こんにちは!遂に20-21シーズンのリーガが開幕しました!と言ってもリーガ自体は2週間前から始まっており、CLを戦ったバルサやアトレティコは3節から開幕というイレギュラーな日程となりました。色んな事がありすぎたオフシーズンでしたが、選手たちには気持ちを切り替えて頑張って欲しいなと思います。
ということでバルサにとっての開幕戦はホームでビジャレアルと対戦。今季ウナイ・エメリ監督が就任し、ダニ・パレホ、フランシス・コクラン、久保建英、エストゥピニャンとリーガで実績のある選手たちを獲得(久保とエストゥピニャンは昨季のみですが)。今季注目のチームの1つとして警戒が必要です。
↑昨季後半戦のレビューはこちらから。
今シーズンも昨季と変わらず、レビューを書いていこうと思いますので是非よろしくお願い致します。
スタメン
ホームのバルサはプレシーズンマッチ最終戦エルチェ戦と全く同じスタメンで開幕を迎えました。正守護神のテア・シュテーゲンは負傷中なので、第2GKのネトがゴールマウスを守ります。システムは4-2-3-1。ベンチにはデンベレ、トリンコン、ラフィーニャ、ペドリ、ピャニッチ、リキ、アレニャらが控えています。
既に2試合を消化しているビジャレアルは前節エイバル戦から1人の先発変更。左SBに新加入のエストゥピニャンが入ります。キーとなるのはやはり開幕2戦連発のジェラール・モレノ。注目の久保建英はベンチからのスタートとなりました。
両チーム陣形・噛み合わせ
バルサボール保持時
まずは昨季同様、両チームの陣形及び噛み合わせを確認していきましょう。
ボール保持が信条のバルサに対して、ビジャレアルは3ラインを敷く4-4-2ゾーンディフェンスで対応。ライン遵守が原則で、頻繁にDFライン左に落ちるフレンキ―を中盤の選手が掴まえに行くことは稀でした。モレノとパコも激しくCBにプレスをかけるわけでもなく、あくまで自分のゾーンに入ってきた選手を掴まえるが原則ですね。
クーマンバルサで主にビルドアップの核となるのは2CBとダブルボランチのスクエア。形として多いのは上図の様にフレンキ―が左に落ちて、ブスケツがアンカーの位置に収まる3-1の構図。3バック+ブスケツでビルドアップが安定するのはセティエン政権の序盤で証明済みです。
SBは最初からそれほど高い位置を取りません。特に印象的だったのが、セルジ・ロベルトのポジショニング。試合を通して殆どサイドに張ることなく、ハーフスペースの位置でプレーをしていました。これは明らかにクーマンの指示によるものでしょう。
恐らくクーマンはこのような配置をイメージしていたのではないでしょうか。左の大外は当然アルバが担当します。前述の通りフレンキ―は左寄りにプレーするため、バランスを取るようにセルジ・ロベルトを中央寄りに配置したと考えるのが自然でしょう。
セルジ・ロベルトがハーフスペースに寄り、右サイドハーフのグリーズマンは頻繁にメッシが離れるCFの位置まで上がっていたので、 右大外には人がいないという状況が多かったように思います。そのため、攻撃は左サイドに偏りました。
この試合は特にコウチーニョのポジショニングが素晴らしく。左のハーフスペースで頻繁にボールを受け、チームのボールの流れを循環させました。2シーズン前のプレーを思い返すとかなり無駄がなくなった印象です。このコウチーニョに突破力のあるアンスと裏抜けの達人であるアルバが絡みます。
この試合に関して言えば、右サイドが機能しなかったというよりも敢えてそのようにしたというニュアンスの方が強そうです。左で作ってメッシ、グリーズマンがフィニッシュ役。これがビジャレアル戦の大まかなイメージだったのではないでしょうか。それを裏付けるかのようにメッシもグリーズマンも左サイドの絡みにはそれほど介入しませんでした。
チーム全体で意識づけられていたのはネガティブ・トランジション。まだ完璧ではないものの、奪われた瞬間に奪い返すという意図は何人かの選手から見受けられました。特に反応が早かったのはコウチーニョとグリーズマンの2人。そしてあのメッシですら激しくプレスバックに行くシーンもありました。
バルサボール非保持時
続いてはボール非保持時を確認しましょう。
ビジャレアルのビルドアップに対してバルサはこのように構えることが多かったです。バルサの基本フォーメーションは4-2-3-1ですが、プレス時は4-1-3ー2のような形に。ブスケツ(orフレンキ―)を1枚前に出し、コウチーニョと2人でダブルボランチのマークにつきます。そしてもう片方のボランチであるフレンキ―(orブスケツ)はフィルター役としてDFラインの前方のスペースをカバーしていました。
本来右サイドハーフのグリーズマンはメッシと並んで最前線。左SBのエストゥピニャンをフリーマンとし、全体でハメに行く姿勢を見せました。ただ、このプレスは高い位置で奪うというよりも、パスコースを塞ぎビルドアップを詰まらせるミドルプレス的な意味合いが強かったように思います。
パレホとコクランがしっかり掴まえられているので、結果的にビジャレアルは淡白に前線への縦パスを選択して引っかかるか、チュクウェーゼへのロングボールで逃げるしか選択肢がありませんでした。例えば、パレホがDFラインまで落ちてブスケツを引っ張り出すなどの工夫があっても良かったとは思いますが・・・。
バルサ側で素晴らしかったのはラングレ。対面のパコやモレノに入る楔のパスを悉く潰しました。4バック+フレンキーで相手のアタッカーに対して数的優位という状況はあったものの、勇気を持って前で潰せていたのは良かったですね。前半の2得点も彼のパスからですし、まだまだ伸びそうです。
撤退時は、4-4-1-1に変化します。特筆すべきは両サイドハーフの守備貢献。特にアンスは素晴らしかったです。リーガ随一の突破力を誇るチュクウェーゼと左SBのアルバが1対1にならないよう、しっかりと自陣に戻って1対2の状況を作っていたのが印象的でした。アンスの前半の走行距離はチームトップの6.4㎞。ゴールやドリブルだけでなく、しっかりと守備でも貢献できる17歳、すごいっすよね笑。
まあぶっちゃけて言ってしまうと今日のビジャレアルの出来はあんまりでしたし、攻撃はかなり淡白だったので、今日の試合でチーム全体の守備強度を語るのは難しいのかなと思います。枠内シュートは1本しか撃たれていませんし。そこは次節以降注視していきたいところです。
試合雑感
開幕戦なのでかなりバルサのやり方について分量を割いて書きました笑。ここからは試合で気になったことを振り返っていきたいと思います。
まずはアンスの2ゴールから。1点目はアルバの折り返しをニアに叩き込んだもの。あまりに冷静に強烈なシュートを決めました。2点目はコウチーニョのスルーパスを受けて、落ち着いてGKとの1対1をニアへのシュートで制しました。
取り上げたいのは1点目。決めたのはアンスですが、注目して欲しいのはグリーズマンの動きです。ラングレからアルバへパスが出ると共に右サイドからスプリントをかけ、一気にゴール前へ。この動きで3人を引き付けると、マイナスのアンスがフリーになりました。
というようにこのゴールから確認できるのはグリーズマンにはサイドアタッカーではなく、斜めのランニングからゴールを狙うフィニッシャーとしての役割が期待されているということ。結果的に点を奪ったのはアンスでしたが、実質グリーズマンには今後ストライカーのようなタスクが与えられるのでしょう。
この試合ではアルバがかなり輝きましたね。ビジャレアルがケアを怠ったという側面もありますが、左大外のレーンを支配しました。コウチーニョ、アンスとのフィーリングも合っており、必殺のパターンでチャンスを演出しました。個人的には彼はキックのバリエーションをもっと増やせばより怖いサイドアタッカーになれると思うのですが・・。
アンスに関しては言葉がないです。17歳の選手が開幕戦わずか45分で2つのゴールとPKを奪取するとは。期待でも忖度でもなく、今最もスターティング・メンバーに相応しいのはアンスでしょう。怪我だけには気を付けてこれからも伸び伸びサッカーを楽しんで欲しいですね。
そして注目のメッシですが、これまでと同じく自由は与えられているものの、過度に組み立てには参加せずに危険なエリアをウロウロしていました。ボールを運ぶのはフレンキ―やコウチーニョに任せ、自らはバイタルエリアで一瞬のフレアを放つ。少しずつ「メッシのバルサ」から「バルサのメッシ」へと彼自身とチームが変わっていくような予感がしました。
対戦相手のビジャレアルについても簡単に。ビジャレアルの配置は先ほど簡単に触れましたが、チーム全体としてはかなりチグハグだったと思います。どこでボールを奪うのか、ラインはどこに設定するのか。特に前半は曖昧なままでした。攻撃も淡白なクロス攻撃に終始。エースのジェラール・モレノはボールに触れず、インスピレーションを発揮することができませんでした。
後半、中盤の枚数を増やし、数的優位の状況を作りやすくなったことで多少改善はしましたが、それでも噛み合っていない感は最後まで払拭できず。久保が投入されるのがもう少し早ければ面白かったような気もしますが、まだエメリからはそこまで信頼されていないのでしょうか。唯一の枠内シュートは久保でしたし・・笑。
ビジャレアルには楽しみなメンバーが揃っているので、上手くいくとよいのですが。
まとめ
新監督の初陣、相手がビジャレアルということでどうなるか心配でしたが、無事4-0で勝利。結果には満足しかありません。期待のホープが大活躍し、エースにもPKながらゴールが生まれる。開幕戦としては理想的だと思います。
そして結果と共に内容も非常にポジティブな要素を含みました。明らかに近年のバルサとは違う顔を見せました。全員がプレスに走り、ボールを動かしながらチャンスを作り、期待のカンテラーノがゴールを奪う。待ち望んでいた光景がようやく訪れたような、そんな気持ちにさせられました。
勿論、開幕戦だけで全てを断定することはできません。今日の試合はビジャレアルの不出来に救われた部分もありましたし。今日は露見しなかった課題がこれから山ほど出てくるはずです。
ですが、少なくとも開幕前のどんよりした雰囲気はこの勝利で幾分か払拭できたのではないでしょうか。2-8、メッシ退団希望騒動、重鎮選手たちの退団、執行部と選手の対立、不信任案提出・・。クラブも選手もファンも大いに苦しんだ夏でしたが、あんなこともあったねと笑えるシーズンになってくれればいいなと思います。
ということで今季もこんな調子でレビューを書いて参ります。今季は昨季果たせなかった全試合レビューを目標に頑張りたいと思います。是非よろしくお願い致します。
最後までお読みいただきありがとうございます。