こんばんは。お久しぶりです。Hikotaです!
LA LIGA CHAMP🏆ONS! pic.twitter.com/enrozFf9gs
— FC Barcelona (@FCBarcelona) 2023年5月14日
リーガ優勝決まりましたね!ということで記念に書きます。ここ2年ほどはほとんど書けてないですが、やはり節目節目では書いて記録に残しておきたいということで。何記事か今季総括を出しておきたいなと思います。今回は感想編。他には選手評価編とか諸々出していきたいなと思います。
それでは、どうぞ!
シャビバルサの評価は?
ここから2年目のシャビバルサを論じていこうと思います。シャビバルサをどう評価するかはかなり賛否が分かれるところではないでしょうか。
今季のバルセロナを象徴するものは、圧倒的に少ない失点数です。34節終了時点でリーガでの失点数は僅か13失点。1試合あたりにならすと0.38点。ちなみに2位レアル・マドリーは32失点。「堅守」で名高いアトレティコ・マドリーですら27失点。今季のバルセロナの守備は異常なほど堅かったと言えます。
反対に、得点数は64得点に留まりました。1試合平均1.88点は、無冠に終わった昨季(21-22シーズン)とほぼ同水準。リオネル・メッシがいた時代は2点越えがデフォルトだったことを考えると物足りない数字となります。まあそのメッシがいなくなったから当然かもしれませんね。
過去20年間の数字と比較すると、1試合当たり1.88得点はワースト3位。フランクライカールトの初年度であった03‐04、監督がクーマンからシャビに代わり混迷した昨シーズンに次ぐ低い記録となっています。反対に失点数はバルサ史上ぶっちぎりの少なさ。あのペップバルサの最盛期ですら、1試合平均は0.5失点がやっとでした。
監督としてのシャビがバルサにもたらしたのはソリッドな守備であったというのは10年以上バルセロナを応援する身からすると驚きでした。DFラインには3人のCBを並べ、チーム全体で身を粉にして走ることを要求。丁寧にパスを繋ぐよりも、素早く縦にボールを入れ、敵陣でカオスを生み出すことを優先するような試合もありました。
シャビバルサの攻撃はボール保持の局面における美しいパスワークよりも、統率されたネガティブ・トランジションからのショートカウンターに特徴があります。監督としての初タイトルを獲得したスーペルコパでの1点目と3点目はまさにその象徴でした。
明らかにシャビバルサは縦に急いでいました。まるで自陣でボールを失うのを恐れるかのように。そしてトランジション勝負でリーガの難敵達を薙ぎ倒していったわけです。特にペドリのいない試合でそれは顕著に起こる現象で、セットディフェンスを崩す力はなかなか身に付かないままでした。
上記の理由から、シャビ率いるバルサはしばしば「美しくない」、「バルサっぽくない」と批判を浴びることになります。現役時代、華麗なパスワークの中心にいた選手が作るチームだけに「思ってたのと違う」感はどのファンも感じたことでしょう。
欧州カップ戦での失敗も相まって、シャビを痛烈に批判する声や、退任を望む声さえも見られました。シャビのサッカーはヨハンクライフやペップ・グアルディオラの思想よりも、イタリアのカテナチオのそれに近いとする向きもありました。1‐0での勝利が多いというのがその根拠の1つで、今季リーグ戦で挙げた27勝のうち、実に11試合が「ウノゼロ」の勝利というデータも残っています。
バルサらしくないという指摘はある意味では正しいかと思います。
今季求められたのは
正直、僕自身今季のバルサの試合を見ながら欠伸をかみ殺したことは何度もありました。フラストレーションが溜まることも多々あって、そんなにサッカー詳しくない知人からもバルサよりシティやアーセナルは面白いと言われる始末でした笑
しかしながら、冷静に考えると今年のシャビ率いるバルセロナは大いに評価されて然るべきである、というのが僕の意見です。10点満点であれば7点~8点は与えるべきでしょう。
なぜなら、今季のバルセロナにとって最優先であったのは「タイトル」以外の何物でもなかったからです。「美しさ」でも「育成」でもない。少なくともリーガ・エスパニョーラかチャンピオンズリーグのタイトルの獲得はマストでした。
