はい、こんにちは。ようやくインターナショナルウィークが終わり、リーガが戻ってきました。今節はバレンシアと対戦。近年バルサにとって強敵であり続けたバレンシアですが、今大混乱に陥っています。なんと9月11日、マルセリーノ監督の解任が発表されます。
マルセリーノと言えば、リーガ屈指の戦術家としてリーガファンにはお馴染みですよね。低迷していたバレンシアがCLの舞台に戻ってこれたのは間違いなく彼の手腕によるものです。特に昨シーズンは序盤戦絶不調に陥りながらも、何とか持ち直し、最終的には4位でフィニッシュ。そしてコパ・デル・レイではバルセロナを破って優勝を果たします。
解任の理由はオーナーとの確執が原因とのことです。詳しい事情は僕も知りませんが、かなりマルセリーノと選手にとっては気の毒な判断となってしまいましたね。マルセリーノが組織する4-4-2はバルサはかなり苦手としているので、こちらとしては有難いのでしょうが・・。同じリーガのチームとしてバレンシアの今後はとても心配ですね。マルセリーノの今後の幸運も祈っています。
■スタメン
まずはホームのバルセロナ。GKとDFラインは8月の3試合と変化がありません。セメドを外すことも考えられましたが、ちゃんと起用してきましたね。中盤はファンの多くが望んでいるであろうトリオ。前線はペレスとグリーズマンに加えて、16歳のアンス・ファティがスタメンを飾ります。非常にフレッシュな顔ぶれになりました。ベンチにはケガ明けのルイス・スアレスが入りました。
バレンシア戦、スタメン。
— Hikota (@BarcaHikota) 2019年9月14日
右ラテラルは引き続きセメドが務め、中盤なブスケツ・フレンキー・アルトゥールが揃う。両翼はペレスとアンスが担当。
マジか。若い。そしてリプ欄。バルベルデアウトが激減してる笑笑 https://t.co/gMuY3RA9HF
FCバルセロナの公式Twitterアカウントのリプ欄からバルベルデアウトのハッシュタグが消えたのには笑ってしまいました笑。まあ良いものを良いと評価できるのはいいことなのですが。
一方のバレンシアはいつも通りの4-4-2。新監督のセラーデスも流石にこの短期間で自分の色は出せないので、マルセリーノの形を踏襲した形ですね。長期離脱のカルロス・ソレール以外は基本的にベストメンバーではないでしょうか。GKには昨シーズンまでバルサに所属していたシレッセンが起用されています。
■前半
スパークを放つアンス、見逃せないフレンキ―とペレスの貢献
前半の頭から、バルサがボールを保持し、バレンシアがブロックを作ってボール奪取から速攻を狙う展開になります。が、予想は勿論されていたことですが、バレンシアの守備にいつものような強度を感じることができませんでした。無理もありません、突然の監督交代で選手たちのモチベーションは著しく下がってしまったのでしょう。いつものような球際の激しさや運動量もなく、なんとなく塊で守っているような状況が続きます。
そしてバルサの立ち位置もバレンシアを苦しめます。ご存じの通り、この試合でウイングのポジションに入ったペレスとアンスはどちらもワイドに張るタイプの選手です。何度もお伝えしている通り、中央を固める相手を攻略するカギはサイドに眠っています。
バルサボール保持時の陣形は大体このようにイメージしていただければいいと思います。今シーズンのバルサの特徴としてウイングがサイドのレーンに入り、その分空いたハーフスペースにインテリオールが位置するという立ち位置の変化が挙げられます。この位置取りによりバレンシアの4-4-2は効果的にプレスをかけることができませんでした。
先制点が生まれたのは試合開始早々の前半2分のこと。アンス・ファティの2試合連続ゴールの要因を解説していきます。
まずは最終ラインのピケから高い位置のペレスに早いパスが入ります。ここでまず注目したいのはセメドのポジション。セメドが若干内側に入ることでピケからペレスへのパスコースが確保されています。もしかするとバルベルデから修正が入ったのかもしれませんし、もしかしたら偶然かもしれません笑。いずれにせよ、高い位置でウイングを活かすためにはサイドバックのポジショニングが非常に重要になってきます。
高い位置でボールを受けたぺレスには当然対面のガヤがプレスに行きます。すると一瞬空くチャンネル(CB-SB間)のスペース。そこに位置取るフレンキ―に良いタイミングでペレスがパスを入れると、すかさず斜めに猛然とダッシュ。このランに左CBが完璧に釣られると、内側へのパスコースが空きます。そこに完璧に走りこんだのはアンス。冷静にゴールネットを揺らし、バルサが先制点を奪います。
