Hikotaのバルサ考察ブログ

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【日本代表】対チリ0-4 考慮すべき中島翔哉の武器と弱点

こんにちは!今回は久々に日本代表について書いていきたいと思います。

僕、このブログでは基本的にバルサについての記事を書いているのであまりイメージないかもしれませんが、実は日本代表のことも非常に応援しており、2009年以降毎試合欠かさず見ています。ただ、あまりJリーグを追い切れていないので、選手個々についてはあまり詳しくありませんが・・・笑。とにかくバルサと同じくらい好きなチームがあるとすればそれは間違いなく日本代表です。

 

コパアメリカ開幕

現在日本代表はコパ・アメリカに招待国として参加しています。商業的観点から国内で試合をすることの多い日本代表にとって、南米の強豪国とアウェイで真剣勝負できるコパ・アメリカはまたとないチーム強化のチャンスです。しかし、日本はコパ・アメリカに対しては各クラブに対して召集権利を持たないため、今回は東京オリンピック世代の若手を中心としたチーム編成となりました。本音を言えば、ベストメンバーで臨んで欲しかったところですが、これは致し方ないですね。見方を変えれば、若い世代にとっては格好のアピールの場になりますし。

ただ、難しいのはサッカーは個人スポーツではなく、集団スポーツであるという点。森保監督はコパ・アメリカを「成長の場」と位置付けていましたが、それは個人にフォーカスしたものではなく、チームが組織として「成長」できるような舞台になるのがベストです。現代では日本人選手の評価が高まりつつあり、個人レベルでは若いうちから海外の厳しい環境に飛び込む選手が増えています。個人的にはこのコパ・アメリカが個人が成長できる場ではなく、森保JAPAN(A代表も五輪代表にも)にとって有意義な大会になることを願っています。

 

■グループステージ第1戦チリ戦

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はい、ということでまずは初戦のチリ戦、簡単に振り返っていきましょうか!両チームのスタメンは上図の通りです。日本は本当にフレッシュな顔ぶれですね。A代表のレギュラーは富安、柴崎、中島のみ。前線はレアルマドリー所属の久保と法政大所属の上田が並ぶ気が狂いそうなメンバーになっています笑。一方のチリはがっつりA代表のメンバーが揃います。チリと言えば2014年W杯の躍進が記憶に新しいですが、そのメンバーも何人か残っています。中盤には今シーズンのバルサで重要な役割を担ったビダルが入ります。

立ち上がりは悪くなかった日本ですが、徐々に老獪なチリに押し込まれていきました。サンパオリが監督だったころはもう少しイケイケで運動量の多いサッカーをしていた印象のチリですが、この試合はどっしり感が窺えました。まあいいのか悪いのかは分かりませんが。

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メンバーは変わりましたが、日本の攻撃の狙いは従来とほとんど変わらず、2列目の選手が中央のスペースに密集し、アンカー脇のスペースを攻略していこうという意図が窺えました。そのスペースにボールを入れて、中島や久保のドリブルであったり、コンビネーションで一気にゴールを狙おうというコンセプトですね。ただ、このアンカー脇のスペースは相手も狙っているので、序盤は動き出しに優れる上田を狙った裏へのロングパスを多用していたのが印象的でした。しかし、結果的にこのスペースで中島や久保がボール持って仕掛けられるシーンはわずかでした。

これまた別の記事で書こうと思っているので、詳しくは言及しませんが、この試合日本のビルドアップはサイドバックで詰まることが多くなっていました。チリの守備の狙いも恐らくサイドバックにボールを出させて、そこでボール奪うor選択肢を奪ってロングボールを蹴らせるだったのではないかなと。日本のサイドバックのクオリティは近年爆上がりしていますが、このビルドアップの質に関しては非常に改善の余地がありますね。

日本の狙いがあまり上手くいっていない中で、次第にチリが日本の弱点を的確に突いてきました。このチリをスロースターターとするか、試合巧者とするかは難しいですが、少なくとも日本よりも何枚も上手のチームだったと言わざるを得ません。セットプレーで先制点を奪い、日本が前に出てきたところで追加点を奪うという完璧な試合運びでした。少なくともこのメンバーの日本が勝てる相手ではありませんでした。日本も上田が4度ビッグチャンスを迎えましたが、そのうち2つはチリのイージーなミスからでした。

 

■武器としての中島と弱点としての中島

さて、あまりダラダラ書いても仕方ないので、今回のメイントピックに移りましょう。今回扱うのは中島翔哉について。中島といえば、森保JAPANの中心選手のひとりであり、現在日本で最も評価されている選手の1人です。彼の魅力は何と言ってもドリブルと積極性です。「キラーパス」や「ファンタジスタ」という言葉に代表されるように、所謂司令塔タイプの選手に異常な愛着を持つ日本サッカーにとってパスよりもドリブル、シュートの優先順位が高い彼は異端の存在ではあります。

彼の魅力はその技術以上に、仕掛ける意欲が高いところにあります。とにかくどのような相手でも、どのような状況でも仕掛ける意識を持っているのは観ていて気持ちのいいものがありますよね。チリ戦でも南米特有の激しいタックルにも臆することなく、何度もドリブルを仕掛けていました。3人を相手にしても躊躇なく剥がしにかかりますから素晴らしいですよね。

ただ彼がチームにとって有益な存在であるかどうかはまた別の話。積極果敢に仕掛ける以上、ボールロストが多くなってしまうのは仕方のないことですが、看過できないのは守備貢献の低さ。特に強豪国と相対する際には彼の守備参加率の低さは致命傷になりかねません。

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上図は後半9分の失点シーンの直前の図です。ピッチ中央やや左でチリの選手がボールを保持しています。このときチリの右SBは高い位置を取っています。この選手のマーク担当は本来左サイドハーフである中島なわけですが、彼は下がることなく中途半端な位置で状況を傍観しています。

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結局このあと、CFに縦パスが入り、CFの選手が右サイドでフリーになっているイスラに展開します。慌てて左SBの杉岡が対応し、DFラインはクロスに備えてラインを下げます。そのため、バイタルエリアと呼ばれるペナルティーエリア内手前に大きなスペースが生まれてしまいます。イスラに付いていけなくともせめてこのスペースは中島に埋めて欲しかったところですが・・・。

結局ここのスペースにバルガスが走りこんでイスラがマイナス方向にグラウンダーのクロスを入れます。バルガスのシュートはDFに当たりゴールに吸い込まれました。結果的にこの2点目が勝負を決定づけてしまいました。まさに中島の守備貢献の低さが招いた失点ですね。

しかもこの失点は偶発的に生まれたものではありません。前半の半ばからチリは意図的に日本の左サイドを狙っていました。手段はサイドチェンジ。サンチェスやビダルが日本の右サイドでボールを受けて積極的にイスラへのサイドチェンジを狙っていました。

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チリのよく見られた攻撃

当然守備はボールサイドに寄るのが原則なわけで、日本のDFが右に寄っているからこそこのサイドチェンジは有効なわけです。この状況では中山のスライドは間に合いませんから杉岡はしばしば1対2の難しい対応を強いられました。正直この状況で守るのは世界中のどのサイドバックでも難しいでしょう。

 

■問題なのは中島本人だけではなく・・・

ここまで読んで、もしかすると普段から読んでくださってる方はピンときたかもしれません。そう、このサイドの選手が守備しない問題はバルサも抱えているんです。まあバルサの場合は右ウイングのメッシなわけですが。ただ日本代表とバルサが異なるのは、バルサはメッシの守備貢献の低さをカバーする策を講じているという点です。現在のバルサはメッシに自由を与える一方で、ラキティッチビダルといったよりフィジカルの強い選手たちを起用することで彼の背後をカバーしています。

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 ↑詳しくはこちらの記事を!

まあそれがバルサにとって良いのか悪いのかは置いておいて、日本代表が抱える問題点は中島が守備しないこと自体ではなく、その状況に対して何のケアもしていない(またはできていない)ことにあります。明らかな弱点になっているにも関わらず、何も対策をしていないのは少々不可思議に映りますね。

この問題に対する解決策は主に2つです。

  1. 中島に守備貢献を義務付ける
  2. 中島が守備をしなくてもいいような組織づくりをする

1が手っ取り早いのですが、攻撃の選手に守備を強要するのは簡単なことではありません。2を選択するとなるとまた色々問題は出てきますね。例えば、中島を守備負担が比較的少ない2トップの一角で起用するだったり、トップ下やボランチにめちゃくちゃ走れて守備範囲の広い選手を起用するであったり。

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2トップの一角で起用する

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今は出来るか微妙だけど、全盛期の岡崎なら

イデアとしてはこんなところですかね。まあどっちみちバランス考えると現段階では中島翔哉久保建英の同時起用は厳しいです。正直森保監督がこの問題を放置し続けていることには首を傾げざるを得ません。ウルグアイ戦で修正してくるか注目しておきましょう。

 

■結局その待遇に値する選手なのかどうか・・・

私見を述べれば、正直現段階の中島はここまでの環境作りをしてあげられるほどの決定的な選手ではありません。メッシですらその守備貢献の低さに疑問の声が上がるくらいですから。毎試合違いを作ってくれる稀有な存在ではあるのですが、守備を免除できるほどのクオリティではありませんね。サッカー界ではまだ小国から中堅国の日本に守備をしなくてもいい選手などいないと個人的には考えています。

記憶に新しい去年のW杯で日本がベスト16まで駒を進めた大きな要因は間違いなく選手全員のハードワークでした。特に両サイドハーフの乾、原口の攻守への貢献は特筆すべきものがありましたね。彼らほどではないにせよ、中島も最低限の守備タスクは負うべきです。今後世界に立ち向かう日本代表の中心選手になるのであれば尚更です。それができないのであれば、スタメンから外すべきです。いくら彼がドリブルで何人かわそうが、結局サッカーは如何に失点数せず、得点するかを競うスポーツですから。

現在、限りなく諸刃の剣に近い存在になってしまっていますが、個人的に中島翔哉は今まで見てきた中で最もワクワクする日本人選手です。色々と各方面から守備力について指摘を受ける機会もこれから増えていくでしょう。彼とチームが現在の課題を正しく認識して、組織の一員として輝く姿が見れることを切に願っています。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。