Hikotaのバルサ考察ブログ

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【マッチレビュー】20-21 ラ・リーガ第23節 バルセロナ対アラベス

こんにちは。ミッドウィークの国王杯セビージャ戦で0-2の完敗を喫したバルサは、今節アラベスをホームに迎えます。

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アラベスは今季5勝7分10敗で16位。今季も残留争いに巻き込まれている格好で、マチンからアベラルドへの監督交代も経ました。前節バジャドリード戦でアベラルド政権での初勝利を挙げました。

前半戦の対戦はマチン政権でしたが、1-1のドローに終わっています。自陣に引きこもるアラベス相手に攻めあぐね、グリーズマンループシュートで辛くも引き分けに追い付いた試合でしたね。

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スタメン

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CLのPSG戦を控えるバルサはローテーションを敢行。アルバ、ペドリ、デンベレの主力組をベンチに置きましたモリバとトリンコンはリーガでの先発は初になります。相変わらず守備陣の層が薄いのが気がかりです。今節はフレンキ―がCBとしてプレーします。

一方のアラベス前節から3人の先発変更。シモ・ナバーロ、マヌ・ガルシア、リオハに代わって、マルティンバタグリアコルドバが先発にチョイスされました。負傷による欠場はCBのエリーとシモ・ナバーロになっています。

 

両チーム陣形・配置・噛み合わせ

中央編重の攻撃

前回対戦と同じくバルサがボールを保持して、アラベスが耐える展開に。前回対戦のアラベスは4-1-4-1のフォーメーションが基本でしたが、この試合は4-4-2が基本システムとして動いていました。

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バルサボール保持時

一方のバルサのボール保持時。サイドバックのミンゲサが後方に残る形で3バックを形成します。両ワイドの高い位置はトリンコンとジュニオルが務めるルールになっており、グリーズマンはこれまでの試合以上にCFの位置に入っており、メッシとの2トップのような関係になります。セティエンバルサの3-1-4-2のようなイメージだと思います。

メッシが下がるタイミングで右IHのモリバはCFの位置へ移動しており、モリバは高い位置でプレーする機会が多かったですね。これは普段のフレンキ―のタスクに近いものがあったので、普通に踏襲した形ですかね。

ビルドアップユニットの形としては3-1なので、いつもとは変わらないものの、作り方は3(CB2枚&右SB)+1(アンカー)という構成。これはシンプルにフレンキ―がCBに入っているからでしょう。ミンゲサも高い位置を取らせるよりは右のCBのほうが良さは発揮できると思いますし。これは選手によって変えていくわけですね。

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いつもの3-1の作り方

ただ、この試合の前半、バルサの攻撃は詰まることになります。その理由は攻撃が中央に偏り過ぎてしまったこと。主因は両ワイドのトリンコン、ジュニオルがチームから十分に信頼されていなかったこと。そのためサイドの2人が孤立してしまう悪い時のバルサになってしまいました。

グリーズマンもこの試合ではかなり内側に入ってプレーをしていましたし、ミンゲサは3バックの一角に入っている時間帯が多くなっていたので、サイドのレーンで2人のサポートが乏しい状況でした。ジュニオルもトリンコンも数的不利でもゴリゴリ行けるだけにクオリティはないので、必然的に中央突破を試みるシーンが多くなります。

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サイドの2人の孤立

リキ、グリーズマン、モリバ、メッシが強引に中央を攻略しようとするシーンが目立ちました。それが上手くいけばよかったのですが、アラベスも中央はきっちり固めてくるので、そこを搔い潜るのはなかなか難しかったと思います。

アラベスの守備の方の話を少しすると、基本は4-4-2なんですけど、攻め込まれると右SHのエドガル・メンデスが最終ラインの位置まで下がるように設計されていました。つまり、撤退時は5-3-2っぽくなるのですが、エドガルが下がるという構造上、どうしても右ボランチのバラグリアの脇のスペースが空いてしまいます。このスペースはアラベス攻略の大きなカギでした。

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脇のスペースで受けるリキ

リキが今日良かったのはこの脇のスペースでボールを受ける意識があったことベティス戦でポジショニングの指摘をしましたが、この試合では悪くなかったと思います。まあ、相手のこともあるので一概には言えませんが、今日は良い位置に立っていることが多かったと思います。

ただ、勿体なかったのはことごとくパス方向が内側斜めであり、狭い方、難しい方へ展開が進んでしまったこと。恐らくリキの身体の向きに起因しているのだと思いますが、中央への配給が目立ち過ぎました。リキの能力を考えるともう少しボールを散らしてワンタッチで叩きながらゲームをコントロールして欲しかったところです。

この試合に関しては左SBがジュニオルであまり信頼されていないっていうのもあるんでしょうけど、もう少しシンプルにサイドを使いながら、勝負のパスを入れる!という方が遥かに有効かなと思います。ちょっとインテリオールの選手にしては「通れば大チャンス」のパスを狙い過ぎなので、そこが次の改善点ですかね。

ということで中央突破を試みては跳ね返されるを繰り返したバルサ。サイドのトライアングルでの良い攻撃が見られるず、ジョルディ・アルバデンベレが欲しくなるような展開になりました。後半ペドリが入ってボールを散らし始めるまではかなり窮屈な攻めだったなと思います。

それだけに、数少なかったミンゲサのオーバーラップが得点に結びついたのはある意味幸運でした。アラベスからすると3バックの右を務めていた彼の上がりはまさに「強襲」だったと思います。

ミンゲサに関して言うとCBでのプレーに比べると、タッチライン際でのプレーはどうなんだろうと思うことの方が多いですが、思いっきりの良いオーバーラップは彼の魅力の1つですね。良い突破でした。モリバにアシストがついたのもよかったなと思います。

後半に入ると流石に修正が入って、左はグリーズマンが、右はメッシが意識的にサイドに流れるようになり、中央どん詰まり感は多少改善されました。ただ、トリンコンやジュニオルが本当の意味で認められるにはまだ時間がかかりそうな気はします。今日彼らは幸いにも得点を奪うことができたので、これが足掛かりになるといいですね。

困ったカウンター対策

結果的には5-1の大勝を収めたバルサですが、CLのPSG戦に向けて不安はかなり残ります。特に看過できないのはカウンター対策。この試合もいくつか危ないシーンをロングカウンターで作られました。

バルサがカウンターに弱い原因をまとめると、

①失い方が悪い

②距離感が悪い

③ アラウホの不在

大きく分けてこの3つが挙げられると思います。

①失い方が悪いに関しては結構な問題でメッシのドリブルが引っかかったり、グリーズマンのパスがズレたりして、カウンターを受けることが多くあります。ですが、アタッカーの選手たちなのでロストは付き物。彼らが細心の注意を払うのは勿論ですが、周りの選手たちもそれに備えたポジショニングを取らなくてはなりません。

例えば、メッシが低い位置でボールを受けたとき、高い確率で右インテリオールはCFの位置に入っていることが多くなります。これは非常に危険な状態でメッシがボールを奪われた時、カバーに入る選手がいないことになります。

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カウンター対策

この時SBに求められるのは高い位置に張り出すことではなく、メッシの背後でサポートかつ奪われた時に即時奪回ができそうな場所に立っていることが大切です。右サイドの幅に関してはデンベレやトリンコンが取っていることが多いですし。右SBには今後増々柔軟性が求めらると思います。シンプルに高い位置に張り出すだけだとバランスはおかしくなってしまうので、バランサー的なタスクをこなしてほしいところです。

セルジ・ロベルトがいないのが辛いところですが、デストやミンゲサは考えながらポジショニングを取る必要があります。難易度は高めです。

勿論、周りの選手達のネガティブ・トランジションの意識も重要です。ここ数試合は疲労の影響か少し切り替えが遅いシーンが散見されるので、そこは明確な改善ポイント。またボール保持時の距離感が遠いと即時奪回を成功させるのは難しくなってしまいます。上手くいっている時の今季のバルサはボールサイドに密集を作って良い距離感でプレーできています。

そして、大切なのはCB。アラウホの不在はやはり痛すぎます。彼がいるのといないとでは安心感がまるで違います。ミンゲサやラングレはフィジカル的に限界がありますし、ウムティティはそもそも集中力の欠如や身体の重さが目立ちます。

CBの個人の力に頼れないとなると、PSG戦はある程度ボール保持時にコンパクトな陣形を保ちながら戦う他ありません。この試合のような強引な中央突破を試みているようだと確実にしっぺ返しを食らうと思います。メッシの背後に気を配りながら、サイドで三角形を作りながら丁寧に剥がしていくのがベストですかね。

慎重になりすぎるのも考えものですが、ボールを保持して相手をコントロールする意識は持って欲しいところ。未成熟なチームだからこそ仕方のない部分もあるのですが、今のバルサはちょっと「勝負」のタイミングが早すぎます。

あと1手か2手相手を揺さぶってから勝負のボールを入れた方が、効果的な崩しにも繋がりますし相手のバランスも崩れるのでカウンターも受けにくくなると思います。その辺を徹底するのはなかなか難しいとは思うのですが、後半戦の1つの宿題ですね。

 

試合雑感

メッシ以外の主力を少しずつ休ませながらの大勝。結果としては文句の付け所がありません。チャンピオンズ前にメッシの良いゴールが2つ決まったのも大きいですね。セビージャ戦の敗北を上手く忘れることができたのではないでしょうか。

アラベスも途中までは上手くやっていたと思いますが、前半2発食らってしまったのが痛かったですね。5-3-2でカウンター狙いはうかがえましたが、2トップにした分後ろの選手たちはちょっと苦慮してしまったのかなという印象はありました。スピードのあるリオハを後半から使うなら、後半から2トップでも良かったんじゃないかな、なんて思ったりします。超結果論ですけどね。

今日デビューのモリバはそこまで悪くなかったと思います。フィジカル的に面白いものを持ってますし。国王杯のゲームに比べてちょっと緊張しているんだろうなってのは感じられました。カンプノウで初めてのプレーですし、無理もないですね。

今後モリバに身につけて欲しいのはフレンキーが担っているようなエリア内への飛び出し。今日はあまり機会がありませんですが、左からのクロスに飛び込んで脅威になれるだけのポテンシャルはあると思うので、そこ磨いて欲しいですね。ミスに関しては先輩が取り返してくれたのでノープロブレムです。

さて、次はいよいよCL。PSGとの対戦になります。今季のCLを勝ち抜くのは難しいとは言いつつもやはり楽しみですね。バルサもPSGも怪我人が多いので両チームにとって難しい試合になるかもしれませんが、ベスト16の注目カードの1つなので良いゲームを期待したいです。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。