こんにちは!年明け1発目の試合でウエスカを下したバルサはミッドウィークにビルバオのホーム、サン・マメスに乗り込みます。尚、この試合は昨季のCLで延期されていた第2節の位置づけとなります。
ビルバオは今季6勝3分8敗で9位。何とも言えない成績を残しています。そして、フロントはこの成績に満足いかなかったのか、ガリタノを解任し、後任としてマルセリーノ・ガルシア・トラルを就任させます。マルセリーノは4-4-2の使い手としてリーガファンではお馴染みの監督です。就任したばかりでどこまで彼の色が出るかは分かりませんが、バルサ対策を心得ている監督なだけに怖さはありますね。
スタメン
監督の代わったビルバオは2人のメンバー変更。マルセリーノが就任してからまだ2日しか練習ができていないということなので、そこまで大きくメンバーは変わりませんね。尚、ボランチのレギュラー格であるウナイ・ロペス、実力のあるCBのジェライが負傷により招集外となっています。
バルサの方はウエスカ戦から1人スタメンが入れ替わっています。ブライスワイトが久々にスタメンを外れ、グリーズマンがスタメンに戻ってきました。中2日のゲームですが、それほどスタメンを動かせないのは辛いところですね。今の選手層の薄さが浮き彫りになっています。
両チーム陣形・配置・噛み合わせ
マルセリーノの初戦となったビルバオはラウール・ガルシアとウィリアムスを2トップに置く4-4-2の陣形。デ・マルコスが右、ムニアインは左に入っています。一方のバルサは前節に引き続きブスケツをアンカーに置く4-1-2-3のシステムでこの試合に臨みます。特筆すべきは前線の配置。右からデンベレ、メッシ、グリーズマンの並びになりました。グリーズマンが左でスタートするのは今季初です。
バルサボール保持時
ビルバオの4-4-2が意識するのはやはりコンパクトネス。3ライン間をできるだけ圧縮し、ブロックの外側にボールを追いだします。やはりビルバオの武器はリーガ最速のスプリント能力を持つウィリアムスなので、ビルドアップを引っ掛けてのロングカウンターがやりたいことその一になってきます。
年末に対戦したエイバルほど激しいハイプレスには来ませんが、DFラインは浅く、コンパクトな陣形を保ちながらボール奪取→カウンターのチャンスを窺います。3分のウィリアムスの先制弾はまさに狙い通りの形でしょう。右サイドでデストのパスを引っ掛け、一気にゴールを陥れました。まさにしてやったりですね。
さて、そのビルバオに対してバルサのボール保持時の陣形は上図のイメージ。ブスケツが2CBに間に落ちるサリーダ・ラボルピアーナ。序盤戦の何かのレビューで、クーマンはサリーダを好んでいないんじゃないか?」という説を書いた気がしますが、4-1-2-3の時は割とブスケツは2CB間に落ちているので、システムの問題なのかもしれません。
SBが高い位置を取るのはいつも通りですが、面白いのはフレンキ―のポジショニング。ブスケツが落ちたとき、右に留まらず中盤中央のヘソの部分にスライドします。これは右ハーフスペースに落ちてくるメッシのスペースを空けるためでしょうか。そしてグリーズマンは左から中央へのランニングを繰り返し、ペドリは左ハーフスペースに陣取ります。
前節のウエスカ戦と比べると、一目瞭然だったのは、左右の配置バランスの良さ。メッシを真ん中に置き、ウイングタイプのデンベレを右サイドに配したことで右サイドからの攻撃も増えました。左はグリーズマンが真ん中に入っていきますが、アルバとペドリがいるので自然とボールが集まるようになっています。
ビルバオの2トップに対して3バックで数的優位を作りながら前進したバルサは右はデンベレ、左はペドリを中心に攻勢を仕掛けます。やはりブスケツが降りるとビルドアップが安定しますね。アラウホの繋ぎの部分はかなり心配なのですが、ブスケツが上手くサポートしていた印象です。とりあえずブスケツ先輩に預けておけば感。
3バック+フレンキ―のビルドアップはビルバオの4-4-2にかなり刺さっていたと思います。4人を2トップで見るのは不可能ですし、かといって、サイドハーフやボランチが出てくるとラインが崩れます。ビルバオはそのリスクを冒しませんでした。結果バルサは余裕を持って前進することができたわけです。
この試合は、デンベレの破壊力が凄まじく、得点には繋がらなかったものの、積極的な仕掛けとシュートで脅威になりました。やはりサイドのレーンで仕掛けられるウインガーの存在はバルサにとって不可欠です。デンベレがサイドで存在感を放てば放つほど、内側のメッシはフリーになる傾向があります。デストもデンベレのような選手が前にいた方がプレーしやすそうでしたね。
一方の左サイド。グリーズマンはあまり大外に張らず、早いタイミングで左サイドから中央へレーン移動。裏に抜ける動きで相手のDFラインをピン留め、攪乱するデコイとしての役割を担いました。その動きに伴い、ペドリは左の深い位置に進出。大外は当然アルバが埋めるので、プレーエリアが被らない左サイドの連携はスムーズだったと思います。
まさにチーム2得点目もグリーズマンがフリーランニングで引き付け、ペドリが高い位置でボールを受けて生まれた得点でした。移籍金を考えるとグリーズマンのプレーに満足している人は少ないでしょうが、僕は彼を使うならこのタスクでいいと思います。守備も計算できますし。あとは決めてくれさえすればいいんですけど笑。
また、ウエスカ戦と同じくフレンキ―はセカンドストライカー的に積極的にボックス内に入ってくるシーンが目立ちました。ペドリのゴールはウエスカ戦の得点を彷彿とさせる形でしたし、左からのクロスに対して飛び込めというのはクーマンに指示されていそうですね。ぶっちゃけ左ボランチよりも右インテリのほうがパフォーマンスは良い気がします。
ただ、フレンキ―が積極的にエリア内に飛び込み、ペドリが崩しのキーマンになっている現状はちょっと重心が前がかり過ぎるかなというのは前節のレビューでも書いた通り。例えば、フレンキーが出て行くときは右SBが内側に絞ってカウンターを予防するようなポジションを取るなどの微調整はこれから必要になってくるかと思います。
そして真ん中に置いたメッシはやはりメッシでした。CFがスタートポジションであれば、メッシが動いてボールを受けに行っても、チーム全体のバランスはそれほど崩れません。それでもカウンターを受けてしまう場面も序盤はあったのですが、チームのことを考えるとメッシ真ん中路線で行ったほうが今季はいいのかなと僕は考えています。
右サイドはデンベレの突破、左サイドはペドリとアルバの連携、そして中央はメッシの単独突破と左右中央をバランスよく攻めることができたこの試合のバルサ。グリーズマンのフリーランニングも含めて質の高い崩しは何本かありましたね。これを続けていって欲しいなと思います。
バルサボール非保持時
さて、ビルドアップから崩しまでは円滑に進んだバルサですが、ボール非保持時の挙動はどうだったのでしょうか。
バルサはプレスをかける時、「CBの片方をメッシ、もう片方をメッシがマークしていない側のサイドのWGが担当する」という原則になっています。これはメッシをCFで起用していた序盤戦と同じ方針ですね。メッシの負担を最大限減らすための施策で、「メッシはCBの片方だけにプレッシャーをかけてくれればいい」という状況を作っています。
ただ、このプレスは後方が同数になってしまうケースが多いので、毎回プレスに行けるわけでもなく、特に後半はCBにプレッシャーをかけず、4-5-1のような形でブロックを組んで構えるシーンが目立ちました。そのためビルバオのCBは比較的自由にボールを配給できる状況にありました。
目立ったのは右CBのヌニェスから高い位置を取る左SB(ユーリ、バレンシアガ)へのサイドチェンジ。デンベレーデストサイドを狙ってきた格好ですね。これはフリーで蹴らせる以上、いくつか綺麗に通ってしまうのは仕方ないという側面があります。ヌニェスやイニゴは普通にフィード上手いCBですので、まあフリーならあれくらいは蹴れるだろうなという感じです。
メッシを最前線で使う以上、CBがある程度フリーで持ち運べてしまうのは許容しなければなりません。昨季と比べるとスアレスがおらず、4-5-1で守れるようになっただけでもマシな状況かなとは思います。
ビルバオのもう1つの意図がハーフスペースに位置するサイドハーフの足元へクリーンなボールを届けること。特に左のムニアインにボールが入った時には、チャンスになりそうな雰囲気があります。4-1-2-3では、なかなか内側に入るSHを掴まえにくいですからね。
ただ、今日この試合で僕が最も驚いたのはデンベレの守備でした。何度も何度もデンベレの守備の甘さについては指摘してきましたが、この試合は非常に意欲的に守備に取り組んでいました。びっくりして2つもツイートしたので見てください笑。
今日のデンベレは攻撃面だけでなく、守備も一味違う。相手の左SBの位置を頻繁に確認し、何やら身振り手振りで指示をすることが増えた。恐らくデストに対するものだと思うけど、コーチング的なことをしている。調子が良くて気分がいいのか、チームを自分が引っ張る的な自覚が芽生えてきたのかも。
— Hikota (@BarcaHikota) 2021年1月6日
デンベレはいつ守備を覚えたんだ。後半の何分だか覚えてないけど、内側を守りながらサイドハーフにボールが入った瞬間プレスバックでデストと挟んでボールを奪ったシーンはちょっと熱くなった。内側へのパスコースを切ってから外をケアするという基本ができてたこの試合。気まぐれなのかもだけど笑
— Hikota (@BarcaHikota) 2021年1月6日
内側のムニアインへのコースを遮断しながら左SBへの警戒を怠らないその守備挙動は本当にお前デンベレか?と疑ってしまいたくなるような別人ぶり。何か芽生えたのか、気まぐれなのか。真相は彼のみぞ知るですが(そもそも自覚がないかもしれません笑)、彼があれだけ意欲的に守備に取り組んでいる姿は初めて見ました。
今日は攻撃面での躍動も含めて、デンベレには良い評価点をつけていいでしょう。勿論、これが継続するかどうかはまた別問題ですが笑。もし彼が負傷をせず、継続的に今日のようなパフォーマンスを攻守両面で発揮することができるのであれば、彼のレギュラーは堅いものとなるでしょう。ま、そう思って早3年半なので期待はしすぎないようにしましょうか笑。
なので、思ったよりも堅かった今日のバルサのブロック。2失点はロングカウンターとメッシのミスからなので、崩された!というシーンは殆どなかったと思います。グリーズマン、ペドリ、フレンキ―と守れる選手を中盤に並べているのが大きいですね。アラウホも守備面では文句なしでプレーでウィリアムスに食らいつきました。
ビルバオからすると、中央のルートがなかなか使えなかったのが痛かったですね。もう少しシンプルにラウール・ガルシアへのロングボールを使ってもよかった気がしますが、そこのところどうだったんでしょうね。わりと素直にサッカーしてきてくれたのでバルサからするとやりやすい側面はありましたかね。
試合雑感
よく勝ちました!サンマメスで逆転勝ち、勝ち点3ゲットは素晴らしいと思います。試合終盤は押し込まれ、追撃弾を奪われましたが、3点目を取るところまでの内容は今季最高の出来だったのではないでしょうか。暫定ではありますが、これでバルサは3位に浮上。ようやくCL圏内に入ることができました。
バルサはここ7試合で無敗と徐々に成績が上向いてきました。いつの間にかメッシも得点ランク1位タイになっていますし、ようやくチームが軌道に乗り始めたというところですかね。勿論ヨレヨレな部分は多いものの、ドン底だった11月の後半~12月前半から考えると進歩したと思います。
今日のこのメンバーはそれぞれの個性と強みが出る配置になっていたと思います。チームのバランスもウエスカ戦と比べるとかなり是正されました。やはりメッシを中央に配した方がバランスは良くなります。この方向性で今季はいって欲しいなと思います。
ただ、不安なのは選手層。正直代えの利かない選手が多すぎる感じはします。今日の試合でも過密日程にも関わらず交代枠は2枚しか使えませんでした。トリンコンやリキ、コンラッド、ピャニッチらはやはりクーマンからの信頼が薄い模様。補強が欲しいというクーマンのアピールなのかもしれませんが、両インテリオール、両SB、メッシ、ブスケツ、アラウホらの負担はかなり大きいと思います。
チームが上手くいき始めているだけにメンバーはなかなか入れ替えづらいというのがクーマンの本音だと思いますが、今後を見据えるとやはり試しておくべき選手は試しておきたいですね。まあ今日の試合でも使われないあたり、リキは厳しいんでしょうけどね・・。
ペドリはこの試合でも本当に凄まじい活躍を見せつけ1ゴール1アシスト。最早欠かせない選手になっています。それだけにそろそろ休みが欲しいところ。今季リーガでは全試合に出場するなどかなり肉体に負担はかかっているはず。毎試合11キロ近く走っていますし。せめてペドリを休ませる勇気は持って欲しいかなと思います。
さて、次節はグラナダとのアウェイ戦に臨むバルサ。今季ELとの二足の草鞋を履いていながら、7位につけている好チームです。ELでもきっちり決勝トーナメントに進出していますし、その実力は本物です。ただ、ここで勢いを止めたくはありません。グラナダ戦後にはスーペルコパも待っているので、しっかりと勝ち点3が欲しいところですね。
最後までお読みいただきありがとうございます。