こんにちは!はい、ということであっという間にリーガ2戦目を迎えたバルセロナ。クーマンバルサの初陣はビジャレアルとのホームゲームでしたが、見事4-0で勝利。上々の滑り出しでシーズンを始めました。
今節は敵地パライードスでセルタと対戦。昨季辛くも最終節で残留を決めたセルタは、ここまで3試合消化で1勝2分の負けなし。まずまずのスタートを切りました。内訳はバレンシアに勝利、エイバルとバジャドリードに引き分け。
昨季のパライードスでのセルタ戦と言えば、2-2で引き分け。結果的にここで勝ち点を落としたことがリーガを落とした大きな要因となりました。今節はリベンジの意味も込めてしっかりと勝ち点3を積み重ねていきたいところですね。
スタメン
ホームのセルタは前節バジャドリード戦から2人のスタメン変更。ベルトラン、ノリートに代わって、Bチームのフォンタン、ヴェイガが先発起用されます。前節の4-4-2ではなく、恐らくメンバー的に5-3-2が濃厚ですね。昨季後半戦対バルサと同じ布陣になりそうです。
一方のバルサは大勝したビジャレアル戦と全く同じスタメンに。この先の日程は詰まっているものの、ローテーションよりもチームの熟成を優先した格好です。まあ、開幕2戦目なので、それでいいと思います。ある程度引いてくることが予想されるセルタに対してどのような崩しを見せるのか注目したいところです。
両チーム陣形・噛み合わせ
バルサボール保持時
前回対戦と同じ、5-3-2でバルサ戦に挑んだセルタですが、布陣は同じでもアプローチは異なりました。
ご覧の様にセルタは積極的に高い位置からプレスをかけてきました。前回対戦はセルタが残留争い中だったため、重心を低くしたアプローチとなっていましたが、今回はまだ4節でセルタも無敗ということもあって積極性を見せてきましたね。4-2-3-1対5-3-2なので、噛み合わせは良好。フリーになりそうなバルサの両SBはWBが出て対応。WB(マージョ)に合わせて右CB(アイドゥー)、リベロ(ムリージョ)、左CB(オラサ)もスライドをして4バックを作るような恰好に。
中盤はバルサが正三角形なのに対し、セルタは逆三角形を築くのでばっちり噛み合います。「中盤の選手は中盤が、サイドの選手はウイングバックが掴まえる」が原則のようでした。例えばコンテのチームの様に積極的にインサイドハーフがサイドバックを潰しに行くようなことはほとんどありません。
それに対するバルサのビルドアップ。クーマンは前任のキケ・セティエンに比べるとよりスピーディ―に縦にボールを運ぶことをチームに要求しているような気がします。
前節のビジャレアル戦ではフレンキ―がDFラインに下がる3+1の形が多かったのですが、今日に関してはフレンキ―は降りていくことが減り、その代わりSBの初期位置を低くしていました。
その狙いは恐らくセルタの中盤の選手(先述した通り、バルサの中盤3枚を抑えるのが仕事)を中盤に留めておくこと。そして低い位置のSBを餌にWBを引っ張り出してDFラインを分断すること。CBのスライドのタイミングでメッシ・コウチーニョがフリーになることで素早く縦への配給が可能になります。そういう意図があったかは定かではありませんが、現象としては起こっていました
特に素晴らしかったのはこの試合のコウチーニョのボールレシーブの能力。細かいボディフェイクをボールを受ける前に挟むことで、マーカーとの間に間合いを確保。ビルドアップの終着点として何度も後方からの縦パスを引き出していました。特に左ハーフスペースに流れて引き出す動きは秀逸ですね。
今日のコウチーニョは凄まじかった。やっぱりあのポジションだと活きるってことを証明した。ボールを受ける位置が効果的であり、レシーバーとして機能した。変にこねるシーンも激減。自慢のテクニックをチームのために使えるようになっており、ドイツでの1年間は無駄じゃなかったのかも。
— Hikota (@BarcaHikota) 2020年10月1日
ただ、1つビルドアップで気になった点が。今日はそれほどピンチを招きませんでしたが、ビルドアップが詰まった際のロングボールのターゲットがいないことが少々気になりました。これまでバルサは詰められたらテア・シュテーゲンの高精度のフィードでルイス・スアレスに当てるというのが原則になっていましたが、彼がいない今、その受け皿になるべき選手が不在です。
全ての状況でショートパスを繋いだビルドアップができるわけではありません。相手を背負ってロングボールを受けられる選手は今後、必要になる瞬間は来そうな気はします。
セルタはハイプレス時でなければ、きっちり後方で5-3-2のブロックを組みます。何かバライ―ドスのバルサ戦だけ異様に守備が堅くなる気がするのですが、気のせいでしょうか笑。
バルサボール非保持時
さて、続いてバルサのボール非保持時。先ほど布陣の噛み合わせの話をしましたが、当然攻守が変わっても布陣は噛み合ったままです。
バルサはセルタのビルドアップに対して、左右非対称の3-4-3のような形で対応。サイドハーフ2人がサイドのCBのところまでプレッシャーをかけ、トップ下コウチーニョはアンカーのタピアを監視していました。
ちなみに前節ビジャレアル戦では上図のような形でプレスに行っています。当たり前ですが、守備陣形は決まったものではなく、相手によって変わるものです。しかし近年のバルサはほぼほぼ4-4-2で守るしか選択肢がありませんでした。レビューを書いている人間としては毎試合変化があるとありがたいですね笑。
セルタはバルサのプレスに対しての狙いはイアゴ・アスパス、エムレ・モルの2トップをSB裏に走らせることでバルサのCBを引っ張り出すこと。CBの機動力不足はバルサの明確な弱点ですから、理に叶っていたと思います。精度自体はそれほど高くありませんでしたが、実際ラングレをサイドに引っ張り出して退場させることができました。あの判定はあまりに厳しかったと思いますが・・。
撤退時はビジャレアル戦と同様、4-4-1-1をベースに守るのですが、サイドハーフのアンス、グリーズマンは逆サイドにボールがあるとき、中央に絞って守備を行っていました。
この2戦を通して、クーマンはかなりサイドハーフの守備には注文が多いことが見えてきました。
「私はペドリとトリンコンはデンベレよりもディフェンス面で貢献できると考えている。彼ら(ペドリ、トリンコン)がプレーしたのはそのためだ」
Koeman: "I think Pedri and Trincão can contribute more defensively than Dembélé can, that's why they played."
— barcacentre (@barcacentre) 2020年10月1日
とはクーマンの試合後のコメントですが、このコメントからも裏付けは取れますね。グリーズマンは勿論のこと、アンスは守備面でも本当に良くやってくれています。ただ、そうは言っても消耗が激しいポジションにはなりそうなので、これからもサイドハーフは交代前提の起用になってきそうではあります。
試合雑感
前半は両チームシュートそれぞれ2本とスタッツ的には静かな展開になりました。しかし、バルサは自分たちのやりたいことを表現するとともに、素早いネガティブ・トランジションで相手の攻撃の芽を摘み続けました。雨と風の影響で最後の崩しの部分が若干雑ではあったものの、ビルドアップやトランジションの部分は上々だったのではないでしょうか。
ただ、先述した通り、セルタは明確な意図を持って守備に入ったので攻略するのは簡単ではありませんでした。プレスとリトリートを上手く使い分けながらバルサをそれほど快適にプレーさせませんでした。アンス・ファティがいなければ0-0で前半を折り返していたかもしれません。
それだけにアンスの先制点の意義は大きかったですね。控えめに言って化け物ですね、この選手。ファーストタッチで相手をかわし、右足のアウトサイドでニアサイドに見事に流し込みました。前も書きましたが、この選手が優れているのは様々なパターンでゴールが狙えること。2試合で早くも3ゴール。現在プリメーラ得点王です笑。
それ以降はチャンスは作れなかったものの、セルタをコントロールできていました。しかし、40分過ぎ。ラングレが2枚目のイエローカードを食らい退場。これはちょっと厳しかったですね。ファウルなのは間違いないですが、イエローかどうかは・・。これでラングレは3シーズン連続の退場ということに笑。手を出す癖があるので、審判団にちょっとマークされている可能性もあります。今後気をつけて欲しいです。
クーマンはすぐさま、グリーズマンを下げてアラウホを投入。コウチーニョを右サイドに回し、4-4-1のフォーメーションに変更。後半は防戦一方になると思いましたが、後半6分にメッシの突破からのクロスがオラサのOGを誘い、数的優位のバルサが追加点を得ます。
「脱メッシ依存」の感のあるクーマンバルサ。メッシは守備にも走るようになりましたし、いい意味で絶対的な存在ではなくなりつつあるのかもしれません。しかし2点目、3点目に繋がった突破の様に一瞬の爆発力で違いを作る能力はいまだに世界一です・・。むしろ数的不利になってからのほうがスペースがあって活き活きとしていた感すらあります笑。
メッシの守備貢献度が上がっているのは本人の意識の問題だけではなく、ちゃんとカラクリがある。
— Hikota (@BarcaHikota) 2020年10月2日
例えばドリブル数。
ビジャレアル戦が4、セルタ戦は3。昨季は1試合あたり約8回ドリブルを仕掛けていた。フルスプリントでのドリブルの数を抑えることで、その分のエネルギーを守備に使えてるイメージ。
そして、4バックに変更してきたセルタの攻勢は、エンリケ時代から培ってきた4-4ブロックでシャットアウト。あまりに選手たちが4-4で守ることに慣れていて、数的不利でも一切ジタバタしない姿には思わず感銘を受けました笑。これも1つの遺産ですね。
後半ロスタイムにはカウンターから、最後はセルジ・ロベルトが新加入のデストへの「宣戦布告弾」を決めてダメ押し。バルサが難しいスタジアムと数的不利を乗り越え、大勝を収めました。
まとめ
まずは結果が素晴らしい。前節に続いてクリーンシート+大量得点で2連勝を飾りました。セルタに大きなチャンスを与えませんでしたし、逆にバルサは数少ないチャンスをモノにした格好です。決定力の差といえばその通りですが、それだけが要因だけではありませんでした。
今のバルサは11人全員がやるべきことやっている印象です。ハードワークを怠りませんね。メッシですらサイドの深い位置で守備することを厭わないほどです。そして素晴らしいのはチームが今の戦い方に手ごたえを感じていることでしょう。開幕戦のレビューでも書きましたが、方向性は正しいと思います。
DFラインには依然として不安が残りますが、補強はあるでしょうか。今日の様にCBを引っ張り出されることが多くなるとピケ・ラングレコンビはやはり不安です。新加入のデストも含めて今のバルサのSBは全員攻撃寄りですし。
今日はアラウホが緊急出場しましたが、このまま3人体制(ウムティティとトディボは未だに去就不透明・・)でシーズンに入るのは危険ですね。個人的にはマンチェスター・シティのエリック・ガルシアは今すぐに欲しいタイプではないと思うのですが・・。
さて、次節はセビージャと対戦します。昨季4位のEL王者。大一番が早速やってきます。ラキティッチとの再会も楽しみですが、今のバルサのサッカーがCL出場クラブにどれほど通用するのか期待しましょう!
最後までお読みいただきありがとうございます。