Hikotaのバルサ考察ブログ

主にFCバルセロナが好きです。他サポの方大歓迎です

【マッチレビュー】20-21 ラ・リーガ第16節 バルセロナ対エイバル

こんにちは。前節アウェイでバジャドリードに3-0の勝利を収めたバルサは、エイバルをホームに迎え、2020年最後の試合に臨みます。

www.footballhikota.com

エイバルと言えば、乾、武藤の両日本人が所属しているクラブです。今季は3勝6分6敗で17位と下位に沈んでいますが、監督は6年目を迎えたメンディリバルのままであり、継続性という意味ではリーガ屈指のチームです。ただ、ピッチの広いカンプノウでは明らかにバルサ有利なので、ここは勝ち点3をしっかり奪って、2021年に弾みをつけて欲しいところですね。

 

スタメン

f:id:hikotafootball:20201230035611p:plain

バルサはアルバが出場停止、メッシは招集外ということで前節から2人のメンバーチェンジ。彼ら2人の代わりにジュニオル、グリーズマンが先発で起用されます。ブライスワイトは5試合連続の先発出場。外せない選手になりつつありますね。アラウホ、ミンゲサ、デストの若手DF陣も先発が続いています。

一方のエイバルは前節から3人の先発変更。今季攻撃の核となっているブライアン・ヒルが体調不良のため、欠場しています。前節負傷により招集外だった武藤はこの試合に間に合い、ベンチに入っています。そして、乾は当然のように先発出場しています。

 

 

両チーム陣形・配置・噛み合わせ 

ボールを持つバルサ、守る相手チームといういつも通りの展開ではあったものの、そこはエイバル。カンプノウであってもプレスに行く姿勢を崩しません。

f:id:hikotafootball:20201230122319p:plain

エイバルハイプレス

バルサは前節に引き続き3-4-2-1、それに対してエイバルは4-1-4-1を基本フォーメーションとし、果敢にプレスをかけてきました。両サイドハーフは積極的にバルサの両HVにプレッシャーをかけてきましたし、インテリオールの2人もピャニッチ、フレンキ―を高い位置から潰しにかかります。いつもの4-4-2ではなく、4-1-4-1で来たあたり、ハナからプレスをかける気満々というところでしょう。

特にエイバルが特徴的なのはサイドハーフの守備。特に乾はプレスをかける時、頻繁に首を振り、的確にパスコースを潰してきます。自分の後ろの選手の立ち位置によって、縦のコースを切ったり、サイドへのパスコースを塞いだりと、かなり柔軟に立ち位置を変えています。この辺りの守備挙動がメンディリバルに重宝される所以ですね。

バルサはこのエイバルのプレスに大苦戦。特に乾と対面のミンゲサがプレスに苦しんでおり、なかなか前にボールを運ぶことができません。バジャドリード戦のレビューでも書いたように、この3-4-2-1というシステムは4-3-3などに比べるとトライアングルの距離感が長くなってしまい、プレッシャーをかけられると回避するのが難しいシステムになっています。

f:id:hikotafootball:20201230123835p:plain

チャンスメーカーペドリ

ただ、エイバルの守り方としてはかなりリスクの高いものになります。同数を辞さない守り方なので、当然空いてくる箇所は出てきます。前半のバルサの突破口は左ハーフスペースに位置するペドリ。このハーフスペースに位置するペドリをエイバルは掴まえられず、ペドリが受ける→大外のジュニオルにスルーパスのパターンで何度かチャンスを作りかけます。

ペドリの左ハーフスペースで受けてターンしてスルーパスする姿は、本当にイニエスタそっくりです。この試合、バルサの攻撃を牽引したのは間違いなくこの18歳でした。左右両足遜色なく使えますし、今季のバルサを支えてくれています。ただ、あまりに稼働率が高いのでそろそろ負担が心配です。

ペドリのところではチャンスが作れていたものの、エイバルとしてはそこのリスクは織り込み済みだったでしょうか。バルサとしても上手くプレスを回避してチャンスに繋がる場面よりも、ビルドアップが詰まってしまう場面の方が多かったですからね。

エイバルの守備のコンセプトはとにかく圧縮なので、DFラインが高いのが特徴です。そのため、もう少し効果的にSB裏を突くシンプルなロングボールが出てくると優位にプレスを回避できたかなと思います。例えば、相手SBがバルサのWBにプレスをかけたタイミングで、グリーズマンをSB裏のスペースに走らせるようなパスが出てくるとエイバルの守備陣は嫌だったかと。

昨季のエイバル戦はDFラインからの1本のロングパスにグリーズマンが抜け出し、ゴールを奪いました。広大な裏のスペースはエイバルの弱点であることは分かっていたと思いますが、アラウホは各駅停車のパスが多く、ミンゲサは目の前のことに一杯一杯といった感じでここは若さが出たかなと思います。ピケがいれば・・感はちょっとこの試合では感じましたね。

まあ彼らの問題だけではなく、チーム全体として長いボール使ってプレス回避しようぜ的な意図はあまり感じませんでした。メッシがいないという事情もあってかあまりブライスワイトやグリーズマンに長めのパスが入ることもなく。ショートパスショートパスだけのビルドアップではハイプレスの餌食になってしまうのはまあ当然かなと。

前半の後半はなかなかハーフラインを越えられない時間帯もあったバルサブライスワイトのPK失敗とVARでのゴール取り消しなどがありましたが、まあエイバルの術中に嵌まった感はありました。ただ、エイバルも奪った後何か特別なアイデアがあるわけではなく、クロス攻撃が中心なのでそこは3バックを中心にきちんと対応できていたと思います。

3バックのメリットは確かにあるものの、今日に関してはハイプレスの餌食になってしまったのかなと思います。DFではなく中盤を厚くした方がこのエイバル戦は良かったと思いますが、クーマンは前節手応えを感じた3-4-2-1の熟成を図りたかったのでしょう。

ただ、1つこの試合から分かったこととしてこのシステムとグリーズマンはあまりマッチしない気がします。3-4-2-1は配置のバランスが良い分、動きすぎるとバランスが崩れてしまうので、グリーズマンの特性とマッチしません。左サイドに比べて右サイドの連携が希薄だったのもそこが原因かなと思います。

デンベレの躍動とビルドアップのミス

前半はスコアレスで折り返した両チーム。クーマンは後半開始から負傷明けのデンベレを投入。デストをベンチに下げ、4-2-3-1にシステムを変更します。デストの疲労を考慮すると、ぶっちゃけ最初からこれで良かった感もあります。

デンベレが入って変わったのはラングレから右大外のデンベレへと対角線の長いボールが増えたこと。エイバルの守備は先述した通り、コンパクト・ハイラインがテーマなので、ああいうボールは守れません。それでも乾が何度かデンベレに渡る前にカットしたりしていましたが、エイバルのようなチームにとってデンベレは天敵の1人でしょう。

ただ、それでもめげずにプレッシャーをかけ続けるエイバル。バルサは4-2-3-1に変えたものの、依然としてビルドアップ時はミンゲサが後ろに残る3-4-2-1の形を取るので詰まってしまう現象はそれほど変わらず。

3人CBを並べるのではなく、後半はブスケツを3バックの真ん中に置いてビルドアップの起点にする形のがちょっと見たかったですね。同じ形でも誰をどこに置くかで全然変わってきます

エイバルがバテてくるのを待つしかないかなと思い始めた矢先に、アラウホがキケガルシアにボールを奪われ、手痛い先制点を献上してしまいます。

アラウホ本人は集中力の問題と反省していましたが、チーム全体としてビルドアップが行き詰まっていた結果のエラーですし、プレスをかけ続けたエイバルの成果でもあります。試合展開を考えるとあまり不思議ではないミスだったかなと思います。

その後、左サイドの見事な連携から抜け出したジュニオルのクロスをデンベレが決め、何とか同点に追いつきます。あのゴールは難度が高かったと思いますが、そこを決めるのがウスマン・デンベレ。その前のより簡単だったキーパーとの1対1を外すのもウスマン・デンベレ

アルバに代わって先発したジュニオルは悪くなかったと思います。果敢に攻撃参加を見せ、ドリブルでの仕掛けもありました。取り消されたブライスワイトの得点も彼のクロスでしたし。ただ、低い位置でボールを持った時の拙さが目立ちます。そこで取られる?みたいな箇所でのロストだったりパスズレだったり、ちょっと勿体ないですよね。

バルサは逆転を目指しますが、その後が続かず。トリンコンにチャンスが訪れるも、右足のシュートは力なく左へ。クーマンもいつものようにアタッカーを入れて攻勢に出ましたが、実らず。

試合は1-1で終了。メッシが見守る中でホームで勝ち点3を奪うことはできず。残念な結果で2020年を終えます。

 

試合雑感

残念な試合結果となりました。内容としては上手くいっていなかったものの、それでもホームでのエイバル戦を落としてはいけませんでした。エイバルのプレスは素晴らしかったですが、それに対して的確な対処ができなかったのは残念でしたね。勝ち点3を奪えなかったのは痛恨です。3位浮上のチャンスを逃してしまいました。

過渡期なので仕方ない部分が大きいですが、今のバルサは1歩進んで2歩下がるような感じですね。クーマンも色々試行錯誤しているものの、最適解を早めに見つけないと、そろそろ現場は混乱してきそうな気はします。

エイバル戦でチームを引っ張ったのはペドリでしたが、本来牽引すべきだったのはグリーズマンのはず。ただ、今日のグリーズマンはアタッカーとして怖さが足りませんでした。正直、PKもグリーズマンが蹴るべきだったと思いますし、メッシ不在の中で自分が引っ張る!という気概はもう少し見せて欲しかったですね。

そして気になるのはコウチーニョの負傷。程度はまだ分かりませんが、あの感じだと長引きそうな気が…。あと10試合出場すればリバプールインセンティブ(なんと2000万€!)を払う必要があるという状況での長期離脱となれば立場はますます苦しくなってきそうです。

これでバルサの2020年の試合は終了。色々な意味で大変な1年間でしたね笑。皆さま応援お疲れ様でした。僕の2020年のレビューもこのエイバル戦がラストになります。今年も読んで頂き、ありがとうございました。明日1年間の総括的な記事を出すので、そちらも良かったらぜひ。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。