はい、後編行きます!
前編はこちら!
3年目 21-22シーズン
クーマン期
リオネル・メッシという絶対的エースを失ったクーマンバルサは最早沈みゆく船でした。メッシの存在から逆算して作られた昨季のチームから180度異なるチーム作りを強いられることになりました。「破壊者」としての仕事ぶりに対して「創造者」としての資質に乏しいクーマンに沈没船を引き上げるだけの力はありませんでした。
メッシ・グリーズマンの離脱とペドリの負傷によりチーム随一のスターとなったフレンキーにかかる期待は大きいものがありました。しかし彼にとってもチーム状況が悪い中で状況を覆すのはあまりにハードなミッションでした。彼自身の負傷もありましたし。
公式戦5勝3分5敗。勝率38%。リーガでもCLでもいい所のなかったクーマンは10月、遂に解任の憂き目にあいます。結局最後まで「フレンキーの活かし方」を実践できず、レジェンド監督の冒険は幕を閉じました。
特にここではフレンキーの役割等は言及しなくてもいいかなと思います。右サイドハーフで起用されたりもしてましたね、そういえば。
シャビ期
暫定監督のバルファンを経て、後任には満を持してシャビ・エルナンデスが指揮官に就任しました。個人的にはここまでバルサにとって「浮いた存在」であったフレンキーとどう向き合い、どう融和させるのかに注目していました。
シャビはチームに明確な枠組みを与えました。特に配置的に重要だったのがWGの立ち位置です。近年のバルサは「WGは内側、SBが外」が基本原則でしたが、シャビバルサにおいては、WGの選手たちは大外に開いて幅を取る役割を与えられました。そのため、インテリオールの立ち位置は相手のDFラインと中盤のラインの間が主となりました。
20-21シーズンまでのフレンキーのプレーで目立ったのは、長い距離のドリブルやエリア内の飛びこみからのフィニッシュなど、個の身体能力の高さが際立つものでした。チームの中でのコンビネーションやパスで沸かせることは非常に少なかったと思います。
しかし、シャビが枠組みをしっかりと作ったことにより、フレンキーの順応は大いに進みました。長い距離のドリブルや不用意にボールを受けに下がるシーンは減り、チームの循環の中に組み込まれた感がありました。フィジカルで問題を解決するのではなく、上手く味方を使えるようになったとは感じました。
上記データをご覧ください。パス数、タッチ数、ドリブル数、ドリブル総距離の90分当たりのデータは昨季よりも大幅に減少。高い位置でのプレーが増え、無駄が省かれています。シャビの指導と共に、慢性的に抱える足の痛みの影響もあるかもしれませんが、より効率的な選手に進化を遂げた感はあります。
個人的なベストパフォーマンスは第23節アトレティコ戦。この日の左ウイングは本来中盤の選手であるガビ。静的な配置で役割をはっきり分けた右サイドに対して、左サイドはアルバ・フレンキー・ガビが旋回しながら相手を翻弄。これまでのフレンキーはチーム状況が整っていない無秩序な状態で走り回っている印象でしたが、この試合では秩序の中で広範囲にプレーすることができていました。
ただ、下の表を見て頂ければ分かる通り、フレンキーは得意な左より右インテリオールを担当することが依然として多かったのが21-22シーズンでした。シャビはガビを優先的に左で起用する傾向があり、ペドリも左を得意としているため、どうしても右が増えてしまうチーム事情ではあります。
シャビ的には恐らく左の優先順位はペドリ・ガビの方が高いでしょうから、21-22シーズンの最終系は下の画像の通りでした。
最終的には左はスペイン代表トリオによる旋回コンビネーション・右はデンベレの個人技中心の崩しが基本線になりました。なので、フレンキーとしては過去2シーズンに比べるとバルサの選手としての熟練度は大幅に上がりましたが、やはりポテンシャルを引き出すためにはゴール方向を向ける左サイドの方がやりやすいのかなという印象もあります。
放出すべき選手なのか否か
ここまで3年間をさーっと振り返ってきましたが、いかがでしたか?便利屋的に使われた1年目。本来の起用法ではなかったものの身体能力を活かしたタスクで無理やりメッシバルサに順応した2年目。そして、シャビの元で糸口を掴みかけた3年目。という流れですね大まかに。
で、先に結論から言ってしまいます。
「積極的にではないが、財政的な観点で厳しいのであれば放出はやむなし」
です。
【アンケート】
— Hikota (@BarcaHikota) 2022年6月30日
フレンキーの去就に関して意見を教えて欲しいです!
3シーズンにわたるバルサでのフレンキーをどう評価しているかによってかなりブレそう。
理由は是非リプ欄に!
↑先日Twitterで投票を取ったのですが、最も投票数多かった2つ目の意見と同じです僕も。
1ファンとしては、シャビ体制の下でもう1年見たいのが本音です。確かに今季成長の跡は見られましたし、プレシーズンからシャビがじっくり仕込むチームの中でフレンキーがどう躍動するのかは気になるところです。
しかし、実際のところフレンキーは中盤の選手の中の序列でブスケツ、ペドリに次ぐ3番手なのが現状。さらにすぐ後ろには新進気鋭のカンテラーノのガビ・新加入のケシエが控えます。昨季もフレンキーは絶対的な存在ではなく、途中でベンチに下げられてフラストレーションを露わにする場面も少なくありませんでした(けがの影響も当然ありますが)。
CL決勝トーナメントで勝ち進むことを想定するのであれば、選手層は厚いに越したことはありません。ただ、現状の給与体系を考慮に入れると、そこまでの余裕はあるんか?とは思ってしまいますよね。『transfermarkt』によると、フレンキーの市場価値は5000万€でペドリに次ぐチーム2位です。マンチェスター・シティのベルナルド・シルバを引っ張ってくるという噂ありますけど、あれどうなんですかね。
能力的にはチーム随一のフレンキーですが、チームでの適応度・貢献度では5歳下のペドリの方が上というのも難しいところです。そして、個人的にはフレンキーにはバルサより合うチームがあるのでは?という思いもあります。制約が少なく、フレンキー中心に構築してくれるチームの方がポテンシャルを最大限に発揮できるのではないでしょうか。ユナイテッドがそれに当たるのかどうかは詳しくないので知りませんが。
なので、まあ経済的に誰か主力を放出しなければいけないのであれば、フレンキーを選ぶってクラブの選択は間違いではないのかなと思います。あくまで相対的な評価ですが、諸々を考慮すると。
De Jong deal, never collapsed... but no changes: still no green light from Frenkie. Man United & Barça have an agreement ready since June: €65m, €20m add-ons [structure to be decided]. 🔴 #MUFC
— Fabrizio Romano (@FabrizioRomano) 2022年7月12日
Frenkie's priority, staying at Barça - but salary reduction still "very unlikely". pic.twitter.com/E7azJD34Sf
依然としてフレンキーの第一希望はバルサ残留とのこと。結末がどうなるかはまだ分かりませんね。残ってくれたら嬉しいですが、どうでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。