こんにちは!前節ビルバオに2-1で勝利し、1月のリーグ戦で全勝を果たしたバルサ。紆余曲折はあれどチーム状態は上向きになりつつあります。
国王杯でも順調ではないものの、何とか下部のチームに連勝し、ベスト8まで駒を進めました。準々決勝の相手はグラナダ。1月のリーグ戦では4-0で快勝を収めたものの、今季のELで決勝トーナメントに進出するなど、リーガ屈指の実力を持つチームです。一発勝負だけに前回とはまた違った対戦になる予感がしますね。
スタメン
グラナダは前節のセルタ戦から7人の先発変更。ルイ・シルバ、フルキエ、マチス、ルイス・スアレスといった主力組はベンチからのスタートになります。ベストメンバーで来るかと思いましたが、かなりローテーションを敷いてきました。グラナダもヨーロッパリーグを抱えていますから、主力の疲労はかなり考慮された印象です。
それに対するバルサは前節から2人のみの先発変更。ミンゲサ、デンベレのところにセルジ・ロベルト、トリンコンが起用されました。グラナダとは対照的にほとんどローテーションをしてきませんでした。国王杯でもネトではなくテア・シュテーゲンを先発させるあたり、国王杯に対する強い意気込みを感じます。
両チーム陣形・配置・嚙み合わせ
セルジ・ロベルト復帰で変わったこと
両チームいつも通り、4-1-2-3と4-2-3-1でゲームに臨みました。いつものようにバルサがボールを握り、グラナダが受けに回る展開。グラナダはハイプレスはかけず、比較的深めのラインにブロックを作る形で対応します。
バルサのボール保持時は上図のようなイメージです。何か、いつもの図に比べるとかなり全体的なバランスがいいと思いませんか?笑
この試合は、メッシが右寄りでプレーする時間が長く、左右のバランスが非常に良かったと思います。その要因は間違いなく復帰したセルジ・ロベルト。最近のレビューでミンゲサやデストがチームの枠組みの中で浮いてしまっていると書きましたが、彼はスムーズに試合の流れに入ることができます。
当たり前ですが、チームからの信頼は若い2人よりも厚いので、ボールも自然に回ってきますし、メッシもセルジ・ロベルトが右サイドにいると積極的に彼のサイドに寄ってくる傾向があります。言い方は悪いですが、セメドやミンゲサと有機的に絡むことはあまりない(なかった)ですから・・。例えば、今日の右サイドがトリンコンとミンゲサであれば展開はかなり詰まってしまっていたと思います。ミンゲサとセルジ・ロベルトを比較するのはフェアではありませんが。
セルジ・ロベルトはフィジカル的にはそれほど強さはありませんし、個の能力ではデストに劣っていますが、チームにとっては意外と重要な存在です。それだけに再負傷は本当に痛い…。軽傷であることを心から祈りますが、どうでしょう。
ということで図のように両サイドのバランスが是正され、それぞれ3人ずつのトライアングルを作りながら攻めることができたバルサは立ち上がりからグラナダゴールを脅かします。
CFのポジションは空けておくのが原則で、そのスペースはメッシ、グリーズマン、ペドリ、フレンキーが走りこむためにあります。サイドで好循環を作りつつ、メッシやペドリのパスでスイッチを入れるのが今のバルサ流になっています。
ただ、難しいのは純粋なCFがいないので、昨季までの武器だったCFへの楔→レイオフの攻撃ルートがほとんど使えないという点。これはメッシをCFに置く以上仕方ないことなのですが、中央突破は本当にメッシの個に依存せざるを得ません。全盛期のメッシならそれでもバカスカ点を取ると思いますが、今のメッシは体力的にも精神的にも疲労をため込んでいるので以前ほどのドリブルシュートを求めるのは酷です。
なので、バルサの攻撃パターンはサイドからのクロスが多くなっていきます。特に2021年はクロスからの得点が多いですよね。数えたらゴールの半分以上はクロスから生まれていました。ちょっと途中から何がクロスなのか分からなくなったので、具体的な数字はよくわかんないです笑。
この試合でも、120分通して18本というコーナーキックの多さはサイドからの攻撃が多い証拠。単純に放り込むのではなく、きっちり人数をかけて丁寧に崩した末のクロスなので得点に繋がりやすくなっています。トライアングルを作って相手を引き付けてクロスを上げるので中も手薄になりやすいですね。
フレンキ―という新しいターゲットができたので、以前よりもバルサのクロス攻撃は脅威になっています。ただ、今後フレンキ―はかなり警戒されると思うので、別のソリューションも必要です。
上手くはいっていたものの、前半で仕留めておくべき試合ではありましたね。グラナダは前半ほぼノーチャンスでしたし、120分を通じて7本のシュートしか放たれていないので、スコアを先に動かすことができれば、より優位に試合を進めることができたはずなのでそこは大いに反省すべき案件です。
勿体ないカウンター対応
2失点に関してはいずれも勿体ないものでした。ただ、1失点目のミスはバルサであれば起こり得るもの。蹴りだせば良かったと言ってしまえばそれまでですが、そこを糾弾しすぎるのは個人的には違うのかなと思います。問題視したいのは2失点目の方です。
