こんにちは!クラシコの敗戦がまだ癒えないバルサにまたしても激震が走ります。あの「名物」会長、ジョゼップ・マリア・バルトメウが昨日、遂に辞任したのです。ようやくかといったところですが、一先ず悪夢のバルトメウ政権は終わりを迎えました。
さて、そんなバルサはCLの大一番を迎えます。相手はイタリア王者ユベントス。今季レジェンドのアンドレア・ピルロを指揮官に迎え、新たなスタートを切ったチームです。ここまでリーグ戦では2勝3分、CL初戦はディナモ・キエフに勝利を収めており、公式戦無敗を誇っています。
スタメン
ホームのユベントスはキエッリーニ、デリフト、アレックス・サンドロのDFラインの主力級が負傷離脱中で、エースのロナウドがコロナ感染により欠場。なかなか厳しいやり繰りを強いられています。前節ヴェローナ戦からは3人の先発変更。普段セリエを見てないので誰が元々レギュラーなのかはわかりません笑。
一方のバルサ。ピケがサスペンション、コウチーニョが負傷により欠場です。クラシコからは5人の先発変更。アラウホ、セルジ・ロベルト、ピャニッチ、デンベレ、グリーズマンが起用されます。クラシコで出色の働きを見せた17歳ペドリは2試合連続の先発出場になります。
両チーム陣形・配置・噛み合わせ
ユベントスのやり方
ピルロ率いるユベントスは今季可変システムを導入しているようです。保持時3-1-4-2、非保持時4-4-2になる可変式。攻守に最適化された配置でチームの成熟を図っているようです。
まずは保持時。
3-1-4-2の配置がベースとなります。目立ったのが右のディバラとクルセフスキ。2人はポジションを入れ替えながら、ハーフスペースを行き来し、ズレを作っていく役割を担います。そのため、右サイドから攻撃が始まることが多くありました。特に狙っている形としては右からバルサの4-4ブロックのライン間に侵入し、そこから逆サイド(キエーザ)に振っての仕掛けというパターンは見受けられました。
CFのモラタはアトレティコ時代と変わらず、頻繁に裏のスペースを狙ってDFラインの背後を狙います。裏を狙うモラタとボールを引き出すディバラという2人の動きでブロックを間延びさせようという意図が感じられました。尤も、2人が逆の動きを見せるので、2人の連携という意味ではあまり目立ったものが見られませんでした。
続いて非保持時。
非保持時は、保持時の3-1-4-2から右WBのクアドラードが右SBに下がり、左HVのダニーロが左SBにスライドする形で4-4-2に可変します。イタリアのチームらしく堅固な4-4ブロックを敷き、中央への侵入を許しません。
2トップのプレスは控えめであり、全体で押し上げてハイプレス!というよりはブロック作ってじっくり追い込むというのが大まかな原則感はありました。2トップのモラタ・ディバラはそこまで守備で頑張れる選手でもありませんし、本来、さらに守備のタスクが軽減されるロナウドがいるわけですから他に選択肢があまりないという側面もある気はします。
ユベントス仕様のクーマンバルサ
ここまで、ざっくりユベントスの配置をまとめてみました。さて、そんなユベントスに対してクーマンはどのような対策を打ったのでしょうか。
まずはボール非保持時から。この試合ボール非保持時でははっきりと2つの形を用意してきました。
まずはプレス時。このような配置でユベントスのビルドアップに対抗します。ボヌッチにはメッシ、ダニーロにはデンベレがついてビルドアップを制限します。3バックの最後の1人、デミラルはグリーズマンがベンタンクールをチェックしながらプレスをかける形に。この3人の中だとデミラルにボールを持たせるべきという判断があったのかもしれません。
左サイドハーフのペドリは、クアドラードを気にしつつスペースを埋める守備。インサイドハーフの2人はダブルボランチが掴まえ、ポジションチェンジには受け渡しで対応する形を取ります。CBも積極的に前に出てきてCFを潰しに行きます。
この守備のやり方はクラシコでは見られなかったもの。クラシコの反省を活かしてのものなのか、あるいはユベントス相手ならハイプレスをやれると判断したのかどちらかは分かりませんが、しっかりとプレスをかけてきましたね。メッシの負担減のために2人見れるグリーズマンがスタメンだったことも要因として考えられます。
プレスがかからない、プレスにいかない時はクラシコ同様4-4-2で守ります。
これは見慣れた守り方ではあるものの、とても気になったのは右サイドハーフデンベレの守備の甘さ。先述した通り、ユベントスは右サイドからの展開が多かったのですが、自分と逆サイドにボールがあるときの絞りがとても甘い。そのため、4-4-2ではなく、左右非対称の4-3-3のような形になっていることもしばしば。
プレス時はダニーロのところまで上がり、リトリート時は右サイドのスペースを守ることがルールになっているはずですが、それを完遂している感じはありませんでした。幸いなことにユベントスがそこまでデンベレが空けてしまうスペースを効果的に使えた感じもしなかったので、大事には至りませんでしたが、ちょっと4-4に組み込むのは不安ですね。途中出場のアンスはきっちりこないしていただけに。
最後にバルサのボール保持時も確認しておきましょう。
この試合の配置上の大きな特徴が右SBのセルジ・ロベルトの立ち位置。右サイドの高い位置に張り出すのではなく、3バックの右の位置に留まっていました。それに伴いデンベレは内側に入らず、サイドのレーンへ。デンベレをこの大一番ユベントス戦で起用してきた理由は恐らくここにあるのでしょう。
ではなぜ、セルジ・ロベルトの位置を下げたのかと言えば、考えられる理由は2つ。1つはピケ不在で先発に選ばれたアラウホのビルドアップ面での補助をするため。フィジカル能力に優れるアラウホですが、ビルドアップには不安が残ります。アラウホが餌食されるのを恐れてセルジ・ロベルトを下げたという可能性は大いにありそうです。
もう1つはセルジ・ロベルトを下げることでユベントスの左SH(キエーザ)を引っ張り出し、その背後のスペースを突こうというもの。これはセティエン政権の初期に試みとしてあったものです。何回かキエーザを引っ張り出し、デンベレやメッシにスペースを与えるというプレーは確認できました。
クラシコで素晴らしいパフォーマンスを見せたデストを起用しなかった理由は、疲労考慮でなければ恐らくここにあるのでしょう。今後右SBは戦術によってセルジ・ロベルトとデストが使い分けられるという可能性はありますね。
試合雑感
バルサが良かった、というよりはユベントスがそれほど真価を発揮できなかったという表現が正しい試合だったのかなと思います。
バルサにとって大きかったのは早い段階で先制できたこと。デンベレのゴールはDFに当たって入ったのでラッキーな側面もありましたが、あそこで迷わず足を振ったことは評価に値します。近年のバルサはメッシ以外の選手があのようなミドルシュートを狙うことが少ないので、その意識は大いに持っていて欲しいですね。
クラシコのレビューでも書きましたが、今のバルサは中央を固めた相手を崩すことを苦手にしています。そのため、先制点は必須。先制点を挙げることさえできれば、攻めに転じた相手の背後をバルサのアタッカーはショートカウンターで突くことができます。メッシが最も輝くのはカウンターのスペースがある展開ですし。
ユベントスもユベントスでビルドアップ後のプレーパターンに乏しいような印象を受けました。そこはやはりバルサと同じく新監督なので、崩しの部分は詰め切れていないのでしょう。逆にユベントスに先制されていれば、バルサはかなり苦しんだと思います。そういう意味でも本当に先制点は有難かったですね。
ユベントスは試合を通して枠内シュート0。オフサイドでゴールを取り消されたのが2度ありましたが、それほど効果的にバルサのゴールに迫れませんでしたね。まあバルサの守備も大して良くはないので、危なそうなシーンは山ほどあったのですが・・・。ロナウドがいたら失点したような気もしますね笑
バルサで大きいのはフレンキ―・デ・ヨングの存在。危ない場面は彼が身体能力で何とかしてしまうので、その個人能力に頼り切っている感さえあります。守備の歪は彼が解決してくれるので、今は何とかなっていても今後彼不在の試合はどうするんだろうっていうのは課題としてありそうです。今日はCBもやってくれましたし!
後半からユベントスは立ち位置をちょっと変えてきました。大外に立つことが多かったクアドラードが内寄りのポジションを取って逆にクルセフスキが外に立つ場面が増えました。ペドリの立ち位置を惑わそうという意図だったのでしょうか。後半は8本のシュートを撃ちましたし、前半よりも攻撃が良くなった印象がありました。
そのペドリは試合を通して圧巻のパフォーマンス。4-4ブロックの外側の選手として機能することをクラシコに引き続き証明しました(逆サイドのデンベレと比べると雲泥の差・・)。さらにはクラシコでは見られなかったドリブル突破(6回試行で5回成功)や切り返しからのシュートなど攻撃面でも才能を見せつけました。やはりインテリジェンスがずば抜けてます。
バルサはユベントスの攻撃を受けつつ、カウンターで反撃。スペースを得たメッシは水を得た魚のようにドリブルで進軍し、ファウルを受け、チャンスを演出します。何故かシュートが全然入らない今季のメッシですが(PK以外でのゴールは無し)、カウンター時の局面打開力は圧巻です。先制点を取ったバルサは強いのです(3回目)。
ただ、バルサは再三のチャンスがあったにも関わらずなかなか追加点を奪えなかったのは本当に要反省ですね。特にグリーズマンは決めておきたかったところです。後半の決定機はバルベルデ時代決めてたやつなんですけどね。本当に焦りが見えます。あれを決めてれば彼の評価も変わるんですけど、まだ苦境は続きそうです。
そんなこんなでデミラルが85分に2枚目のイエローで退場。点は取れなかったけど、カウンターを撃ち続けた成果が数的優位という形で結実します。これで流石に勝負あり。途中出場のアンスが奪ったPKをメッシが沈めて2-0。バルサがきっちりと勝ち点3を掴んでゲームは終了しました。
まあ、全体的に危うさもありつつ、勝てたことはプラスですね。クーマンは交代策には???ってなることが多いのですが、試合ごとの設計はちゃんとやっている印象があります。
あとは、今後ファンとメディアがクーマンのこのサッカーをどう捉えるかですね。結果が出れば文句は出ないと思いますが、勝てなくなれば非難されるのは間違いないのかなと思います。まあメッシがいる以上、どんな監督でも似たようなアプローチを最終的には取ることになるような気はするので、そこは苦慮しているだろうなと思います。
あとはピャニッチ良かったと思います。そこまで違和感なく溶け込めているのは流石ですね。アラウホは90分確認したかったのですが、怪我が残念・・。軽傷だといいのですが。
さて、バルサは次節アウェイでアラベスと対戦します。クラシコ・ユベントス戦の山は越えましたが、現在リーガでは2連敗中。流石に勝たねばなりません。中2日ということもあってこの試合でも先発は入れ替わりそうな気はします。今日出番がなかったデストやトリンコン、リキなんかが出てくれたら面白そうですね。これ以上怪我人が出ないことを祈りつつ、次の試合も勝ちたいですね!
最後までお読みいただきありがとうございます。