Hikotaのバルサ考察ブログ

主にFCバルセロナが好きです。他サポの方大歓迎です

【マッチプレビュー】CL再開。リバプールの強さに迫る

ついに明日始まるCL準決勝。バルセロナの相手はリバプール。昨シーズンのCLファイナリストです。惜しくもレアル・マドリーに決勝で敗れてしまいましたが、その強さを証明するかのように今シーズンも準決勝まで勝ち進んできました。

シャビ・アロンソの退団後、しばらく低迷していたリバプールですが、現代を代表する名将であるユルゲン・クロップを指揮官に据えてからというもの、本来の力を取り戻しつつあります。今シーズンはプレミアリーグジョゼップ・グアルディオラ率いるマンチェスター・シティと熾烈なタイトルレースを繰り広げている最中です。

今回リクエストを受けて初めてマッチプレビューを書きますが、正直全く自信がない笑。というのも僕あんまり予想するのが得意ではなくて。そういうわけで今まで敬遠してきたのですが、せっかくリクエストを頂きましたし、今シーズンの評価を大きく左右する試合ということもあるので気合入れて書きたいと思います!

 

▪️世界屈指の3トップ、絶対に抜かれないCB

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リバプールの基本フォーメーション

最悪の相手だなというのが正直な感想です。タイプとしてはバルセロナが最も苦手とする超高速ショートカウンター志向型。速さと上手さを兼ね備えた3トップはバルサのDF陣が苦手とするところですね。今シーズンも国内でプロメスやチュクエーゼといったスピードのあるアタッカーに対してピケやラングレが後手を踏むシーンが見られました。

フィルミーノを中央に置き、サラーとマネが両翼を担うリバプールの3トップは今欧州で1番危険なユニットの1つでしょう。本来トップ下の選手であるフィルミーノが偽9番のようなタスクをこなし、サラーとマネの両ウイングはプレミアリーグの得点王争いに食い込むほど得点力が高い選手たちです。

プレースタイルは違いますが、なんだかグアルディオラ時代のMVPトリオ(メッシ、ビジャ、ペドロ)の関係に似ていますね。とにかく3トップにスペースと時間を与えるとジ・エンドといったところです笑。

クロップのサッカーの代名詞と呼べるのが「ゲーゲンプレス」と称される超積極的プレスです。高い位置でボールを奪い、アタッカー達のクオリティで一気にゴールを陥れるのがクロップ流。このスタイルで香川真司ドルトムントが躍進したのは日本のファンには記憶に新しいところですね。

ところがこのゲーゲンプレスを簡単に回避する方法があります。ロングボールです。超単純ですよね笑。単純ですが、効果は絶大です。プレスに行った選手の後方にボールを送られることでプレスを無効化されるだけでなく、プレスバックを強いられることで守備側の負担は大きくなってしまいます。

しかし、リバプールにはそのロングボールの効果を軽減できるスーパーCBがいるのです。オランダ代表のフィルジル・ファン・ダイクは当代最高のCBです。高さとスピードを兼備し、フィードのクオリティも秀逸。地上戦も空中戦も、ハイプレス時のカバーリングも、リトリート時の守備もお手の物。間違いなく現在トップレベルのCBの一人と呼べます。仮にロングボールを蹴られても大抵の場合は彼が対応してしまえますから有効な手にならないんですね。

彼の存在の1つでリバプールの守備は大きく改善しました。なんでも今シーズンファン・ダイクはリーグ戦で一度もドリブルで抜かれていないという記録を持っているそうで…。これだけで彼の凄さが分かりますよね笑。

ということで3トップやファン・ダイク、クロップ監督にスポットライトが当たることが非常に多いリバプール。しかし、個人的には彼らと同じくらい戦術的に重要な選手たちがリバプールにいると考えています。

 

■機動力抜群の中盤センター

リバプールが戦術的に面白いのは、前線のプレスのかけ方です。リバプールの3トップは基本的にSBを切るようにプレスをかけ、中央にボールを誘導させるような守備をします。

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サイドでボールを奪う守備の例

通常のチームであれば、プレスをかける時サイドに追い込むことが多いです。理由は簡単で、サイドにボールを追いやることでプレーが限定できるから。サイドのプレーヤーはタッチラインを背にプレイするので180度しかプレー方向がありません。しかしリバプールは敢えて選択肢の多い真ん中に相手を誘い込みます。

ここで鍵になってくるのは中盤3人の機動力です。リバプールの中盤はこの機動力の面で非常に優れています。運動量はもちろんのこと、判断力、連携、タイミングが抜群に良く、簡単にボールを奪ってショートカウンターに繋げてしまいます。

象徴的なシーンを1つご紹介します。先週末のハダーズフィールド戦の先制点。開始16秒の電光石火の得点ですが、ここにリバプールのプレスのエッセンスが詰まっていました。

ハダーズフィールドのシステムは4-3-3。ハダースフィールドのキックオフで試合がスタートします。セオリー通り後ろに下げて試合を開始させると、たちまちリバプールの選手たちのプレッシャーを受けてGKまでボールを下げます。その時の状況が下図です。

