Hikotaのバルサ考察ブログ

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【マッチレビュー】19-20 ラ・リーガ第1節 ビルバオ対バルセロナ

こんにちは!ついに19-20シーズンのリーガエスパニョーラが開幕しましたね。皆様、今シーズンもよろしくお願い致します。

さて、早速試合を振り返っていきましょう。

■スタメン

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ホームのビルバオはお馴染みの4-2-3-1。何でもビルバオは今シーズンまだ補強がないようです。未だにバスク純血主義を貫くクラブだけあって補強はなかなか難しいのかもしれませんね。しかし上澄みがない分、チームとしての成熟度は高そうですね。1トップのウィリアムスは先日2028年まで契約を延長し、話題に上がりました。

一方のバルセロナもお馴染みの4-3-3で試合に挑みます。4-0と快勝したナポリ戦と全く同じスタメンで来ました。残念ながらメッシは怪我の影響で開幕には間に合わず。ブスケツラキティッチがベンチスタート。ビダルやアルトゥールといったコパ・アメリカ組はベンチ外となりました。

 

■前半

ロングボールに強い2トップ

試合開始はビルバオのキックオフ。いきなりバルサの左サイドにロングボールを蹴りこんだことからも分かるように、この試合もビルバオはダイレクトでシンプルな展開を志向してきました。勿論リーガのチームなので後方からのビルドアップは試みますが、詰まれば簡単に前線に長いボールを送り込みます。

その際に武器となるのが空中戦にめっぽう強いラウール・ガルシアと爆発的なスピードを誇るイニャキ・ウィリアムスのコンビです。ラウールガルシアが制空権を握り、ウィリアムスは裏のスペースを陥れる。シンプルな戦略ですが、相手にとっては非常に嫌な攻撃ですね。

そしてチームとして徹底していたのはとにかくバルサの両サイドバックの裏を狙うこと。特に左サイドバックジョルディ・アルバの裏を徹底的に突こうとしていたため、これに関しては監督から明確な指示が出ていたと思います。特にウィリアムスがアルバの裏に走りこむパターンは何度か見られましたね。

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本当にシンプルなのですが、単純にウィリアムスが速すぎてかなり手を焼いた印象を受けました。ビルバオ自体もウィリアムスを活かしていこうという意図は見てとれました。両サイドハーフ(特にムニアイン)はドリブラータイプですが、この試合ではほとんど単騎で仕掛ける場面は見られず、内側に絞りウィリアムスやSBのためにサイドのレーンを空けておくという振る舞いが多かったです。

崩しのパターン自体はそれほど多くはなく、裏のスペースを閉じられるとロングレンジのミドルシュートを打つなどしてとにかく攻撃を完結させたいという意図は窺え、バルサはなかなかカウンターに持ち込めない展開が続きます。

ビルバオバルサ対策

さて、バルサと対戦するうえで大切になってくるのが、どのようにバルサのビルドアップを止められるのかというところでしょう。この試合の前半、ビルバオバルサのシュートを2本に抑える守備を披露しましたが、どのような工夫をしていたのでしょうか。

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図はビルドアップの一例です。注目してほしいのはアンカーのフレンキ―にピッタリとラウールガルシアが付いています。ここが前半のポイントの1つで、ビルバオバルサの攻撃の起点となり得るアンカーの選手にマークをつけてきました。

ボールに触りたいフレンキーは様々な局面に顔を出し、ボールを引き出そうと試みます。多くの方が指摘している通り、ここがフレンキーの大きな課題ですね。アンカーの選手に求められる仕事は「ボールを前に運ぶこと」であって、「多くボールを触ること」ではありません。

極端なことを言えば、たとえアンカーの選手がワンタッチもしなかったとしても、良い形で前線の選手にボールが入ればそれでビルドアップのお仕事は完了です。ブスケツはこの辺りのバランス感覚が素晴らしく、マークに来る相手を上手く利用するプレーに長けています。まあまだブスケツと比べるのは酷な話ですが、それだけ彼にはまだまだ伸びしろがあると思います。またこの件に関しては詳しく書きます。

話を戻すと、フレンキ―が封じられたとなるとインテリオールの2人に組み立てでの貢献を期待したいところですが、残念ながらこの日のセルジ・ロベルトとアレニャはあまりビルドアップの局面で貢献することができませんでした。

セルジ・ロベルトは最早中央の選手ではないという印象を受けました。フリーランニングは非常に意欲的に取り組んでいましたが…。アレニャは過去記事でもお伝えした通り、ラストの崩しの部分で力を発揮するタイプの選手の上に、ほとんど左足しか使わないのでプレー選択の幅の狭さが気になりました。

