こんにちは!3月から中断していたCLが帰ってきました!今回はナポリとのCL決勝トーナメント2ndレグのレビューを書いていきたいと思います。1stレグではナポリのホームで1-1の引き分け。バルサがアウェイゴールを奪った形なので有利ではあるものの、1stレグはかなり苦戦した形の試合でした。(まさかの1stレグレビューを書いていないという・・。これは大反省)
ポゼッションは70%弱を記録したものの、枠内シュートは僅か2本とナポリの守備に上手く抑え込まれた格好でした。セティエンバルサになってから度々見られる攻めあぐねる展開になりましたが、今回は果たしてどうなるのか。できることなら長い間CLで戦うバルサが見たいので、ここは勝ち抜けて欲しいところです。
↑2月に書いたナポリのマッチレビューはこちらから!
■スタメン
ホームのバルサは中心選手のブスケツとビダルが出場停止で欠場。トップチーム所属の選手はスタメンの11人とネト、ジュニオルの13名のみとかなり危機的な状況です笑。そのため、ベンチにはリキとアンスを含むBチーム所属の選手たちが多く入っています。
ナポリは1stレグから1人のスタメン変更。2月は負傷で欠場したクリバリがスタメンに戻ってきました。基本的にはナポリもベストメンバーですかね。ベンチにはミリク、ポリターノ、ロサーノなど攻撃のカードが多く控えています。交代選手にも注目が集まります。
■両者の形、噛み合わせ
バルサは大方の予想通り、4-3-1-2で試合をスタート。ナポリはいつも通りの4-3-3。試合開始から約10分は得点が欲しいナポリがボールを支配し、バルサのゴールに迫る展開に。
ナポリボール保持時の噛み合わせは上図の通り。やはり、4-3-1-2は相手のSBにマッチアップする選手がいないので、必然的にマリオ・ルイとディ・ロレンツォはフリーになりやすくなります。その分中盤センターは3対4でバルサが数的優位を確保しているわけです。
ナポリのビルドアップの大きな特徴として挙げられるのが両SBの立ち位置。最初から高い位置を取ることほとんどなく、低い位置でボールを受けてボールを前に進めるプレーが目立ちます。ナポリの狙いとしてはこの低い位置に立つSBを餌に、バルサのインサイドハーフやSBを釣りだしてその後方のスペースを使いたいところ。
このケースがバルサとしては怖いところ。実際、4-3-1-2を使ったアトレティコ戦ではこのような現象に陥り、かなりインサイドハーフの選手が困惑している様子が見られました。
ここがナポリ相手に4-3-1-2で戦う上で試合前に僕が懸念していたことでした。ただ、この反省を活かして、というよりもバルサがアウェイゴール1点のアドバンテージを持っていたこともあり、バルサは低い位置にいる両SBを放置。インサイドハーフは中央のスペースを封鎖することに専念。SBが攻めあがってきた場合は彼らがスライドして対応していました。セルジ・ロベルトもフレンキ―も我慢のポジショニングを意識していました。
ただ、スペースは埋めているものの大きなサイドチェンジには流石に対応しきれないのは弱点です。前半2分のメルテンスの決定機はフリーの左SBへのサイドチェンジから生まれたものです。このサイドチェンジは試合を通して決定機に繋がりそうな気配はあったので、このシステムの明確な弱点ではあります。
そして、この2人の守備挙動が意味するところは、ある程度ボールをナポリが握ることを許容するということ。この試合のバルサのポゼッションは47%。当然これはセティエンが就任して以来、最低の数字です。セティエンはボール保持に拘る監督ですが、ここではリアリストになったんですね。
続いてバルサのボール保持時。
ナポリはハイプレスをかけることもありましたが、基本的には中盤のラインからプレスをかけていました。最前線のメルテンスもラキティッチのラインからプレスを始めることが多かったですね。守りの陣形はプレス時は4-4-2または4-1-4-1。リトリートするときは4-5-1で守ります。リトリート時は1stレグと変化はありません。
バルサはリスク排除で詰められたら1つ飛ばすパスをこの試合結構使っていました。特にラングレからナポリのインテリオールの背後へのパスは目立ちました。ナポリのインテリオールがボールを奪いに来るタイミングでデンメの脇のスペースにボールを送り込むので、これは有効でした。
トップ下のはずのメッシは右大外からプレーを始めることが多かった印象です。その分、ボールは受けやすく、またグリーズマンが使えるスペースも多かったように思います。
また両インサイドハーフの攻め上がりは控えめで、SBが上がる分バランスを取っていました。ここはリーグ戦での4-3-1-2から改善した部分ではあります。これまではインサイドハーフ(インテリオール)が前に出過ぎて攻撃が渋滞することが多かったのですが、今日の試合ではかなりバランスは取れていたと思います。
1stレグに比べるとナポリがボールを奪いに来たこともあって、いつものようにのらりくらりパスを回すのではなく、早めに危険なスペースを突いていく狙いは見えました。このようのスペースが多分にある展開になるとメッシは今まで以上に活きてきますね。