アンスのフィニッシュ能力にはひたすら脱帽ですが、この得点は是非過程も評価して欲しいところです。特にペレスの動きは一見の価値があります。この得点シーンだけでもハイライトで見直すことをお勧めします!笑。
これで勢いに乗るバルサは7分に追加点を奪います。左サイドでアルバからのスルーパスにアンスが抜け出すとエリア内でガライと1対1になります。この1対1をアンスが縦突破で制すると、マイナス方向にクロスボール。これをフレンキ―が押し込み、嬉しいバルサ移籍後初ゴールをマークしました。
いや、これもアンススゲー!案件なのですが、実はこの得点の直前にも見逃せないムーブメントがありました。
アルバがスルーパスを繰り出す直前、フレンキ―がチャンネルランを仕掛けました。当然対面の左CBの選手はフレンキ―の動きに合わせて下がります。しかし統率が取れていないバレンシア守備陣は誰もラインを合わせようとせず、図のように不揃いに。オフサイドラインが下がった状態であれば、スピードのあるアンスが背後を取るのは容易です。
単純にバレンシア守備陣のミスという話でもあるのですが、昨シーズンには見られなかったウイングやインテリオールの活発な動きによってこの前半の2点は生まれたと個人的には考えています。だからこそ細かいところですが、フレンキ―やペレスの動きは評価していきたいところです。
そして、アンス。彼は化け物ですね。カンプ・ノウデビューで1ゴール1アシスト。前回のマッチレビューでも伝えた通り、まだまだ粗削りな部分は散見されますが、まさかここまでやるとは・・。過度な期待は禁物ですが、大事に育てることができれば、本当に素晴らしい選手になってくれそうな予感がありますね。
バレンシアの不出来を差し引いても前半のバルサはポジティブ要素満載。
— Hikota (@BarcaHikota) 2019年9月14日
アンスは化け物。よく分からないパスミスはあれど、1ゴール1アシスト。
フレンキー、アルトゥールの連携も問題なく。グリーズマンはワンタッチプレーを多用してリズムを生む。地味に効いてるペレスの立ち位置。などなど。
ネガトラを機能させるCFグリーズマン、心配なアンカー脇
今シーズンのバルサのもう一つの特徴がネガティブ・トランジション(攻→守の切り替え)の速さが挙げられるでしょうか。とにかく今シーズンは失ったボールを早めに奪い返すことを各選手が徹底しているように映ります。即時奪回はここ4試合の高い支配率の要因の一つであることは間違いありません。
そしてそのネガトラの急先鋒になっているのがスアレス離脱後にCFを務めているグリーズマン。チームがボールを失うや否や、相手に襲いかかる姿はアトレティコ次第となんら変わりませんね。最前線の選手があれだけ守備に参加をすれば、後ろの選手たちは相当楽になりますよね。本当に頭が下がります。
ここまでのグリーズマンに対しては賛否両論あるようですが、個人的には少なくとも及第点は与えられるのではないかと考えています。全くスタイルの違うチームから加入しながら、チームのリズムを壊すことなく、組織に溶け込んでいるのは彼の選手としてのハイクオリティを示していますよね。
勿論まだ本領発揮とはいかないでしょうが、バルサの新加入選手は自分の色を出すよりもまずスタイルに慣れることが優先です。ここから徐々にグリーズマンの特長が出てくるはずです。
距離感がいいぶん、ネガトラで即時奪回が機能している。てっぺんの選手のトランジションが早いとこれだけやれる。
— Hikota (@BarcaHikota) 2019年9月14日
ただこういうメンバーを起用すると守備強度は落ちるというのは垣間見えた前半だった。支配率の割に決定機に結びついていないっていうのもマイナスポイント。
でもかなりポジティブ。
ネガトラは上手く運んではいるものの、課題が垣間見えたのは相手のボール保持時の守備。まさに前半の失点もその不安要素を突かれた形となりました。
前半27分、バルサは自陣に引いての守備を強いられます。左CBのガブリエウからガライにパスが入ります。この時、4-4-2の左ボランチに入っていたフレンキ―がなんとなくガライにプレッシャーをかける構えを見せます。しかし、フレンキ―が出て行くことでライン間のスペースが空いてしまいます。相方のアルトゥールもカバーすることができず、絶好のスペースでボールを受けたロドリゴに反転され、ガメイロにスルーパスが通り失点してしまいます。
終始、バレンシアを圧倒していただけに非常に勿体のない失点の印象がありますが、このメンバーであればある程度ブロックの強度が下がってしまうのは織り込み済みでしょうか。例えばラキティッチやビダルがいればあの危険なスペースは未然にカバーされていたかもしれません。そういう意味ではフレンキ―とアルトゥールに関して言えば、セットした守備の時の挙動を改善する必要があると思います。
■後半
