Hikotaのバルサ考察ブログ

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【マッチレビュー】20-21 ラ・リーガ第17節 ウエスカ対バルセロナ

こんにちは。あけましておめでとうございます。2021年が始まりましたね。今年もブログ書いていきますので、よろしくお願いします。

さて、早いもので新年一発目の試合が1月4日に来ました。今節は岡崎慎司の所属するウエスカとのアウェイゲームになります。前節に引き続いて日本人の所属するチームとの対戦になりましたね。

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ウエスカは今季1勝9分6敗で最下位。それほど悪いわけではないものの、引き分けが圧倒的に多いですね。引き分け9は当然今季のリーガ最多。なかなか勝ち切れず苦しんでいます。バルサは1月ホームでの試合がなく、厳しい日程が続くのでここはしっかり勝ち点3を取っておきたいところです。

 

スタメン

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ホームのウエスカは前節から4人の先発変更です。岡崎は残念ながらベンチスタート。3トップは右サイドからセルヒオ・ゴメス、ラファ・ミル、オンティベロスの並びだと思われます。欠場者は右SBのマフェオ、中盤のボルハ・ガルシア、そしてアタッカーのサンドロ・ラミレスです。

一方のバルサはメッシ、アルバが先発メンバーに戻ってきました。恐らくメンバー的には4バックでしょう。前節負傷退場したコウチーニョは3ヶ月の離脱になるそうです。今季4人目の長期離脱者が出てしまいました。

 

両チーム陣形・配置・噛み合わせ

ウエスカは本来ボール保持を大切にするチームですが、この試合はバルサ相手ということ、さらにはリーガで1勝しかしていない現状を鑑みてか、自陣にブロックを作って構える戦法を選択しました。システムもいつもの4-3-3ではなく、5-4-1のような形でセットすることが多かったですね。

一方のバルサは4-1-2-3でゲームに入ります。4-2-3-1っぽいメンバーでしたが、右にフレンキー、左にペドリが入っていました。クーマンのトレードマークであった4-2-3-1ですが、最近はめっきり採用頻度が減りましたね。

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バルサボール保持時

バルサ攻撃の中心はアルバ-デンベレ-ペドリの三角形に右から流れてくるメッシが加わるカルテット。左サイドからの崩しで前半いくつかのチャンスを演出しました。

ブライスワイトはいつものように中央から殆ど動かず。右インテリオールに入ったフレンキーは積極的にエリア内に侵入するセカンドストライカー的なタスクを負っていました。右サイドは幅取り役としてデストがいるのみ。

よってこの試合は攻撃が左サイドに偏ることになります。これはメッシが右サイドをスタートポジションとするとしばしば起こる現象です。左にはアルバ、ペドリと、メッシと相性の良い選手が2人いるので、メッシは自然と左に引きつけられていきます。

「攻め筋が左サイドに限定されている+相手が引いて守っている」というのは明らかに苦戦パターンなのですが、幸運だったのはウエスカがこのような展開に不慣れであったこと。普段5バックをやっているチームではありませんし、バルサの左サイドに対面したのは本来アタッカーのセルヒオ・ゴメス。

案の定と言うべきか、ウエスカの右サイドの選手たちはペドリやデンベレを掴まえ切ることができず、十分にプレッシャーがかかっていない状況でクロスを上げられるシーンが目立ちました。誰がどのタイミングで誰にプレッシャーをかけるのか非常に曖昧でした。

今季で言うとCLで対戦したフェレンツヴァーロシュやディナモ・キエフもそうだったのですが普段からドン引いて守ることのないチームがいざ強豪と対戦して守りに入るとしばしばこのような現象が起きます。リトリートはただスペースを埋めていればいいのではなく、適切なタイミングで相手に圧力をかけなければやられ放題になります。「人はいるけどいるだけ現象」ですね。

ということでバルサ左サイドからのクロスをメインウェポンにウエスカゴールに迫ることになります。CFのブライスワイトがニアで潰れ、後ろからインテリオールが飛び込んできてフィニッシャーになるというパターンが多かったと思います。このパターンでペドリは2回決定機を迎え、フレンキーはワンチャンスをモノにして先制点を奪いました。

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バルサ先制点

注目して欲しいのはボールを持つメッシを頂点に、アルバ、デンベレ、ペドリが菱形のような形を取っていること。メッシには3本のパスコースがあり、対面のミケル・リコはメッシに寄せ切ることはできず。メッシは悠々とクロスを上げることができました。このように左サイドで数的優位を作って攻めるバルサの攻撃はウエスカに対して有効でした。

ウエスカクロスに対してボールウォッチャーになってしまっている選手が多く、この先制点の場面ではフレンキ―を掴まえることができませんでした。明確なターゲットのいないバルサのクロス攻撃がここまでハマるのは珍しかったと思います笑。

一方の右サイドからの攻撃はやはり少なく、デストも孤立気味でした。「左サイドに人を密集させ、サイドチェンジで一気に手薄な右サイドに展開し、個人能力に優れるアタッカーにスペースのある状態で1対1にシチュエーションを提供する」というアイソレーション戦術であれば、孤立にも意味があるのですが、あまりそういった意図は見られません。

