Hikotaのバルサ考察ブログ

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【マッチレビュー】20-21 スーペルコパ準決勝 バルセロナ対レアル・ソシエダ

こんにちは!さて、スーペルコパの時間がやってまいりました。昨季からリーグ戦の1位、2位と国王杯のファイナリスト2チームの4チームでタイトルを争う新フォーマットになったスーペルコパ。昨年のこの大会でアトレティコに敗れ、バルベルデが突如解任されたのは記憶に新しいところです。

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今季準決勝で対戦するのはソシエダ。12月の対戦では2-1で勝利しているものの、リーガ屈指の強豪です。12月の対戦ではゲームプランを間違えた感もありましたが、あの対戦から変化はあるでしょうか。

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スタメン

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バルサなんとメッシが突然の欠場。どうやらグラナダ戦で痛めた足の状態が思わしくないようで、ベンチからも外れてしまいました。一方、グラナダ戦を欠場したアラウホはこの準決勝に間に合わせてきました。また、セルジ・ロベルト離脱以降、全試合先発を続けてきたデストはベンチスタート。代わりにミンゲサが先発に名を連ねます。

一方のソシエダは残念ながら、ダビド・シルバがまたしてもバルサ戦欠場。前回対戦では不在だったキャプテンのオヤルサバルはしっかり先発メンバーに入っています。アンカーはスビメンディではなくゲバラをチョイスしてきました。

 

両チーム陣形・配置・噛み合わせ

メッシ欠場のバルサですが、フォーメーションはここ数試合と変わらず、4-1-2-3。デストではなくミンゲサが先発ということで3バックの可能性も考えましたが、ここまで上手くいっている形を踏襲してきましたね。

メッシが務めてきた偽9番の位置にはグリーズマンが入り、グリーズマンの定位置である左WGにはブライスワイトが入りました。真ん中は偽の選手を置き、左にはストライカー役を置くという方針はメッシ欠場でも変わらないようです。急な欠場で準備ができなかった可能性もありますが。

一方のソシエダも前回対戦と同じく4-1-2-3の形を基本とします。

ソシエダのプレスとバルサのビルドアップ

両チームともボール保持を基調とするプレースタイルなので、序盤から主導権の奪い合いが始まります。先にペースを握ったのはソシエダ。激しいハイプレスでバルサの陣内でのボール奪取を狙います。

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ソシエダプレス

GKテア・シュテーゲンからのビルドアップに対してこのようにセットしてプレスをかけることが多かったソシエダ。2CBはCF(イサク)と片方のWGがマーク。もう片方のWGはSBをケア。中盤はグリディをブスケツ番につけ、メリーノとゲバラがインテリオールを監視。中盤に落ちるグリーズマンには主にCBのルノルマンがついて行くのがルールだったと思います。

まさに8対7のビルドアップですね。大抵空くのは片側のSBなのですが、テア・シュテーゲンはSBへのロブパスをあまり多用せず。目立ったのは左WGのブライスワイトへの長いボールでした。ブライスワイトはそれほどエアバトルで強さを発揮するタイプではないので、長身のCB相手の空中戦は明らかに不利です。

しかし、この試合では左WGで起用されていることもあり、対面したのは主に右SBのゴロサベル。ゴロサベルは身長174㎝とそれほど大きくなく、空中戦に強いタイプのSBではありません。ブライスワイトでもここである程度勝てるという勝算はあったのでしょう。かつてシメオネがラウールガルシアをサイドに置いて空中戦で優位性を作ったように、相手のSBを狙い撃ちにする戦術は有効な一手ではあると思います。

ブライスワイトの落としをペドリやグリーズマンが受け取るところまでがビルドアップの1つの狙い。ただ、それが毎回上手くいくはずも当然なく、どちらかと言うと「蹴るしかない」状況に追い込まれたのが前半の序盤だったと思います。蹴るしかない状況でも両足で狙った場所に蹴れちゃうテアが凄すぎるので、きっちり攻撃に繋がるシーンもありましたけどね笑

1ヶ月前の対戦でも、ソシエダは前からプレッシャーをかけてきましたが、彼らのハイプレスを機能不全に追い込んだのは中盤化するメッシでした。

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第19節ソシエダ戦レビューより

普段のバルサはこのようにハイプレスをかけられた時にメッシが低い位置まで降りてきてビルドアップに深く参加するのが特徴です。今更メッシの凄さを言葉にしなくてもいいと思いますが、メッシはフィールドのどの位置でもボールを受け、相手のプレッシャーを難なく剥がすことができます。その上でターンしてからの左足のロングフライスルーパスはまさにラインの高いチームには天敵。

CBがメッシについて行きすぎると裏が怖いですし、ついていかなければ中盤で4対3の数的不利が生まれてしまうジレンマを相手チームは抱えることになります。1か月前のソシエダもまさにこの二者択一に悩まされた結果、中盤で均衡状態を作るためにシステムを4-3-1-2に変更。この変更によりバルサの両SBは自由になり、左SBのジョルディ・アルバの活躍でソシエダを下しました。詳しくはレビューを是非笑

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しかし、今日そのメッシはおらず、グリーズマンがメッシのポジションに入りました。CBを背負ってボールを受けるところまでは頑張っていましたが、ボールを受けてからの単騎での突破力や展開力はちょっと物足りないものがあります。まあグリーズマンに限らず、メッシと比べたら誰だって圧倒的に物足りないので、ないものねだりなんですけどね笑。

相手がメッシではなかったこともあってか、ソシエダの左CBのルノルマンは積極的にグリーズマンを潰しに前に出てくることが多かったと思います。CBにピケがおらず、ブスケツも封じられ、メッシもいない。ビルドアップの要所が不在or封じられたことでショートパスでのビルドアップは上手くいかなかった感はありました

幸運だったのはソシエダがハイプレスの時間帯に得点を奪えなかったこと。ポルトゥやイサクにチャンスが訪れたものの、決め切ることはできず。イサクの決定機を素晴らしい飛び出しで止めたテア・シュテーゲンの飛び出しは光りました

ソシエダのリトリート守備

90分間ハイプレスをかけるわけにもいかないので、ソシエダは前半の半分くらいから徐々にトーンダウン。バルサのボール保持を許して撤退守備へ移行

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ソシエダの5-4-1

ソシエダは4-1-4-1ではなく、アンカーのゲバラをDFラインに落とす5-4-1の陣形ソシエダがここまで徹底的に引くのは珍しいですね。カップ戦ということもあるのでしょうし、12月の対戦を踏まえてのことなのかもしれません。

恐らくソシエダのプランとしては「①ハイプレスの時間帯に先制する(今のバルサならプレスをかければボールを奪える勝算があった?)②先制点を奪ったら5-4-1で自陣に撤退して塩漬け(バルサは今季引いた相手に滅法弱い)③隙があればカウンターで追加点」。こんな感じだったのかなあと思います。

①は実現しませんでしたが、②の方針がバルサに刺さったのは間違いありません。5-4-1相手にバルサは両サイドから崩していきたいところですが、サイドからの攻撃がそれほど上手くいかない状況。右サイドのデンベレ・ミンゲサは各自のパフォーマンスはそれほど悪くなかったものの、急造コンビなだけに連携は微妙な印象がありました。

左サイドはメッシがいる時は左サイドの三角形(アルバ&グリーズマン&ペドリ)+メッシで厚みのある攻撃を見せますが、今日はメッシ欠場でブライスワイトが左WGに入ったことで左サイドの連携もいつも通りとはいきませんでした。何より、アルバはメッシがいないと勢いを失ってしまいますね笑。

フレンキ―&デンベレが右サイドで活きるための大前提は左サイドのトライアングルが上手くいくことにあります。左サイドで上手く相手を引き付けることで、デンベレアイソレーション、またはフレンキ―の飛び出しが最大限に活かされてくるので左右はセットで考えた方が良さそうです。