アルトゥールとフレンキ―の役割分担
前半は2-1で終えた両チーム。後半開始からの交代はありません。流石に前半の出来はやばいと思ったのか、バレンシアは後半の立ち上がりは積極的に前に出て行くようになりました。しかし、次第にバルサに押し込められるとトーンダウンしてしまいます。
すると、後半6分にバルサがバレンシアを突き放す3点目を放ちます。バレンシアのカウンターを難なく防ぐと、アルトゥールが中盤で1人ドリブルでかわすとペナルティーエリア前やや右寄りのグリーズマンにパス。グリーズマンは強烈なシュートを見舞うとこれをシレッセンが弾き切れず。ピケがこぼれ球を押し込みます。
この試合でアルトゥールとフレンキーが初めてスタメンでコンビを組んだわけですが、やはりボール保持時のクオリティは高いものがありました。先述した通り、フレンキ―はかなり前線への飛び出しを意識していました。そのため、アルトゥールは若干抑えめのポジションを取っていたものの、昨シーズンと比較すると格段にプレーエリアが前よりになりましたね。
フレンキ―がより、ゴール前に近いポジション取りで得点に関われば、アルトゥールはシンプルにボールを散らしながら時折見せるリズムチェンジの縦パスやドリブルで相手の守備組織を壊しにかかる。しかもこの役割はそれぞれ逆も担えるので、相手としては非常に的が絞りにくいと思います。
両者とも意欲的にネガティブ・トランジションにも取り組んでいるため、高い位置でボールを奪い返すこともできていました。あとは先ほども書いた通り、自陣に引いた時の守備強度をどう確保するかですかね。
圧巻のスアレス
前半15分、アンスに替えてケガ明けのスアレスが投入されます。もう少しアンスのプレーが見たかったというファンもいるでしょうが、これは賢明な判断でしょう。アンスはまだ16歳。超逸材とはいえ、しっかりとフィジカルが出来上がるまでは慎重に起用すべきでしょう。アンスはまだプレーしたい!って顔をしていましたが笑。
さて、この流動性と献身性を併せ持った現チームにスアレスは果たして合うのだろうか?という疑問は当然あるわけですが、その疑問に対して「結果」の2文字で一発回答してしまうのがこのザ・ストライカー。
投入直後、ペナルティーアーク付近でアルトゥールからのパスをスアレスが受けると、すかさずかさずペレスが斜めに走りこみ、その空いたスペースにアルトゥールがスプリントをかけます。この二人の動きに合わせてスアレスは2回キックフェイントを入れると、ノーステップでシュート。これが左ポストに当たってゴール。正真正銘のゴラッソです。
正直なぜあれが入るのかわかりません笑。こういうところがスアレスを外しづらい所以でしょうね。いや、本当にびっくりしてしまいます。ペレスの動きも流石でした。何度も言いますが、彼のようにオフの動きで相手を動かせる選手は今のバルサにとって貴重ですね。
スアレスは37分にもビューティフルゴールを決めてドブレーテ。完全に後半の主役になってしまいました。またまたバルベルデにとってこれは嬉しい悩みの種ではないでしょうか。
終了間際にバレンシアに得点を許してしまい、後味の悪い終わり方になってしまいましたが、5-2でバルサの勝利。バタバタとしているバレンシアを圧倒する見事な勝利でした。
5-2バルサ勝利。
— Hikota (@BarcaHikota) 2019年9月14日
ホームでは2試合連続でマニータ。圧倒的スアレスの得点力。ちょっとあれをやられるとスアレス外しがますます難しくなる笑。いや、本当にお見事。
ただ、後半に投入された選手が全員オーバー30というところが今後のバルサの課題を示唆している。
■雑感
「見ていて楽しい」。今のバルサはこれに尽きると思います。ペレス、アンスのカンテラーノ組が躍動し、中盤の選手たちが活き活きとしています。昨シーズンはなかなかお目にかかれなかったプレーの数々が見られますね。まだまだ課題は残っていますが、今は移行期だと考えれば十分良くやっているほうではないでしょうか。
昨シーズンと違うアプローチを志向している分、移行期にエラーが出るのは当たり前。
— Hikota (@BarcaHikota) 2019年9月14日
むしろこの段階で課題が出てくれるのは有難いこと。バルサファンってついつい悲観的になりがちだけど、明るい要素のほうが多いと思う。
ポジティブに。
次はアウェイでドルトムントと対戦します。今朝の練習にはメッシとデンベレが復帰したそうです。いよいよCLの厳しい戦いが始まりますね。スタメンに関しては色々と迷うところではありますが、メンバーが変わっても今のサッカーが続くのが理想ですが果たしてどうなるでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございます。