Hikotaのバルサ考察ブログ(仮)

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【マッチレビュー】20-21 ラ・リーガ第7節 エル・クラシコ バルセロナ対レアル・マドリ―

こんにちは!やってきましたエル・クラシコ。絶対に負けてはいけない1戦が今季もやってきましたね。昨季は延期により前半戦のクラシコが12月開催でしたからそれに比べると一層早く感じます。

バルサはここまでリーグ戦2勝1分1敗の成績。今季から指揮を執るクーマン監督の元、新陳代謝が進みつつあります。CL開幕戦となったフェレンツヴァーロシュ戦では5-1で快勝。ヘタフェ戦の敗北による重苦しい雰囲気を払拭しました。

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 マドリ―はバルサよりも消化が1試合多く、5試合で3勝1分1敗の成績です。今夏はマドリ―にしては珍しくレンタルバック以外の補強がなく、監督も昨季に続きジダン。チームに大きな変化はありません。CL開幕戦はシャフタールに2-3で敗戦。あまりチーム状況は芳しくないようです。

バルサは昨季、マドリ―に1分1敗と負け越し、リーガのタイトルも譲ってしまいました。そのリベンジの意味も込めて勝ちたい試合です。

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スタメン

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ホームのバルサはサプライズ。なんと19歳デスト、17歳ペドリがクラシコ初先発を飾ります。セビージャ戦の負傷交代以来戦列を離れていたジョルディ・アルバもこの大一番に間に合いました。もう1人の17歳アンス・ファティも当然のようにスタメン入りしています笑

一方のマドリ―はいつも通りの4-3-3。レギュラーであるカルバハルが離脱している右SBにはユーティリティなナチョが入りました。両翼はアセンシオとヴィニシウスのペア。今季のマドリ―のトップスコアラーはヴィニシウスです。ちなみに、アザールは依然として負傷中です。

 

両チーム配置・噛み合わせ等

クーマンの奇策の意図

オーソドックスな4-3-3でこの試合に挑んできたジダンに対して、クーマンは選手起用だけでなく配置でもサプライズを提供してきました。スタメンが発表された段階での大方の見立てでは、前線の形はCFメッシ、右ペドリ、トップ下コウチーニョ、左アンスでした。しかし、実際は下図の配置でした。

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サプライズな配置

今季初のアンスCF、メッシトップ下の構図には驚かされました。突然の配置変更にはどのような意図があったのでしょうか。

まずはボール非保持時から。マドリ―のビルドアップに対してバルサは4-4-2の形で守ります。

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バルサボール非保持時

マドリ―はお馴染みのロースが左ハーフスペースに落ちるダウンスリーでビルドアップを開始します。従来のクーマンバルサであれば、このクロースの位置にペドリ(右SH)をぶつけそうですが、この試合では違いました。

2トップ(メッシ&アンス)が3バック(ヴァラン&ラモス&クロース)を牽制しながら、パスコースを限定。後方はコウチーニョとペドリが下がって4-4ブロックを形成します。過度な前線からのプレスを控えた格好ですね。

これは恐らくマドリーの後方ユニットのフィードの能力、さらにはバルサの守備陣のスピード不足を考慮した戦術でしょう。CLのフェレンツヴァーロシュ戦では果敢にプレスをかけていったバルサですが、その分相手の快足FWに裏を多く取られました。

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裏を取られたフェレンツヴァーロシュ戦

クーマンセルヒオ・ラモス、クロースがいるチームにむやみやたらにプレスをかけるのは危険だと判断したのでしょう。マドリ―の前線にも快足のヴィニシウスがいますし。4-4ブロックでバルサが守るのは何もメッシ・スアレスの2トップだけが原因だったわけではなく、CBのスピード不足でラインを下げざるを得ないという側面があるのです。

ここで読み取れるのはクーマンがペドリを守備面で相当買っているということ。そうでなければクラシコという大舞台で4-4ブロックの一角として起用するのは難しいでしょう。ペドリはあまりフィジカル的には強くありませんが、立ち位置を間違えないというのは大きな武器です。

ある程度ラモスやクロースにフリーで蹴られることは覚悟しながら、後方の堅固なブロックでマドリーの攻撃に対応しようという狙いでしょうか。マドリ―はサイドチェンジでバルサのブロックを翻弄しようとしますが、そこは何とかスライドで我慢するバルサ守備陣。これはバルベルデ時代と共通しており、現チームにとって一番守りやすい形なのでしょう。

しかし、だとしてもこれまで選手起用を考えるなら、メッシトップでアンス左SHが妥当な気はします。なぜクーマンは敢えてアンスをトップに置いたのでしょうか。

その答えは恐らくヴァラン、ラモスにプレッシャーをかけるため。マドリ―は基本的に「人」に重きを置いた守り方をします。ヴァランもラモスも積極的にボールを奪いに前に出るのが特徴です(その裏は怪物カゼミーロがしれっと埋めてたりします)。

