Hikotaのバルサ考察ブログ

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【マッチレビュー】20-21 コパ・デル・レイ決勝 ビルバオ対バルセロナ

こんにちは。先週勝負所のクラシコで敗れてしまったバルセロナ。約1週間の休みを挟んで、ビルバオとの国王杯決勝に臨みます。

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ビルバオとは今季4度目の対戦となります。リーグ戦で2回、スーペルコパ決勝で1回対戦して2勝1敗。リーグ戦では2勝しているものの、スーペルコパ決勝では悔しい逆転負けを喫してしましました。今回はそのリベンジも込めた1戦となります。

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今季苦しみながらもここまで勝ち上がってきたクーマンバルサ。特に国王杯ではギリギリの戦いを強いられながらも、何とか決勝まで勝ち上がってきました。

それだけにここまで来たらタイトルが欲しいです。若い選手の多いクーマンバルサに必要なのは成功体験、自信だと思います。勿論、リーグタイトルの可能性も存分に残っていますが、まずはこのタイトルを獲って終盤戦に向けた勢いにしたいところです。

 

スタメン

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ビルバオ前節アラベス戦から8人のメンバーチェンジ。4月に入ってこれが4戦目(内2試合が国王杯決勝、2試合がバスクダービー)なので、アラベス戦ではローテーションを敢行した模様です。いつものスタメンと違うのは両SB。カパとユーリはベンチからのスタートとなりました。

一方のバルサディフェンスリーダーのピケが先発に復帰。若干足に違和感を抱えると報道のあったデンベレはベンチスタートとなり、グリーズマンが先発で起用されます。残りはお馴染みのメンバーとなりました。

 

対4-4-2

ビルバオはいつもと同じく4-4-2。対するバルサクラシコに引き続き3-5-2の陣形で試合に入ります。何気にバルサは3バックを本格導入してから4-4-2を相手にするのは初ですね。

この試合のバルサのボール支配率は77%。前半はなんと84%でビルバオに許したシュートはセットプレーからの1本とビルバオにほとんどボールと攻撃機会を渡さなかった45分間でした。

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3-5-2対4-4-2

まずビルバオが苦戦したのは前からのプレッシングの局面で、図の様に上手くプレッシャーがかからずあっさり前進させてしまうシーンが目立ちました。

バルサのビルドアップユニットは3CB+ブスケツ、時々テア・シュテーゲンの5人。それに対してビルバオのプレス隊が2トップだけだと当然プレッシングかからないのですが、サイドハーフボランチがプレッシングに参加する機会はさほど多くありませんでした。

噛み合わせ的にボランチ2枚はフレンキ―、ペドリを監視することになりますし、サイドハーフが4-4-2のラインを崩してどこまで奪い行くべきかは難しいところ。リスクを冒して両サイドハーフが出て行っても5対4を作られてしまいますし。この状況だと数的にプレスがかからないのも無理はありません。

数だけでなく質的に厄介なのはピケとブスケツの縦のライン。良質にゲームを作ることのできる彼らが縦に並んでいることで、相手のプレッシングはハマりづらくなります。ここはアラウホとピケの明確な差ですね。

結果、現象として起こったのが2つ。

1つはミンゲサ、ラングレが2トップの脇から前進してボールを進めた事。ここに蓋をするのはビルバオからすると難しかったと思います。

そしてもう1つが重要で、ゾーン2(ピッチを横に3分割した時の真ん中の1/3)、ゾーン3(アタッキングサードの1/3)に侵入した際に、ブスケツが浮いたことです。

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ブスケツがフリーになりやすい

ソーン1ではラウールガルシアがブスケツをケアする姿勢を見せていましたが、バルサのボールが前進すると「どこまでついていけばいい?」状態になります。ラウールガルシアがブスケツのところまで下がっていく4-4-1-1のような形になっていることもありましたが、そうなるとウィリアムズ対3CBの構図になってしまうので、どちらにせよジリ貧です。

この試合ではピケとブスケツが揃い、また3-5-2と4-4-2のミスマッチということもあってバルサがボールを握れた格好です。ビルバオからすると「持たせる」プランもあったかもしれませんが、シュート1本しか撃てず、約8割の時間ボールを追いかける側だったと考えると、前半はどちらかというと「持たれていた」感覚に近かったかもしれません。

前半はバルサに得点を許しませんでしたが、ファーストハーフの45分間でジャブを撃たれ続けたことで、体力・メンタル両面で削られた結果、後半のゴールラッシュがあったと解釈することもできそうです。ビルバオも短期間で国王杯決勝を2試合こなさなければならなかったので、心身ともにかなり疲弊していた側面はバルサにプラスに働きました。

間延びし、運動量が落ちた後半のビルバオ相手のゴールラッシュは必然だったと思います。

 

圧巻のジェラール・ピケ

ただ、バルサが前半放ったシュートは7本。枠内シュートは僅か1本で、得点の匂いはさほどしませんでした。それでも「持たされている」という感覚が薄かったのは、この試合で復帰したCB、ジェラール・ピケのパフォーマンスが全てです。

至極当たり前の話ですが、いくらマルセリーノ率いるビルバオであっても4-4-2で90分間ずっと受けに回って耐えることは不可能に近い芸当です。「4-4-2のブロックでスペースを消し相手の攻撃をシャットアウトしつつ、カウンターやセットプレーで反撃する」ここまでがビルバオの狙いです。

しかし、この試合のビルバオは「4-4-2のブロックでスペースを消して相手の攻撃をシャットアウトしつつ、カウンターやセットプレーで反撃する」の前半部分は出来ても、後半部分が全くできませんでした

カウンターの急先鋒であるウィリアムズの前に立ちはだかったのはピケ。スピード自慢のウィリアムズを地上戦で完全封殺。裏に抜け出すシーンどころか、味方の上がりを待つボールキープさえもほぼ許しませんでした。

ビルバオからするとエネルギーをかけてバルサの攻撃を跳ね返して、カウンターに繋げようと思ってもすぐ奪い返されてしまうのでたまったものではありません。この試合のピケは即時奪回を1人で完遂させてしまうようなそんな凄みがありました。

対ウィリアムズということでアラウホが必要なのでは、という声も試合前に上がりましたが、スピードが無くても経験に裏打ちされたポジショニングと予測、インテリジェンスがあれば、何の問題もないことをプレーで証明してしまったピケ。ボール出しの部分も含めてやはり彼はCBとして頭1つ抜けています。

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1ゴール2アシストのフレンキ―、素晴らしいドブレーテを決めたメッシが目立ったと思いますが、この試合のMOMは間違いなくピケです。試合を決めたのは彼らかもしれませんが、試合を支配したのはこのディフェンスリーダーでした。

 

光明が見えたフレンキ―×メッシ

後半、躍動したのはフレンキ―。1ゴール2アシストの活躍で勝利に貢献しました。

1点目は右サイドを抜け出し、グラウンダーのクロスでグリーズマンの先制点をアシスト、2点目はアルバのクロスを頭で押し込み、3点目はメッシとの見事な連携で50メートルを2人で突破し、メッシのゴールを演出しました。

前半から見られましたが、この試合のフレンキ―は1点目のアシストのようにサイドに流れるシーンが目立ちました。デストの単独突破だけだとどうしても苦しくなってしまいますし、フレンキ―が外、デストが内側という配置になっていることは何度か見られました。

そして、印象的だったのはハーフタイムの通路でのシーン。試合再開を待つ選手たちの輪の中でメッシが何かをフレンキ―に割と長い時間伝えていました。メッシもフレンキ―も雄弁なタイプではありませんし、彼等がコミュニケーションを密に取るシーンはさほど多くありません。それだけに珍しいシーンでした。

そこに因果関係があるかは分かりませんが、フレンキーは前半よりも深く攻撃に関わるようになり、1ゴール2アシストと結果を残しました。3-5-2は3-4-2-1に比べるとFWが1人少なくなるので、その分フレンキーの攻め上がりにかかる期待は大きいものがあります。

今年に入って、「メッシのクロスにフレンキ―が飛び込む」パターンは何度か見られましたが、フレンキ―をメッシが活かすシーンはさほど多くありません。そのような状況の中で、メッシとフレンキ―2人だけの関係で得点を奪うことができたのは今後の光明になりそうな予感があります。

フレンキーはリベロの方がいいという人もいるでしょうが、コンディションが万全なのであればファーストチョイスは間違いなくピケになります。となるとフレンキ―は中盤で起用されることになります。彼とメッシが個々で頑張るだけでなく、連携で崩せるようになれば、バルサの攻撃は一段上のレベルになるのではないのかなと思います。

 

試合雑感

やりました!クーマンバルサ初タイトルです!!クラシコの敗戦から1週間。気落ちせず、良く勝ちました。

先日書いた変遷記事にも書いたように今季のバルサは決して順風満帆ではありませんでした。なんせ最初の10試合で勝ち点14ですからね笑

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あの状態から持ち直し、タイトル獲得にこぎつけた選手たちとクーマンチームスタッフには拍手を送るしかありません。メッシの退団騒動から始まり、どん底なものになると思われたシーズンにまさかタイトル獲得できるとは思ってもいませんでした。本当に素晴らしいですね。このチームを応援していて良かったなと思いました。

そして、カップを手にしたメッシの笑顔には心を揺さぶられました。メッシが残留するのか退団を選ぶのかは分かりません。しかし、仮に退団したとしても、少なくとも去年の夏に退団するよりは遥かにマシです。だってメッシがトロフィーを掲げる姿が見れたわけですから。昨季よりも地獄のシーズンになる可能性もありましたが、チームもメッシもよく持ち直しました。

勿論、僕らが望むのはメッシの残留です。仲のいいラポルタの会長就任と若手の台頭、そして今回の国王杯優勝が追い風になってくれれば言うことはありませんね。

優勝セレモニーの様子も印象的でした。やっぱりどのタイトルでも優勝はいいものですね。

さて、1つの目標を達成したわけですが、シーズンはまだ終わっていません。リーグの優勝争いはここから本格化していきます。今節マドリ―がヘタフェに引き分けたことで、再びバルサ「全勝すれば優勝」の状況になりました。

このタイトルに驕ることなく、今季2冠目に向けた糧にしてくれればいいですね。長かったシーズンもあと8試合。ここまで来たら2冠を獲って成功のシーズンとして欲しいです!

 

最後までお読みいただきありがとうございます。