Hikotaのバルサ考察ブログ

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【考察】アントワーヌ・グリーズマン獲得決定。万能FWへの期待と不安

7月12日、遂にアントワーヌ・グリーズマンバルセロナ移籍が発表されました。移籍金は契約解除金満額の1億2000万€になりました。コウチーニョの基本額と同額ですね。これでバルサはこの2年で1億€超のアタッカーを3人買ったことになりました笑。金遣いの荒さは気になるところですが、バルサは昨夏にも獲得目前に迫っていましたから、待望の戦力であることに間違いはありません。

グリーズマンの獲得をめぐってかなりアトレティコと揉めたようですし、交渉もかなり難航したようです。ただ、バルサからすると昨夏あのような振られ方をしても欲しい選手だったというわけです。一体なぜバルサグリーズマンを欲したのでしょうか。そしてグリーズマンバルサでどのような役割を担うのでしょうか。

 

■現代型アタッカーのプロトタイプ

レアル・ソシエダでリーガ屈指のウインガーとして頭角を現したグリーズマンは、2014年に満を持してアトレティコ・マドリ―に移籍。以来、5シーズンで94ゴール32アシスト(リーガのみ)を記録するなど絶対的なエースとして活躍をしました。低めにラインを設定して前線の選手にも激しいプレスとリトリートを求めるアトレティコにおいてこれは驚異的な数字と言えます。

グリーズマンの強みは何?と聞かれたら答えに窮してしまうほど、彼は様々なことができるアタッカーです。シュートやラストパスの精度はもちろんのこと、圧倒的なスピードはないものの、ドリブルの切れ味は抜群。オフ・ザ・ボールの質も高く、ライン間やDFラインの背後でボールを引き出す能力に長けています。

さらには守備意識も高く、深い位置まで下がっての守備や、激しいチェイシングも厭わない献身性があります。上背はないものの、激しいコンタクトを嫌がらない「闘える」アタッカーです。また、スペースメークも心得ており、フランス代表では上手くムバッペにスペースを与える工夫をしていたのが印象的です。

少々、褒め過ぎですかね笑。何かの記事でも書いたような気がしますが、グリーズマンは個人的に好きな選手の1人です。攻守両面でチームに貢献できるという、まさに現代サッカーに求められる要素を備えています。圧倒的な「個」の能力があるわけではありませんが、非常に使い勝手の良い選手です。

 

グリーズマンへの懸念とは?

しかし、グリーズマンの獲得は必ずしも歓迎されているわけではありません。昨夏移籍を断ったという背景や、バルサの選手たちが歓迎していない疑惑といった、感情的な部分は置いておいても、いくつか不安要素はあります。

  1. 利き足・プレーエリア
  2. チームバランス
  3. 年齢

といったところでしょうか。

1、利き足・プレーエリア

グリーズマンは左利きです。ということでメッシとプレーしたいエリアが被るのでは?という懸念があります。具体的にはDFラインとMFラインの間、右サイドのハーフスペースです。

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はい、もうバルサファンにはお馴染みですよね。ここでメッシにボールを持たせることが至上命題なわけです。グリーズマンはメッシほどこのスペースに固執しているわけではありませんが、左利きのセカンドトップタイプということで、やはり右のハーフスペースは使いたいポイントではあります。

またグリーズマンアトレティコでは、ボール保持時ある程度自由に動いていましたが、バルサではかなり制限されるため、その制約の中でどこまで輝きを放てるか疑問視されているところはありますね。

2、チームバランス

ひとえにチームバランスといっても様々ですが、バルサはあまりに前線の枚数が多すぎます。メッシ・スアレスの2枚看板に加えて、先述した1億€の男が3人いる状況です。今の状況的にアタッカーを同時に4枚以上起用するのは現実的ではありませんから、5人から3人を選ばなければならないわけです。

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夢はあるけど・・・
まあこんな4トップが実現したら楽しそうですが、間違いなく中盤が死にますね笑。ということで5人のうち誰か1人は少なくとも放出される運びになる(というかそうすべき)かと思いますが・・。いずれにしても計画性がないというのが透けて見えるのは否めません。
3、年齢

まあこれも各所で言われているところですが、年齢が高いのも疑問視される所以でしょうか。グリーズマンは現在28歳。節目の30歳手前の選手に1億2000万€を放り込むのはさすがにどうなんだろうということですね。非常に短期的な目線を持った補強と捉えられても仕方のないところです。

 

グリーズマンはどう使われる?

はい、ここまでグリーズマンの魅力とバルサに入ってからの懸念について簡単にまとめてみました。これらの懸念はバルサ側も当然了解していたはずですが、それでもグリーズマンの獲得に踏み切ったのには理由があります。

当ブログでも何度もお伝えしていますが、現在のバルサの大きな問題点として前線の選手たちの守備貢献の低さが挙げられます。正しく言うと、守備貢献が低いのはメッシとスアレスであり、3人目のアタッカーには理不尽なほどの守備貢献が求められます。犠牲者はネイマール、デウロフェウ、デンベレコウチーニョなどなど。

あくまでスアレスとメッシのコンビが継続するという前提ですが、3枚目のアタッカーに必要だったのは守備にエネルギーを割きながら、攻撃でフレアを放てる選手です。まさにその条件に合致するのがグリーズマンだったというわけです。色々と懸念の声が多いのが現状ですが、少なくとも多くの方が望むネイマール復帰よりは遥かに条件にマッチしていると個人的には考えています。

さて、ここからはグリーズマンが具体的にどのように起用されるのか考えていきたいと思います。

1、4-3-3(4-3-1-2)

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1番考えやすいのは既存のシステムにグリーズマンを入れるパターン。 デンベレコウチーニョが担っている左ウイングにそのままはいるという形ですね。ただこの形はどちらかと言えば右サイドを好むグリーズマン、さらには前線3枚が中央でのプレーを好むということもあり、実質4-3-1-2のようなフォーメーションに変わるのではないかというのは前記事で述べた通りです。

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 ただこのフォーメーションになるとボール非保持時に4-4-2に移す際に、グリーズマンが頑張って右サイドをカバーするのはいいとして、動けないスアレスと上がりまくるアルバの左サイドのカバーに結局ビダルラキティッチなどのカバーリングに優れた選手を起用する必要性が生じます。守備意識の高いグリーズマンが入ることで改善は間違いなくするでしょうが、抜本的な問題解決にはなりません。

2、4-3-3(メッシゼロトップ・スアレス放出前提)

ということで、抜本的な問題解決を試行するのであれば、これなんじゃないかと。

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いわゆる偽9番システムですね。このシステムと人選であればある程度バルサが抱えている問題は緩和できるはずです。ポイントはやはりグリーズマンです。メッシと立ち位置を目まぐるしく入れ替えながら、時にはストライカー、時にはウイングとして状況に即して立ち位置と役割を変えることが求められます。

昨シーズンも何度かメッシの偽9番は試されましたが、さほど上手くいきませんでした。理由は色々ありますが、デンベレコウチーニョの両翼が上手くメッシにスペースを作ってあげることができず、メッシが中央の狭いスペースに縛り付けられてしまったことが1つの大きな要因でした。

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 ただ、これがグリーズマンとなら上手くいくのではないかという期待があります。時間帯によって立ち位置を変えることもできそうですし、オフザボールの質はデンベレコウチーニョと比べても高いものがありますから。そしてボール非保持時にはグリーズマンデンベレサイドハーフの位置まで下がって4-1-4-1のブロックを築くことで、守備も今より安定すると思います。多くのファンが夢見るフレンキーとアルトゥールの同時起用も現実味を帯びてきます。

(というかスアレスはどうするのでしょうか。個人的にはグリーズマンの獲得=スアレス放出が自然な流れだと思っていますが・・。水面下で動いているのかもしれませんが、報道はあまり目にしませんね。)

3、3-4-2-1

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以前の記事でも紹介した3-4-2-1システムです。中盤の人員を一枚削ることで、単純に後ろの強度を増した格好ですね。主にカウンターがメインウェポンになりそうですが。正直スアレスが残るのであれば4バックには限界を感じています。試してほしい布陣の1つ。

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■目指せ第二のビジャ

ここまで如何だったでしょうか。不安はあれど、個人的にはとても期待しています。否定派は依然として多くいると思いますが、思い出してください。2014年、キエッリーニに噛み付いた奇人スアレスバルサ(というかメッシ)にここまでフィットすると誰が想像したでしょう?逆に、フィット間違いなしという前評判だったコウチーニョは苦しんでいますし、蓋を開けてみなければ何も分かりません。

個人的に、グリーズマンには獲得は現在ヴィッセル神戸に所属するダビド・ビジャを想起させられます。ビジャは2010年夏にバルサにやってきましたが、当時はグリーズマンと同じ28歳。リーガのチームから移籍という点も、W杯優勝を引っ提げての加入というのもビジャと似通っています。

ビジャはたった3シーズンしかバルサに所属していませんが、彼がその3年間(特にファーストシーズン)に残したインパクトは絶大でした。短期的な補強でしたが、チームはビジャ在籍期間にリーグ2回、CL1回、国王杯1回のタイトルを獲得していますから、効果はあったといえるでしょう。

グリーズマンに求められるのはまさにビジャのような役割です。誰も彼に今後10年のバルサを託そうとは思っていません。この3~4年で結果を残してくれればOKといったところです。少なくともアトレティコ時代以上のゴール数は求めたいところですし、守備貢献やオフザボールの動きでチームを活性化させることも大いに期待されます。

ただ矛盾するようですが、チームとファンには我慢も必要です。ビジャも入団当初は適応に苦しみました。グリーズマンも最初の3か月程度は躓くかもしれません。恐らく適応に手間取れば、昨夏や獲得の経緯から袋叩きにあうことは必至でしょう。願わくば、1シーズン単位で評価を下してほしいところです。

色々あった獲得ですが、僕はグリーズマン、応援しています。頑張れ!グリーズマン

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。