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この時の陣形に注目です。まず1トップのスタリッジが右CBへのパスコースを消しながらGKにプレッシャーをかけています。サラーは左CB、マネは右SBをケアしていますね。ヘンダーソンとケイタはそれぞれ対面のインサイドハーフを、画面では見えづらいですがアーノルドは左SBをマークしています。

ここでポイントとなるのは敢えてアンカーの部分を空けているというところ。ここにボールを誘導したいというリバプールの守備の意図がよく表れています。その誘いにまんまとハマってしまったハダーズフィールドはアンカーにパスを出してしまいます。

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すると、このパスが出てくるタイミングを見計らって左インサイドハーフのケイタが自らのマークを捨てて猛然とアンカーの選手にプレスをかけます。このタイミングの良さとプレスのスピードは本当に素晴らしかったです。さすがライプツィヒで鍛えられた選手ですね。

ハダーズフィールドのアンカーが慌てて出したパスに触れると自らは前線へ走ります。こぼれたボールを拾ったサラーのスルーパスを受けると難なくゴール左に流し込み、先制点を奪いました。

ケイタの能力もさることながら、チームとして完全にデザインされた守備からのショートカウンターでした。このリバプールの守備を支えているのは間違いなく中盤の選手達です。バルサの中盤にこのレベルでプレスをかけろって言っても無理ですからね笑。まさにゲーゲンプレスのための精鋭達です。

 

▪️相手に引かれた時には

典型的なショートカウンター型チームにありがちなのが、引かれた相手に弱いというところでしょうか。前にスペースがある状態では破壊力のあるチームでも、ボールを持たされると途端にクオリティが下がるという現象は珍しいものではありません。

しかし、リバプールは今シーズン、引いた相手に対してそれほど苦労していないように見受けられます。その秘密はどこにあるのでしょうか。引いた相手を崩すキーは一体どのポジションが握っているのでしょうか。

バルサファンであれば、簡単に答えられるかもしれません。答えは両SBです。バルサの試合でもセルジ・ロベルトやジョルディ・アルバがいるといないとでは全然崩しのクオリティ変わりますよね。それと同じでリバプールショートカウンターというファーストチョイスが上手くいかなくなった時に崩しの鍵を握るのは両SBです。

一般的に、引いた相手を崩すためには揺さぶりが必要です。相手を横に揺さぶることで必ずどこかにスペースが生まれます。現代サッカーでは、多くのチームがSBの攻め上がりによって幅を作っています。リバプールも例外ではありません。

アレクサンダー・アーノルドとロバートソンというリバプールの若きSBが特に優れているのはそのキック精度です。大外からのクロスだけでなく、サイドチェンジやフライスルーパスなどバリエーションも非常に豊富です。

遅攻の際には、彼らの足からチャンスが多く生まれていますね。単純に速攻一辺倒のチームではないのが今シーズン非常に厄介なところですね。

 

▪️バルサはどう戦う?

散々リバプールは厄介なチームだということを述べてきました。では来たるカンプ・ノウでの1stレグでバルサはどう戦うべきなのでしょうか。

結論から言うと、特別なことは何もする必要がないと思います。あれ?って感じですよね笑。でもそうなんです。ホームですし、恐らくいつも通りのスタンスを貫くと思います。

リバプールはかなりの難敵ですが、それは向こうから見たバルサも同じことです。今シーズンのベストを引き出したら、僅かですがバルサに分があるのではないかと僕は考えています。

支配力は落ちたとは言っても、バルサは今でも世界屈指のボールポゼッションを誇っています。リバプールといえども、バルサのクオリティに対してストレスフリーとはいかないでしょう。

とにかく下手な形でボールを奪われないこと。相手の中盤ラインを素早いビルドアップで越えてしまうこと。この2点を徹底できれば、あとはバルサのクオリティの高い攻撃陣がいます。

いくらファン・ダイクが優れたCBだとは言ってもメッシ・スアレスコンビには苦戦するのではないでしょうか。特にメッシは2戦連続スタメン落ちしてコンディションを整えていますからね。CLに向けて状態はかなり上向きだと考えています。

見所としてはやはり中盤の攻防。この争いに勝ったチームが試合を制するのだと思います。バルサのポゼッションと技術か、リバプールの機動力か。どちらが上なのかこの2戦ではっきりしますね。キープレーヤーにはアルトゥールを挙げておきます。彼がリバプール相手にも普段通りのプレーが出来れば本当に言うことのない選手です。

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スタメンもいつもと変えてくることはないでしょう。カンプ・ノウなので右SBにはセルジ・ロベルトを推します。唯一迷いどころの左ウイングにはコウチーニョですかね。状態も上がってきていますし、古巣相手でモチベーションも高いはず。逆に最近調子があまり良くないデンベレには途中出場で暴れてもらいましょうか。

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リバプールのスタメン予想は差し控えさせていただきますが、まあ誰が出てきても怖いチームであることには変わりません。

とりあえず明日の試合楽しみにしましょう!

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございます。