Hikotaのバルサ考察ブログ

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【考察】クーマンバルサのプレスについてを考察してみる

こんにちはー。さて、今回は久々の考察記事です。今季のシーズンプレビュー以来ですね。わりと今季はマッチレビューの方に力を入れるというのが基本線なのですが、せっかくの代表ウィークなので久しぶりにダラダラと書いていきたいと思います。

 

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今回はここまで10試合の公式戦を消化したクーマンバルサについてまとめていきます。本記事のテーマはプレス。これどうなの!っていうのを書いていこうと思います。それでは是非!

 

ハイプレスに行けるようになったけど

クーマンになってからというより、ルイス・スアレスの退団に依るものが大きいのかもしれませんが、前政権に比べると前から同数で嵌めに行く守備は多くなりました。

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その際、恐らく明確にあるルールは「メッシはCBのどちらか片方にだけプレスをかける」こと。クーマンバルサになってから右サイドではなく、CFやトップ下の位置で起用されるようになったメッシ。これまでは守備免除に近い形でしたが、クーマンには限定的な守備参加を求められているようです。

「メッシはとりあえず対面のCB1枚をケアしてくれればいい。あとは残りの10対10の局面で何とかする。」というのが基本的な方針なのかなと思います。メッシがCB1枚にプレッシャーをかけてくれるだけで、守り方の幅は広がりますよね。

ただ、流石に何でもかんでも同数は後ろが死んでしまいます。後述しますが、バルサはCBのスピード不足という致命的な弱点を抱えています。後方に大きなスペースを残したまま、スピード豊かなアタッカーとピケやラングレが同数で対応するのは明らかに不利。今季もたくさん裏を取られてピンチを招いています。

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ということで、メッシが2度追いしない分、誰かが「死にタスク」を負わなければなりません。バルベルデバルサでは主な死に役は右インテリオールと左WGでしたが、クーマンバルサではサイドハーフの負荷が高い設計になっています。

バルベルデ時代、スアレス (またはメッシ)不在時には4-3-3のインテリオールのどちらかがメッシ(スアレス)と同じラインまで出てプレスをかけていました。クーマンバルサではトップ下の選手は中盤をケアしていることが多く、サイドハーフがメッシの担当ではない側のCBにプレッシャーをかけるルールになっているようです。勿論、相手が3バックの際はトップ下もCBの誰かにプレッシャーをかけますが。

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サイドハーフのプレッシャーをスイッチに、上図のように1枚ずつズレていきます。右SB(セルジ・ロベルト)が相手の左SB、右CB(ピケ)が相手の左WGのマークにつくイメージです。これがクーマンバルサのハイプレッシャーの掛け方です。

そのため、サイドハーフはハイプレス時は左CBの位置まで出ていき、撤退時は4-4-2(または4-4-1-1)の右サイドハーフの位置まで下がるというまあまあ辛いお仕事をこなさなければなりません。

序盤3試合はこのタスクを、走れるグリーズマンが務めていました。しかし、セビージャ戦での攻撃の機能不全以降、グリーズマンは中央にプレーポジションを移し、右サイドには代わりにデンベレが入ることが多くなりました。

デンベレは今季縦への意識が強くなり、これまでよりも怖いアタッカーになりました。が、守備はやはり不得手なまま。特に4-4ブロックにおける立ち位置が間違っていることが多く、非保持時に穴になりかねない存在になっています。

もう1人の右サイドを主戦場としているアタッカーのトリンコンはここまでリーグ戦での先発出場は0ですし、守備もそれほど得意なタイプではありません。個人的にはこの守り方はグリーズマンを右に置いておかないと成り立たないんじゃない?という気はしてます。

そして、もうひとつこのプレスのかけ方がまずいのは、ピケがサイドに釣り出されるのが前提の守備であること。ピケが速くないのはサッカーファンなら誰でも知っている事です。近年のバルサがやられるパターンの1つとしてピケがサイドに引っ張られてその背後を突かれるパターン。昨季の37節、エストゥピニャンにやられたシーンは記憶に新しいところです。

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先程の図をもう一度。図のピケに注目してください。右サイドハーフ(トリンコン)のアプローチをスイッチに相手の左WGへのプレッシャーを試みています。しかし、この時点で彼の背後には広大なスペースがあります。この状況でスピード豊かな左WGとマッチアップしたら…。かなり不利な状況になってしまいますよね。