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とにかくフレンキ―に蓋をされたことでバルサは前にボールを運ぶことがなかなかできなくなりましたね。上手く前進したとしても素早くビルバオは自陣に後退し、ブロックを作ってしまうので崩すまでには至らず。ブロックを作った相手に対してはサイドから剝がしていきたいところですが、グリーズマンとアルバの息はあまり合っておらず、デンベレ・セメドの右サイドはお察しの通り笑。

特にビルバオ側の意図として右サイドバックのセメドにボールを意図的に集めているという部分もあったと思います。セメドからは効果的なパスはあまり出てこないので、ビルバオの守備の意図は非常に当たっていましたね。この課題をセメドが克服できるのかどうかが、今シーズンのバルサを占う上で大きなポイントになってきそうですね。

さらにスアレスも負傷退場となり、非常に暗雲漂う前半となりました。バルサが悪いというのもありますが、ビルバオが上手くやった前半という見方の方が正しいかなと思います。

 

■後半

ラフィーニャラキティッチ、ビルドアップの出口と入口

さて、後半です。前半の35分辺りで負傷したスアレスに代わり投入されたラフィーニャ、後半開始からアレニャと交代で入ったラキティッチが後半のバルセロナを変えます。

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まずラキティッチが入ったところでフレンキ―の他にもう1人低い位置でビルドアップに携われる選手が入ったところでビルバオはプレスの的を絞りづらくなりました。ラキティッチに釣られてボランチが出て行けばその分、後ろが空きます。ラキティッチは決して難しいプレーをしない選手で、意外性はない分、シンプルに展開を進めることがでます(ここが海外のクレに嫌われるプレーでもあるのですが)。

ラキティッチがビルドアップの入口であれば、ビルドアップの出口となったのがラフィーニャです。ラフィーニャが優れているのは、ピッチ上のどの位置でもボールを受けられるところです。この試合では右ウイングの位置に留まらず、様々な位置に顔を出し、ボールを引き出していました。

彼のような選手が1人いるとパスを出す後ろの選手は非常に楽ですよね。こうしてラキティッチラフィーニャの貢献により、 ビルバオを少しずつ自陣に押し込めることに成功します。

メッシ抜きの崩しは・・

となると最後の課題はラスト30メートルの局面です。結果として1点も奪えなかったことからも分かる通り、あまり上手くいった印象はありません。中央のグリーズマンは終始窮屈そうにプレーしていました。本来崩しの急先鋒を担うべきデンベレは眼をそむけたくなるプレーを繰り返すばかり。可能性を感じたのはラフィーニャの個人技と、アルバアタックくらいですかね。

この崩しの局面においてはメッシに依存している部分がやはり大きいですね。特にラストパスの質に関しては、メッシに全てを委ねている感はいない時にこそ浮き彫りになりますね。ラキティッチもセルジ・ロベルトもラストの局面では存在感を発揮できるタイプではないので・・。

先述した通り、メッシがいないと出し手不足になりがちな傾向はこの先チームのアキレス腱になってくるのではないでしょうか。個人的にはこのような試合こそ、カンテラ期待の中盤の選手を起用すべきだと感じてしまいました。

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攻めあぐね、サンマメスで引き分けだったら御の字かと思い始めた終了間際、途中出場のアドゥリスにスーパーゴラッソを食らい、失点。アルバとデンベレのお粗末な対応が最後の最後で失点に繋がってしまいましたね。このまま試合は終了。バルサは開幕戦で手痛い敗北を喫してしまいました。

 

■雑感

負けてしまいましたが、個人的にはあまり悲観していません。まだ開幕戦ですし、ここからチームは良くなっていくと思います。ただ、メッシ抜きでのチーム作りは考え直したほうがいいかもしれませんね。今回は大勝したナポリ戦のメンバーを信頼したという形でしたが、ビルバオ相手にはあまり効果的なメンバ―ではありませんでした。

選手層が厚くなるということは選択肢が増える分、チームマネジメントが難しくなることに繋がります。特にバルサのようにチーム内でヒエラルキーが明確に決まっているチームでは。上手く選手を使い分けて欲しいところですが、そこはバルベルデが苦手な部分なのでどうなりますかね。

人員整理もあまり進んでいませんし、最後まで移籍市場を注視する必要がありそうです。いずれにしてもこれでシーズン開幕です。不安もありますが、ここから楽しい日々が始まりますね。できるだけ前向きに応援しましょう!

 

最後までお読みいただきありがとうございました。