
こんにちは。Hikotaです。ChatGPTに調べさせたところ、バルセロナが同一シーズンに同じ相手と6回対戦したことはないそうです。極めてレアな6試合目、振り返っていきましょう。
試合背景
今季6度目の対戦になった両者にとって、この試合が最も重要なゲームであることに疑いはないでしょう。欧州王者のタイトルは、戴冠から10年遠ざかるバルセロナにとっても、優勝経験のないアトレティコにとっても、悲願の目標となります。
今季5回の対戦成績は3勝2敗となっています。リーグ戦ではバルセロナが「ダブル」を達成していますが、カップ戦ではアトレティコが優位性を見せています。バルセロナが国王杯で敗退を喫した相手もアトレティコでしたし、CLの1stレグもアトレティコが先勝しました。
また、アトレティコはこのCLの2ラウンドに向けて直前のリーグ戦では大幅なローテーションを敢行しており、主力選手はほとんど直前のリーグ戦でプレーしていません。CLに向けた執念を感じさせる采配ですね。
一方、ラリーガで優勝を争うバルセロナはアトレティコほどの大胆なローテーションは行わず、主力選手のほとんどは3日前のリーグ戦で普通にプレーしています。こちらはこの大一番に向けてチームの雰囲気を高めることを優先した形です。
対照的なアプローチを取った両者ですが、果たして勝利の女神はどちらに微笑むでしょうか。1stレグで2点のビハインドを背負ったものの、CLの奪還が最重要ミッションであるバルサとしてはここで敗退するわけにはいきません。
スタメン

アトレティコ
リーグのセビージャ戦から10名のスタメン変更。この試合の先発組で、セビージャ戦でプレーしたフィールドプレーヤーはルックマン(19分)のみです。このCLに主力組をぶつけてきた形です。
欠場者はヒメネス、ハンツコ、プビル、バリオス。レギュラーCBのハンツコ、プビルが揃って不在になるのはアトレティコとしては懸念事項でしょう。
バルセロナ
3日前のエスパニョール戦から3名のメンバーチェンジ。クバルシ、アラウホ、バルデに代えて、クンデ、カンセロ、オルモが先発します。
欠場者はクバルシ、クリステンセン、ベルナル、ラフィーニャ。クバルシは1stレグで1発退場となったため、出場停止となります。
試合展開
前半
走れるメンバー選考の意図
先発メンバーでサプライズを見せたのは2点を追いかけるバルセロナの方でした。右ピボーテにカビ、左ウイングにフェルミン、CFにフェランと、フリックは相対的に走れる選手を先発メンバーに揃えてきました。
狙いは明白で、積極的に高い位置からボール狩りに出ることでしょう。積極的にGKまでプレッシャーをかけることで、ゲームの支配をめざします。普段は淡白なプレッシングが多いヤマルも身を粉にして前線からボールを追う姿勢を見せつけます。
その姿勢が報われたのは開始から僅か4分後のことでした。敵陣でヤマルがラングレのバックパスをカットすると、溢れたボールをフェランがスルーパス。リターンを受けたヤマルが飛び出したムッソを破ってバルサが先制に成功します。
いきなりアドバンテージが1点減ったアトレティコですが、ここで防戦一方にならないのが今季のアトレティコの強いところです。
面倒な存在だったのはいつもながらグリーズマンで、押し込まれても彼がいることで攻撃ルートを確保できるのはアトレティコにとっては大きいでしょう。バルサ時代は「僕はドリブルのやり方を知らない」などと言っていましたが、レシーバーとしてのスキルは世界トップクラスです。
そのグリーズマンに加えて面倒なのは左サイドのルックマン。彼の冬補強は大ヒットでした。グリーズマンとの連携でいくつかのチャンスを作っており、アトレティコとしては押し込まれながらも隙があれば仕留める姿勢は前半から見せ続けていました。
追いかけるバルサが最も避けたいのは前半のうちにリードを広げられることです。3点以上のビハインドで残り45分を迎えるのはラフィーニャ不在のチームにとっては厳しい状況になってしまいます。
そのため、このゲームではアトレティコのボール保持に対抗するために、走ってプレスをかけられるメンバー選考になったとも言えます。
バルサのプレッシングへの姿勢が再び実ったのは24分でした。敵陣で奪われたボールに対してすぐさまプレッシングをかけて再び奪い返すとCBのエリックを経由して左の8番位置にいたフェルミンへボールが渡ります。

フェルミンはアトレティコのダブルボランチの間に立っていたオルモへボール渡すとオルモは前方へスルーパス。狭いスぺースを抜け出したフェランが左足を振りぬいて、チーム2点目を決めました。
オルモらしい正確なスルーパスと、フェランらしいラインブレイクでした。エスパニョール戦でフェランが復活の2ゴールを決めたことがしっかりと伏線になりましたね。素晴らしいフィニッシュでした。
流れを変えた中断
狙いが見事にハマり、僅か24分で1stレグのビハインドを帳消しにすることに成功したバルサは畳み掛けます。
直後のアトレティコのキックオフ。またしてもラングレのパスミスを右サイドの高い位置で引っ掛けたヤマルが、アウトサイドでクロス。これをドフリーのフェルミンがヘディングで叩きますが、ムッソがファインセーブ。セーブ後のムッソのスパイクの裏がフェルミンの鼻に直撃し、出血でしばらくゲームが中断することになりました。
このプレーがこの試合1つ目の転機でした。この決定機が決まっていれば一転してバルサがリードすることになっていましたが、九死に一生を得たアトレティコはこの中断で落ち着きを取り戻す時間を得ることになります。キャプテンのコケがしきりに周りに声をかけていたのが印象的でした。
約4分半の中断を経て試合は再開します。そして直後、冷静さを手に入れたアトレティコが1点を返すことに成功します。
アトレティコの自陣でのビルドアップから。ボールを持ったル・ノルマンに対してフェルミンがプレスに出ますが、カンセロが付いて来れておらず、ル・ノルマンは余裕を持ってフリーの右SBのモリーナへボールを渡します。

モリーナは余裕を持って、降りてきたグリーズマンに楔を差し込むと、そのタイミングでペドリにマークされていたジョレンテが前方へダッシュ。グリーズマンが得意のワンタッチスルーパスで背後へボールを出すと、完全に抜け出したジョレンテのクロスにルックマンが右足で合わせてアトレティコに得点が生まれます。
これはアトレティコからするとバルサの弱点を突いた狙い通りの得点でしょう。国王杯の1stレグでも同じように左サイドの守備のズレから失点しており、これはバルセロナの構造的な問題であり続けています。
この局面でまず指摘したいのはフェルミンが首を振らずにル・ノルマンにアプローチに行ってしまったこと。背後を確認していればカンセロ(とマルティン)が付いてこれていないことが分かったはずなので、ル・ノルマンへのプレスは諦め、モリーナのラインを切る方にシフトするのが適切だったかと思います。
フリックは常にラインを高く上げ、相手にプレッシングをかけ続けることをチームに求めます。その大枠の方針は問題ないのですが、問題は「どのような状況であっても」それを実現しようとすることです。明らかに位置的に不利な状況でも無理矢理自分たちの形にハメようとして、背後の広大なスペースを使われることは少なくありません。
何度も当ブログで書いているように、フリックの哲学の全てを否定するわけではありませんが、状況に合わせて冷静な判断を下すという点においてはフリックにも選手にも課題は多いと感じます。
アトレティコは得点後、突如としてバルサのCB陣とGKにハイプレスをかけ始めます。この流れのままバルサを吞み込もうという算段だったかもしれません。得点後の時間帯はややアトレティコ優勢の展開だったと思います。
バルサは41分にヤマルのパスからフェランが綺麗にターンして決定機を迎えますが、ここもムッソがセーブします。第2GKのクオリティではありませんね。ムッソがここまで止めるのはバルサにとって嬉しくない誤算でした。
バルサにとってのもう1つの誤算がペドリの不調で、この試合では何度かパスが引っ掛かりアトレティコのカウンターを許していました。2026年に入ってから彼の状態が上向きにならないのは気がかりな点です。
前半は2-1で終了。バルサがビハインドを1点に縮めてハーフタイムを迎えます。
後半
ブーストのかからなかった交代
ハーフタイムでは両者ともに交代はありませんでした。
後半もバルサがボールは握るものの、なかなかアトレティコゴール前に迫れず、外回しでの対応を迫られます。後半に入っても頼みのペドリのパフォーマンスが上がらないことで、アトレティコの守備ブロックを攻略するのに苦労します。
となると、バルサにとっての生命線はヤマルとカンセロの両サイドからの仕掛けになります。特に前半と比べると、カンセロからの侵入は意図的に増やしていたように見えました。
後半最大の決定機は55分。左サイドの高い位置でボールを持ったカンセロからエリア内のフェルミン、オルモと繋がり、後方から走りこんできたガビがシュート。これはラングレが決死のブロックを見せますが、こぼれ球をフェランがボレーでゴールネットを揺らします。
しかし、こちらはフェランがオフサイドの位置にいたことで、ノーゴール判定に。ガビのところで決めたかったですがラングレのナイスブロックでした。ボロボロだった前半から持ち直した感がありました。
65分には今度は右サイドのヤマルが5人を引き付けて、オルモがエリア内でチャンスを迎えますが左足のシュートは大きく枠を外してしまいました。
選手交代という意味で、先に動いたのはアトレティコでした。66分に運動量の多い両SHを下げ、バエナとニコを投入します。バルサも直後の68分に2枚替え。フェランとフェルミンを下げて、レバンドフスキとラッシュフォードを投入します。

バルサからすると得点を取りに行くための勝負の2枚替えだったかと思いますが、結果的にこの交代が吉と出なかったのがこの試合2つ目のターニングポイントでした。
ニコ、バエナの投入でフレッシュなエネルギーを手にしたアトレティコに対して、ラッシュフォードは淡白なプレーに終始し、レバンドフスキにはほとんどボールが届かない状況が続きます。アトレティコの守備を切り崩せない中で、バルサ側に適切なカードが足りなかったのが正直なところです。
中盤の局面で明らかに押され気味だったので、本来であればアタッカーだけでなく中盤に別のエネルギーを注入したかったところです。このタイミングで使われないということは、フレンキーのコンディションは長い時間プレーできるレベルではなかったということでしょう。
であれば、オルモ、フェルミン、ガビのいずれかはゲームチェンジャーとしてベンチに残しておきたかったですが、だったら先発どうすんねんという話でもあるので、どのみち厳しかったかもしれません。クバルシの出場停止とベルナルの負傷が重なったのも痛いポイントでした。
いずれにせよ交代で全くブーストがかからなかったバルサはエリア内に入るのも苦労する時間帯を迎えることになります。
またしてもDOGSOで
糸口が掴めないバルサに1週間前の悪夢が再び降り注ぎます。
77分、中盤でペドリがボールを失うと、アトレティコが一旦後方にボールを出します。ペドリは慌てて右SBのモリーナにプレッシャーをかけますが、アトレティコは落ち着いて、モリーナ→ニコ→ジョレンテとボールを繋ぐと、投入されたばかりのスルロットが背後を取ります。

これをカバーに入ったエリックが手をかけて止めてDOGSOで一発退場となってしまいます。判定に議論の余地はありましたが、1stレグのクバルシに続き、CBが一発退場するという異常事態で1点ビハインドを背負うバルサが数的不利の状況に陥ってしまいます。
まずこのシーンではペドリがボールを失ってしまったところからスタートしました。難しいシチュエーションでしたが、いつもの彼なら難なく繋いでいたでしょう。しかしもっと悪かったのは、ロストで冷静さを欠いてモリーナまでプレスに出てしまったことです。彼らしくありません。
結果ペドリの対面のジョレンテがフリーになってしまい、スルーパスを通されることになりました。モリーナに近かったのはラッシュフォードの方だったので、配置的には彼がプレスをかけるべきでした。プレスに出て行ったペドリのスペースを埋めるような動きはラッシュフォードに期待するだけ無駄でしょう。
そしてバックラインも完全に頭が止まってしまっており、ジョレンテがフリーでボールを受けた瞬間にはボールウォッチャーとなってしまい、ラインが全く揃っていませんでした。誰も抜け出すスルロットの動きを捕捉できていませんでしたね。集中力は切れてしまっていました。
追い込まれたバルサは81分にようやくガビを下げてフレンキーを投入します。ガビはよくやっていましたが、この時間までプレーし続けるとは思っていませんでした。

しかし、疲労の色が濃いチームは数的不利を跳ね返すだけのエネルギー持ち合わせていません。引き続きシュートシーンは作れず、むしろアトレティコのカウンターでピンチを迎える場面が目立ちました。
89分にバルサは捨て身の攻撃に入ります。カンセロ、オルモを下げてアラウホとルーニーを投入します。パワープレーですね。

上記のようなスクランブル陣形で、何とか1点をもぎ取って延長戦への突入を狙います。アディショナルタイムの8分間でレバンドフスキとアラウホが1本ずつシュートチャンスを迎えますが、ゴールを奪うことはできませんでした。
試合はこのまま2-1で終了。アグリゲートスコア2-3でバルセロナの準々決勝敗退が決定しました。
雑感
厳しい結果となりました。悲願だった欧州王者のタイトルにはまたしても手が届きませんでした。1シーズンで同じ相手に2度もタイトルを阻まれるのは悔しいの一言しかありません。残念です。
ただ、国王杯、CLを通して今季のアトレティコの強かさを感じました。国王杯でのピッチコンディションや判定など言い訳したい要素はありますが、彼らの徹底したフリックバルサ対策とタイトルへの執念は目を見張るものがありました。
名前をあげたい選手はたくさんいますが、カップ戦の4試合でキーになったのは第2GKのムッソです。オブラクに加えてあのレベルのGKを擁しているのは反則でしょう。何本もこちらのチャンスを止められました。前半のフェルミンのヘディングが決まっていれば、試合の流れも含めてバルサが突破した確率は高かったと思います。
また、今季限りでの退団が決まっているグリーズマンのパフォーマンスも素晴らしかったです。試合中は早くアメリカ行けよとしか思いませんでしたが、バルサの極端なハイライン戦術に対して彼のワンタッチパスは刺さりまくっており、結局グリーズマンを止めきれなかったことが敗因の1つだったと思います。
一方のバルサは「エスパニョールを全力で叩いて、アトレティコ戦にいいメンタル・チーム状態で臨む」という選択がに結果的に裏目に出た形になりました。エスパニョール戦で覚醒したフェランが同点ゴールを決めているため、一概に間違いだったとは言えませんが、70分以降疲労で動けなかったチームを見ると、フリックの選択に批判が集まっても仕方ないでしょう。
選手層が薄すぎるのはやはり問題で、このゲームではクバルシ、ベルナル、ラフィーニャとDF~FWのキープレイヤーをそれぞれ欠いてしまい、フレンキーも万全ではなかったことで、90分のマネジメントは難しくなってしまった印象です。それだけにエスパニョール戦は主力のコンディション調整を優先すべきだったのではないか、というのは尤もな指摘です。
ただ、このチームに最も足りないものはゲームコントロール力と冷静な状況判断です。若いチームで仕方のない部分もありますが、ゲームの流れと状況を読んで適切に振舞う力がまだ培われていません。昨季のインテル戦もそうですし、この試合の失点とDOGSOに繋がった一連のプレーもそうです。
CLではそのような判断のズレが致命傷になるということはフリックや選手たちもこの2シーズンで学ぶべきでしょう。フリックの掲げる理想と、若い選手たちの才能と勢いで駆け上がってきた2シーズンですが、それだけでは不十分ということも分かりました。
フルメンバーが揃えば質で押し切れることは分かっていますが、元々負傷離脱の多いスポーツであるフットボールで、怪我人が出ないことに期待するのはあまりに楽観的です。むしろ昨季の負傷者の少なさはかなりの上振れだったと思います。
恐らくフリックは来季も続投することになるでしょうが、同じアプローチでは同じように限界が来るでしょう。財政の改善や選手たちの成長も含め、アップデートに期待したいです。
幸いなことに、今季はまだもう1つのタイトルが残っています。17-18、18-19以来のラリーガでの連覇を果たすのもまた重要なミッションです。クラシコで優勝決定という美味しいシチュエーションの達成に向けて、残り試合での全勝を目指してほしいですね。今週末は試合はないので、ゆっくり休んで次のセルタ戦に臨んで欲しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。