こんにちは!国王杯で無事ベスト8に進出したバルサは、今季3度目となるビルバオとのゲームに挑みます。
リーガでのビルバオ戦では3-2で勝利したものの、スーペルコパ決勝では同じスコアで敗れてしまったバルサ。タイトルがかかった一戦で2度リードしたにも関わらず、逆転負けを喫した悔しい試合でしたね。今節は2位マドリ―がレバンテに敗れており、勝利すれば勝ち点で並べるチャンス。厳しいゲームが予想されますが、勝ち点3が何としても欲しいゲームです。
リーグ戦のレビュー
スーペルコパ決勝のレビュー
スタメン
久々にホームカンプ・ノウに戻ってきたバルサはブスケツが出場停止。代わりにここ2試合出番がなかったピャニッチが先発出場を果たします。尚、11月のアトレティコ戦で負傷して以来、長期離脱をしていたセルジ・ロベルトが招集メンバーに約2ヵ月ぶりに復帰しています。出番はあるでしょうか。
アウェイのビルバオはミッドウィークのコパから9人の先発変更。左SBのユーリが負傷から復帰しています。あとはスーペルコパ決勝のスタメンと同じなので、この11人がマルセリーノの現時点でのベストメンバーですかね。前節はヘタフェを5-1でボコボコにしているので、チーム状態はかなりいいと言えるでしょう。
両チーム陣形・配置・噛み合わせ
バルサボール保持時
今季のここまでの2試合の対戦と同様に、ビルバオは4-4-2、バルサは4-1-2-3が基本フォーメーション。ですが、過去2試合と大きく異なるのはブスケツが不在であること。この要素が試合にどう影響するかは1つの注目ポイントになってきます。
ブスケツのポジションにはピャニッチがそのまま入ることが予想されましたが、実際はフレンキ―がブスケツのポジションに入り、ピャニッチが右インテリオールに入る形になりました。恐らくピャニッチの守備力を考慮しての配置になったと思います。
しかし、人が変わってもビルドアップの形は大きくは変わらず。フレンキ―が2CB間に落ち、ピャニッチが3バックの前のアンカーとして君臨する3-1のビルドアップスタイルです。ビルドアップの中心であるブスケツがいなくても、システムは変えてきませんでした。
しかし、ブスケツ&フレンキ―の縦のラインに比べると、フレンキ―&ピャニッチは流動的なポジショニングになっていることが多く、ピャニッチが落ちてフレンキ―が前に出て行ったりというシーンがちらほら。これはブスケツ&フレンキ―の時はあまり見られなかった挙動です。
ビルドアップの的を絞らせないという意味では、フレンキ―とピャニッチの出入りはまあまあ有効だったとは思います。特にアラウホはビルドアップが不安なので、「とりあえず渡しておけばOK」の状況を作ってあげることは大切ですね。
とはいえ、フレンキーが最後尾にいることが基本なので、ここ数試合のバルサの武器の1つであったフレンキーのペナルティエリアへの飛び出しは試合を通してほとんど見られず。クーマンもフレンキーの得点能力が武器であることは分かっていると思いますが、ブスケツ不在なので、安定感を優先させた格好ですね。
ピャニッチはピャニッチで後半にウナイ・シモンのビッグセーブを強いるヘディングシュートを放つなど存在感は見せたものの、フィニッシュの部分ではフレンキ―には及ばないので、本来であれば逆がよかったと思いますが、そこはクーマンがピャニッチを信頼しきっていない何よりの証明だなと。
ビルバオはスーペルコパ決勝に比べると、プレスは控えめに。スーペルコパでは下図のように前線からボールを奪いに来ましたが、この試合はカンプノウでの試合ということでそれほどのプレスはかけずコンパクトなブロックでライン間を圧縮するアプローチになりました。どちらかと言うとサンマメスでの試合に近いイメージですね。
ハイライン・コンパクトネスのビルバオ相手だとやはり中々ライン間にボールを配給するのが難しくなってしまいます。これはラージョ戦と同じ展開ですね。
このような状況で活きてくるのは両翼。背後を頻繁に狙うグリーズマンと右サイドの高い位置に張り出すデンベレ。この2人がDFラインを釘付けにする役割を担います。特にグリーズマンが頻繁に裏を狙い、それによってできる相手のDFラインと中盤のラインの間にギャップをペドリが活用するのは最近のバルサのお馴染みのパターンになります。
例えばグリーズマンやデンベレをボールを求めて下がってくるようになってしまうと渋滞間違いなしなので、彼らが前線にいることにはちゃんと意味があります。
このバルサの4-1-2-3の最大の利点はそれぞれの役割がはっきりしていること。2CB+アンカー+右インテリオールはビルドアップ隊。右インテリはフィニッシュの局面に深く関わることも求められます。デンベレとアルバが幅取り役で、ペドリとメッシがライン間、グリーズマンが裏狙いのストライカー役になります。役割とプレーエリアが被らないのが以前のクーマンバルサとの最大の違いです。
ただ、ここに溶け込めていないのが右SB。ミンゲサもデストもボール保持時にチームの文脈に上手く入りこめていないのが現実です。デンベレが大外、メッシがハーフスペースに位置取り、後方は3バック+アンカーで安定するので、俺どこにいればいいの状態になることが多いですかね。
ここ数試合はミンゲサが低い位置で受ける→ビルドアップが詰まるという現象が起こってしまいます。ミンゲサのフィード自体は良いので、良い裏へのボールなどは見られますが、ここが1つの狙い所になってしまっているのは否めません。これはデストでも同じような状況になっていたので、若い2人にはキツい制約なんだろうなと思います。
ミンゲサのアシストは値千金でしたが、どちらかと言うと苦しんでいた時間の方が長かったので、ここは何とかしなくてはなりませんね。
このコンセプトであれば大外でも内側でも柔軟にプレーできるセルジ・ロベルトがやはりファーストチョイスになるでしょうか。中盤でもプレー可能な彼であれば、上手くメッシやデンベレと連携しながらチームの流れにスッと入っていくことができるはず。この試合では中盤での途中出場となりましたが、次は右SBで動きを確認したいところですね。
序盤は前進に苦労しましたが、グリーズマンのラインブレイクやデンベレへのサイドチェンジを織り交ぜながら少しずつペースを掴んでいくと徐々にメッシやペドリが良い位置で受けられるようになっていきます。メッシは言うまでもなく、ペドリの凄みは試合を重ねるごとに増しており、彼らが気持ち良くプレーをすることが勝利への近道になります。
メッシのFKは見事でした。あのコースに蹴れたらGKもDFも防げません。例の報道後も全力でプレーし、あのFKを決めるメッシ、本当にプロフェッショナルです。
あの胸糞悪い報道があって、心配されたのはメッシのメンタルだった。しかし、試合が始まれば精力的にプレスをかけ、力強いドリブルを披露するキャプテンの姿があった。最も集中力が必要とされるFKをこのタイミングで決める姿には熱くなった。本物のプロフェッショナル。
— Hikota (@BarcaHikota) 2021年1月31日
ただ、勿体ないのは全体として微妙なパスズレが多いこと。疲労が溜まっているというのもあると思うのですが、イージーなミスでチャンスを潰してしまうシーンが目立つのは気になるところです。そこの精度や連携がもっと熟成されてくれば、今後楽に勝てる試合は増えてくるかなと思います。
狙われたミンゲサ
前半はバルサペース。FKによる1点に終わったものの、ビルバオのシュートを1本に抑えるなど上手く試合をコントロールしました。
地上戦ではウィリアムスと、空中戦ではラウール・ガルシアと互角以上に渡り合うアラウホの守備能力は今更言及する必要もないと思いますが、この試合で特筆すべきはウムティティのパフォーマンスの良さ。持ち前の前で潰す強さを発揮し、安定感のあるプレーで90分を終えました。
ここ3シーズンは負傷の影響で本領を発揮できなかった彼ですが、この試合のパフォーマンスはW杯前の水準に最も近いレベルだったと思います。ウムティティのここ2試合のリーグ戦でスタメン出場を果たしています。今季ラングレのパフォーマンスが不安定なだけに、序列が入れ替わるかもしれません。
ただ、彼は人工芝ではプレーさせられないくらいには膝の状態が思わしくはないのは確かなので、このパフォーマンスが継続するかは疑問が残るところ。彼をフル稼働させるというよりはラングレと併用させながらというイメージでしょうか。
2CBが安定しているので、試合を通じて殆どチャンスを許さなかったバルサ。特にビルバオ自慢の2トップに仕事をさせなかったのは大きかったですね。
となるとビルバオが活路を見出したいのはサイド。特に後半に入って狙われたのは右SBのミンゲサでした。
ミンゲサの対面はムニアイン。ビルバオで最も危険アタッカーです。スーペルコパでも散々やられたので、ここは自由にしたくないところです。ということでミンゲサはムニアインに釣られやすい状況が前回対戦の伏線としてあったということは頭に入れておきましょう。
前半に比べると、後半はムニアインがかなり中寄りでプレーしていました。恐らく狙いはミンゲサを内側に引っ張り出して、その背後のスペースを活用すること。受け渡しができればいいんですけど、ミンゲサはマンマーク気味にムニアインについて行くことが多かったので・・・。
同点弾の場面もまさにそのような形で奪われました。ミンゲサが空けてしまったスペースにラウールガルシアは流れ込んでクロス。そのクロスをアルバがオウンゴールをしてしまい、喫した失点でした。ここは明確に狙われていたと思いますし、ビルバオからするとそれが実った形での得点でしたね。
ただ、このミンゲサの対応が後手に回った状況が最小限の傷で終わったのは、デンベレの貢献による部分が大きいと思います。デンベレはこの試合も精力的に守備に取り組み、対面のユーリの上がりにちゃんとついて行く姿勢を見せました。ユーリに自由な攻め上がりを許さなかったことはこの試合の展開を考えると決して小さなものではありませんでした。
この試合のデンベレは攻撃面ではそれほど調子が良いわけではありませんでした。何度か良い突破もありましたが、どちらかと言えばキレがない状態だったと思います。しかし、そのような状況でもチームに貢献できるようになったのが彼にとって大きな成長ですかね。
思い返せば、クーマンは就任当初、デンベレの守備意識の低さを指摘、改善を要求していました。ようやくそれが実ったということなのでしょう。クーマンが就任した恩恵を最も受けたのはデンベレなのかもしれません。
試合を観ている時は、あまり感じませんでしたが、ビルバオの方は少しコンディションが悪かったかもしれません。国王杯のローテで主力は休めたはずですが、それでもこの連戦の中でどのチームの選手の疲労感はあるのでしょう。となると選手の疲労感が拭えなくなってくる今後はやはり個の力で分のあるチームが有利になってくるやもしれません。
試合雑感
良く勝ちました!厳しいゲームでしたが、きっちり勝ち点3を奪うことができましたね。これでマドリ―と勝ち点で並んで2位。アトレティコの背中は遠いままですが、ようやくこの位置までたどり着きました。紆余曲折あった今季ですが、1月は結局スーペルコパ決勝以外は全勝。素晴らしいですね。
メッシの契約がリークされる(する)という前代未聞の大珍事が起こったあとのチームのリアクションとしては100点だったのではないでしょうか。特に2点目のゴールパフォーマンスで控え組も含めて全員で得点を祝っていたのが印象的でした。クラブはゴタゴタしていても「チームは団結している」という強いメッセージだったように思います。契約書をリークしたクラブ内の方にはさっさとご退場願いたいところです。
Koeman: "Whoever has leaked Messi's contract cannot have a future at Barça."
— barcacentre (@barcacentre) 2021年1月31日
さて、2月に入りました。2月17日にはビッグマッチ、CLのPSG戦1stレグが待ち構えています。そこまでに国王杯グラナダ戦、ベティス戦、国王杯準決勝(勝ち進めば)、アラベス戦と4試合を消化する予定です。約2週間で4試合。相変わらず厳しい日程となっています。
セルジ・ロベルトが戻ってきましたが、それでもお世辞にも選手層が厚いとは言えない現チーム。なるべくPSG戦まではこのスカッドをキープして欲しいところです。
最後までお読みいただきありがとうございます。