なぜならバルサは昨夏にたくさん「レバー」を引いてきたからです。レバーってなんやねん!と思った方は、是非ググってみてください。超簡単に言ってしまえば、放映権だったり、バルサスタジオの権利の一部を売却することで資金を得ること。これをしないとバルサは選手登録や補強ができない状況だったのです。
↑詳しく知りたい方はじぇふさんの記事を是非!難解ですが、よく仕組みが分かります。
つまり、未来の資産を売り払って挑んだのがこの22‐23シーズンだったわけです。背水の陣です。ラポルタ会長率いる経営陣は大勝負に出たわけですね。
アレマニー就任以降のバルサの補強
— Hikota (@BarcaHikota) 2023年5月17日
21-22夏補強
メンフィス・デパイ free
ユスフ・デミル 50万€
エリック・ガルシア free
セルヒオ・アグエロ free
ルーク・デ・ヨング free
エメルソン 1400万€※
(※その後、2500万€で転売)
22-23夏補強
— Hikota (@BarcaHikota) 2023年5月17日
ラフィーニャ 5800万€
ジュール・クンデ 5000万€
レバンドフスキ 4500万€
パブロ・トーレ 500万€
フランク・ケシエ free
クリステンセン free
ベジェリン free
マルコス・アロンソ free
レバーを引きまくった夏に高額投資を3件。
21年夏と22年夏の補強を見比べれば気合の入り方は伝わるのではないかと思います。
近年のサッカー界において、経営的に凋落したクラブが這い上がるのはなかなか難しくなっています。今季はチャンピオンズリーグ準決勝でミラノダービーが実現し、話題となりました。ミランはCL7回制覇の超強豪クラブですが、12‐13から19‐20の7シーズンにかけてCL出場権すら獲得できない状況が続きました。2000年代後半セリエAの盟主であったインテルも6シーズンCLに出場できませんでした。
両チームの事情は詳しく知らないのでこれ以上は語れませんが、バルサも同じ末路を辿っていたかもしれません。実際、2021年後半のバルセロナは低迷する兆ししかありませんでした。メッシを失ったクーマンに最早策はなく、チームは9位と低迷。CLどころか欧州カップ戦の出場権すら危うい状況でした。シャビへのスイッチがなければどうなっていたか分かりません。
という背景事情を鑑みると与えられたミッションはクリアしたと考えるのが妥当ではないでしょうか。結果だけで判断するのは安直との意見もあるかと思いますが、シャビのような欧州クラブでの経験がない監督がこのミッションをクリアするのは容易ではなかったとは思います。
そもそも彼のようなレジェンドにはもう少し時間が与えられて然るべきですし、本来はもう少し経験を積ませてから監督に任命したかったのが本音です。ただ、バルサの今の財政的な状況や複雑なクラブ事情を鑑みると、クラブOBかつ選手たちへの求心力が強いシャビ以上に適任者がいるかと言われると首を傾げるしかありません。
バルサ・コンプレックスの感想文でも書きましたが、バルセロナというクラブは様々な事象が絡み合う複雑な組織です。それでいて、近年のスポーツ面での成功と財政破綻により、「お金は使えない、クラブの内部事情を理解せよ、それでいて勝て」というハードミッションになってしまったのがバルサの指揮官のタスクなのです。
バルベルデの時も僕は比較的擁護する記事を書くことが多かったのですが、その背景としてはバルサの監督って本当に難しいなあという思いがあってです。甘いと言われるかもしれませんけどね笑
シャビは戦略の監督?
ちょっと脇道に逸れてしましたので話を戻しましょう。今季の必須条件は、リーガ・エスパニョーラもしくはチャンピオンズリーグのタイトル獲得であったのは先述の通り。
さて、どちらのタイトルがバルセロナにとって現実的でしょうか。
15-16 逆転負け
— Hikota (@BarcaHikota) 2023年5月17日
16-17 大逆転勝ちからの完敗
17-18 大逆転負け
18-19 大逆転負け
19-20 歴史的大敗
20-21 1stレグ大敗
21-22 GL敗退
22-23 GL敗退
と、優勝した14-15シーズン以来ネタにしかなっていないバルセロナさん。来季こそは!
ご存じの通り、ここ数年のバルセロナの欧州大会における戦績は記録的にも記憶的にも悲惨なものとなっています。そこを鑑みてシャビはリーガのタイトルを優先したのではないでしょうか。どちらかの獲得が最低限の条件なので、より確実な方を選択したのではないかと。
そしてリーグ戦は安定感のあるチームが獲るのが常。安定感があるのはどんなチームかと言えば、サッカーにおいては守備が安定しているチームだよね、というロジックになってチームを構築していったんじゃないかと思ったりするわけです。
🔥 Xavi just before the start of La Liga 2022/23:
— Reshad Rahman (@ReshadRahman_) 2023年5月15日
“With this squad, we must win La Liga. This year, it cannot slip. Every game is a f*cking war. We must give our all, for those who don’t play, for the badge we represent, because it’s a privilege to be here”
“We must die on… pic.twitter.com/C2IN5wBRJF
まあ、我々バルサファンとしては悲しい話ではあるのですが、やっぱり美しいサッカー(そもそもこの定義って何って話ですけど)って仕込みに時間がかかるわけじゃないですか。グアルディオラの1年目はあまりに奇跡的だったというか、あまりに恵まれた環境だったなとは振り返って思います。
例えば、今アーセナルはミケル・アルテタの元で素晴らしいサッカーを披露していますが、就任から2年半はプレミアリーグの優勝争いに関われませんでした。だからそんなもんなのだと思います。シャビも色々苦悩はあったかと思いますが、最終的には結果が出る方を優先して強化したのかなと予想しています。
ボールポゼッション35%、シュート4本で1‐0勝利を収めた国王杯準決勝1stレグ対レアル・マドリー戦が象徴的です。レバンドフスキ、ペドリ、デンベレ、クリステンセンが負傷で不在の中でシャビバルサは先制点を挙げた後は自陣に引きこもりゴール前に「バスを停め」ました。あの戦い方にはシャビの執念というか、必死さが痛いほど伝わってきました。あの戦い方を肯定したくはないですけど。腹括ってやってることは間違いなかったです。
もしリーガが取れなかったと仮定すると、それこそ悲惨で救いようがなくなってしまいますからね。そこの現実と向き合って結果をちゃんと出した事実は評価されるべきかなと思います。マドリーやアトレティコとの直接対決もきっちり勝ちましたし。
ただ、今季を通して感じたのはシャビは戦術家というよりも戦略家としての色が強いのかなと思います。全体の設計や方針を立てて組織を動かす力は長けてますね。選手からもリスペクトされていそうですし。ただ、細かい部分は粗が見えていて、そこを欧州では突かれている印象があります。今季のやり方だけでは限界が見えるのが事実です。
シャビができるのにやれていないのか、本当にできないのかはよく分かりません。そこをシャビが3年目トライするのか、はたまたそういう人材を外から連れてくるのかどうなのか。リーガ制覇を果たしたので、来季問われるのは欧州での結果がメインとなります。
それではここからはもう少しピッチ内の事象に目を向けてみましょう。と思いましたが文字数が多いので後編に回します。
独り言
正直なところを言うと、バルサはもう少し苦しんだ方が良かったのかもしれません。10年かかってもいいから、復権するまでじっくり一歩ずつ。
しかし、時間は待ってくれないのがサッカー界。今季バルサとシャビが選んだ道は、ともすると短絡的なものなのかもしれません。結果が全てになってしまっている現状は仕方ないと思えるにしても、少し寂しくは感じます。まさにコンプレックスです。
ただ、ペップバルサからバルサを応援し始めた僕自身の気持ちとしては、シャビが監督としてトロフィーを手にする姿を見られて本当に良かったなと思います。選手時代は名だたる名手であっても、監督としては成功できずタイトルに恵まれないレジェンドってたくさんいるじゃないですか。なので本当に良かったなと思います。
来季もきっとテレビに向かってブツブツ文句は言うんだろうなあと思いつつ、シャビの監督としての歩みはこれからも見届けたいなと思います。でも本当にメッシが戻ってきたらどうするんだろうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。