Hikotaのバルサ考察ブログ

主にFCバルセロナが好きです。他サポの方大歓迎です

【マッチレビュー】20-21 コパ・デル・レイ準決勝2ndレグ バルセロナ対セビージャ

こんにちは!週末のセビージャ戦で2-0の勝利を収めたバルサは、中3日を空けて再びセビージャと国王杯の舞台で対戦します。

www.footballhikota.com

2月の上旬に行われた1stレグは2-0でセビージャがホームで先勝しており、バルサが勝ち抜けるためには3-0以上での勝利が必要になります。アウェイゴールを与えないように気を配りながら90分で最低でも2点を取らないとならない厳しいミッションになりますが、リーグ戦では2-0で勝っているだけに不可能ではないはず。チームの奮起に期待したいところです。

www.footballhikota.com

 

スタメン

f:id:hikotafootball:20210304160207p:plain

ホームのバルセロナリーグ戦と全く変わらないメンバーとなりました。4日前の試合で負傷交代し、当初は2週間以上の離脱と報道されたペドリも問題なく先発メンバーに名を連ねました。反対に同じく前節負傷したアラウホは招集メンバーが外れており、ピャニッチも引き続き欠場となります。

一方のセビージャはリーグ戦の試合から6人の先発変更。ヴァツリーク、アレイシュ・ビダル、アクーニャ、オリベル、エンネシリ、スソが先発にチョイスされます。正GKのボノは試合直前に負傷したようです。尚、負傷によりチームを離れていたエースのオカンポスはこの大一番でベンチに入りました。

 

セビージャの意図は??

バルサはリーグ戦と同じく、3-5-2の陣形で前から同数で嵌めていくコンセプトが基本になりました。2点のビハインドを背負っているので、バルサからすると他に選択肢がありません。アグレッシブにいかなければセビージャから2点以上を奪うのは難しいので。

つまり、バルサがリーグ戦と同じ形を踏襲してくることはある程度予想できたことであり、それに対してセビージャはどうする?というのがこの試合の1つのテーマではあったわけです。

対策の1つとして考えられたのは、4日前のリーグ戦の後半のように3-4-1-2の形でバルサの同数プレスに対して噛み合わせをズラすやり方

f:id:hikotafootball:20210304163215p:plain

第25節セビージャ戦後半

バルサの3-5-2の肝はセビージャの4-3-3とのシステムの噛み合わせを利用した同数プレス。これはメッシの守備貢献度を限定的なものにしたまま、プレスをかけるという意味では有効な手段でした。勿論、後方で同数になるリスクは多分に負うという前提ですが。

逆に言ってしまうと、セビージャは噛み合わせをズラしてしまうとバルサのプレスをある程度無力化することができてしまうわけです。メッシを抱えるバルサはそれほど柔軟にプレスの形を変えることができません。

しかし、セビージャのこの日のシステムは4-1-2-3、ないしは4-3-3の傾向が強く、噛み合わせは合ったまま。勿論、ビルドアップ時にフェルナンドが下がって3バックでビルドアップを進める局面はあったものの、基本は2CB+2SBのオーソドックスな4バックが基本線であったと思います。

変化があったのは前線の構成。スタメンを見たときは、それこそリーグ戦の後半のようにエンネシリ&ルーク・デ・ヨングの2トップ+スソのトップ下をイメージしていましたが、実際はCF+2WGの3トップ。エンネシリが左サイドに入ります。

これは推測でしかありませんが、恐らくロペテギは最初から噛み合わせをズラすつもりはなかったのではないかなと思います。むしろ噛み合わせを維持することで展開の膠着を狙った説があります。噛み合わせが合うということは、セビージャ側がプレッシャーをかける時も人を掴まえやすくなるということ。

また、3トップにエンネシリ、ルーク・デ・ヨング、スソを並べることでバルサの3バックにより大きなプレッシャーをかけることも意図にあったはず。後方は3対3の局面になることが多いので、ここの質でバルサの守備陣を上回れば簡単にゴールを奪うことができます

前半多く見られたのがこのパターン。

f:id:hikotafootball:20210304173903p:plain

セビージャの崩し

ハーフスペースで受けるのが得意なスソが下がってボールを受けに行くタイミングでルーク・デ・ヨングがスソについて行くラングレの背後を取りに行く形。これは明確にバルサの同数守備の構造を突いたものです。この形で前半ルーク・デ・ヨングが決定機を掴みました。

セビージャは2点のアドバンテージを持っていたわけですが、カンプノウでのゲームなので2点取られることは十分に想定できたでしょう。ロペテギとしてはアグレッシブなバルサの裏をかき、アウェイゴールを奪ってしまえばバルサを地獄に突き落とすことができるわけで、そこは狙いとしてあったんだろうなと思います。

ただ、結果的には少々中途半端だったと言えるかもしれません。

 

噛み合わせの罠

バルサからすると、セビージャが噛み合わせ合戦に乗ってきてくれたのが好都合でした。

まずはボール非保持時の局面。前節に引き続き素晴らしかったのはピケルーク・デ・ヨングに仕事をさせなかっただけではなく、巧みなカバーリングでラングレとミンゲサの背後のスペースを埋めました。バルサからするとここで後手を踏まないことが非常に重要なので、改めてピケの偉大さを痛感しましたね。

バルサにとって嫌だったのは、ボールを保持され、押し込まれる展開。これをやられてしまうとボールを取り返し、押し返す力が弱いチームは大打撃を食らいます。しかし、マンツーマンベースのオープンな展開になれば、個々の力量で優るバルサに分があります。バルサ的にはセビージャが自分たちの仕掛けた展開に乗ってくれて良かった前半でした。

前半11分のデンベレのゴラッソも噛み合わせの罠が招いたものでした。

バルサがDFラインでボールを奪い返すと、中盤へ。この時バルサは中盤中央にメッシ、フレンキー、ペドリ、ブスケツがおり、数的優位の状態。ライン間でフリーのペドリがボールを引き出してメッシに預けると自身は素早く中央へランニング。この動きで空いたデンベレにメッシがパス。デンベレの仕掛けは一旦詰まるも、持ち直してミドルシュート。これがゴール左に決まり、先制点。ゴラッソでした。

メッシの初期配置は右のCFですが、そこに留まることはまずなく、頻繁に下がったり左サイドに移動したりします。対面はジエゴ・カルロスになりますが、ずっとメッシについて回るわけにはいきません。もう片方のCFのデンベレが左を起点に頻繁にラインブレイクを狙うので、2CBのラインを崩したくはないわけです。

デンベレレイオフだったりコンビネーションでの崩しはまだまだなのでCFとしてはどうなの?って感じもありますが、やはりオープンな展開でのスピードはシンプルに脅威です。彼がいるからこそ中盤である程度自由にプレーできたことは考慮に入れなければなりません。

f:id:hikotafootball:20210304203712p:plain

中盤で数的優位

つまり、セビージャ側からすると初期配置は噛み合っているものの、必ずメッシのところでズレが出てしまうということになります。そのため、メッシかペドリのどちらかがフリーでボールを受けることが多かった前半のバルセロナ。特にペドリの所に頻繁にボールを入れることできたのが1stレグとの大きな違いになりました。

デンベレはラインブレイクに専念する!って感じだったので、ライン間でボールを引き出したり、チャンネルに飛び出す等の諸々のタスクはペドリがこなしました。特にフェルナンドやジョルダンの脇のスペースで受ける彼の存在は前半のバルサにとって大きく、正直欠場していたら・・と思うとぞっとします。

セビージャ目線で言うと噛み合わせ前提の守備ではあったものの、メッシのところでズレができるのでその帳尻をどこで合わせるかは悩ましい問題。特に立ち位置が迷子気味だったのは左サイドのエンネシリ。本来CFの選手ということもあり、右CBのミンゲサに張り付くか、デストのラインまで戻るのかがちょっと不明瞭でした。

結局あんまりうまくいかなかったので、ロペテギは前半途中からエンネシリをCF、ルーク・デ・ヨングをトップ下、オリベルを左に回す4-2-3-1にシフトチェンジしました。こっちの方がバランスが良い感じはしましたが、どのみちエンネシリとルーク・デ・ヨングの同時起用するメリットは感じませんでした。

ということで前半の嚙み合わせ合戦は概ねバルサ優勢で進んだと言えるでしょう。ただ、1点だけバルサが劣勢だったのがデスト対アクーニャの局面。デストは幾度となく1on1を挑みましたが、悉く阻まれました。やはり彼が持っている馬力やフィジカル的の強さは凄まじいものがあります。怪我明けで後半の早い時間帯で下がったのはバルサにとって幸運でした。

 

後半と延長戦の話

後半に入って9分でセビージャは2枚替え。アクーニャ、ルーク・デ・ヨングを下げて、レキク、ラキティッチを投入。さらに8分後に負傷明けのオカンポスを投入しました。

全体のバランスを整え、重心を下げつつ、オカンポス投入でカウンターで止めを刺しに行く意図でしょうか。試合は前半と比べると2点目を狙いに行くバルサと、それを撤退守備で防ぎながら一発のカウンターを狙うセビージャ、という様相に変わっていきました。

バルサは63分にアクーニャに苦しめられたデストを下げてグリーズマンを投入。重心を下げたセビージャに対して、いつもの4-1-2-3に形を戻し、サイドからの崩しで2点目を狙いに行きます

f:id:hikotafootball:20210304212511p:plain

基本現在のバルサにCFはいないので、オープンな展開でなければ、必然的にサイドからの崩しがメインウェポンになります。押し込む展開での配置変更は理にはかなっていると思います。

ただ、セビージャが厄介なのは引いて守っても強い部分。そのため、攻めてはいるものの、なかなか点が奪えません。デンベレが積極的に足を振ったりしたものの、悉く枠を外れてしまいます。

そんな中で、決定的な場面が訪れます。73分。セビージャがカウンターで一気にバルサゴール前まで迫ると、オカンポスPK獲得。まさにロペテギの狙い通り。これでアウェイゴールを取ってしまえば、バルサは勝ち抜けに3点が必要になるので、決勝進出を限りなく手中に収めることができるわけです。

しかし、このPKをテア・シュテーゲンがストップ。オカンポスのキックも甘かったですが、きっちりと読み切ったテアシュテーゲンは称賛されるべきです。今季テアのPKストップは何本になっているでしょうか。結果的にこのPKストップがバルサの逆転を導いたわけです。

94分の同点弾に多くの言葉は必要ありません。チーム全体が諦めず、最後まで突破のために全力を振り絞った結果です。ここでフェルナンドが退場したのも大きく、延長前半のブライスワイトの決勝点はあっさり決まりました。そのあとの試合運びの悪さは最早ご愛敬。0-2からの逆転は本当に素晴らしいの一言です。

試合は3-0でバルサが勝利。2年ぶりの国王杯決勝進出を決めました。

 

試合雑感

最高の朝でした!厳しいミッションでしたが、2試合連続でセビージャに勝利したクーマンと選手たちには賞賛の言葉しかありません。2021年に入って好調だったクーマンバルサですが、2月のセビージャ戦とPSG戦に完敗し、カディスに手痛いドローを喫するなど、厳しい時期を迎えました。そこから再び立ち上がったチームのパッションは本当に素晴らしいと思います。

勿論、課題や問題はピッチ内外で山積みですが、それでも1つずつ進歩しているチームを見るのは嬉しいですね。今のバルサは本当に良く団結しています。試合終了後、チーム全体で勝利を喜び合う姿が印象的です。昨季後半は空中分解寸前だっただけに、余計に団結することの重要性を感じますね。

ただ、1点だけ残念だったのがピケのフル出場。延長戦で故障している右膝を捻った彼をそのままピッチ上に残しておくべきではありませんでした。交代枠は1枚余っていましたし、相手は10人、1点リードしていて、ベンチにはウムティティも控えていました。足を引きずるピケをプレーさせるよりもいい判断はあったはずです。

ピケ本人の判断だったのか、メディカルがゴーサインを出したのかは分かりませんが、あそこは専門家である医療スタッフが断固たる意志でNOを突きつけるべきです。ペドリの診断ミスもそうですし、アンス・ファティも負傷してからしばらくプレーして交代して長期離脱になった経緯から、少しばかりメディカルスタッフへ疑念の目を向けなければなりません。

幸いなことにピケは捻挫で済んだようですが、それでも2~3週間の離脱にはなるようです。PSGとの2ndレグには間に合いませんね。ハムストリングに違和感を覚えて負傷交代したデンベレの状態も気になるところです。

さて、次は中2日でオサスナとのゲームになります。後半戦に入り、調子を上げてきているオサスナですが、来週にはPSGとのリターンマッチが控えていることを考えると、休ませるべき選手は休ませなければならないでしょう。リーグ戦も落とす余裕はないですが、この試合先発しなかったグリーズマンやリキが奮起してくれるといいですね!

www.footballhikota.com

 

最後までお読みいただきありがとうございます。