こんにちは!
ミッドウィークのCLでディナモ・キエフを2-1下したバルサは今節ベティスをホームに迎えます。
対戦相手のベティスは今季、マドリ―やマンチェスター・シティの監督を歴任してきた名将マヌエル・ペジェグリーニを監督に迎えました。 ここまで8試合で勝ち点12。暫定で7位につけています。今夏は守護神に元バルサのクラウディオ・ブラボ、両SBにバルサの下部組織出身のミランダ、モントーヤを獲得し、ますますバルサ関連の選手が増えたので、応援したくなりますね笑。
スタメン
バルセロナはまさかのメッシスタメン落ち。どうやら足首に違和感を抱えているようです。心配ですね。代わりにデンベレが先発にチョイスされます。CLでケガから復活したテア・シュテーゲンは引き続き先発に。右SBにはデストではなくセルジ・ロベルトが入りました。この2人は今のところ使い分けられていますね。
アウェーのベティスは前節エルチェ戦から1人の先発変更。負傷により欠場したフェキルに代わってウィリアム・カルバーリョが先発に戻ってきました。注目はこれまた元バルサのクリスティアン・テージョ。ここまでリーガで4ゴール1アシストと好調を維持しています。
両チーム陣形・配置・噛み合わせ
バルサボール保持時
両チーム基本のフォーメーションは4-2-3-1。まずはバルサボール保持時から見ていきましょう。
メッシ不在のバルサはグリーズマンがトップ下、アンスがCF、ペドリが左サイドに入ります。グリーズマンをいつものようにトップの位置で使うのかとも思いましたが、メッシ不在の中でグリーズマンを一番得意なポジションで使ってきた格好です。ペドリは2列目ならどこでも使われますね笑。
対するベティスは4-4-2の陣形でバルサのビルドアップに臨みます。特徴的だったのはボランチの2人。バルサのボランチ2人に対して積極的にアプローチをかけていきます。特にウィリアム・カルバーリョは対面のフレンキ―にかなり高い位置からプレッシャーをかけていました。「フレンキ―は絶対自由にするな」とでもペジェグリーニから言われていたかもしれませんね。
そのため、バルサの中でキーになったのは両サイドのハーフスペースに位置する左SHのペドリとトップ下のグリーズマン。特にペドリはベティスの右サイドのスクエアの中心で頻繁にボールを引き出し、攻撃の起点となっていました。イニエスタのバルサでのラストシーズンの役割に近いものがありましたね。
ベティスに関してはウィリアム・カルバーリョが前に出て行く分、DFラインがペドリのところを潰したかったところなのですが、ペドリの立ち位置が絶妙すぎて迂闊に飛び込めない状況。さらにCFに入ったスピードのあるアンスが中央から左にかけて裏を狙っているのもあって、エメルソンやマンディはなかなか前に出て行けません。。
ということでベティスはライン間のスペースがかなり空いてしまい、そこを的確にバルサに突かれてしまいました。フレンキ―やブスケツをできるだけ高い位置で潰しておきたかったのでしょうが、それにDFラインが上手く連動できなかった印象を受けました。バルサ相手にライン間のスペースを空けてしまうのは自殺行為です。逆にそこを閉じてしまうと機能不全に陥るのがバルサの弱点でもあるのですが。
時折、クーマンがアンスをストライカーの位置で起用するのはこういった効果も狙っての事なのでしょう。今のバルサはトップ下タイプの選手が多いですから、ライン間のスペースを空けるためにストライカー役が必要というのが本音なのかもしれません。
左サイドはペドリが内側、アルバが外側が原則ですが、右サイドのデンベレは外側に張っている時間が長くなっていました。バルベルデ政権時代は内側に入りこむシーンも多かったデンベレですが、クーマンには外側でボールを受けるように言われていそうな気はします。これはいい傾向です。デンベレには難しいことをさせず、シンプルに自身の強み(スピード・ドリブル)を活かすように促したいところです。
デンベレがワイドのレーンでプレーすることで、グリーズマンは得意の右のハーフスペースを起点に躍動しました。PKを含め、決定機を外しまくったので印象は最悪だと思いますが、裏を返せば、決定機まではスムーズに作れていたと言うこともできます。キーパスも4本記録しましたし、メッシがいなければトップ下の位置であれくらいはできるということを証明できたと思います。
バルサボール非保持時
ベティスの守備があまり上手くいってなかったことでバルサはいつになく攻撃が上手くいきました。が、守備が全然ハマっていないのはバルサも同じです。
バルサの守備は「ザ・中途半端」。まずどこからプレスに行くのが不明瞭です。この試合の前半はメッシが不在で、前線の2枚は走れて守備のできるアンスとグリーズマン。やろうと思えばプレスもかけられるし、効果的にブロックを組むこともできたはず。しかし明確なスイッチやルールがないため、「行くの?行かないの?」的な中途半端な守備が目立ってしまっています。
そのため、よくあるパターンとして、十分に最終ラインにプレッシャーがかかっていない状況で、ブスケツとフレンキ―がフラフラと相手のボランチに食いついて後方のスペースを使われてしまう現象があります。ボランチに連動してCBが前に出て行ければいいのですが、再三申し上げている通り、バルサのCBはスピードがないので思い切って前に出て行くことができていません。
結果的に、バルサもベティスも似たような守備の問題を抱えていたわけです。この試合は5-2という派手な打ち合いとなったわけですが、両者の高い攻撃力を示した試合というよりは、むしろどちらも守備の不安定さを露呈したという表現の方が正しいのかなと思います笑。
ただ、ベティスとバルサの違いとして、バルサは中央突破を試みる回数が多いのに対して、ベティスはサイドから崩そうという意図を感じ取ることができました。特に見ごたえがあったのが左サイドのトライアングル。スピードと突破力に優れたテージョとモレノが縦関係になり、彼らを内側をからトップ下のカナーレスがサポートする形。
ポジショナルプレーの原則では、サイドの選手が同レーンに立つことはあまり好まれませんが、ベティスは敢えてサイドに2人立たせていました。その狙いはバルサの右サイド側の選手を引っ張り出すことで内側を強襲しようというものでしょう。もっと具体的に言うとスピードに乏しいピケをサイドに釣りだせたら勝ち。スピード勝負なら確実にテージョに分がありますから、彼の速さを存分に活かすための罠ということです。
バルサの右サイド守備ユニットの3人(ピケ、セルジ・ロベルト、ブスケツ)はそもそもスピード勝負に弱い上に、右サイドハーフのデンベレは非保持時に全く頼りにならないので困ります。あまりにデンベレの守備が酷いので、前半の終盤はグリーズマンが非保持時右サイドハーフに回っていましたね笑。
デンベレは今季攻撃面では好調です。この試合でも先制ゴールを決めましたし、効果的な縦突破も増えてきました。今後守備面に目を瞑りながら起用していくことにはなると思いますが、騙し騙しでどこまでやれるか。守備面に目を瞑らせるのであれば、さらにデンベレには結果が必要になってきます。
それにしてもバルサは早急にボランチの立ち位置をボール保持時、非保持時共に修正しなければなりませんね。保持時はバランスがとり切れていないため、カウンターの防波堤になりきれていませんし、非保持時は前方にプレッシャーをかけに行って簡単に後方を突かれるシーンが目立ちます。
4-1-2-3であれば、アンカーがバランサーとしてのタスクを担えばいいわけですが、今のバルサはダブルボランチを採用しているため、役割が不明瞭になることが多々あります。そこは今後の課題ですね。流石にここは今後修正が入るとは思います。
試合雑感
そんなこんなで前半はどっこいどっこいだった試合でしたが、後半から投入された神が結局試合を決めてしましました。足首に不快感を抱えていたため先発落ちしたわけですが、本当なのかと疑ってしまうようなプレーでした。
メッシを投入したことで、グリーズマンがストライカーの位置に上がるのかと思いましたが、グリーズマンはトップ下のままでしたね。そのため、グリーズマンはメッシ投入後もそれほどプレーしづらそうではなかったと思います。尤も、ベティスの守備があまり上手くいってなかったということは加味しておくべきかなと思います。メッシがあまり下がらなくてもライン間でボールを受けられるというのは大きいですね。
そして、メッシ投入後はグリーズマンがボール非保持時に1枚下がってボランチをケアするのを意識していたと思います。メッシがいた方が逆に守備の指針が定まるというのはあるのかもしれませんね。メッシに今季初のPK以外でのゴールが出たのも大きかったです。
本当に痛いのはアンスの離脱。今季1番のポジティブ要因だったのは間違いなくアンスの活躍でした。そんな彼が4か月の離脱・・。流石にこのニュースには凹んでしまいました。
LATEST NEWS | Ansu Fati has successfully undergone surgery for the internal mensicus injury in his left knee; the operation was performed by Dr. Ramon Cugat under the supervision of the Club's medical services.
— FC Barcelona (@FCBarcelona) 2020年11月9日
ALL THE DETAILS: https://t.co/cLAW4W9USg pic.twitter.com/4SGu1aH0C3
アンスは最早「期待の若手」ではなく今絶対必要な「絶対的レギュラー」でした。得点力は勿論のこと、サイドからの仕掛け・裏抜けができ、ストライカーのタスクもこなす。おまけに守備面でも頼りになるという唯一無二の存在だっただけに離脱は戦力的にあまりに痛すぎますね。18歳にそこまで依存するのもどうなんだろうって気もしますけど。
アンスが4か月いなくなるということで必然的にサイドアタッカーとしてデンベレにかかる期待は大きくなります。ただ、前述した通り守備の不安はありますし、怪我のリスクも彼は高いので、継続的に先発させるのは難しいかもしれません。
個人的に期待したいのはBチームのコンラッド。シーズン前のプレビューでも注目選手として挙げたこの左ウイングを是非起用して欲しいところです。スピードに優れ、裏を突く動きに定評がある彼はアンス不在のバルサで貴重な戦力になるはず。今季まだ出場機会はないものの、度々ベンチ入りはしているので、期待はできそうです。
いずれにしてもトップ下タイプの多いバルサではあるので、4人のアタッカーの内、最低1枚はデンベレ・トリンコン・コンラッドのようなサイドアタッカーを起用して欲しい感はありますね。でないとどんどん攻撃が詰まってしまうので・・。
とりあえず代表ウィーク明けにコウチーニョが戻ってくるでしょうから、序列はこのようになりますかね。2列目に関してはグリーズマン、コウチーニョ、デンベレ、ペドリを軸に回していきそうですね。コウチーニョの怪我明けの状態も気になるところですが、アンスがいなくなったことでメッシに次ぐセカンドストライカーとして、グリーズマンに掛かる期待はさらに大きなものになるでしょう。
また、気になるのはペドリとコウチーニョを今後どう共存させていくのか。コウチーニョ離脱時、2列目を支えたペドリですが、やはりベストはコウチーニョと同じく左のハーフスペースで活用すること。勿論、右でも使えるペドリなのですが、2列目にペドリ、コウチーニョ、グリーズマンを並べるのはどうなんだろうという気はします。
さて、2週間の代表ウィークを挟んで、次節はアトレティコ・マドリ―と対戦します。ここまで5勝2分でリーグ戦で唯一の無敗をキープしているチームとの対戦は前半戦最大の山場になるはずです。厳しい戦いになると思いますが、ここで敗れてしまうと優勝戦線から本格的に外れてしまうので、何としても勝ち点を奪いたいですね。
それにしても、またしても2週間、バルサの試合がないのは辛い・・笑
最後までお読みいただきありがとうございます。