Hikotaのバルサ考察ブログ

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【マッチレビュー】20-21 ラ・リーガ第18節 グラナダ対バルセロナ

こんにちは!ミッドウィークのビルバオ戦に勝利したバルサは、今節グラナダとのアウェイゲームに臨みます。

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グラナダはここまで7勝3分6敗で7位に位置しています。今季はELに出場していますが、見事グループステージを通過。リーガでもしっかり結果を残しており、その実力は確かなものがあります。昨季の主力であるカルロス・フェルナンデスは抜けたものの、代わりにルイス・スアレス(スペインの方)、ホルヘ・モリーナらを獲得。しっかりとチーム力をキープしていますね。

 

スタメン

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グラナダミッドウィークにコパ・デル・レイの2回戦を戦っており、その試合から9人の先発変更。左SBのネヴァ、ボランチブライス以外の選手はコパの先発から外れており、大幅にコパでローテーションしたことが分かりますね。ベンチにはルイス・スアレス、ホルヘ・モリーナなどのアタッカーが控えます。

バルサビルバオ戦から1人の先発変更、のはずでしたが、ウォーミングアップ中にアラウホが負傷。急遽ウムティティが出場することとなります。ラングレも累積警告により出場停止なので、ミンゲサ&ウムティティの急造CBコンビとなります。CB以外はビルバオ戦と全く同じ先発なので、疲労は心配ですね。

 

 両チーム陣形・配置・噛み合わせ

バルサの新機軸のまとめ

グラナダの基本フォーメーションはいつも通りの4-2-3-1。バルサビルバオ戦に引き続きメッシをCFに置く4-3-3でゲームに入ります。

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バルサボール保持時イメージ

このメッシCFの4-1-2-3はまだ2試合目なので、特徴を簡単にまとめておきます。

まずはボール保持時。アンカーのブスケツが2CB間、またはCBの横に落ちることで3バックを形成ブスケツをビルドアップの中心としながら前進を試みます。クーマンバジャドリード戦やエイバル戦で3CBをテストしましたが、それに比べると2CB+ブスケツのビルドアップの方が遥かに円滑に進むことは言うまでもないでしょう。

そしてその3バックの前にはフレンキ―が第二のアンカーとして君臨。この4人のスクエア、またはトライアングルがビルドアップの中心となります。ただ、フレンキ―はあくまで第二のアンカーなので、ポジション的な制約を1アンカーの時ほど受けません。

ということで、バルサのビルドアップでよく見られたのがメッシが下がってボールを受け、そのタイミングでフレンキ―がライン間に進出するというポジションチェンジ。特にこの試合はミンゲサ&ウムティティの急造CBコンビだったということもあってかメッシがビルドアップを助けに行くシーンが多く、その分、空いたスペースにフレンキ―が進出するという挙動が見られました。上下動が多いタスクの方がフレンキ―の良さは出ますね。

今度何かの記事で書こうと思ってますが、フレンキ―はゲームをコントロールする選手ではないと僕は考えています。今季はフレンキ―をビルドアップの中心としてクーマンは置きたかったのだと思いますが、それはある程度ブスケツに任せながら、彼自身は縦横無尽にピッチを駆け回った方がチームとしてはベストなのではないでしょうか。

反対のインテリオールであるペドリはフレンキ―と比べると下がり過ぎず、ライン間でボールを引き出すことに注力しています。彼は最早メッシと並ぶ崩しの核なので、できるだけ高い位置でプレーさせたい選手の1人です。グリーズマンの位置を見ながらハーフスペースで奥行きを作る彼もまた不可欠な選手です。

両ウイングも左右でそれぞれタスクが違います。右のデンベレは大外のレーンでボールを受けることが多く、スペースがない時は時間を作る役割。スペースがある時は、裏へのラインブレイクやドリブル突破など、溢れんばかりのスピードを活かしたプレーで相手ゴールを脅かします。デンベレを後方からサポートするのは右SBのデストです。

一方のグリーズマン左サイドを拠点としながら左ハーフスペース、中央のレーンに進出。メッシが空けたストライカーのタスクを担います。積極的に裏を狙うことで相手のDFラインと駆け引きをして、ピン留めする役割を与えられているようです。その分、左の大外が空いてしまいますが、そこはアルバのエリアなので、むしろアルバからすると視界が開けていいのかもしれません笑。

大外のレーンからはデンベレ、中央ではグリーズマンが相手DFラインにプレッシャーを与えることでDFラインを硬直させ、中盤で数的優位を作る意図もありそうです。スアレスの記事でも書きましたが、相手のCBやSBが中盤化するメッシ狩りに参加出来ないような仕組みを作るのは大切なことです。

メッシはどこにいても自由に動くのですが、初期配置がサイドではなくCFなので、動いても全体のバランスが崩れにくいという利点がこのシステムにはあります。サイドが初期配置だとどちらかのサイドのバランスが取れなくなってしまうことが多いのですが、それがないのが大きいですね。

メッシは右サイドだけではなく、左にも頻繁に流れ、ペドリやアルバとの絡みを見せます。そして左サイドで密集を作るため、右ではフレンキ―とデンベレというスピードのある2人がスペースのある状態でプレーできているのがアドバンテージとなっています。

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4点目のシーン

例えば、後半に決まったグリーズマンのゴール。大外のデンベレからの見事な浮き球パスを叩いたゴラッソでしたが、これはチームの狙いが1つ出た得点ではないでしょうか。ウエスカ戦からの流れで、チャンネルに飛び込むフレンキ―や大外で待つデンベレを活かそうという狙いは垣間見えます。

ペドリやメッシは密集地帯でも難なくボールを扱えるタイプの選手たちであり、逆にデンベレやフレンキ―は開けたスペースで本領を発揮することのできるフィジカルモンスターです。このコンセプトは理に叶っているのではないでしょうか。

続いてはボール非保持時。

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バルサボール非保持時

これまでのレビューでも書いた通り、「基本的にメッシには二度追いさせない」が原則クーマンバルサ。つまりメッシは追ってもCB1人まで。となるともう片方のCBどうする?という問題が発生することに。

これには2つのソリューションがあって、「メッシが追っていないCB側のWGがプレッシャーにいく」もしくは「CBにはプレッシャーをかけず4-1-4-1のブロックで構える」のどちらかになります。前者に関しては開幕当初から実践していますね。守備で最も計算できるグリーズマンがCBとSBを両方見ることが多かったです。

しかし、WGがCBを見る=SBがフリーになり易くなってしまうという図式になってしまいます。それを防ぐため、SB、CBと1枚ずつズレていくことが多いのですが、これはかなりリスクのあるプレスのかけ方ではあります。

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バルサの同数プレスのイメージ

今日は快足を飛ばして広いスペースをカバーするアラウホが不在だったこともあってか、プレスをかけるというよりブロックを作って構えることが多かったですね。

バルベルデ時代もスアレス不在の試合ではメッシCFの4-1-2-3を採用していましたが、その際は、インテリオールのどちらか1枚がメッシと同じラインまで上がって4-4-2を形成していました。

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バルベルデ時代の可変

クーマンバルサではこのような可変は見られず、インテリオールは相手のボランチをケアするのが原則となっています。中盤中央の選手はあくまで中盤をケアするというのがクーマンの方針なのでしょうか。プレスはかけていないものの、ブスケツ+フレンキ―+ペドリの中盤センターになってから中央を割られるシーンは減ったと思います。

グリーズマンは勿論のこと、右サイドのデンベレビルバオ戦から急に真面目に守備に取り組むようになったので、守備ブロックの強度は高くなっています。デンベレはもう少しハーフスペースへの縦パスのコースを切って欲しい場面はあるものの、やろうとしている姿勢が見られるのでいいですね。

この守備方針の天敵は蹴れるCB。CBにプレッシャーがあまりかからないので、フリーで精度の高いフィードを対角線に蹴られると対応が難しくなります。グラナダのCBはそれほど蹴ってきませんでしたが、ビルバオ戦ではヌニェスのサイドチェンジに苦しめられました。

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対応しにくいサイドチェンジ

CL決勝トーナメントで対戦するパリやマドリ―のCBはかなり高精度で飛ばせる選手が揃っていると思うので、この部分は突かれそうな気はしています。尤も、4-4で守っていた時期に比べると4-5-1で守れる分、守備の厚みは増していますし、マシではあると思います。メッシを抱える以上、ここは受け入れなければならないリスクですね。

試合の話

あんまりこの試合の話をしていないので、簡単に振り返りましょうか。グラナダは立ち上がりから積極的に来たものの、DFラインと中盤が少々分断されてしまった感じがします。グラナダビルバオと同じくベタ引きはしなかったものの、バルサのビルドアップユニットにプレッシャーをかけ切れず、結果的に中途半端な守備陣形になってしまったと思います。

特にブスケツとフレンキ―が縦関係になっているので、両方を抑えるのは難しいですね。4枚のユニットをCFとトップ下で抑えるのは難しいです。その上、メッシが下がってくるのでバルサのビルドアップに中々蓋が出来なかったのはグラナダとしては苦しい部分でした。

先述した通り、デンベレグリーズマンが前線にいる効果は高く、特にデンベレのスピードはDFラインを押し下げる一因になっていると思います。彼自身のこの試合のパフォーマンスはイマイチでしたが、最低限のタスクは守備面を含めてこなしていましたし、何をするか分からないので相手守備陣からするといるだけで嫌な選手ではあるのだと思います笑。

グラナダの攻撃でキーマンになったのは右サイドのプエルタス。彼が右の高い位置で時間を作ることで攻撃の起点となっていましたね。プエルタスは上背のあるアタッカーなのでアルバとのミスマッチ狙いだったのでしょうか。一方、左のマチスからの攻撃があまりなかったのはちょっと気になりました。

グリーズマンの先制点はラッキーでしたが、その先制点でバルサはリズムを取り戻すとグリーズマンのアシストからメッシが決めて2点目、さらに今季初のメッシのFK弾で3点目で試合としては勝負あり。前半の時点で勝負は決した感があります。今日のメッシはフラストレーションを露わにするシーンもあっただけに2得点を奪えてよかったですね。

 

試合雑感

またしてもアウェイで勝利。これでアウェイで4連勝。1月のアウェイ連戦では地獄を見ることを覚悟していただけに2021年に入って3連勝を飾っているのはいい意味で驚きです笑

今季ここまで最適解を探し続けてきたクーマンですが、ようやく1つの答えを見つけたのかもしれません。勿論、ペドリの大ブレイクや、デンベレの復活+パワーアップという要因もありますが、試行錯誤した甲斐がありましたね。正直僕はクラシコでの采配を見てこれはもうダメかなと思っていたので、よく持ち直したなと思います。

勿論、主力は固定されてしまっていますし、怪我人が出れば一気にピンチになってしまいそうなので、決して盤石ではありません。しかし、ビルバオ戦のレビューでも書いた通り、方向性はこれで間違っていません。ここ2試合はメッシを活かしながら、他の選手も良さを出せているので、これを熟成させて欲しいと思います。

気になるのはアラウホの負傷。サイズとスピードを持ち合わせる選手なので、どうしても筋肉系の怪我が多くなってしまいますね。CBの選手で細かい離脱が多いようだとちょっと今後が心配なので大事ないと良いのですが。彼のスピードは今のチームに不可欠なだけに負傷癖はつけて欲しくないところです。

さて、3連勝を飾って迎えるスーペルコパ。リーグ戦では3位まで順位が上がったものの、首位アトレティコとの勝ち点差は4(アトレティコバルサより消化試合が3試合少なく、全部勝たれると勝ち点差は16に開く)という状況なので、アトレティコが今後大コケしない限り、リーガ制覇は今のところ現実的ではありません。なので、獲れる可能性のあるタイトルは全力で獲りに行くべきです。

今日の采配を見る限り、クーマンもスーペルコパに対する意欲は持っているようです、2つ勝てば、2020年には1つも得ることが出来なかったタイトルが手に入ります。この勢いを活かして、スーペルコパを勝ち取り、それ以降のリーグ戦や2月のCLに繋げられたら言うことはありません。まずはソシエダ戦。勝利を祈りましょう。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。