Hikotaのバルサ考察ブログ

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【マッチレビュー】20-21 ラ・リーガ第30節 エル・クラシコ レアル・マドリー対バルセロナ

こんにちは!前節バジャドリードに試合終了間際の得点で何とか辛勝したバルサ

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今節はついにクラシコを迎えます!!両チームの勝ち点は僅かに2差。首位はアトレティコに譲っているものの、優勝争いに向けて大きな一戦となりました。

バルサはリーグ戦では12月のカディス戦以降、19試合負けなしと破竹の勢いで序盤戦の躓きを取り返すパフォーマンスを見せており、順調さをアピールしています。一方のマドリ―も怪我人が多い中でしぶとく勝ち点を拾い続け、先日行われたCLではリバプールを3-1で撃破。こちらも状態は良いようです。

お互いに欠場者がいるとはいえ、両チームの状態が良い状態でのクラシコは久しぶりです。勿論勝利が一番ですが、サッカーファンとして面白いゲームに期待したいところです。

 

スタメン

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ホームのレアル・マドリーはCLリバプール戦から1名の先発変更。アセンシオではなく、バルベルデが先発で起用されます。バルベルデが入ったことでシステムがどうなるのか楽しみです。欠場者はセルヒオ・ラモス、ヴァラン、カルバハル、アザールという主力級の選手達です。

アウェイのバルサバジャドリード戦から1名の先発変更。グリーズマンがベンチに下がり、アラウホが先発に抜擢されます。久々にフレンキ―を中盤で起用してきましたね。バルサの欠場者はアンス・ファティ、コウチーニョ、ネトになっています。

 

ジダンの意図を考える

試合前の関心事としてあがっていたのは両チームの人選とフォーメーション。特にマドリ―はここ数試合3バックを使っていましたが、ミッドウィークのリバプール戦では従来の4-3-3で3-1の勝利を収めた事で予想が難しくなっていました。

個人的には3-5-2を予想していたのですが、実際にジダンが選択したのはリバプール戦に引き続き4-3-3でした。

一方のバルサもここ数試合の3-4-2-1ではなく、3月頭のオサスナ戦以来の3-5-2採用となりました。

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基本的に噛み合う形に!

結果、両チームの噛み合わせはこのような形に。ご覧のようにかっちり噛み合う形になりました。バルサからすると「同数マンツーマンでプレッシングに行く」ための条件は満たされており、立ち上がりからプレッシングに行くことには成功しました。

マドリーは4バックでも3バックでも、中盤センターはお決まりの3人が起用されることは分かりきっていたので、そこを抑えるためのフレンキー中盤起用だと思います。ピケは出れるコンディションじゃなかったのでしょうし、セルジ・ロベルトも90分は無理って判断だったのでしょう。

では、マドリーが4-3-3で来た意図はどこにあったのでしょうか。

先述の通り、僕はマドリーの3-5-2を予想していました。その理由は、ジダンバルサのプレッシングを分解してくるのではないか」と考察したからです。

しつこいようですが、今のバルサのプレッシングはシステムが噛み合うことが大前提となっています。つまりアプローチとして、噛み合わせをズラし、バルサのプレスを機能不全に陥らせることでバルサの望むボール保持をやらせない方向性を選ぶと考えていました。

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試合前日の僕の予想

しかし、ジダンは敢えてバルサとシステムが噛み合う4-3-3を選びました。単純にラモスやヴァランというレギュラーCBの不在がそうさせたのかもしれませんが、別の側面も試合から読み取ることができました。

思うに、ジダンは「むしろバルサがプレッシングに来ることを望んでいた」のではないでしょうか。バルサの同数プレスをまともに受けるリスクを負う代わりに、バルサのプレッシングの背後を突くチャンスを得るというリターンを手にしたようなイメージです。オープンな展開はむしろ歓迎とばかりのアプローチだったのではないでしょうか。

その裏付けとなるのがバルベルデとヴィニシウスを両翼に配置したこと。馬力とスピードに優れる彼らはこの試合、幾度となくバルサの高い最終ラインを背後を取り、チャンスを演出しました。マドリーの1点目はバルベルデの長距離のドリブルから、2点目はヴィニシウスがカウンターで受けたファウルの直接FK弾だったので、ジダンからするとしてやったりでしょう。

逆にこの試合に関して言えば、モドリッチやクロースは黒子役に回った印象です。彼ら中心のパスワークでバルサを翻弄するシーンはあまり見られず、ハードワーカーとしてチームを支えました。チームの中心がこれやれちゃうチームは強いです。

僕の予想ではもう少しボール保持を巡っての主導権争いが勃発すると想定していたのですが、マドリーは潔くボール保持はバルサに渡しました。その代わりインテンシティの高いプレッシングとリトリート守備でバルサのミスを誘い、カウンターでバルサゴールを脅かし続けました。

バルサからすると誤算だったのはアラウホのパフォーマンス。ビルドアップ能力は微妙ではあるものの、溢れんばかりのスピードとパワーで相手アタッカーを抑え込む能力を期待されてこのクラシコの先発メンバーとして名を連ねました。

しかし、彼は対面のベンゼマに手を焼いた印象が残ってしまいました。ベンゼマは走力やパワーを武器とする典型的なCFではなく、左右や上下に幅広く動いてボールを受ける9.5番タイプ。ボールレシーブとキープ力に優れる彼がいることでカウンターの成功率はぐんと上がります。

ビルドアップには目を瞑って、守備面の貢献度を見込んで起用されたアラウホだったので、彼にはもう少しベンゼマに対して圧を与えるようなプレーを期待したかったのが正直なところです。ここのデュエルでアラウホが圧倒していれば、バルサのプレッシングはもう少しマドリーにとって脅威だったのではないでしょうか。

( ↓アラウホの3バックの中央が機能しない理由はこちらの記事を参照してください!)

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尤も、アラウホにもエクスキューズがあります。彼が最後にフル出場したのは2/4の国王杯のグラナダ戦。久々の先発出場でいきなりヨーロッパ屈指のアタッカー(しかもタイプ的には苦手)とマッチアップするのは正直苦しかったなと思います。

ピケもセルジ・ロベルトもコンディションが良くない中で、判断は難しいですけど、僕はフレンキーを今まで通りリベロで起用し、グリーズマンを中盤兼第3のアタッカーとして働かせるプランが見たかったなと思います。アラウホを使うなら右だったと思います。思いっきり結果論ですけど笑

 

やれたこととやれなかったこと

バルサからすると「ボールを前から奪いに行く」というやりたい事はやれた前半でした。しかし、やりたい事をやれていたのはマドリーも同じ。そして成熟度で優っていたのはマドリーでした。

マドリーは高い位置からプレッシングに来る場面もありましたが、前述の通りボール保持にはさほど拘っていないので、バルサを自陣に誘い込んでのロングカウンターが本命だったと思います。

バルサからするととりあえずボールを握る事は出来たわけですから、ここからどうマドリーのブロックをこじ開けるか?という部分が鍵になってきます。

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停滞した崩しの局面

今回バルサが採用した3-5-2というシステムではサイドプレーヤーはWBの2人のみ。サイド攻撃が上手く行くかどうかは彼らにかかっています。しかし、この試合のデストとアルバは苦しみ、違いを作るまでに至りませんでした。

まだ周囲と上手く連携が構築できていないデストは右サイドで孤立。メンディ相手に果敢に1対1を挑むも、ここを突破することはできず。また、左サイドのキーであるアルバは右ウイングのバルベルデにガッツリ監視され、得意のラインブレイクをなかなか見せられませんでした。

アルバを封じるのは能力が揃っていれば、意外と簡単です。走り負けない走力と、ポジショニングセンスと細かい体の向きの修正力、そして深い位置まで戻ってまた出て行くバイタリティです。ただ、これを全部持っているアタッカーは世界にほとんどいないので、アルバのラインブレイクは「分かっていても止められない」となるわけですね。

しかし、本来中盤センターの選手で、フィジカル的に完成された選手であるフェデ・バルベルデであれば、完全でなくともアルバを封殺できてしまうわけです。バルベルデの右ウイング起用はこのためでもあったわけです。

ということで、サイド攻撃があまり上手くいかないバルサの攻撃ルートは必然的に中央に向き始めるわけです。

メッシを中心に中央の狭いスペースをこじ開けたいところなのですが、当然ここはカゼミーロと2CBが罠を張っているので、メッシだけの力ではどうすることもできません。背後のスペースが消されているため、デンベレの裏へのランニングは封じられ、フレンキ―もスペースを見出せず試合に上手く入り込めませんでした。

そもそも、この試合のバルサで狭いスペースでもプレーできるタイプの選手はメッシとペドリだけなので、細かいコンビネーションで中央を割っていこうとしてもどこかでパスがズレたり、簡単にボールロストしてしまう場面は散見されました。特にフレンキ―とデンベレが試合から消えてしまっている感じは否めませんでした。

となると、攻撃に厚みを出すためにラングレとミンゲサが高い位置を取り始めるわけですが、そうなるとマドリ―にとっては理想的。バルサの攻撃を詰まらせ、ボールを奪ったタイミングで、ミンゲサとラングレの背後のスペースに走りこむヴィニシウスとバルベルデを使えばそれだけでロングカウンターが成立するわけですから。勿論、アラウホを引っ張り出すベンゼマの貢献も忘れてはなりません。

マドリ―の守備で素晴らしかったのはバルベルデやクロース、モドリッチは勿論なのですが、やはり特筆すべきはカゼミーロと2CBの真ん中ユニットの堅さ。カゼミーロはいつものことですが、本来レギュラーではないナチョとミリトンがあそこまでやれるとは思いませんでした。殆どデンベレに仕事をさせませんでしたし、メッシも良い形でシュートを放つことはできませんでした。

バルサに必要だったのはもう少しサイドに人数をかけ、外側から剥がしていくプレーだったのではないでしょうか。サイドでトライアングルを作って崩す場面は極端に少なく、点と点の関係に終始してしまったのは勿体なかったなと思います。3-5-2というシステムはトライアングルが作りづらいシステムではあるので、難しいですけどね。

ただ、中央で待ち構えるマドリ―に対して馬鹿正直に中央をこじ開ける力は今のバルサにはなかったかなと思います。左サイドはグリーズマンがいればそこそこペドリ、アルバの関係性が出てきますが、右サイドのメッシ、デスト、フレンキ―の連携で崩すシーンが少ないのはやっぱり問題です。

個人の能力では圧倒的なデストやフレンキ―ですが、途中から出てきたセルジ・ロベルトの方がその辺はやはりスムーズに運んでいたので、ここは来季以降彼らの明確な課題になるのかなと思います。

まあ何にしてもマドリ―の術中にハマってしまったなというクラシコの前半だったなと思います。ここ一番でのジダンの勝負強さは流石というほかありません。悔しいですが、マドリ―が1枚上手でした。

後半は修正して、1点返しましたが、天候でゲームが変わってしまったところはありますし、マドリ―もリバプールとの2ndレグに向けてメンバーを入れ替えたりしていたので、詳しく書きません。文字数もちょうどいい感じですし笑。この試合は前半2点ビハインドを背負ってしまったのが全てかなと思います。

 

試合雑感

非常に悔しいです。調子が良かっただけに。マドリ―に欠場者が多く、CLとの連戦となっていただけに。クラシコ2連敗中だっただけに。勝てばリーグタイトルに向けて大きな一歩となっただけに。そして何よりメッシ最後のクラシコになった可能性もあった試合だけに。勝ちたかった理由は山ほどあります。

諸々の要素を書き連ねてきましたが、結局のところバルサにはまだこのマドリ―を倒すだけの力はなかったなというのが正直な感想です。決してバルサが最悪のプレーを披露したわけではありません。それでも試合の主導権はマドリ―にコントロールされていましたし、スコアよりも完敗だなと個人的には思います。

やはりバルセロナを応援する立場としては、クラシコでの敗戦が一番心に来ます。特にバルベルデ時代はほとんど勝っていただけに余計に4試合連続勝ち無しが堪えますね。何とかして勝って欲しかったです。

ただ、悔しいは悔しいですが、そこまで悲観的になってはいません。上手くはいきませんでしたが、前回のクラシコのような逃げ腰のサッカーにならなくて良かったなと思います。そして今回の試合でアラウホ、ミンゲサ、モリバがクラシコデビューを飾りました。ポジティブ要素はちゃんとありました。

これを次に繋げるしかありません。幸いなことにリーガはあと8試合残っています。リーガの行方は他力にはなりますが、バルサは1試合1試合決勝のつもりで闘うしかありません。

そして、1週間後には国王杯の決勝が控えています。このようなシーズンにタイトルの可能性が残っているのは幸せなことです。まずは気持ちを切り替えて、このタイトルをしっかりと勝ち取って欲しいですね。

決勝の相手はビルバオ。スーペルコパ決勝で敗れた相手との今季4度目の対戦となります。リベンジも込めて、クラシコの鬱憤を晴らすような試合が見たいですね。そしてこのチームがトロフィーを掲げている姿が本当に見たいです。

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