上図は2失点目のボールロストの瞬間です。グリーズマンの失い方も悪かったですが、アタッキングサードでのボールロストを咎めるのもまた微妙な話。ここで槍玉に上がってくるのは2CBのポジショニング。モントーロからのロングパスに対して、あっさりとラインブレイクを許してしまいました。
まずはウムティティ。ソルダードのマーカーは彼のはずですが、完全にマーカーが見えない位置にポジションを取ってしまっており、蹴られる瞬間はソルダードが見えていません。マークは相手とボールを見れる位置でつくのが原則のはず。ウムティティは他にマークすべき選手もいないので、これは完全に怠慢だったと思います。
そしてアラウホのポジショニングにも問題があります。ウムティティのミスという印象が強い失点ですが、彼もウムティティの背後をカバーできる位置にいなかったのは残念でした。DF側は+1をキープするのがこれまた原則なので、ウムティティのエラーはあるにしても、かなりアラウホのポジショニングは微妙だったと思います。
恐らく両者とも1点ビハインドの状況で気持ちが前に出てしまったのだと思いますが、まだ45分間残っている状況だったので、そこまで焦る必要もありませんでした。アラウホには経験が、ウムティティには試合勘が不足しているので、仕方のない部分もありますが、CLレベルだとこのミスは命取り。修正ポイントとしてここで課題が出たのはラッキーだったと思うしかありません。
試合を通じてあまりボール非保持時の局面はほとんどありませんでしたが気になる部分はありました。
以前のレビューで、「クーマンバルサの中盤はあまり非保持時に前に出ず、中盤の選手を掴まえない」と書きました。ここまでのバルサはCBにプレッシャーをかけるのは専らメッシとWGの仕事でしたが、ビルバオ戦とこのグラナダ戦ではペドリやフレンキ―がメッシの横まで出てきてプレスをかけるシーンが目立ちました。
4-1-4-1から4-4-2の可変だとインテリオールが出る方がスムーズに進みます。個人的には4-1-4-1撤退一択ではなく、4-4-2の選択肢も持っておくことはチームにとって有意義なことだと思うので、これはいいことだと思います。相手がもう少しボールを持てるチームだったら4-1-4-1でブロックを組むんでしょうし。
試合雑感
素晴らしい勝利でした!0-2になってクーマンが中盤とCBを削り始めたときにはもう流石にダメかと思いましたが、88分まで0-2の状況からよく追い付き、勝ち越しました。今季4度目の延長で流石に体力的には心配ですが、メンタル的には非常に重要な勝利だったと思います。今季一番手に汗握った試合でしたね笑
この試合でチームが示したのは、「勝利への意欲」と「諦めない姿勢」でした。超精神論ですが、2失点してもメンタル的に折れなかったことが勝利の要因だと思います。メッシを筆頭に攻める姿勢を失わなかったのは素晴らしかったですね。あの報道後もチームのために闘い続けるメッシには感無量です。
そのチームの姿勢にクーマンのアタッカー投入采配が上手く相乗効果として合わさって逆転に繋がったといったところでしょうか笑。今回は逆転に結びついたので、批判はされないでしょうが、CBと中盤を削って前を増やす采配は個人的にはどうなんだろうとは思います。
グラナダ以上のレベルの相手だったら、カウンターで刺されてもおかしくはなかったと思います。得点を取りに行く以上リスクは冒すべきなので、難しいところですが。今回はフレンキーをCBに下げなかっただけマシだとは思いましたが、最終的には下がっちゃいましたね笑
敗戦濃厚のチームを救ったのはグリーズマン。メッシのフライスルーパスに抜け出して1ゴール1アシストで同点。さらに延長戦に勝ち越しゴールを記録、アルバのダメ押しのゴールをアシストし、2ゴール2アシストの大活躍で試合を決定づけました。
あれだけ適応に苦しみ、前半戦はゴール欠乏症に悩まされたグリーズマンのこの活躍は熱くなるものがあります。これで彼は2021年に7ゴール6アシストを記録したことに。素晴らしい活躍ですね。下のツイートに書いたように今年に入ってからグリーズマン、フレンキー、アルバの活躍が目立ちます。
【2021年ゴール&アシスト】
— Hikota (@BarcaHikota) 2021年2月4日
グリーズマン 7G6A
メッシ 6G2A
フレンキー 5G2A
アルバ 2G4A
ペドリ 1G2A
デンベレ 1G1A
ぶっちぎりでグリーズマンが結果を出している。フレンキーも中盤としては素晴らしい数字。デンベレはもう少し数字がつくといいね。
色々と粗はありますが、カップ戦は勝ってなんぼ。こういう試合をものにすることで、若い選手の多いバルサは成長していくのだと思います。疲労は心配ですが、勝利は休養よりも価値があります。
唯一心配なのはセルジ・ロベルトの負傷。どれほどの離脱になるのか分かりませんが、今日のプレーを見る限り、必要不可欠な選手。あまり長引かないと良いのですが…。
さて、次は中3日を空けてベティスとのリーグ戦、そのあと国王杯準決勝1stレグ、リーガのアラベス戦、そしてCLのPSG戦と続きます。いよいよ後半戦最初の山場が近づいてきました。負傷者の状態は気になりますが、チームの状態が上向いている今のバルサなら思わぬ結果を出すことができるかもしれません。
2月決戦、楽しみましょう!
最後までお読みいただきありがとうございます。