こんにちは。Hikotaです。「バルセロナは1:1ルールに近づいている」が定期的に繰り返されていますが、実際に戻るのはいつなのかをそろそろ教えて欲しいですね。
試合背景
3週間前にアトレティコのホームであるワンダ・メトロポリターノで開催された1stレグは、ホームチームが4-0で大勝をおさめました。バルサ側からするとピッチの状態や審判の判定に納得のいかない部分はあったものの、内容としては完敗であり、あまりに重いビハインドを背負ってこのリターンマッチに臨むことになりました。
しかし、まだ勝負は90分残っています。フリック体制での爆発的な得点力とこれまでの2ndレグでの大逆転劇の歴史を踏まえると、試合前から諦める理由はどこにもありません。可能性は低いですが、信じる根拠は十分にあります。
ちなみに1stレグ以降の消化試合はバルサが3で、アトレティコが5です。CLのプレーオフがあった分アトレティコの方が2試合多く、コンディションの面ではバルサに分があると思いたいところです。
スタメン

バルセロナ
先週のビジャレアル戦から2名の先発メンバー変更。エリック、オルモに代えて、マルティン、ペドリがスターティングイレブンに選ばれます。
欠場者はクリステンセン、エリック、ガビ、フレンキー。今季ここまで全試合出場を続けていたエリックは1stレグで退場処分になったため、この大一番を欠場することになりました。また、レバンドフスキはビジャレアル戦で負傷し、このゲームは欠場となります。
アトレティコ
ローテーションを敢行した先週のオビエド戦から9名の先発変更で、このゲームに挑みます。ベースは1stレグのメンバーで、変更点はモリーナ→カルドーゾのみです。
欠場者は0。離脱が続いていたバリオスもこのゲームに間に合ったようです。
試合展開
前半
4点のビハインドを背負ったバルサは試合開始からエンジンを全開にします。今季1番の強度で前線から激しいプレスをかけ、失ったボールはネガトラで囲い込んですぐさま奪回し、試合序盤はほとんどの時間でハーフコートゲームが実現しました。
特にこのゲームにおけるヤマルの意欲は目を見張るものがあり、ラフィーニャとともに激しく相手のCBに外切りのプレッシングをかけることで、チーム全体を牽引しました。

全体が連動して奪いに行く姿勢を見せる中で一際輝いたのがCBのクバルシ。今季は必ずしも評価が高いわけではありませんが、やはり守備組織が機能している状況下で彼の先読みの能力は映えます。予防的なカバーリンクで幾度となくアトレティコの攻撃を未然に防いでいました。また難しい状況下で、安易にクリアに逃げずにマイボールにする能力はこの緊迫したゲームでも傑出していました。
気合いの入ったバルサに対して、アトレティコはアトレティコで冷静に対処します。4点のリードがあるので1stレグのようなハイプレスは当然行わず、自陣に素早く撤退してスペースを埋めることを優先していました。

上図のようにグリーズマンが右サイドに落ちることで自陣では5-4-1のブロックを形成します。最も警戒すべき対象のペドリに対しては右ボランチに入ったコケがジャンプすることで対応することになっていました。
バルサからすると中央を攻略するのは容易ではないため、サイドからの侵入に活路を見出したいところ。右はヤマル、左はカンセロを中心としながら攻略を狙います。逆に言えばアトレティコは5-4-1できっちり引くことでバルサが強みとするサイドの局面で数的不利が起こらないように配慮していたように感じました。
試合開始から10分を過ぎたあたりでバルサ側にアクシデント。右SBのクンデが足を痛めて自ら座り込み、交代を要求。やむを得ずバルデを投入し、カンセロを右サイドに回すことになりました。

他に選択肢がなかったので、仕方のない選択ではあるものの、個人的にはカンセロを左に置き続けたかったのでこの交代は少し痛かったなと感じました。カンセロは右でも良い出来だったと思いますが、右にヤマル、カンセロが揃うことでどうしても片方に攻撃が偏ってしまう傾向は出てきてしまいます。
バルデは守備の部分では頑張っていましたが、保持の局面でのクオリティはカンセロには遠く及びません。
バルサの左サイドの脅威が薄れたことを見るや否や、アトレティコ側は非保持のメカニズムを変更します。撤退時の形を5-3-2気味にしてグリーズマンに最も厄介なペドリ番を任せるように設定を変更しました。その分、コケの横のカバー範囲が広くなりますが、バルデであれば十分対応可能という判断だったのではないでしょうか。残酷ですがリアルな評価です。

グリーズマンが非保持で深い位置まで下がらず真ん中にいることで、アトレティコはカウンターのルートを確保します。グリーズマンはボールレシーブが憎たらしいほど上手い選手なので、彼を起点に少しずつアトレティコが押し返してチャンスを作る場面も出てきました。27分のグリーズマン、アディショナルタイムのルックマンのシュートはかなり期待値の高いチャンスでした。
一方で得点が欲しいバルサの方は、アトレティコの堅い守備を前に、ビッグチャンスを作ることに苦労します。ペドリにグリーズマンが蓋をしてくるのが地味に効いており、ペドリ自身も100%の状態ではなかったことからなかなか活路が見出せません。フェランが何度かチャンスを迎えたものの、モノにはできませんでした。
難しい時間が続く中で、それでも個人の力でこじ開けたのは現チームのコアとなる2人でした。
まず魅せたのはヤマル。29分の左コーナーから。ショートパスを受けると、巧みなフェイントで対面のルックマンを剥がして縦に突破し、グラウンダーのクロス。これをゴール前で待ち構えていたベルナルが押し込んで先制点を奪います。
対面の選手だけではなく、他の相手選手、味方すらも騙すようなヤマルのフェイントでしたが、信じて待っていたのがマシア時代から一緒にプレーしていた同い年のベルナルだったわけです。エモーショナルなゴールですね。
先制点後は再び崩し切るのに苦労しますが、アディショナルタイムに大きな追加点を奪います。今度はペドリが魅せます。ヤマル、フェランとの連携から突如として中央を攻略すると、エリア内でプビルに倒されてPKを獲得。これをラフィーニャが落ち着いて決め、2点目を奪います。マーカーのグリーズマンが一瞬気を緩めたタイミングで一気に中央を割って入るペドリの見事なオフの動きでした。
これがラストプレーになり、前半は終了。アトレティコの堅守に苦戦を強いられながらも個の力で2点のリードを奪い、トータルスコアは2-4。残り45分に望みを繋ぎました。
後半
後半開始からのメンバーチェンジは無し。バルサもアトレティコも大きくはスタンスを変えませんでした。
最低2点が欲しいバルサですが、後半立ち上がりはシュートの形まで持って行くのに苦労します。前半エンジン全開で飛ばしたこともあって、プレー強度が低下してしまった感がありました。アトレティコからボールを奪い返す作業をやり切れず、反対にアトレティコ側の攻撃が目立ちました。
先に選手交代に動いたのは良い入りをしたアトレティコの方で、58分にコケとルックマンを下げて、モリーナとスルロットを投入します。撤退時5-3-2の3の両脇の2人を入れ替えた形ですね。相対的にエネルギーが必要なポジションにテコ入れしてきました。
エネルギーが欲しいバルサはその4分後に交代カードを切ります。フェランとフェルミンを下げてオルモとラッシュフォードを投入します。オルモを最前線に入れ、ラフィーニャをトップ下に配する形で勝負に出ます。

他にCFがいないので、今季公式戦で1度も試していないぶっつけのオルモ偽9番起用になってしまったのは仕方ありません。が、今季ヤマルの次にゴールを生み出しているフェルミンを下げるタイミングとしては少々早すぎる感もありました。
個人的には明確にチームに変化を加えるという意味でこのタイミングで3バックに変えるなどの思い切った策に出ても良かったように感じました。個人的にはフェルミンを残して3-2-4-1のような形にするのが面白かったのではないかと思います。
いずれにせよ正規の9番であるレバンドフスキの不在は大量得点が欲しいこのゲームでは重くのしかかった印象です。オルモはボールコントロールの部分ではスキルを見せていましたが、相手ゴールを脅かすところまで至らなかったのが正直なところでした。フェランはスピっている場合ではありません。これはマルコス・ジョレンテの陰謀でしょうか。
3点目が遠いバルサは71分にアクシデント。前半途中から入ったバルデも足を痛めてしまい、負傷交代。代わりにベンチに唯一残っていたDFであるアラウホが投入されます。このタイミングでフリックはペドリ→カサドの交代も準備してた様子でしたが、ペドリ本人とのコミュニケーションの結果、こちらは取りやめたようです。アトレティコものタイミングで左サイドに回っていたアルバレスを下げてバエナを投入。
アラウホはCBではなく最前線に入りました。3-2-5のような形で前線の枚数を増やし、リスクを顧みずにゴールを狙う姿勢を見せます。

その直後、またしてもセットプレーの流れからバルサに3点目が生まれます。今度は右のショートコーナーから、エリア手前右寄りのカンセロにボールが渡りファーサイドへ高精度のクロス。これにベルナルが左足で合わせて2点目を記録。残り20分の段階でバルサが遂に1点差に詰め寄ります。
アトレティコは76分にジュリアーノを下げてCBのヒメネスを投入。逃げ切りの体制に移行します。交代枠を使い切っていたバルサはアラウホを引き続き最前線に残して同点弾をめざします。
しかし、最後の最後までアトレティコの集中力は切れず、決定的なチャンスまで辿り着くことができません。個人的にはアラウホを前に上げるタイミングが早過ぎたと思っています。クロスに対する競り合いは強いかもしれませんが、エリア内のハイボール局面以外でほとんど仕事ができず、却って攻め筋が粗くなってしまうのは好みではありません。あと1点取れば良かったわけで、パワープレイは最後の最後に取っておくべきだったのではないかと感じました。後はラフィーニャがペドリと同じく100%の状態ではなかったことも誤算の1つでした。最後の最後にパワーが足りなかった感が強いです。
終盤にはロングスローまで投げるなどトライを続けましたが、残念ながら実りませんでした。バルサ側は大きな決定機を作り出せないまま、このまま試合は終了。このゲームは3-0でバルサの勝利。トータルスコアは3-4でアトレティコが国王杯決勝への切符を手にしました。
雑感
1つのタイトルが失われてしまったことは残念でしたが、このチームを誇りに思うには十分なゲームだったと思います。内容は必ずしも良くなかったですが、選手たちがピッチ上で見せた姿勢は今季の多くの試合で欠けていたものだったように感じます。
3月にこの悔しさを経験した選手たちが、残るより重要なタイトル獲得に向け、ハードワークを徹底するようになる。そんな筋書きが実現することを祈りたいです。
一方、毎試合この強度でやるのは難しく、そこは選手層の限界も感じます。信頼して先発で送り出せるメンバーが限られるので、主力が複数人欠けると厳しくなってしまうのは否めません。チームが背負っている枷はいまだに重いものがあると思います。
また、両SBを同時に負傷で失ってしまったのはこのゲームの負の部分でした。フリックのチームはウイングの非保持負担を軽くすることと引き換えにSBに大きな身体的負荷がかかることが特徴となっており、クンデとバルデは昨季も重要な終盤戦で揃って離脱となりました。勿論プレータイムが嵩んでいるというのもありますが、構造的な問題も原因の1つとしてはあるでしょう。
反対に、この試合の大きな収穫はマルク・ベルナルの力強いパフォーマンスでしょう。復帰後初のフル出場となりましたが、90分を通して説得力のあるプレーを披露し、プレッシャーのかかる大一番で2ゴールを決める勝負強さも見せつけました。今後に向けて希望は十分に見せてくれました。
再三当ブログで書いてきた通り、今季はベルナルは休み休みスポットで使うくらいがリスクを避けられて良いと思っています。常時スタメンで出てもおかしくないプレーぶりですが、焦らずに慎重な起用をこれからも期待したいですね。
また、CBのクバルシとマルティンも賞賛に値します。最後までチームが屈せずに戦えたのは彼らが90分間集中を切らさずに失点を許さなかった所以です。常時スタメンでないにも関わらず、大一番でも落ち着いてプレーするマルティンのメンタルの強さにはいつも驚かされます。
さて、次戦は中3日を挟んでアウェイでアトレティックとのリーグ戦を迎えます。その後はいよいよCLの決勝トーナメントが始まります。この試合で得たものをぶつけてくれることに期待したいですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。