そんな状況下で僕が注目していたのは第7節、クラシコでの守り方。マドリーの左WGは爆速ウインガーヴィニシウス。彼の存在があってもクーマンはこのプレスに行くのか注目していましたが、実際はリスクを取らず、4-4-2のミドルプレス・リトリートが基本方針のゲームプランでした。

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この選択はヴィニシウスのスピード、さらにはマドリーの後方ユニット(主にラモス、クロース)のフィード能力を鑑みると極めて合理的な選択だったと思います。しかし、裏を返せばクーマン自ら「この守り方はリスクが高すぎる」と宣言してしまったようなもの。ホームでしたし、もっと積極的に行くプランも考えられましたが、それはできなかったということですね。

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今後ハイプレスのかけ方は再考するべきかもしれません。

 

ミドルプレスの課題

ハイプレスにいけない(いかない)場合は当然4-4-2(または4-1-4-1)をベースに中盤に入ってきたところを捕まえるミドルプレスに切り替えます。が、バルサハイプレスよりもむしろこのミドルプレスの原則がとても曖昧です。

具体的に言うと、ダブルボランチの出て行くタイミングに問題があります。当然、ハイプレスとは違い、ミドルプレスを敷く場合は相手のCBはオープンな状態でボールを持つことが多くなります。

ミドルプレスの場合はじわじわ相手を追い込んでいきたいところなのですが、今のバルサ不用意にブスケツやフレンキーが人を捕まえに行き、その背後を簡単に突かれるシーンが多くなっています。要するに我慢ができていない状態です。状況が整っていない状況で先にこちらの陣形を崩してしまうシーンが多くなっています。

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原因は、全体としての意思統一が薄い事。特に中央のライン(CF、ボランチ、CB)の連動感が希薄であり、個々人の判断で前に出たり出なかったりしています。ハイプレス時と違って明確なプレスのトリガーもありません。

前線2枚のカバーシャドウは不十分。そもそもどこに追い込みたいかの意図が見えず、相手に十分な選択肢がある状況でダブルボランチな前に出てしまっています。そのため、CB前のスペースは空きやすくなっています。そこはCBが連動して埋められればいいのですが、スピード不足もあり、難しい状況になっています。

もう少し前線の選手が中央へのパスコースを遮断する動きを取るべきかなと思います。そうすることで、ボランチが引っ張り出されるシーンは減ると思いますし、上手く相手のビルドアップを片側サイドに追いやることができれば守りやすくなるはずです。上手く前線の非保持時の立ち位置で相手の選択肢を削ることができれば「奪いどころ」も見えてくるはずです。

ただ、もうひとつ問題なのは守備面で計算できるサイドハーフが多くないこと。アンスが負傷してしまったことで、守備である程度信頼できるのはグリーズマンコウチーニョ、ペドリ。いずれも本来は中央で使いたい選手になるジレンマを抱えています。

それだけに守備組織の原則作りは急務になって来ると思います。これまではグリーズマンやアンスの献身性、フレンキーの身体能力で何とかなったいた部分も疲労が溜まっていけば立ち行かなくなるはずです。

 

まとめ

結局のところ今のバルサに最も適した守り方はリトリートであるという元も子もない結論が僕の中では出ています笑。これはメッシがいるから、というよりもレギュラーCBのピケ、ラングレの特性による部分が大きいです。彼らはスピードには欠けるものの、空中戦は得意ですし。ラインを下げた方が力を発揮するCBです。

バルサがこれからプレスを強めていくためには先述したように守備の約束事はきっちり決めていくことも勿論不可欠ですが、やはり後ろをカバーするCBの補強は必要不可欠であると思います。ただ、候補に上がっているのはフィジカルに特徴があるわけではないエリック・ガルシアくらいなので、クーマンがどう考えているのか気になります。

ただ、ほぼ引いて守るしか選択肢がなかったバルベルデ時代から考えると、プレスに行く選択肢があるだけでもチームとしては大きな一歩かなと思います。少なくともここ数年はこういう記事を書けませんでしたから笑

あとはそれをどう熟成させるのか。今後のクーマンの守備組織の構築に注目してみましょう。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。