しかし、スピードに優れ、トップスコアラーであるアンスがCFの位置に入ることで、迂闊に飛び出せない状況になったのです。つまり、アンスの存在でマドリーのラインが少し下がってしまう状況が生まれます。分かりやすい例が前半のバルサの同点ゴール。

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バルサの同点ゴール

バルサの同点ゴールはメッシのスルーパスにアルバが抜け出して生まれたお馴染みの形でしたが、これよく見てみるとヴァランがアンスを気にしてラインを下げてしまっているんですよ。不揃いなDFライン故にオフサイドに引っかかることなくアルバは抜け出すことができました。

特にヴァランはラインを下げてしまう傾向があるので、そこを上手く突けた格好です。もっとも、クーマンがそこまで見越していたかは分かりませんが笑。少なくともアンスが2CBを引き付け、その分トップ下のメッシ、左のコウチーニョに自由を与えるという意図はありそうです。やはりクーマンはストライカーが欲しいんだなというのは改めて実感しました。

僕のイメージでは「CFメッシが降りることでCBを引っ張り出し、空いたスペースをアンスやアルバが突く」だったのですが、クーマンの狙いは中盤を制圧することだったのでしょう。中央の3人+コウチーニョ+ペドリである程度前半は上手くやれていたと思います。マドリ―が組織を整備した後半は上手くいきませんでしたが・・・。

マドリ―の対応

マドリーにとって非常に不運だったのがジョルディ・アルバの復帰。先述した通り、人に対して基準点を置く守備を志向するマドリ―にとって、後方からのフルスプリントで裏を陥れるアルバの存在は厄介そのものでしょう。首尾よくフェデ・バルベルデの見事な抜け出しで先制点を奪ったものの、数分後にアルバアタックから同点弾を許したのは先述の通りです。

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アルバをどう止める??

後ろからフルスプリントで上がってくるアルバに対応するのは難しいタスクです。マドリ―は結構ここが近年のクラシコでは曖昧だったりします。例えば、18-19シーズンのカンプ・ノウクラシコでは対面のベイルがアルバについていかず、アルバはフリーで裏を取り続け先制点をもたらしました。

この試合でも同点弾の場面でアセンシオがアルバについて行き切れず失点となりました。対面の右WGがついて行くのが原則なのでしょうが、く下がってしまうと攻撃に関与できなくなるという悩ましい状況になってしまいます。アトレティコアンヘル・コレアなんかはアルバを徹底的にマークした上で前線に出て行くのですが、あれは結構特殊ですね笑。

結果的に失点後はアセンシオはかなり深い位置まで戻ってアルバをケアしていました。

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アセンシオの対応

アセンシオがアルバに完全について行くことでアルバのラインブレイクに対応(同点弾後は1回くらいしか裏を取れなかった気がする)します。そして中盤はそれぞれ担当が決まっており(バルベルデ➡フレンキ―、クロース➡ブスケツ、カゼミーロ➡メッシ、ナチョ➡コウチーニョ)、バルサの攻撃を人ベースで遮断していきました。

これは前半の30分過ぎくらいからかなり機能するようになり、バルサの攻撃は段々と手詰まりになってきました。崩しの要所ジョルディ・アルバを抑えられると膠着してしまうのが今のバルサの弱みです。

となると活路を見出すのはショートカウンター。アンス&メッシ&コウチーニョの即興でゴールを狙いますが、対人に滅法強いマドリ―の中央3人とクルトワの牙城は越えられず。特に一度かわしてもすぐに追いつくカゼミーロは本当に厄介でした。

もう1人、厄介極まりなかったのがCFのベンゼママドリ―が押し込まれても陣地を回復できるのは、圧倒的な技術を備え、CBを背負える彼の存在によるところが大きいのです。ピケ・ラングレの両CBはベンゼマを潰し切ることができませんでした。ベンゼマのところで時間を作れてしまうので、鬼のようなトランジションを見せるフェデ・バルベルデ、圧倒的なスピードを誇るヴィニシウスを活きてきます。

マドリーにとって嬉しい誤算(?)だったのが、前半に負傷交代したナチョに代わって右SBに入ったルーカス・バスケスの好パフォーマンス。本職はWGですが、バルサコウチーニョ&アルバをよく抑え込んでいました。

さらに元々WGということもあって、ボール保持時にサイドのレーンで幅取り役ができるというのは大きかったですね。よって後半はアセンシオが前半に比べると右サイドから解放され、よりベンゼマに近い位置でプレーできるようになったのです。

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バスケスの役割

この試合、注目されていた左サイドのヴィニシウスのパフォーマンスが芳しくなく、アセンシオも守備のタスクが重かっただけに、緊急出場で出てきたバスケスが攻撃を活性化させたのはまさに「怪我の功名」ですね。あそこまでバスケスが右SBで良いとは予想外でした。バルサが4-4-2で守っていたので、SBは余裕を持ってボールを持てたという側面はありそうですが。

奇天烈なクーマン采配

60分過ぎにマドリ―にPKが与えられ、これをセルヒオ・ラモスがきっちり沈めます。再び追う立場になったバルサクーマンの采配に注目が集まります。しかし、これと言って配置を弄ったりすることも、交代カードを切ることもなく、刻一刻と時計の針は進んでいきました。

ようやく動いたのは残り10分を切ってから。81分にグリーズマン、トリンコンデンベレを入れる3枚替え。さらに87分には負傷明けのアルバを下げて、ブライスワイトを投入するまさかのアタッカー4人投入。よって布陣はこのように。

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87分以降のバルサ布陣

小学生の時、友達とのウイイレ対決で披露したような圧倒的攻撃偏重の布陣。フレンキ―を左SBに下げ、中盤はコウチーニョ(本来はトップ下の選手)のみという大胆な作戦です。ほぼ4バック+6トップみたいなものです。「負けてるんだから、点取るために使えるアタッカーは全部使う」と言わんばかりの采配を振るってきたわけです。

しかし、攻撃の選手を闇雲に増やせば点が奪えるほどサッカーは甘いスポーツではありません。セビージャ戦のレビューにも書きましたが、前線の選手を増やすことは、同時に自分達が使えるスペース、もっと言うとメッシが入り込むスペースを自ら閉じてしまうことに繋がります

特にバルサには高さのあるCFがいないので、人海戦術に正直意味はありません。例えばフェルナンド・ジョレンテのような長身で屈強なFWがいれば「ひたすら前の密集地帯に蹴り込んで」という戦術も効果的なのでしょうが、そうでなければアタッカーは窮屈なプレーを強いられるだけです。

クーマンがやるべきだったのは、アタッカーを全員投入して「お前ら、あとは任せた!」ではなく、適切に配置を修正し、点を取れる枠組みを提示してあげることでした。

例えば、このような采配。

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例えば

例えば3バックにしてみたり。リズムを作れるピャニッチ、パス1本で流れを変えられるリキを入れて全体のバランスを整えつつ、全体の配置を整備する。これはシンプルな一例ですし、上手くいくかどうかは分かりませんが、これくらいの工夫は見せて欲しかったところですね。

結局バランスを崩したバルサはカウンターからモドリッチにダメ押しを食らい、終戦クーマンの采配に疑問が残ったまま、ホームカンプ・ノウでマドリ―に屈しました。

 

試合雑感

両チーム決め手を欠く中で、試合を動かしたのはVARでした。ラングレのあれがPKになっちゃうのは何だかなあという感じではあるものの、これが今の時代の判定という事です。全て映像でチェックされるからこその対応にならなければなりません。ラングレは昔から腕関係の反則が多いですし、今回のが本当にPKだったのかどうかは別にしても気をつけなければなりませんね。

あの判定が試合の中で非常に大きな出来事だったのは否定できませんが、後半のバルサのパフォーマンスが芳しくなかったのも事実。マドリーレベルのチームを崩し切るだけの力がまだないことは受け止めなければなりませんね。クーマンバルサはまだまだのチームです。

やはりメッシを組織に組み込む難しさは改めて感じました。相手が強ければ強いほどボールを求めて下がってしまうメッシ問題に対して、クーマンはアンスCF・メッシトップ下という解を出しました。これ自体は悪い選択ではなかったと思いますが、一方でメッシCF時よりも全体の守備強度は下がってしまいます

その分、アンスが前半から走りまくってましたが、それだけでは限界があります。この問題とどう向き合うのか。今後の課題ですね。

マドリーも決して状態が良いわけではありませんでしたが、このジダンクラシコでの勝負強さは何なのでしょうか。監督としてまだクラシコで1度しか負けたことがないという…。悔しすぎますね。来年のベルナベウクラシコでは必ず土をつけて欲しいです。

バルサにとってポジティブだったのは先発で抜擢されたデストとペドリの躍動。デストは相手のキーマンであるヴィニシウスにほとんど仕事をさせませんでしたし、保持時も非凡な技術を見せつけました。ペドリは大きく目立ったわけではありませんが、与えられたタスクを忠実にこなす戦術理解度の高さをまたしても証明しましたね。17歳でこれは凄いことです。

そしてアンス・ファティ。同点ゴールもあっさり挙げましたし、CFのタスクにも順応。良いチャンスメイクもありました(メッシとコウチーニョに決定機を提供)。先述した通り、守備にも奔走してくれます。クラシコでも結果を残しましたし、これで文句なしの中心選手でしょう。これからもクラシコで決め続けて欲しいですね。

さて、この後バルサは中4日でCLユベントス戦に臨みます。強豪相手の連戦で選手達は心身共にハードな仕事を強いられますが、きっちりクラシコで溜まったフラストレーションを解放して欲しいですね!まだシーズンは始まったばかり。ポジティブな気持ちで応援しましょう!

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。