Hikotaのバルサ考察ブログ

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【マッチレビュー】19-20 ラ・リーガ第15節 アトレティコ・マドリ―対バルセロナ 後編

こんにちは~。お待たせしました、アトレティコ戦マッチレビュー、後編です。前編はこちらからどうぞ!ちなみに前後編編成のマッチレビューはあのリバプール戦以来です笑。

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スタメンはこちら

 ■後半

両チームともハーフタイムの交代はなし。前編でも書いたように、この後編ではバルベルデの修正をメインに書いていきたいと思います。

コレアを「殺した」ジュニオルの立ち位置

前半の26分にフレンキ―とアルトゥールが立ち位置を変えました。この変更は一時的なものではなく、アルトゥールがベンチに下がる73分まで続きました。この変更が僕は後半の盛り返しに繋がったとみています。

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4-4-2

アトレティコのボール非保持時のフォーメーションは4-4-2です。4-4-2は現代サッカーにおいてもオーソドックスな守備陣形の1つですが、このフォーメーションで明らかに空いているスペースは図に示した通り、2トップの脇のスペースです。他にも弱点はありますが、ひとまずここが目につきますよね。

実は前半もこのスペースにCBが持ち運んでビルドアップを試みていました。しかし、後半は明確にこのスペースにインテリオールを落として前進しようという意図が特に左サイドで見られました。

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46分のシーン

46分のシーンです。アルトゥールがフェリックスの脇のスペースに落ちてボールを受けます。この時、ジュニオルは左サイドの高い位置、グリースマンは内側に立ち位置を取ります。ジュニオルがこのように高めの位置を取ることは前半あまりなかったので、これは大きな変化ですね。4-4-2相手の一番の「安全地帯」である2トップ脇にチームで最もボールが持てるアルトゥールを配置することでビルドアップに安定感が出ます。

キープ力の高いアルトゥールが低めの位置を取ることによって、アトレティコの選手たちは迂闊に飛び込むことができなくなりました。もし仮にエレーラがアルトゥールを掴まえに飛び出せばその後方に位置するグリーズマンがフリーになります。この低い位置でアルトゥールが持つのとジュニオールが持つのとでは配置が同じでも全く意味合いが変わってきます。アルトゥールが受けるだけではなく、メッシやラングレもこのスペースは有効活用しようという意図は見られました。

実際にこのシーンでは最終的にハーフスペースでグリーズマンがボールを受け、右足でミドルシュートを放っています。このような攻めは前半はお目にかかることができませんでした。さらに注目してほしいのは、コレアの立ち位置。基本的にSHはSBに着いていくことが原則になっていますので、高い位置を取るジュニオルに合わせてしっかり後方に下がることができています。

しかし、後方に下がると言うことはそれだけゴールまでの距離が長くなるということです。前編で攻撃のキーマンはコレアだと書きましたが、そのコレアを自陣に押し込めたという意味でもこの配置変更は大きかったですね。ジュニオル自体それほど脅威にはなれませんでしたが、立ち位置でアトレティコを押し込むことはできていたのかなと思います。

それでも厄介なモラタとアトレティコの成長

前半に比べるとかなり能動的にボールを動かし、フィニッシュに繋げられそうな場面が増えてきましたが、アトレティコも全く受け身というわけではありません。その要因の1つになったのが、エースのモラタでした。

押し込まれている状態で、ボールを受けてもキープをして時間を作ったり、ファウルを受けて陣地を回復するのに一躍買っていました。スピードがあって、身体も大きいのでああいうプレーがもっと増えてくると嫌な選手になりますね。

55分にはアトレティコのロングカウンター。エレーラが低い位置で3人を引き付けてトーマスにパス。ここで大きく左サイドに流れたモラタにパスが入ると、モラタはここで時間を作り、中央を走りこんできたトーマスにパス。すんでのところでラングレがカバーリングに入り、事なきを得ましたが危ないシーンでした。

このように危ないシーンも多々あり、必ずしもバルサペースとは言えない状況が続きます。

右サイドからチャンスを作るバルサ

さて先ほど、左サイドの改善点について書きましたがこの試合バルサのチャンスはほぼほぼ、右サイドから生まれています。アルトゥールからフレンキ―にインテリオールが変わって改善した証拠でしょうか。

まず60分、セルジ・ロベルトとスアレスの2人が右サイドで3人(サウール・コケ・トーマス)を引きつけて手薄になった中央で待機するメッシにパス。メッシがエレーラを躱してシュートを放ちます。

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60分のシーン

前編でも書きましたが、メッシが中央でプレーできるようになるという点でフレンキ―が右に入ったのは大きな効果がありました。ここではフレンキ―は後方のスペースを埋め、セルジ・ロベルトを前に押し出していますね。ピケはいつも通り、ピケしています笑。

62分には相手のFKからセルジ・ロベルトが右サイドを独走し、スアレスにクロスを供給。シュートはオブラクに阻まれましたが、セルジ・ロベルトコンディション良いですね。素晴らしい突破でした。

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63分のシーン

そして63分には印象的な崩しが。フレンキ―がコケの脇で中央のメッシからボールを受けます。その時の配置がこちらの図です。この時、セルジ・ロベルトはいつものように大外を回らず、後方で待機しています。このあとフレンキ―がセルジ・ロベルトにバックパスを出しますが、次の瞬間、一気に攻撃のスイッチが入ります。

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63分のシーンパート2

セルジ・ロベルトにボールを下げたあと、フレンキ―は大外にレーン移動します。するとここでセルジ・ロベルトはコケ・トーマス・サウールの中間に向かってドリブルを開始、意図通り3人を引き付けると大外のフレンキ―にパス。完全にフリーになったフレンキ―は余裕をもって、マイナスのメッシにクロス。メッシのシュートはエルモソに当たりますが、良い崩しでした。

驚いたのはセルジ・ロベルトとフレンキ―の連携の良さ。即興であれができるのか!というくらいスムーズな崩しで恐らく同じ絵が描けていたのだと思います。何度も言いますが、右サイドバックと右インテリオールの連携がスムーズだとメッシが中央にいることができます。当然メッシがゴールに近い位置にいたほうが相手は怖いですよね。

徐々にオープンな展開に

決定機を2度ほど作られたアトレティコはセットプレーに活路を見出します。FKやCKで積極的にゴールへ迫りますが、68分には逆にCKからメッシカウンターが発動。メッシ→スアレスグリーズマンとボールが繋がり、グリーズマンは浮き球のボールを得意の左足で叩きましたが、シュートは枠外へ。決して簡単なボールではありませんでしたが、正直枠には入れて欲しいシーンではありました。グリーズマンが生き残るためには結果を残すしかありません。

アトレティコは66分にフェリックスに代えてビトロを投入し、前線にエネルギーを注入します。フェリックスはケガ明けだったのでそこまでは輝けなかったですね。彼にとっては難しいゲームだったかもしれません。前半のエルモソへのクロスは見事でしたが。

72分にはアトレティコは後半最大の決定機が訪れます。中盤のルーズボール争いにモラタが勝利するとエレーラがすかさずコレアにパス。コレアのクロスにモラタがヒールで合わせますが、ゴールカバーに入ったセルジ・ロベルトが何とかクリアしました。これ、モラタとボールを奪い合ったのはアルトゥールだったのですが、簡単に負けてしまいましたね。課題です。

バルサの方は73分にアルトゥールに代えてビダルを投入。中盤にパワーとエネルギーを注入するお決まりの交代ですね。さらに78分にはピケが負傷して退場。代わりにウムティティが投入されます。ピケの負傷度合いも気になりますね・・。一方のアトレティコは運動量の多かったコレアに代えてレマルを投入します。

