衝撃的なニュースが舞い込んできました。先日のスーペル・コパ準決勝アトレティコ戦を落としたバルセロナ。サウジアラビアで開催されたこの試合のあとに、なんとバルサの首脳陣がカタールにいるシャビの元を訪れたというのです。
Rac1によると、バルサはドーハにてチャビと会っていた模様 https://t.co/FYFh5l65kO
— Río (@rio_cule) 2020年1月10日
チャビ
— Río (@rio_cule) 2020年1月12日
『バルサは夢だが、今はアルサッドに集中している。バルサの今の監督であるバルベルデを尊重している。』 https://t.co/dFb2w4HXk5
アルサッドSD
— Río (@rio_cule) 2020年1月12日
『今、バルサとチャビの間で交渉が行われている。彼がどこへ行こうと成功を願っている。』 https://t.co/6Q5lhD74aQ
信頼できるRíoさんのツイートです。実現するかどうかはともかく、実際にバルサ首脳陣がドーハへ赴き、シャビと交渉中であるのは間違いないようです。いや、まさかスーペルコパの敗戦で動きだすとは思ってもみなかったので、純粋に驚きました。
この報道に対しての反応は様々で、「今すぐ連れてくるべきだ!」という方もいれば、「まだ時期尚早だろう」、「このタイミングは不適当だろう」、「アルサッドやバルベルデに敬意がない」といったどちらかと言えば否定的な意見の方もいるといったところでしょうか。
タイトルにもあるように僕はこのタイミングでの就任には反対です。まずは状況を整理しつつ、持論を述べていきたいと思いますので是非お付き合いください。では。
スーペルコパのマッチレビューはこちらから!
■シャビ就任が持つ意味とは?
シャビ・エルナンデスといえば、長らくバルサの中盤を支えたレジェンドです。僕がバルサを見始めたのが2008年頃からだったのですが、その時はもう押しも押されぬ大黒柱でした。狂ったようにパスを繋ぎ、また受け、またパス、もう一回受けてターン。基本的にこれを繰り返しているだけなので、一見すると何がすごいのかわからない選手でした。
しかし、実際シャビがいるのといないのでは、チームの機能性は大きく変わります。足でボールを扱うサッカーというスポーツにおいて「ほとんどミスをしない」選手の価値は想像以上に高いものがあります。グアルディオラ時代、相手は忘れましたが、メッシではなくシャビにマンマークがつけられたこともあるくらいバルサにとって大きな存在でした。
シャビの価値は技術だけに留まらず、真価はその頭の中身にあります。認知などの脳機能も半端ないのですが(これは数年前にNHKで番組やってましたね)、彼が特別視される理由の1つとして彼の行き過ぎたと表現しても差し支えないほどのバルサ愛があります。彼はバルサ教の信者と呼んでも差し支えないほど、バルサのサッカーの信奉者なのです。
「良いプレーをして勝つ。それ以外はどうでもいい」
彼の現役時代の発言です。ここまで言い切るのはすごいですよね。シャビは普通に対戦相手のサッカーを指して、「アンチフットボール」と言い放つほどのバルサのサッカーに誇りを持っている選手です。なので、結構他サポからは嫌われていますよね笑。
前置きが長くなってしまいました。今現在、バルサのアイデンティティは失われつつあります。カンテラ出身であり、チームのレジェンド、さらには飽くなき美しいサッカーへの渇望を隠さないあの姿勢。彼はバルサ再建に向けてのまさに切り札のようなOBなのです。といったら過度に期待しすぎだろ!と怒られてしまいそうですが、僕が彼でダメならもうダメかも・・とすら思っています。
なので、シャビの監督就任はバルサにとって、原点回帰の大号令のようなものなのです。なんか王政復古みたいですね笑。彼はまず間違いなくバルサスタイルを、少なくとも取り戻そうとはしてくれるはずなので。上手くいくかいかないかはまた別ですよ。別ですけど、それだけのカリスマ性を持ちあわせている人間です。
■僕が反対する理由
じゃあ何でシャビの就任に反対なのかといえば、時期とタイミングが違うだろうと。ここで勘違いしてほしくないのは、シャビには経験が足りない!まだトップチームは早いっしょ!ということではありませんよ。彼には天性のカリスマ性があると思っていますし、当然選手たちからの信頼も早々に掴むと思います。何なら、現役の時から監督みたいなコメントしてましたからね笑
準備ができていないのはシャビの方ではなく、バルサの方だと僕はここで声を大にして主張したいのです。先述した通り、シャビはバルサの切り札なわけですよ。その切り札を切るにはあまりに場の状況が乱れすぎだろうと思わずにはいられません。
このブログでは何度も言っていることですが、クラブの成功はピッチの中だけで掴むものではありません。大切なのはクラブ全体で同じ方向を向くことなのです。
仮に、シャビが監督になって、「これこれこういうサッカーをするぞ!」と声高らかに叫ぶだけでは十分ではないのです。それだけでも間違いなく改善はすると思いますが、シャビを監督にするのであれば、クラブを根底から変えてくれることを僕は望んでいます。
そして、バルサの今のフロントでは「切り札」シャビを十分にサポートすることはできないと考えています。当然、シャビが思い描くサッカーを実現するためには現スカッドの放出や新規選手の獲得が不可欠になると思いますが、果たしてシャビの望むようなチーム造りは許されるのでしょうか。
改めて、ある程度リーガで点を取ってきたムニルをはした金で出して、ボアテングをCFで取ってきたフロントの発想力はすごい。思いつかなかったし、意表を突かれた。天晴れ。
— Hikota (@BarcaHikota) 2020年1月11日
さて、今冬も冬のコント補強が見れるのかな。
さらに今はシーズン中です。シーズン前に十分な時間を与えられて、準備をした上でシーズンに入るのと、いきなりカオスなチームの指揮を押し付けるのとでは全く状況が違います。せめてウィンターブレイク前なら理解はしますが。どうしてもバルベルデを解任したいのであれば、それはそれでいい選択だとは思いますが、なぜこの難しい局面でシャビなのかちょっとよく分からないですね。
ペップが来る前から彼の戦う環境を整えるために、スターリングやデブルイネを獲得したフェラン・ソリアーノとチキ・べギリスタイン。一方、アルサッドやチャビ、バルベルデの感情を何一つ考えることなくチャビ招聘を進めるバルサフロント。まずいなくなるべきなのはバルトメウだ!
— Sub🔴🟡R.P (@banzai_barca) 2020年1月12日
ジダンは上手くいった!という意見もありますが、ちょっと置かれている状況が違います。シャビもジダンもクラブのレジェンドではありますが、それぞれの監督就任が意味するものは全く違うのです。シャビがやらなければならないことの煩雑さと彼への期待値と、ジダンのそれとでは雲泥の差であると言わざるを得ません。
現状のバルサは本当にマネジメントが難しいチームになってしまっています。ベテラン選手のヒエラルキーが強く、特にメッシという特異な存在も相まってギリギリのバランスでチームとしての体をかろうじて保っています。その状況に何の処方箋も打たず、シャビ新監督、あとはお願いね~とはチームのトップとしてなんと傲慢な姿勢でしょうか。
そもそもなぜスーペルコパに負けて解任に動くのでしょうか。クラブとしてそこまでスーペルコパを重視していましたっけ笑。結果で切るなら間違いなくリバプール戦だったなと思いますが。フロントからするとバルベルデの次はシャビ監督が既定路線だったのかもしれません。それが最近の不調とこの敗戦で早まったということだけかもしれませんが、あまりに短絡的ですね。
(追記)
フォロワーの方からご指摘頂いたので追記します。現在のフロントの話です。
ブログ読みました。ひこたさんは現フロント陣の内情というか背景とかは存じてますか?現フロント陣は反クライフ派の陣営です。つまりアイデンティティーが失われつつあるのは必然だったのですが、そんな陣営がチャビを餌にクレをつって次回の会長選での票を自分の派閥へとの背景もあるかと
— ken6y26 (@ken6y26) 2020年1月12日
ちなみにペップもチャビもクライフ派なので現陣営が退かない限りは基本的に帰って来てくれないと思います。だからカンテラのプジョルも内閣拒否しましたし現フロントのバルサ所属の元選手は外様が多いんですよね。
— ken6y26 (@ken6y26) 2020年1月12日
鋭いご指摘だったので、そのままツイートを載せてしまいますね(本人の許可は頂いています)。要するに今のバルサフロントの政権って反クライフ派であって、そもそもシャビやグアルディオラとは相いれないんんだよねということですね。だからシャビが帰ってこない選択をしたとしてもそれはバルサへの愛が欠如しているわけではない、とのことです。
僕はあんまりバルサ内部の政治や派閥に詳しくなくて。ここは言及すべきポイントでした。こういう記事を出す以上、詳しくないでは済まないですね。反省してもうちょい勉強したいと思います。指摘頂いたフォロワーの方には感謝です。皆さんも何かあればぜひ。
■まとめ
まとめると、
・シャビの就任にはめっちゃ期待してる
・でもクラブの状況的に今じゃないよね
・フロント怒!
といったところです。バルベルデやアルサッドに敬意がないじゃないかという部分はもう諦めてます。自チームの選手にすら敬意を払えないフロントなので、できないことを期待しても仕方ないです。
僕はどうしてもシャビには良い形で襷は渡したいです。こんなフロントの都合ではなく、ちゃんとしたプランの元、バルサの指揮官という夢の職業に就いて欲しいなと思っています。まあもう明日には決まってしまっているかもしれませんが笑。
ここまで書いておいてなんですが、もしシャビが監督になれば飛び上がって喜ぶと思いますし、死ぬほど応援します笑。現役時代を知っている選手が監督になってくれることほど嬉しいことはありません。僕はシャビ、ものすごく好きだったので。実はこの状況でシャビが就任することで特に楽しみなことも1つあります。それは本当に就任が決まれば書いていきたいと思います。
しかし、たとえこのシャビの挑戦が実現し、成功したとしても(何をもって成功とするかは分かりませんが)、バルベルデへの敬意とフロントへの疑念は忘れてはいけないなと思います。責任は全てバルベルデに押し付け、シャビを監督に担ぎ上げることで自分たちへの批判をかわそうという思惑だと思うので。
こういうのって普通は秘密裏に行われるはずなのに、こんなに大々的に報道されるあたり、フロントが普通にメディアに情報流している可能性も高そうですね。なぜシャビ就任という本来大歓迎すべきニュースをこんなに冷めた目で眺めなければいけないのでしょうか。残念です。
コメント、ご意見待ってます。
最後までお読みいただきありがとうございます。