■試合展開
序盤の10分間はナポリがボールを支配。前述したようにバルサはある程度ナポリがボールを持つことを許容したので、これは必然の展開でした。2分のメルテンスの決定機はポストに救われたものの、その後もナポリの攻勢は続きます。あのメルテンスのシュートが入っていたら試合の行方は分かりませんでした。
しかし、流れが変わったのは10分。ラキティッチのコーナーキックをラングレが見事なヘディングを叩き込み、流れに反してバルサが先制に成功します。デンメを押したようにも見えましたが、無事ゴール判定。このゴールを機に今度はバルサがボールを持ち始めます。
そして22分、スーパーゴールが生まれます。大外からメッシがドリブルで仕掛けると、2人の間をすり抜けます。メッシはここでバランスを崩したものの、カバーに来たクリバリもいなし、そのカバーに来たマノラスとデンメの間を抜くシュートを放ちます。これがファーサイドに吸い込まれバルサが追加点を奪います。
いや、シンプルにえげつないゴールでした笑。この状況から1人で得点を奪ってしまうなんて・・。忘れそうですけどメッシはもう33歳のベテラン選手ですからね。それでいてあのキレとバランス感覚、フィジカルの強さは特筆に値します。
メッシは30分にもネットを揺らしますが、これはVARでハンドと判定されノーゴール。しかし、44分にメッシがクリバリにプレスをかけて奪ったPKをスアレスが沈め、3点目。そのすぐ後にナポリにもPKが与えられ、1点返されるものの2点のアドバンテージを持って後半に突入します。
後半のシュート数はバルサが0で、ナポリが13。これが全てです笑。バルサは45分通して押し込まれました。まるでバルベルデ時代を彷彿とさせるようなリトリートで耐え、カウンターで追加点を狙う展開に。途中からは4-3-1-2から4-4-2に変更したので、本当にバルベルデが監督をやっているようなサッカーでしたね笑。
しかし、枠内シュートは2本に抑えるなどピケ・ラングレを中心とした守備陣が奮闘し、後半は無失点。バルサが合計スコア4-2でベスト8へと駒を進めることに成功しました。
■雑感
まずは勝てて良かったです。トーナメントですから勝ってナンボですから、そこは素直に喜びたいところです。苦しい試合でしたが、選手たちも頑張りましたね。特に中盤以下の選手たちはよく走りました。
恐らくセティエンが見せた戦い方には議論が集まるでしょう。ボール保持率は低く、ナポリにボールを渡して自陣に引きこもる戦い方は褒められたものではありません。しかもセティエンはこれまで事あるごとに「内容を評価して欲しい」と訴えてきました。その監督が勝つためだけの采配を振るったわけです。
インサイドハーフには控え目に振舞わせ、リスクを排除した戦い方はリーグ戦では見られなかったものです。リキとアンスの期待の攻撃的なカードは最後まで起用せず。逃げ切りのためにBチームのモンチュとジュニオルを投入する。CLで勝つためにセティエンが折れたのでしょうか。これに関しては納得できない人もいると思います。
しかし、現状のバルサはCLで勝ち進むためにはこのようなやり方も必要だと僕は思います。
後半の戦いぶりをバルベルデバルサと同じじゃん!と言いたいところですが、今のバルサがナポリくらいボールを握れるチームに対抗するのはあれしか方法が現状ないんですよね。セティエンも歯痒いところではあると思います。そこに関しては気の毒ですね。
— Hikota (@BarcaHikota) 2020年8月8日
メッシとスアレスが90分通して守備に走れない以上、ボールを握れるチームに対して、リトリートして守るのは致し方ないのかなと。内容としては目を覆いたくなるものですが、これは今すぐに監督の権限でどうこうできる問題ではないのだと思います。
「そんなこと言ったって過去2シーズンそのやり方で負けてるじゃん!」というご指摘はごもっともです。ですが、希望を見出すとすればベスト8以降は全て一発勝負だということ。180分は無理でも90分なら通用するかもしれません。ローマにだってリバプールにだって1stレグは3点差で勝ってるんですから、大丈夫です!っていうのはちょっと暴論すぎますけど、一発勝負はバルサにとって追い風かなと思ったり。
少なくともセティエンが自分の哲学に殉じて負けるよりは遥かにマシだと僕は思います。今は内容を問う時期でもありませんし、その余裕もバルサにはないのでしょう。バルサが変わるべきは今ではないでしょうから。まだ我慢する覚悟はあります。
僕はメッシがバルサにいるうちは勝ち方には拘らないって決めてます。特にCLは。後半は眠かったけど、内容には目を瞑る。どんな形でもいいから、次も勝とう。
— Hikota (@BarcaHikota) 2020年8月8日
次はバイエルンとの決戦です。今季のCLで優勝候補に挙げられているチームです。間違いなく強敵ですが、恐らくどこが相手でも苦戦します。チャレンジャーの気持ちで立ち向かって勝利を収めて欲しいところですね。
最後までお読みいただきありがとうございます。