と、わりと前半はソシエダの大方プラン通りに進んだと思います。それだけに前半終了間際のフレンキ―の得点はまさに値千金でした。良い位置でボールを受けスルーパスを出したブライスワイト、ニアゾーンに走りこんだグリーズマン、迷わずエリア内に飛び込んだフレンキ―。即興感はあったものの、見事に一瞬の隙をついて得点を奪うことができました。

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先日、フレンキ―の記事を出したばかりだったので、このゴールは嬉しかったですね。チームが苦しい状況で点を取ってくれるのは本当にありがたいです。フレンキ―はここ4試合のうち3試合でゴールかアシストを記録するなど、着実にフィニッシュの局面に関われるようになっています

ソシエダとしては先制点を奪えなかったとしても前半0-0で折り返せば、良い前半だったと言える内容だっただけにこの先制点は大きかったですね。

 

試合雑感

バルサの非保持時や後半についてはそれほど書くこともないので、詳しくは書きません。フィジカル的には過密日程+選手層が薄いことでかなり厳しい試合だったなと思います。途中から入った選手を見ても、トリンコン、リキ、ピャニッチ、ジュニオルとクーマンの中であまり信用度が高くないメンバーを使わざるを得ない状況でした。メッシが突然不在になってしまったのも痛かったです。

それだけにこの試合を120分耐えきり、PK戦の末勝利したことは若い選手の多い今のチームにおいて非常に大きな出来事だったと思います。PKは半分運ですけど、PKに至るまでのチームの粘りは特筆すべきですね。褒められた内容のゲームではありませんでしたが、こういう劣勢のゲームをモノにするのもシーズンを戦う上で重要です。

メッシという絶対神が不在だったこの試合でしたが、幸いなことにゴールマウスにも神が立っていました。この試合は文句なしでテア・シュテーゲンの今季ベストパフォーマンスではないでしょうか。前半から見せた高精度のフィード。そして6つのセービングと2つのPKストップ。正直彼がいなければ負けていました。まさにグローブをつけたメッシでしたね。

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そして、守備陣で光ったのはアラウホ。圧倒的な守備範囲は怪我明けでも健在。イサクとの走り合いでは一歩も引きませんでした。怪我明けでコンディションが不安でしたが、今のバルサには必要な選手です。相変わらずビルドアップは物足りませんが、今はそこに目を瞑っても使いたい選手です。

そして攻撃を牽引したのはデンベレ「メッシがいないなら自分が引っ張る」という気概が見えたのが良かったです。まさか彼が120分出られるとは思っていませんでしたし、脚が吊っても出る意思を見せたのは驚きました。逆にハムストリングが心配ですが、その気概で決勝もやってくれたらいいなと思います。

そして、PK戦で5人目のキッカーを志願して勝利を決めるPKを沈めたリキ・プッチ。途中出場で、しかも今季戦力外扱いの選手が自らPKを蹴りに行くのは簡単ではありません。リキ自身もそうですし、チーム全体の士気が上がるようなショットだったと思います。どのみち中盤の層が薄いので、これから出場機会か増えるといいですね。

さて、次の試合はスーペルコパ決勝。相手は準決勝でマドリーを下したアスレティック・ビルバオ。マルセリーノ就任2戦目でマドリー撃破ですから、非常に怖いですね。

10日前のリーグ戦では3-2で勝利したものの、決して磐石の勝利ではありませんでした。マルセリーノのことですからあの試合を元にまたバルサ対策を仕込んでくるでしょうし、ビルバオは大雪で試合が延期になった影響でリーグ戦とマドリー戦の間に1週間ほどのインターバルが開きました。前回対戦とはまた違うクオリティのチームになっている可能性はあると思います。

バルサからするとメッシが出場できるのかどうかがカギになりますが、ダメならダメで今あるメンバーでタイトルを掴み取って欲しいですね。主力の疲労の色は濃いでしょうが、混沌と混迷を極めた2020年からの再スタートということで2021年をタイトル獲得で始められたら最高です。勝って欲しいですね!

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます