずれにしてもかなり台所事情は苦しく、なかなか主力を休ませることができませんね。
■前半
ビルバオのハイプレスとリトリート
さて、コパのベスト16レガネス戦、そして前節レバンテ戦で4バックに変えて上手く軌道に乗ったかに見えるバルセロナ。最初の3試合とは異なる配置で2連勝を勝ち取りました。そのバルサをビルバオがどう止めるのか注目が集まりました。
ビルバオは基本的に4-2-3-1で戦うチームですが、この試合の基本システムは3-4-2-1。これは明らかにバルサ対策で採用された配置でした。
バルサがビルドアップを始める際、ビルバオはこのような陣形になっていました。明らかにバルサの形に合わせてきた格好ですね。気になるブスケツ番はムニアインが務めます。ムニアインは結構しつこくブスケツにマークをついていてなかなかブスケツは前を向かせてビルドアップをすることができません。ガリタノ監督は開幕戦でもラウール・ガルシアをブスケツに張り付かせていましたし、ここは徹底させていますね。
バルサもこの程度では、諦めてロングボールに頼るようなことはしませんが、ビルドアップの要所を抑えられ、なかなか苦しめられました。結構ビルバオの方はポジションを捨てて人に厳しくいく場面が見られ、かなり鍛えられている印象を受けました。普段は4-2-3-1でやっているのにも関わらず流石の戦術浸透度です。
ジェライ、ヌニェス、そしてイニゴ・マルティネスが並ぶディフェンスラインはリーガ屈指の陣容です。特にヌニェスは下がっていくメッシにポジションを捨ててついていく守備が目立ちましたね。後方の安定感と前線からのプレスは切っても切れない関係です。
バルサの最優先はショートパスでのビルドアップですが、ビルバオのプレスに追い込まれ何度か蹴らされるシーンもありました。バルサの前線3人のメンバー的には蹴りたくないところですが、それでも蹴らされてしまった場面もあったので厳しいプレッシャーだったことは間違いありません。
また、ビルバオはプレスを搔い潜られれば素早く全体で帰陣+ラウールガルシアが右サイドに下がり5-3-1-1のような形で後方のスペースを消します。
肝になったのはそのラウール・ガルシアとヴェスガです。フィジカルも強く上背のある二人がダニ・ガルシアの両脇に立ち中央に続くルートを封鎖。かつインテリオールから自由を奪いました。このハイプレスとリトリートのトランジションは徹底されており、しっかりとこのバルサ戦に向けて準備をしてきたことが伝わってきました。
「9番」不在でいいのだろうか
バルサは序盤こそ、レバンテ戦の様にメッシを中心として右サイドのポジションチェンジでビルバオの配置をズラし、いくつかチャンスを作りますが決められず。その後は上記のビルバオの守備に苦しめられ、トーンダウンしてしまいます。
原因は色々あると思いますが、まず1つはビルドアップがまだ完成されていないこと。レバンテ戦では上手くフリーマンを使いながら前進することができていましたが、ビルバオの同数プレスの前には、前節ほど上手くはいかなかった印象を受けました。テア・シュテーゲンとラキティッチの意図が合わなかったり、イージーなビルドアップのミスでピンチを招くシーンも見られました。
まあまだまだ練度が足りないというのもありますが、個人的に気になるのが「9番」の不在。セティエンになってからのバルサは安易にロングボールで逃げないところが魅力だと思います。しかし、逃げる選択肢があって繋ぐのと、なくて繋ぐのでは相手に与える印象がまるで違います。
ビルバオは果敢に前線からプレスをかけてきましたが、裏を返せば後方にあまり気を配る必要性がないということでもあります。前線の選手が裏を狙ったり、長いボールをキープして味方の上がりを待つようなプレーがあまり見られないので相手DFラインに負荷があまりかかっていない印象を受けました。
それはセティエンの好むところではないのでは?という意見もあるかもしれませんが、前所属のベティスではビルドアップに詰まった時、CFのロレンがサイドに流れて長めのボールを引き出すプレーが見られました。
相手がリトリートした際も、9番がいないことで縦パスがなかなか入らずスピードが上がりません。結局はメッシの単独突破に頼らざるを得ない状況になってしまいます。レバンテ戦と同じく、フレンキ―がCFのタスクを担うこともあるのですが、この役割は彼の望むところではないでしょうし、適正かと言われれば・・
冬の市場でストライカーを獲れなかったバルサですが、手術が発表されたデンベレの離脱期間次第では選手を補充することができるようです。個人的な考えですが、チャンスがあれば検討してほしいなと思います。
これは賛否あるかもしれないけど、チャンスがもしあるのであれば、ストライカーを補充すべきだと思う。前線の頭数が足りないというのもあるし、今日みたいなアウェイ戦では9番の役割を担えるFWが必要。もちろん、この時期に良い選手は都合よく獲れないけど…。
— Hikota (@BarcaHikota) 2020年2月6日
前半はこのまま得点なく終了。0-0でハーフタイムを迎えます。
■後半
後半から選手交代はなし。ビルバオは前半と変わらずプレスをかけ、ボールを奪いにかかります。一方のバルサも際立った変化はありませんでした。バルサからすると攻撃はあまり上手くいかなかったものの、守備に関しては前半さほど悪くなかったという評価でしょうか。
ビルバオの攻撃というかビルドアップは結構単調でその多くがラングレ(CB)とジョルディ・アルバの間に位置したラウール・ガルシアにロングボールを放り込んでそのセカンドボールから二次攻撃をするパターン。もしくはスピード溢れるウィリアムスがサイドに流れてボールを引き出して突破もしくはフィニッシュというパターン。
大きく分けるとこの2種類ではあるため、バルサの守備陣からすると比較的対応しやすかったと思います。ラウール・ガルシアアタックは確かにいやらしいのですが、アトレティコ時代からこのパターンは続いているので、バルサの選手たちも慣れはあるのかなーと。ムニアインも守備にエネルギーを使い過ぎている印象はありましたね。あまり攻撃では目立ちませんでした。
ガリタノ監督は多分守備を仕込むのは上手い監督なのだとは思いますが、攻撃は一本調子になりがちなのかもしれません。その証拠なのかはわかりませんが、今シーズンのリーガでは22試合消化で22得点17失点というデータを残しています。失点の少なさではマドリ―、アトレティコに次ぐ3位ですが、得点数は下位に沈むマジョルカと同じという分かりやすさ。セティエンとしても前半は上手くコントロールしたとの認識だったのかもしれません。
得点が欲しいバルサは57分にアンス・ファティに代えてグリーズマン、69分にラキティッチに代えてアルトゥールが投入されます。意外とセティエンに重宝されているラキティッチですが、この試合は精彩を欠きました。得意なことと不得意なことがハッキリしてしまっている感は否めませんね。左サイドのバランサーとしての有用性はあるのですが、今日のパフォーマンスをセティエンはどう評価したでしょうか。
この交代が実って、セルジ・ロベルトのクロスからグリーズマンが、アルトゥールのスルーパスからメッシがそれぞれ決定機を迎えますが、いずれも相手の守護神ウナイ・シモンの足に阻まれてしまいます。ナイスセーブでしたが彼らの決定力を考えると、決めたかったところ。しかし、裏を返すとこれくらいしかチャンスがなかったのもまた事実。
僕がこの試合ちょっと気になったのが右サイドの配置で、結構セメドが内でセルジ・ロベルトが外になっているシーンがあったのですが、これって逆じゃなくていいのかなと。多分入れ替わっても大丈夫な2人だと思うので、てっきりセメドをワイドの高い位置に置いてセルジ・ロベルトは偽ウイングみたいになるのかなと思っていたのですが。
何か意図があってこうしたのか、それとも選手たちの判断なのかはわかりませんが。いずれにしてもセルジ・ロベルトはアタッカー気質の選手ではないので、難しいところです。現状の前線のコマ数だと彼をウイングで使わざるを得ない試合が増えてきそうではあるので、ここはしっかりと整理したいところです。
逆にビルバオは77分にムニアインを下げてアドゥリス、89分にラウール・ガルシアに代えてイバイ・ゴメスと攻撃のカードを切ります。するとアディショナルタイム3分、サイドからイバイがクロスを上げるとこれをウィリアムスが頭で触り、ボールがゴールに吸い込まれて先制に成功します。
歓喜に沸くサンマメス。開幕戦に続いて、終了間際の失点に屈し、バルサが国王杯から姿を消します。
試合終了。0-1敗戦。国王杯敗退。
— Hikota (@BarcaHikota) 2020年2月6日
後半はバルサが決定機を作ったものの相手の守護神ウナイ・シモンの足に2度阻まれて得点ならず。逆に途中出場のイバイのクロスからウィリアムスに決められる。開幕戦に続いて、サンマメスで試合終了間際の失点に屈した形になった。
■雑感
タイトルを1つ逃してしまったのは残念です。しかし、薄すぎる選手層、デンベレの再離脱、そしてフロント(アビダル)のインタビューなど悪条件があった中でも、難しい相手に自分たちのやりたいことを貫こうとした姿勢は評価されるべきです。本当に難しい試合でした。素直にビルバオを称えたいと思います。グッドチームでした。
まだセティエンバルサは始まったばかりです。途中就任ですし、このような試合が出てくるのは十分に予想されたことです。目先の結果で僕達ファンは評価してしまいがちですが、もう少し忍耐強く経過を見守る必要があります。少なくともピッチ上では確実に変化が現れていますから。
怖いのは今シーズンタイトルが獲れず、ファンやフロントがセティエンを見限ってしまうこと。それだったらバルベルデで良かったじゃん!とならないことを祈るばかりです。今はセティエンのスタイルを信じて前に進むのみです。ここから改善することを信じましょう。
さて、コパ・デル・レイのベスト4が出揃いました。ビルバオ、ソシエダ、グラナダ、そして2部のミランデスと下克上感が半端ないですね。国王杯のフォーマット変更でよりエキサイティングな大会になりましたね。バルサは残念ながら負けてしまいましたが、引き続き大会は楽しめそうです。ミランデスとグラナダの躍進も見たいですが、個人的には決勝バスクダービーが見たいです笑。
最後までお読みいただきありがとうございます。