セメドの時も同じようなことを書きましたが、このような状況に陥ることが頻繁にあるので、バルサの右SBは務めるのが難しいポジションになっています。だからこそ個人の能力では劣っても、周囲(主にメッシ)との連携が取れており、ポジショニングに優れているセルジ・ロベルトが重用されているという側面はあるわけですね。

本来ならメッシを真ん中に置いて両ウイングをちゃんと置く形にしたほうが左右のバランスは取れると思いますが、アンスが長期離脱中、トリンコンコンラッドがあまり信頼されておらず、怪我がちなデンベレしかいないスカッドでは現実的ではないのかもしれません。

クーマンは格下相手(ボール保持される時間が短い相手)にはメッシ右サイド、同格以上(ある程度ボール保持されると想定される相手)にはメッシを真ん中に配する傾向があります。相手によって使い分けるのは悪いことではありませんが、取りこぼしの多さを考えるとどうなんだろうという気もしますね。僕個人としてはメッシの右サイドは限界があると思うのですが。

心配なカウンター対策

ウエスカのゲームプランは後方のスペースを消してバルサの攻撃をシャットアウトしつつ、ボールを奪ったら前線のラファ・ミルやオンティベロスに時間を作らせて全体を押し上げるという意図だったと思いますが、押し込まれる時間が長すぎてなかなか上手くいきません。そのため、前半のシュート数は0に終わりました。

しかし、ここもバルサが良かったというより、ウエスカの不慣れな戦法に助けられた感があります。

今日のバルサのインテリオールはペドリが崩しの要であり、フレンキーがセカンドストライカー役を担いました。つまり、インテリオールの2人はかなりアタッカー寄りのプレーをすることが多く、2.5列目というよりは2列目のような立ち位置になることが多かったように思います。バレンシア戦と同じようなイメージですね。

当然いつものように両SBも高い位置に張り出すので、チームの重心はかなり前寄りになります。メッシが下がってボールを受ける時、ブライスワイトとデンベレは勿論、両SBとインテリオールもメッシの前に位置してパスを待ちます。

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メッシの前に6人

これは何度も書いているので、またかって感じだと思いますが、メッシはチームで最も違いが作れる選手であると同時に、最もロストの多い選手です。さらにチームがボールをロストした際、低い位置でフィルターとしての役割を期待するのは難しいです。つまりメッシの前に6人も選手がいるのはバランスが悪いと言わざるを得ません。

この試合ではウエスカの不出来に救われ、それほど危ないカウンターを受けるシーンは少なかったですが、もう少しトランジションが早く、カウンターの上手いチームには簡単に刺されてしまうと思います。フレンキーのセカンドストライカータスクは面白いのですが、バランスはかなり危うくなってしまいます。

そのため、フレンキーのトランジションの早さとスピードで何とかなっている場面は多かったですね。彼が不在の時や、コンディション不良の試合はちょっと成立しなさそうです。

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ボール非保持時

ボール非保持時も危ういのは変わらず。やはりメッシを右で使う際の守備は難しいものがあります。例えば図のようにCBが相手のWGについて前に出て、そのスペースをフレンキーやペドリがカバーするシーンも多く見られました。

CBのカバーをインテリオールが行うのはなかなか構造に無理があります。しかもこの試合は先述したようにフレンキーとペドリはかなり攻撃に足を突っ込みながら、CBのカバーリングまでしていたので上下動の負担はかなり大きかった思います。

この戦い方を続けるなら馬力のあるフレンキーと運動量が多いペドリは必須です。彼ら2人を休ませられないのはちょっと心配です。

 

試合雑感

勝つには勝ちましたが、依然として怪しい内容ではあったと思います。あれほど前がかりに重心を置くのであれば、もっと早い段階で勝負を決めるべきでした。何かの拍子でウエスカに同点弾を許してしまえば一気に危うい展開にはなっていましたね。

今のバルサは色んなバランスが悪いです。攻守のバランス、左右のバランス、そしてスカッドのバランス。バランスが悪いのは今に始まったことではありませんが、今まではベテラン選手が帳尻を合わせてきたことで何とか保ってきた部分が大きかったように思います。

やはりメッシがいる以上、どこかでバランスを保つような工夫をしないとチームは本当の意味で成り立ちません。絶対にどこかで歪みができてきてしまうので、何らかの形でそれを補う努力は必要です。そこと向き合うのはバルサの監督としての宿命なので放置してほしくはないですね。

ただ、勝ち点3を取れたのはポジティブに考えていいでしょう。個で殴った感のあるウエスカ戦でしたが、今のバルサは内容が悪くても勝ち切る力を必要としています。次節勝利すれば暫定で3位に浮上する状況にはなっています。

さて、次節は2日の休みを挟んでビルバオとのアウェイゲームに臨みます。が、何とこのタイミングでビルバオは監督交代。あのマルセリーノが新監督として就任しました。彼がリーガに戻ってきたのは嬉しいですが、バルサの苦しめ方を知っている監督の1人なので正直戦々恐々としています笑。

今月末に後半戦の分のビルバオ戦が控えていますし、スーペルコパの決勝でも当たる可能性があるので最大3試合、この1月に対戦する可能性があります。ファーストラウンドととなる次節は解任ブーストに負けず、しっかりと勝利を収めたいところですね。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。