最後勝負を分けたのは

引き分けも視野に入った85分、均衡を破ったのはやはりあの男。レマルの短くなったサイドチェンジをセルジ・ロベルトがカットするとボールは右のメッシに元へ。猛然と駆け上がるセルジ・ロベルトと斜めに走るグリーズマンをおとりに使うと、中央で待つスアレスへのパスを選択。スアレスからのリターンを受け取ると、左足を一閃。名手オブラクの手をすり抜けてゴールに収まりバルサが先制します。

いやー、本当に役者ですね。彼は。ここであんな一撃を決めてしまうとはさすがです。前編でも書いたように僕はこの日大寝坊して、後半の中盤から見て状況把握しながら見ていたのですが、このゴールを見れただけでその日は幸せでした笑。

アトレティコ側からするとレマルのミスは痛恨でした。しかもロスト後のネガトラが遅いとかなり批判を浴びているようですね。高額の移籍金で加入するものの、全く真価を発揮できてないフランス人若手アタッカーって何だかひとごとには思えないですね。何でかはまったく分かりませんが笑

最後に勝負を分けたのは、メッシの個の力、というのは間違った見解ではありませんがそれが全てではないと個人的には思います。最後の最後であそこまでオープンな展開になり、メッシが輝くスペースが出来たのも、それまでバルサがボールを支配してジャブを打ち続けたからこそです。だから、バルサの勝因はメッシの個とちょっとしたディテールだったのかなと。

試合はこのまま1-0で終了。バルサが敵地で大一番を制し、レアル・マドリーと並んで首位に立ちました。

 

■選手評価

GKテア・シュテーゲン

間違いなく勝利の立役者。前半の2つのセーブは文字通りスーパーなもの。バルサには最後尾と最前線に決定的な選手がいますね。間違いなく世界最高の1人です。

CBピケ

ドルトムント戦を出場停止で欠場した分、休養は十分だったはず。前半にはセットプレーから決定的なヘディングシュートを放ちました。チームが前がかりになった後半はオープンなスペースの対応を強いられましたが、上手く対応できていました。ただ、正直2枚目のイエローカードを受けても文句は言えなかったかなかと。負傷の度合いが気になりますね。

CBラングレ

Mr.安定感はこの試合も大きなミスなく仕事を完遂しました。ビルドアップ能力が高いだけに、もっとチームの仕組みを作ってほしいところです。今後はもっと決定的な選手になってくれればいいですね。それこそ威圧感や風格が出る選手へ。

SBセルジ・ロベルト

偉大なパフォーマンスを見せました。恐らくテア、メッシに次ぐベストプレイヤーでしたね。ボール保持時の質の高いランニング、ポジショニング、ドリブルで相手の嫌なことが地味にできる選手。決定的な仕事ができるタイプではありませんが、決定的な選手を立てられる選手です。セメドが戻ってきたらどちらが優先して起用されるか楽しみです。

SBジュニオル

まずイージーなミスが多すぎましたね。なぜアルバ離脱時に彼ではなく、右利きのセメドがチョイスされていたのかを証明するような出来になってしまいました。特徴がはっきりしているだけに、彼の持ち味を活かしてあげられればいいのですがそれに見合うリターンがあるのか現時点では期待薄ですかね。まあ、これからです。まだ1年目、気長に待ちましょう。

アンカー ラキティッチ

2試合連続先発出場。ブスケツの出場停止を受けてこの試合はアンカーに入りました。アンカーとしてのラキティッチは傑出こそしていませんが、無難にはこなせていますね。恐らくアンカーとしてのバルベルデの評価はラキティッチ>フレンキ―なのではないでしょうか。1月が近づいてきましたが、去就は如何に。

右インテリオール アルトゥール

右インテリオールとしての26分は厳しめに言うと落第ですかね。左に移ってからは安定していましたが、やはり今の優先度はフレンキ―の方が高いのでしょう。技術は恐らく現スカッドの中でも1,2位を争うでしょうが、インテンシティの部分や細かいポジショニングの部分では後れをとってしまっています。現状(何の忖度もなく)バルベルデがメンバーを選ぶならドルトムント戦のセットがファーストチョイスになるのではないでしょうか。

左インテリオール フレンキ―

ビッグマッチということもあってか、この試合では幅広く動き回るのをやめ、与えられたタスクを忠実にこなしている印象を受けました。右インテリオールで、セルジ・ロベルトと好連携を見せたのは大きなプラスですね。上手く気を使いながらプレーできていましたし、やっぱりサッカーIQ高いんだなと改めて実感しました。

右WGメッシ

サウールやコケのしつこいDFに苦しみ、なかなか思うようにプレーさせてもらえない時間帯が続きましたが、最後のフィニッシュが全てです。相手チームのファンからしたら本当悪魔のような存在です。やはりセルジ・ロベルトがいるとプレーしやすそうですよね。本当、右サイドバックどうするんでしょう笑。

左WGグリーズマン

いつものようにハードワークをこなし、前線へのランニングも精力的。メッシの決勝点も相手のDFを引き付ける良いランニングを見せました。しかし、それで十分かと言われればNO。やはり結果が求められる第3のFW。やはり68分のボレーは彼レベルであれば枠に収めて欲しい。チームの優先順位はメッシ>スアレスグリーズマンなので、チャンス自体は少なくなります。だからこそ率で勝負するしかありません。かなり厳しい要求ですが、彼もそれは了解済みでここに来ているはず。

CFスアレス

一時はまった絶不調期は抜け出した感があるスアレスアトレティコの堅守に苦しみ、チャンスらしいチャンスは62分のセルジ・ロベルトのクロスくらいだったでしょうか。しかし最後の最後でメッシの決勝点をお膳立て。これがスアレスのスタメンが揺るがない最大の理由ですね。結局メッシを活かせるのは彼なので。とにかくコンディションには最大限気を使って欲しいところ。

 

■雑感

今シーズンどん底の成績のアウェイで勝てたのはまず大きいです。しかもクリーンシートで笑。10月19日のエイバル戦以来、今シーズン3試合目のアウェイクリーンシート(リーガ)達成です。必ずしもうまくいった試合ではありませんでしたが、勝てて良かったですね。

試合としては非常に面白かったです。色々考えさせられることがバルサ側にもアトレティコ側にあったと思いますし、シンプルにメッシのゴールで1-0で勝ったでは終わらないゲームでした。前編でも書いた通り、前半のチャンスの1つでもモノにしていれば、アトレティコのほうに勝利は転がっていたでしょう。そういう意味でサッカーって本当紙一重ですよね。

さて、チームは約5日間のインターバルを経て日曜にマジョルカ戦を迎えます。12月の日程は以下の様になっています。

  • 12月8日(日)5:00~ マジョルカ(H)
  • 12月11日(水)5:00~ インテル(A)
  • 12月15日(日)0:00~ ソシエダ(A)
  • 12月19日(木)4:00~ レアル・マドリ―(H)
  • 12月22日(日)0:00~ アラベス(H)

※日時は日本時間

22日のアラベス戦の後はウインターブレイクに入りますが、15日間で5試合の超過密日程になっています。ハードになってくるのが、今季好調のソシエダとのアウェイゲームとクラシコですかね。なので今季下位に沈むマジョルカとのホームゲームと、既に首位突破を決めているインテル戦がローテポイントでしょうか。

マジョルカを全力で叩いて主力はインテル戦休養(遠征帯同もなし)がベストシナリオですが、CLですし色々と「大人の事情」が絡んでいるのが見え見えの今季、思った通りにローテーションが組めるのかちょっとよくわからないところではあります。もしかするとマジョルカ戦とインテル戦で半分ずつ休ませたりするかもしれませんね。いずれにしてもここで主力は休ませてあげたいところです。

いずれにせよ、ドルトムント戦とこのアトレティコ戦でチームの雰囲気は上向きになったはず。まだまだ言いたいことはあるものの、ひとまずはこの12月6連戦の初戦を取れて良かったなと前向きに終わりたいと思います。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。